ヴァイスホルン(Weisshorn) / ワイスホルン(スイス)
最終更新:ベルクハイル
基本情報
標高 | 4505m |
---|---|
場所 | 北緯46度06分03秒, 東経07度42分59秒 |
ヴァイスホルン(“Weisshorn” ; 4505m)は、スイス中南部、ヴァリス(Wallis/Valais)山群のうち、ツェルマット渓谷(“Mattertal”)と、ツェルマット渓谷の西側で、同じく南北に走る、ツィナール渓谷(“Val du Zinal”)との間を画する、ヴァイスホルン山群(“Weisshorn gruppe” (独))(文献3)と呼ばれる大きな山脈の中の、一峰であり、この山脈のうちの最高峰である。
なお、この山の日本語表記としては、「ワイスホルン」と書くことが多いが、日本の北海道に同名の「ワイスホルン」という山があることもあり、本稿では、(文献1)でも使用されている「ヴァイスホルン」と表記する。
ヴァイスホルンは、山体全部がスイス国内に属する山としては、ミシャベル山群のドム(“Dom” ; 4545m)に続く第二位の山である(文献2)。
また山岳リゾート地として著名なツェルマット(“Zermatt”)を囲む山々としては、マッターホルン(“Matterhorn”)、モンテローザ山群(“Monte Roza Massif”)と並ぶ、主要な山である(文献2)。
ヴァイスホルンは、3つの鋭い岩稜と、3つのフェイスからなる秀麗な三角錐で、ヴァリス山群のなかでも良く目立つ山である(文献1)、(文献2)。
特にツェルマット東側のアルプ地帯であるゴルナーグラートなどの展望台から見る姿は素晴らしい。
ヴァイスホルン山頂からは、上記のとおり、3つの、険しく顕著な岩稜が延びている。
北北西方向へと延びる「北稜」は、この山脈の主稜線でもあり、ビスホルンへと続いている。途中には、大ジャンダルム(“Grand Gandarme” ; 4329m)と呼ばれる大きな岩峰がある(文献2)、(文献4)。
南南西方向へと延びる「南稜」も、この山脈の主稜線でもあり、シャーリヨッホ(“Schalijoch“ ; 3749m)と呼ばれるコル(ここにはビバーク小屋あり)を隔てて、シャーリホルン(“Schalihorn” ; 3974m)があり、更にその南へと続く稜線は、ツィナールロートホルン(”Zinalrothorn“ ; 4221m)へと続いている。南稜は、シャーリ稜(”Schaligrat“)とも呼ばれる(文献1)、(文献3)、(文献4)。
東方向へと延びる、もう一つの岩稜である「東稜」は、ツェルマット渓谷へと急激に落ち込んでいる。東稜は下記のとおり、ヴァイスホルンへの主要な登攀ルートとなっている。
(文献1)、(文献2)、(文献3)、(文献4)。
またヴァイスホルンは、上記3つの顕著な岩稜によって分けられた、3つの大きな岩壁(Face)を持つ。具体的には、北東壁、南東壁、西壁の3つである。但し、これらの岩壁は岩が脆くてリスクが高いため、ほとんど登攀されていない(文献1)、(文献2)、(文献3)。
それぞれの岩壁の中腹は氷河地帯となっている。北東壁の中腹には、ビス氷河(“Bis Glacier”)が広がっている。南東壁の中腹には、シャーリ氷河(”Scali Glacier”)が広がっている。西壁側の中腹には比較的小さな、ヴァイスホルン氷河(“Weisshorn Glacier”)がある(文献2)、(文献4)。
ヴァイスホルンの標高は、文献によって多少の差異がある。
(文献1)、(文献3)、(文献4)では、4505mと記載されている。
一方(文献2)では、4506mという記載と、4505mという記載が混在している。
本稿では、4505mという値を採用した。
この山の山名であるが、山名のうち、ヴァイス(Weiss)とはドイツ語で「白色」、「白い」を意味する(英語の"White"の類似語)。つまり日本語に訳せば、「白き山」と訳せる。その名の通り、雪をまとった姿は驚くほど美しい。
地質学的には、この山は、オーストロアルペンナップ(“The Austroalpine nappes“)と呼ばれる地塊グループのうち、ダンブランシュナップ(” The Dent Blanche nappe“)という地塊に属する。
また山体を構成している岩石の種類は、大部分が片麻岩類(gneisses)であるが、西面の一部は、白亜紀の堆積岩(sedimentary rocks)で出来ている(文献2)。
ヴァイスホルンの初登頂は、1861年8月に、J.Tyndall(ティンダル、著名な物理学者) , J. J. Bennen(guide) , U. Wenger(guide) 、からなる3人パーティによって、東稜ルートを使って、達成された(文献1)、(文献2)、(文献3)。
ヴァイスホルンへの一般的な登攀ルートについて、(文献1)に基づいて説明する。
登攀ルートは、ツェルマット渓谷側から拓かれている。
まず、ツェルマットから北、約10kmに位置する、ランダ(“Randa” : 1410m)という村からスタートする。
ヴァイスホルン南西側の斜面を登高して、ヴァイスホルン小屋(“Weisshorn hutte”;2932m)に至り、一泊する。
小屋からは氷河を越えて、東稜(Eastridge(英)/Ostgrat(独))に取りつく。
東稜は急峻で、両側が切れ落ちたナイフリッジとなっており、難度の高めの登攀を行って頂上に至る。
ランダから小屋までは、標高差 約1500m、登りで約5時間。
小屋からヴァイスホルン頂上までは、標高差 約1600mで、所用時間はクライマーのレベルによるが、標準的には登りだけで6−7時間を要する。
登攀ルートのルートグレードは、フレンチグレードで、AD(かなり難しい)。
岩場のピッチグレードは、グレード機▲哀譟璽畢供▲哀譟璽畢靴離團奪舛眤燭ぁ
本稿は、「アルプス4000m峰登山ガイド」リヒャルト・ゲーゲテ著、島田 訳、山と渓谷社 刊 (1997)の「ヴァイスホルン」の項(文献1)、
ウイキペディア英語版の、ヴァイスホルン(“Weisshorn”)の項(文献2)、
ウイキペディア ドイツ語版の、ヴァイスホルン(“Weisshorn”)の項(文献3)、
及びスイスの公的なインターネット地形図(Swiss Topo)(文献4)
を参照して記載した。
※ ウイキペディア英語版の、ヴァイスホルン(“Weisshorn”)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Weisshorn
※ ウイキペディア ドイツ語版の、ヴァイスホルン(“Weisshorn(Wallis)”)の項
https://de.wikipedia.org/wiki/Weisshorn_(Wallis)
※ スイスの公的なインターネット地形図(Swiss Topo)のサイト
https://map.geo.admin.ch/
なお、この山の日本語表記としては、「ワイスホルン」と書くことが多いが、日本の北海道に同名の「ワイスホルン」という山があることもあり、本稿では、(文献1)でも使用されている「ヴァイスホルン」と表記する。
ヴァイスホルンは、山体全部がスイス国内に属する山としては、ミシャベル山群のドム(“Dom” ; 4545m)に続く第二位の山である(文献2)。
また山岳リゾート地として著名なツェルマット(“Zermatt”)を囲む山々としては、マッターホルン(“Matterhorn”)、モンテローザ山群(“Monte Roza Massif”)と並ぶ、主要な山である(文献2)。
ヴァイスホルンは、3つの鋭い岩稜と、3つのフェイスからなる秀麗な三角錐で、ヴァリス山群のなかでも良く目立つ山である(文献1)、(文献2)。
特にツェルマット東側のアルプ地帯であるゴルナーグラートなどの展望台から見る姿は素晴らしい。
ヴァイスホルン山頂からは、上記のとおり、3つの、険しく顕著な岩稜が延びている。
北北西方向へと延びる「北稜」は、この山脈の主稜線でもあり、ビスホルンへと続いている。途中には、大ジャンダルム(“Grand Gandarme” ; 4329m)と呼ばれる大きな岩峰がある(文献2)、(文献4)。
南南西方向へと延びる「南稜」も、この山脈の主稜線でもあり、シャーリヨッホ(“Schalijoch“ ; 3749m)と呼ばれるコル(ここにはビバーク小屋あり)を隔てて、シャーリホルン(“Schalihorn” ; 3974m)があり、更にその南へと続く稜線は、ツィナールロートホルン(”Zinalrothorn“ ; 4221m)へと続いている。南稜は、シャーリ稜(”Schaligrat“)とも呼ばれる(文献1)、(文献3)、(文献4)。
東方向へと延びる、もう一つの岩稜である「東稜」は、ツェルマット渓谷へと急激に落ち込んでいる。東稜は下記のとおり、ヴァイスホルンへの主要な登攀ルートとなっている。
(文献1)、(文献2)、(文献3)、(文献4)。
またヴァイスホルンは、上記3つの顕著な岩稜によって分けられた、3つの大きな岩壁(Face)を持つ。具体的には、北東壁、南東壁、西壁の3つである。但し、これらの岩壁は岩が脆くてリスクが高いため、ほとんど登攀されていない(文献1)、(文献2)、(文献3)。
それぞれの岩壁の中腹は氷河地帯となっている。北東壁の中腹には、ビス氷河(“Bis Glacier”)が広がっている。南東壁の中腹には、シャーリ氷河(”Scali Glacier”)が広がっている。西壁側の中腹には比較的小さな、ヴァイスホルン氷河(“Weisshorn Glacier”)がある(文献2)、(文献4)。
ヴァイスホルンの標高は、文献によって多少の差異がある。
(文献1)、(文献3)、(文献4)では、4505mと記載されている。
一方(文献2)では、4506mという記載と、4505mという記載が混在している。
本稿では、4505mという値を採用した。
この山の山名であるが、山名のうち、ヴァイス(Weiss)とはドイツ語で「白色」、「白い」を意味する(英語の"White"の類似語)。つまり日本語に訳せば、「白き山」と訳せる。その名の通り、雪をまとった姿は驚くほど美しい。
地質学的には、この山は、オーストロアルペンナップ(“The Austroalpine nappes“)と呼ばれる地塊グループのうち、ダンブランシュナップ(” The Dent Blanche nappe“)という地塊に属する。
また山体を構成している岩石の種類は、大部分が片麻岩類(gneisses)であるが、西面の一部は、白亜紀の堆積岩(sedimentary rocks)で出来ている(文献2)。
ヴァイスホルンの初登頂は、1861年8月に、J.Tyndall(ティンダル、著名な物理学者) , J. J. Bennen(guide) , U. Wenger(guide) 、からなる3人パーティによって、東稜ルートを使って、達成された(文献1)、(文献2)、(文献3)。
ヴァイスホルンへの一般的な登攀ルートについて、(文献1)に基づいて説明する。
登攀ルートは、ツェルマット渓谷側から拓かれている。
まず、ツェルマットから北、約10kmに位置する、ランダ(“Randa” : 1410m)という村からスタートする。
ヴァイスホルン南西側の斜面を登高して、ヴァイスホルン小屋(“Weisshorn hutte”;2932m)に至り、一泊する。
小屋からは氷河を越えて、東稜(Eastridge(英)/Ostgrat(独))に取りつく。
東稜は急峻で、両側が切れ落ちたナイフリッジとなっており、難度の高めの登攀を行って頂上に至る。
ランダから小屋までは、標高差 約1500m、登りで約5時間。
小屋からヴァイスホルン頂上までは、標高差 約1600mで、所用時間はクライマーのレベルによるが、標準的には登りだけで6−7時間を要する。
登攀ルートのルートグレードは、フレンチグレードで、AD(かなり難しい)。
岩場のピッチグレードは、グレード機▲哀譟璽畢供▲哀譟璽畢靴離團奪舛眤燭ぁ
本稿は、「アルプス4000m峰登山ガイド」リヒャルト・ゲーゲテ著、島田 訳、山と渓谷社 刊 (1997)の「ヴァイスホルン」の項(文献1)、
ウイキペディア英語版の、ヴァイスホルン(“Weisshorn”)の項(文献2)、
ウイキペディア ドイツ語版の、ヴァイスホルン(“Weisshorn”)の項(文献3)、
及びスイスの公的なインターネット地形図(Swiss Topo)(文献4)
を参照して記載した。
※ ウイキペディア英語版の、ヴァイスホルン(“Weisshorn”)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Weisshorn
※ ウイキペディア ドイツ語版の、ヴァイスホルン(“Weisshorn(Wallis)”)の項
https://de.wikipedia.org/wiki/Weisshorn_(Wallis)
※ スイスの公的なインターネット地形図(Swiss Topo)のサイト
https://map.geo.admin.ch/
山頂 |
---|
付近の山
- [1.9km] ビスホルン(4153m)
- [4.6km] ツィナールロートホルン(4221m)
- [7.9km] オーバーガーベルホルン(4063m)
- [10.4km] デューレンホルン(4035m)
- [10.7km] ホーベルクホルン(4219m)
- [11km] ダンブランシュ(4357m)
- [11.1km] ドム(4545m)
- [11.1km] ティッシュホルン(4491m)
この場所を通る登山ルート
この場所を通る登山ルートはまだ登録されていません。