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トムラウシ山(とむらうしやま)
北海道
最終更新:ヤマレコ/YamaReco
絶景のお花畑と湖沼群が広がる「大雪の奥座敷」
トムラウシ山は、北海道の中央部に位置する大雪山系の山で、標高は2141mです。
長らく活動を停止している火山で、崩れた火口壁や溶岩ドームなどが複雑な地形を成しています。遠目に見る山容はダイナミックで、威厳に満ちており、この山を日本百名山に選んだ深田久弥(ふかだきゅうや:1903-1971年)は「あれに登らねばならぬ」と強く心を打たれたそうです。
山名はトムラウシ川の水源であることから名づけられたようです。「トムラウシ」はアイヌ語に由来し、その意味は「花の多いところ」や「水垢の多き川」など、いくつかの解釈が存在します。
楽園のような山上
北海道の山は緯度が高く、気候は本州の3000m級の山と同じ程度とされています。森林限界の標高は本州よりも低く、トムラウシ山では1600mほどです。
それを超えた山頂部では、夏季まで雪渓が残り、チングルマをはじめとした様々な高山植物が咲き競います。どこまでも続く雄大な風景は「大雪の奥座敷」と謳われるほどです。
日本庭園やトムラウシ公園と名前が付けられた景勝地もあります。
湖沼もあちこちで見られ、これらが作り出す自然美が魅力とされています。山頂のすぐ北にある北沼はひときわ大きな池です。湖畔に積もった雪渓や、水鏡の景色は見どころのひとつです。
一方で気象条件の厳しさから、夏季でも低体温症に陥るリスクがあります。悪天候による死亡事故も発生しており、2009年の遭難ではツアー団体18名のうち8名が命を落としました。
北海道の名山を望む山頂
山頂は岩場で、眺望に優れています。一等三角点が設置されており、点名は「富良牛山」です。
日高山脈や十勝連峰など、北海道屈指の秀峰をいくつも望みます。湖沼も見応えがあり、北沼越しには旭岳や北鎮岳など、表大雪の山々が見えます。
ナキウサギの生息地・ロックガーデン
北沼の北方に広がるガレ場はロックガーデンと称されています。大きな岩が折り重なっており、独特の雰囲気を醸します。
一帯はナキウサギの生息地として知られています。ナキウサギは「氷河期の生き残り」として約1万年以上前から棲み付いており、耳が丸くハムスターのような体をしています。ちょこまかと動き、「キュイッ、キュイッ」と鳴く姿は、無機質な岩場において愛くるしさが際立ちます。
日帰り可能な「短縮コース登山口」
トムラウシ山は、南麓からのルートであれば日帰り登山が可能とされています。それでも行動時間は長いため、十分な体力を備え、早朝から臨む必要があります。
登山口はトムラウシ温泉登山口と短縮コース登山口の2箇所があります。後者の方が距離とコースタイムが短く、よく選ばれています。
序盤は針葉樹と笹がよく茂る森です。土壌は水はけが悪いため、ぬかるみが多く、木道が敷かれた箇所もあります。
コマドリ沢は、遅い時期まで雪渓が残ります。状況によっては、チェーンスパイクやアイゼンを装着して通行します。
前トム平の手前から、徐々に展望が開けてきます。
岩場の登りもあり、変化に富んだ道のりです。
数日をかけた縦走登山も人気
一方で、泊りがけの縦走登山も人気があります。北海道の自然をたっぷりと味わいつつ、大雪山のピークをいくつも巡ります。
定番ルートは、北海道最高峰の旭岳からトムラウシ山を結びます。
宿泊は野営指定地でのテント泊か避難小屋泊です。
ただしヒサゴ沼避難小屋と忠別岳避難小屋は、緊急時のみ利用が可能とされています。原則は、小屋前の野営指定地にテントを張ります。
どの宿泊ポイントでも水場に困ることはありませんが、煮沸や浄水器での浄化が必要です。生水はエキノコックス症に感染する危険があります。
また携帯トイレ使用の協力が求められています。山中には、携帯トイレ使用のためのブースが設置されています。
登山口 |
トムラウシ温泉登山口 短縮コース登山口 クチャンベツ沼ノ原登山口 化雲岳登山口(天人峡登山口) |
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周辺の山小屋 |
ヒサゴ沼避難小屋(※緊急時のみ利用可能) 忠別岳避難小屋(※緊急時のみ利用可能) 白雲岳避難小屋 |
基本情報
標高 | 2141m |
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場所 | 北緯43度31分37秒, 東経142度50分55秒 |
トムラウシ温泉と短縮路登山口からは日帰りの人と南沼野営指定地に宿泊する人がいる。登山口にはトイレ(短縮路はバイオトイレ)がある。また大雪山と十勝岳連峰を縦走する人も登る。クチャンベツ登山口から沼の原経由コースは林道崩壊のため通行止だったが2020年に開通する予定。天人峡温泉から登る人もいる。短縮路からは登り5時間超はかかり、日帰りは健脚者。途中のトムラウシ公園は素晴らしい。
トムラウシ南沼野営指定地もキャンプ地として素晴らしく花が咲き乱れている。しかしトイレが無く、岩陰に排泄物やティッシュが散乱している。携帯トイレブースが2基あるので、携帯トイレを使って排泄物を持ち帰えることをお願いしている。携帯トイレ回収ボックスは短縮路登山口とトムラウシ温泉の公衆トイレに設置してある。
トムラウシ温泉「東大雪荘」で携帯トイレを販売している。
トムラウシ南沼野営指定地もキャンプ地として素晴らしく花が咲き乱れている。しかしトイレが無く、岩陰に排泄物やティッシュが散乱している。携帯トイレブースが2基あるので、携帯トイレを使って排泄物を持ち帰えることをお願いしている。携帯トイレ回収ボックスは短縮路登山口とトムラウシ温泉の公衆トイレに設置してある。
トムラウシ温泉「東大雪荘」で携帯トイレを販売している。
山頂 | 360度の大パノラマ |
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山の解説 - [出典:Wikipedia]
トムラウシ山(富村牛山、富良牛山)は、北海道中央部、上川管内美瑛町と十勝管内新得町の境にそびえる大雪山系南部の標高2,141 mの山。「大雪の奥座敷」と称される。地元では昔から「カムイミンタラ」(神々の遊ぶ庭)として崇められてきた。深田久弥の『日本百名山』に選定されている。約30万年前から後期更新世に活動した火山で、山頂付近の溶岩は完新世に噴出した可能性が指摘されている。山頂には南西開きの直径約200 mの火口のほか、周辺には複数の溶岩ドームや噴火口がある。麓の新得町側にはトムラウシ温泉がある。
「トムラウシ」とは、アイヌ語の「ト?ラ・ウ?・イ」(緑色の藻の一種が群生するところ)に由来するとされ、本来はこの山を源流とするトムラウシ川を指した地名である。国土地理院の一等三角点の名称は「富良牛山」と記されているが、これは「トムラウシ」に当て字したものである。
奥深い山である故に、広大な花畑や湖沼などの大自然が荒らされることなく残っている。山の上部は森林限界のハイマツ帯で、池塘や沼が点在し高山植物が群生している箇所がある。山腹北面の溶岩台地には大きな岩が積み重なった「ロックガーデン」と呼ばれる一帯があり、ナキウサギの生息地になっている。ロックガーデンの北側も岩が点在する一帯で「日本庭園」と呼ばれており、チングルマやエゾノツガザクラなどの高山植物が見られる。山頂の直下には北側に北沼、南西部に南沼があり、イワヒゲ、エゾコザクラ、コマクサなどの高山植物が見られる。南沼から南に下っていくと「トムラウシ公園」と呼ばれる一帯があり、エゾノハクサンイチゲなどの高山植物が見られる。山域は1934年(昭和5年)に大雪山国立公園の特別保護地区に指定された。