(はじめに)
この章では北海道の東半分、いわゆる道東地区の山々について説明します。
道東地区を地理的、地形的に見ると、南東部には、太平洋に面した十勝平野、釧路平野、根釧台地(こんせんだいち)、白糠丘陵(しらぬかきゅうりょう)などの平地、丘陵部があります。
また北東部には、オホーツク海に面した、網走市、北見市を含む平野、盆地、丘陵部があります。
その2つの低地部を分ける形で、知床半島から阿寒火山群にかけて、主に火山性の山々が連なって分水嶺を形成しています。
この章では、知床半島の火山群及び、屈斜路地区、阿寒地区の火山群について、その火山としての形成史を中心に説明します。
道東地区を地理的、地形的に見ると、南東部には、太平洋に面した十勝平野、釧路平野、根釧台地(こんせんだいち)、白糠丘陵(しらぬかきゅうりょう)などの平地、丘陵部があります。
また北東部には、オホーツク海に面した、網走市、北見市を含む平野、盆地、丘陵部があります。
その2つの低地部を分ける形で、知床半島から阿寒火山群にかけて、主に火山性の山々が連なって分水嶺を形成しています。
この章では、知床半島の火山群及び、屈斜路地区、阿寒地区の火山群について、その火山としての形成史を中心に説明します。
1)千島火山弧としての道東の火山群
この節では、個々の火山を説明する前に、まずプレートテクトニクス理論に基づく、道東の火山群の成り立ちについて説明します。
道東の火山群は西側から、阿寒(あかん)火山群、屈斜路(くっしゃろ)火山群、知床半島の火山群と、ほぼ東北東~西南西の方向に並んでいます。
さらに知床半島の東側には、「北方領土」に、知床半島とほぼ同じサイズの、国後島(くなしりとう)、択捉島(えとろふとう)があり、これらの島も火山群で形成されています。またその並びも、北海道内と同じく、東北東~西南西の方向に並んでいます。その先には千島列島の火山島が、はるかカムチャッカ半島まで続いています。
これらの、ほぼ直線的にならんだ火山群は、千島海溝で沈み込んでいる太平洋プレートの影響で、地下深く(100km以上の深度)でマグマが発生して、地上に火山として表れているものであり、プレートテクトニクス的には「火山フロント」と呼ばれる火山列です。
なお、詳しく見ると火山群の並びは完全に一直線ではなく部分的に、逆「ミ」の字の配列、いわゆる雁行型(がんこうがた)配列をしています。特に択捉島、国後島、知床半島は、その配列が明確です。
この雁行型配列の原因としては、千島海溝において太平洋プレートが、直角方向ではなく、西北西方向へと斜め沈み込みをしていることが原因と考えられています(文献1―a)、(文献2-a)、(文献3)。
つまり、斜め沈み込みによって陸側プレートに横方向の応力がかかり、海溝に近い側(「前弧」;「外弧」とも呼ぶ)では、いわゆる「千島前弧スリバーの西進」運動が起き、日高山脈の形成にも影響しています(本連載の 第8-8章にも説明あり)。
また海溝から遠い側(「背弧」;「内弧」とも呼ぶ)では、布を横から押してみるとシワが寄るのと同じようなイメージで、地殻にシワ状の高まり構造ができ、その部分が弱線となってマグマが上昇して火山列ができているため、雁行型の火山列ができている、と解釈されています(文献1-a)、(文献2-a)。
道東の火山群は西側から、阿寒(あかん)火山群、屈斜路(くっしゃろ)火山群、知床半島の火山群と、ほぼ東北東~西南西の方向に並んでいます。
さらに知床半島の東側には、「北方領土」に、知床半島とほぼ同じサイズの、国後島(くなしりとう)、択捉島(えとろふとう)があり、これらの島も火山群で形成されています。またその並びも、北海道内と同じく、東北東~西南西の方向に並んでいます。その先には千島列島の火山島が、はるかカムチャッカ半島まで続いています。
これらの、ほぼ直線的にならんだ火山群は、千島海溝で沈み込んでいる太平洋プレートの影響で、地下深く(100km以上の深度)でマグマが発生して、地上に火山として表れているものであり、プレートテクトニクス的には「火山フロント」と呼ばれる火山列です。
なお、詳しく見ると火山群の並びは完全に一直線ではなく部分的に、逆「ミ」の字の配列、いわゆる雁行型(がんこうがた)配列をしています。特に択捉島、国後島、知床半島は、その配列が明確です。
この雁行型配列の原因としては、千島海溝において太平洋プレートが、直角方向ではなく、西北西方向へと斜め沈み込みをしていることが原因と考えられています(文献1―a)、(文献2-a)、(文献3)。
つまり、斜め沈み込みによって陸側プレートに横方向の応力がかかり、海溝に近い側(「前弧」;「外弧」とも呼ぶ)では、いわゆる「千島前弧スリバーの西進」運動が起き、日高山脈の形成にも影響しています(本連載の 第8-8章にも説明あり)。
また海溝から遠い側(「背弧」;「内弧」とも呼ぶ)では、布を横から押してみるとシワが寄るのと同じようなイメージで、地殻にシワ状の高まり構造ができ、その部分が弱線となってマグマが上昇して火山列ができているため、雁行型の火山列ができている、と解釈されています(文献1-a)、(文献2-a)。
2)阿寒火山群の形成史
この第2節では、阿寒火山群の、火山としての形成史を、(文献2-b)、(文献4)に基づき、説明します。
阿寒湖を含む一帯は火山地帯であり、活火山である雄阿寒岳(おあかんだけ:1370m)、雌阿寒岳(めあかんだけ:1499m)などの火山があります(文献4)。ちなみに雄阿寒岳と雌阿寒岳はまとめて、「阿寒岳」として日本百名山の一つとされています(文献5)。また阿寒湖はカルデラ湖であり、元々は巨大な火山です。
阿寒湖を含む一帯は火山地帯であり、活火山である雄阿寒岳(おあかんだけ:1370m)、雌阿寒岳(めあかんだけ:1499m)などの火山があります(文献4)。ちなみに雄阿寒岳と雌阿寒岳はまとめて、「阿寒岳」として日本百名山の一つとされています(文献5)。また阿寒湖はカルデラ湖であり、元々は巨大な火山です。
2-1)阿寒カルデラ火山
阿寒火山群のうち、最も古くから活動したのは、現在、阿寒湖となっている阿寒カルデラ火山で、約100万年前から少なくとも17回も、繰り返し大噴火を起こしていたことが明らかになっています(文献2-b)。
阿寒カルデラ火山の最大の噴火は、約15万年前に起こり、その際に生じた大火砕流は、北は北見市、南は釧路市まで、半径 約40kmまで広範囲に広がっています。
現在の阿寒湖を含む阿寒カルデラは、一回の巨大噴火で形成されたのではなく、繰り返し起きた大噴火でできたカルデラが合体した、複合カルデラと推定されています(文献2-b)。
阿寒カルデラ火山の最大の噴火は、約15万年前に起こり、その際に生じた大火砕流は、北は北見市、南は釧路市まで、半径 約40kmまで広範囲に広がっています。
現在の阿寒湖を含む阿寒カルデラは、一回の巨大噴火で形成されたのではなく、繰り返し起きた大噴火でできたカルデラが合体した、複合カルデラと推定されています(文献2-b)。
2-2)雄阿寒岳
雄阿寒岳(1371m)は、阿寒湖の東のほとりに、端正な姿をしてそびえる成層火山です。
阿寒カルデラが形成されたのち、カルデラ内にできた、いわゆる「後カルデラ火山」です。
雄阿寒岳の形成は、約1.3万年前、もしくはその前に始まったと推定されています(文献2-b)、(文献4-a)。その後、約8000年の休止期間を挟み、約5000年前から、溶岩の流出を主とした火山活動が再開し、約1000年前まで、活動していたと推定されています(文献4-a)。
なお火山岩の種類としては、主に安山岩質です。
阿寒カルデラが形成されたのち、カルデラ内にできた、いわゆる「後カルデラ火山」です。
雄阿寒岳の形成は、約1.3万年前、もしくはその前に始まったと推定されています(文献2-b)、(文献4-a)。その後、約8000年の休止期間を挟み、約5000年前から、溶岩の流出を主とした火山活動が再開し、約1000年前まで、活動していたと推定されています(文献4-a)。
なお火山岩の種類としては、主に安山岩質です。
2-3)雌阿寒岳
雌阿寒岳(1499m)は、阿寒カルデラの南東部に形成された活火山で、現世でも活発な火山活動が起こっており、しばしば、登山禁止となることがあります。
雌阿寒岳は雄阿寒岳とは異なり、小型の火山が多数集まった火山体であり、地形的にもやや複雑になっています。
雌阿寒岳の火山としての活動開始時期は明確ではありませんが、少なくとも約1.3万年前には活動が始まっていたと推定されています。その約1.3万年前の活動が、雌阿寒岳の噴火としては最大規模で、周辺に火砕流を流出させています。
その後の活動は、(文献2-b)や(文献4-b)によると、幾度となく噴火を繰り返して、多数の小型の火山体を形成しました。このうち小型の成層火山である阿寒富士(あかんふじ:1476m)は、比較的新しく、約2500~1100年前に形成されたと推定されています。
雌阿寒岳は非常に活動的な火山であり、西暦2000年以降も、何度も火山性地震や、小規模な水蒸気噴火を起こしています(文献4-b)。
なお火山岩の種類としては、活動時期によって変化が大きく、安山岩質、デイサイト質、玄武岩質の噴出物が確認されています。
雌阿寒岳は雄阿寒岳とは異なり、小型の火山が多数集まった火山体であり、地形的にもやや複雑になっています。
雌阿寒岳の火山としての活動開始時期は明確ではありませんが、少なくとも約1.3万年前には活動が始まっていたと推定されています。その約1.3万年前の活動が、雌阿寒岳の噴火としては最大規模で、周辺に火砕流を流出させています。
その後の活動は、(文献2-b)や(文献4-b)によると、幾度となく噴火を繰り返して、多数の小型の火山体を形成しました。このうち小型の成層火山である阿寒富士(あかんふじ:1476m)は、比較的新しく、約2500~1100年前に形成されたと推定されています。
雌阿寒岳は非常に活動的な火山であり、西暦2000年以降も、何度も火山性地震や、小規模な水蒸気噴火を起こしています(文献4-b)。
なお火山岩の種類としては、活動時期によって変化が大きく、安山岩質、デイサイト質、玄武岩質の噴出物が確認されています。
3)屈斜路火山群
屈斜路湖(くっしゃろこ)は、阿寒湖と同様、カルデラ火山の跡にできたカルデラ湖です。そのカルデラのサイズは、東西 約26km、南北 約20kmもあり、日本最大級のカルデラです(文献2-c)。三日月側をした屈斜路湖は、屈斜路カルデラの約半分を占め、残りの部分は陸化しています。
また屈斜路カルデラの中心部には中央火口丘としてのアサトヌプリ火山が、東側には摩周(ましゅう)火山があります。摩周火山も小型のカルデラ火山で、中心部は観光地として有名な摩周湖です。それ以外にもカルデラ壁付近に多数の火山体があります。これらをまとめて全体として、屈斜路火山群を形成しています。
また屈斜路カルデラの中心部には中央火口丘としてのアサトヌプリ火山が、東側には摩周(ましゅう)火山があります。摩周火山も小型のカルデラ火山で、中心部は観光地として有名な摩周湖です。それ以外にもカルデラ壁付近に多数の火山体があります。これらをまとめて全体として、屈斜路火山群を形成しています。
3-1)屈斜路カルデラ火山
屈斜路湖を含む屈斜路カルデラ火山は、約34万年前には活動を開始したようです。その後、約3.1万年前に大規模火砕流(屈斜路火砕流1)を流出する活動を行うなど、少なくとも7回もの大規模火砕流を噴出する大噴火を起こしています(文献2-c)。現在はカルデラ内の約半分は屈斜路湖となっており、残りは陸化し、カルデラ内をJR線が走っています。
3-2)アサトヌプリ火山
アサトヌプリ火山(三角点での標高:508m)は、屈斜路カルデラ火山の中心部に、中央火口丘として形成された火山で、活火山に認定されています(文献4-c)。
活動開始時期は少なくとも2.3万年前に遡り、初期の噴火では火砕流を発生させ、小型のカルデラを形成しましたが、現在ではカルデラの地形は不明瞭になっています。その後、そのカルデラの内外に、デイサイト質の溶岩ドームが多数、形成されました(文献2-c)、(文献4-c)。
(文献4―c)によると、アサトヌプリ火山には多数の硫黄鉱床があったため別名を「硫黄山」とも呼び、20世紀後半まで、硫黄の採掘がおこなわれていたそうです。現在でも一部に噴気活動が確認されている活動的な火山です。
活動開始時期は少なくとも2.3万年前に遡り、初期の噴火では火砕流を発生させ、小型のカルデラを形成しましたが、現在ではカルデラの地形は不明瞭になっています。その後、そのカルデラの内外に、デイサイト質の溶岩ドームが多数、形成されました(文献2-c)、(文献4-c)。
(文献4―c)によると、アサトヌプリ火山には多数の硫黄鉱床があったため別名を「硫黄山」とも呼び、20世紀後半まで、硫黄の採掘がおこなわれていたそうです。現在でも一部に噴気活動が確認されている活動的な火山です。
3-3)摩周火山
摩周火山は、前述のとおり、観光名所として有名な摩周湖(ましゅうこ)を含む一帯です。
摩周火山は屈斜路カルデラの縁に位置しますが、研究によると屈斜路カルデラ火山と同時期に活動した、独立した火山です(文献2-c)。
(文献2-c)、(文献4―d)によると、摩周火山の活動は約3.2万年前に始まり、最初は小型の成層火山として形成され、その後、約7000年前の大規模な噴火活動により、カルデラができたと推定されています。
その後、摩周火山に隣接した位置で、カムイヌプリ火山が活動を開始しています。カムイヌプリ火山の最新の活動は約1000年前と推定されており、まとめて「摩周火山」として活火山と認定されています。
摩周火山の火山岩は、玄武岩質、安山岩質、デイサイト質、流紋岩質と、多様な火山岩でできており、地下のマグマだまりが一つではなかったことが推定されています。
摩周火山は屈斜路カルデラの縁に位置しますが、研究によると屈斜路カルデラ火山と同時期に活動した、独立した火山です(文献2-c)。
(文献2-c)、(文献4―d)によると、摩周火山の活動は約3.2万年前に始まり、最初は小型の成層火山として形成され、その後、約7000年前の大規模な噴火活動により、カルデラができたと推定されています。
その後、摩周火山に隣接した位置で、カムイヌプリ火山が活動を開始しています。カムイヌプリ火山の最新の活動は約1000年前と推定されており、まとめて「摩周火山」として活火山と認定されています。
摩周火山の火山岩は、玄武岩質、安山岩質、デイサイト質、流紋岩質と、多様な火山岩でできており、地下のマグマだまりが一つではなかったことが推定されています。
4)知床半島の火山群
世界自然遺産にもなっている知床半島は、ヒグマが多数生息するなど、原始の自然が豊かな場所としても有名ですが、百名山でもある羅臼岳(らうすだけ:1660m)を筆頭に、多数の火山が一列に並ぶ、火山列でもあります。
この節では、狭義の知床半島の火山群に加え、その内陸側延長部にそびえる火山、斜里岳(しゃりだけ:1545m)についても説明します。
知床半島は、全長が約65kmある細長く真っ直ぐ延びた半島です。半島の基盤岩は新第三紀 中新世の火山岩、堆積岩で、半島軸にそった褶曲軸をもち、基盤自体が隆起している場所の上に火山が多数、形成されている地質構造を持ちます(文献1-b)。
なお知床半島の火山群は、火山岩の性質としては、大部分が安山岩質の溶岩、火砕岩です。
この節では、狭義の知床半島の火山群に加え、その内陸側延長部にそびえる火山、斜里岳(しゃりだけ:1545m)についても説明します。
知床半島は、全長が約65kmある細長く真っ直ぐ延びた半島です。半島の基盤岩は新第三紀 中新世の火山岩、堆積岩で、半島軸にそった褶曲軸をもち、基盤自体が隆起している場所の上に火山が多数、形成されている地質構造を持ちます(文献1-b)。
なお知床半島の火山群は、火山岩の性質としては、大部分が安山岩質の溶岩、火砕岩です。
4-1)斜里岳
斜里岳は、知床半島の火山群と、摩周火山群との間に、悠然とした独立峰としてそびえており、百名山の一つでもあります(文献5)。
(文献1-b)、(文献2-d)によると、浸食がかなり進んだ成層火山です。火山としての主な活動時期は、約28~25万年前の間の比較的短期間だと推定されています。
(文献1-b)、(文献2-d)によると、浸食がかなり進んだ成層火山です。火山としての主な活動時期は、約28~25万年前の間の比較的短期間だと推定されています。
4-2)羅臼岳
羅臼岳は、知床半島の火山群の中でも代表格の山です。百名山の一つでもあります(文献5)。
登山道は、南側の羅臼(町)側と、北側のウトロ側にあり、標高の低いところの登山口からの登りはかなりあります。
(文献1-b)、(文献2-d)、(文献4-e)によると羅臼岳は、頂上部に溶岩ドームを持つ成層火山です。活動史としては、約8万年前の活動が知られており、比較的最近の、約2300年前、約1600年前、約700年前にも活動した形跡があり、約800年周期で活動する活火山に認定されています。
登山道は、南側の羅臼(町)側と、北側のウトロ側にあり、標高の低いところの登山口からの登りはかなりあります。
(文献1-b)、(文献2-d)、(文献4-e)によると羅臼岳は、頂上部に溶岩ドームを持つ成層火山です。活動史としては、約8万年前の活動が知られており、比較的最近の、約2300年前、約1600年前、約700年前にも活動した形跡があり、約800年周期で活動する活火山に認定されています。
4-3)知床硫黄山
知床硫黄山(しれとこいおうやま:1563m)は、羅臼岳からの縦走路もある山ですが、ここまで登る登山者は少ないと思います。
知床硫黄山は、火山活動時に、溶岩ではなく、溶けた硫黄を噴出することがある特異な山です。(文献1-b)によると、世界でも融解硫黄を噴出する火山は稀で、「世界三大 奇火山」という異名をもつそうです。 注1)
知床硫黄山は、活動的火山であり、19世紀に4回、20世紀に1回の火山活動の記録があります。このうち、一番新しい 1936年噴火では、山体中腹のカムイワッカ川沿いから、約20万トンの硫黄が噴出し、先端は海辺まで達したとのことです。19世紀の噴火活動でも3回のうち2回は、硫黄の噴出をしています。20世紀の中葉には、噴出した硫黄を採掘する硫黄鉱山としても知られていました。
注1)「世界三大 奇火山」:(文献1-b)によると、硫黄を噴出する知床硫黄岳のほか、
磁鉄鉱を含む溶岩を噴出するアンデス山脈の火山(名称が記載されていない)と、
炭酸塩類を噴出するアフリカの「オルドイニョレンガイ火山」だそうです。
知床硫黄山は、火山活動時に、溶岩ではなく、溶けた硫黄を噴出することがある特異な山です。(文献1-b)によると、世界でも融解硫黄を噴出する火山は稀で、「世界三大 奇火山」という異名をもつそうです。 注1)
知床硫黄山は、活動的火山であり、19世紀に4回、20世紀に1回の火山活動の記録があります。このうち、一番新しい 1936年噴火では、山体中腹のカムイワッカ川沿いから、約20万トンの硫黄が噴出し、先端は海辺まで達したとのことです。19世紀の噴火活動でも3回のうち2回は、硫黄の噴出をしています。20世紀の中葉には、噴出した硫黄を採掘する硫黄鉱山としても知られていました。
注1)「世界三大 奇火山」:(文献1-b)によると、硫黄を噴出する知床硫黄岳のほか、
磁鉄鉱を含む溶岩を噴出するアンデス山脈の火山(名称が記載されていない)と、
炭酸塩類を噴出するアフリカの「オルドイニョレンガイ火山」だそうです。
4-4)知床半島のその他の火山
知床半島の火山としては、羅臼岳が最も登山者が多く、それ以外の山々は登山者も少ないと思いますので、各火山をこの節で簡単に列挙します。
半島の先端部から順に、知床岳(しれとこだけ:1254m)、知床硫黄山(しれとこいおうやま:1563m)、羅臼岳(1660m)、天頂山(てんちょうさん:1046m)、知西別岳(ちにしべつだけ:1317m)、遠音別岳(おんねべつだけ:1331m)、海別岳(うなべつだけ:1419m)と、1000~1600m級の火山が直線的な火山列を作っています。
これらの山々は、元々成層火山に近い形をしていた複成火山と推定されていますが、羅臼岳、知床硫黄山以外は、いずれも火山活動はほぼ終わっており、山体崩壊や浸食による開析がかなり進んでいる山です。
半島の先端部から順に、知床岳(しれとこだけ:1254m)、知床硫黄山(しれとこいおうやま:1563m)、羅臼岳(1660m)、天頂山(てんちょうさん:1046m)、知西別岳(ちにしべつだけ:1317m)、遠音別岳(おんねべつだけ:1331m)、海別岳(うなべつだけ:1419m)と、1000~1600m級の火山が直線的な火山列を作っています。
これらの山々は、元々成層火山に近い形をしていた複成火山と推定されていますが、羅臼岳、知床硫黄山以外は、いずれも火山活動はほぼ終わっており、山体崩壊や浸食による開析がかなり進んでいる山です。
(参考文献)
文献1)小畔(※)、野上、小野、平川 編
「日本の地形 第2巻 北海道」 東京大学出版会 刊 (2003)
文献1-a) 文献1)のうち、
第1部 「総説」の、
1-1-3)節 「千島弧に関わる地形の配列と地形の特徴」の項
文献1-b) 文献1)のうち、
2-3-(4)節 「知床半島の火山」の項
※ 「畔」は本来は旧字体
文献2)日本地質学会 編
「日本地方地質誌 第1巻 北海道」朝倉書店 刊 (2010)
文献2-a) 文献2)のうち、第8部 「火山」の、
8-1章「概説」の項
文献2-b) 文献2)のうち 第8部 「火山」の、
8-4-2節 「阿寒火山」の項
文献2-c) 文献2)のうち 第8部 「火山」の、
8-4-3節 「屈斜路火山」の項
文献2-d) 文献2)のうち 第8部 「火山」の、
8-4-4節 「知床半島の火山」の項
文献3)木村、宮坂、亀田 共著
「揺れ動く大地、プレートと北海道」北海道新聞社 刊 (2018)
のうち、第3章「陸と海のプレートがせめぎあう北海道」の項
文献4)気象庁ホームページのうち、
「日本活火山総覧(第4版) Web掲載版」の
「北海道」のうち、各火山の項
https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/souran/menu_jma_hp.html
2021年8月 閲覧
文献4-a) 文献4)のうち、「雄阿寒岳」の項
文献4-b) 文献4)のうち、「雌阿寒岳」の項
文献4-c) 文献4)のうち、「アサトヌプリ」火山の項
文献4-d) 文献4のうち、「摩周」火山の項
文献4-e) 文献4)のうち、「羅臼岳」の項
文献4-f) 文献4)のうち、「知床硫黄山」の項
文献5)深田 著
「日本百名山」新潮社 刊(新潮文庫)、(1978版)
「日本の地形 第2巻 北海道」 東京大学出版会 刊 (2003)
文献1-a) 文献1)のうち、
第1部 「総説」の、
1-1-3)節 「千島弧に関わる地形の配列と地形の特徴」の項
文献1-b) 文献1)のうち、
2-3-(4)節 「知床半島の火山」の項
※ 「畔」は本来は旧字体
文献2)日本地質学会 編
「日本地方地質誌 第1巻 北海道」朝倉書店 刊 (2010)
文献2-a) 文献2)のうち、第8部 「火山」の、
8-1章「概説」の項
文献2-b) 文献2)のうち 第8部 「火山」の、
8-4-2節 「阿寒火山」の項
文献2-c) 文献2)のうち 第8部 「火山」の、
8-4-3節 「屈斜路火山」の項
文献2-d) 文献2)のうち 第8部 「火山」の、
8-4-4節 「知床半島の火山」の項
文献3)木村、宮坂、亀田 共著
「揺れ動く大地、プレートと北海道」北海道新聞社 刊 (2018)
のうち、第3章「陸と海のプレートがせめぎあう北海道」の項
文献4)気象庁ホームページのうち、
「日本活火山総覧(第4版) Web掲載版」の
「北海道」のうち、各火山の項
https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/souran/menu_jma_hp.html
2021年8月 閲覧
文献4-a) 文献4)のうち、「雄阿寒岳」の項
文献4-b) 文献4)のうち、「雌阿寒岳」の項
文献4-c) 文献4)のうち、「アサトヌプリ」火山の項
文献4-d) 文献4のうち、「摩周」火山の項
文献4-e) 文献4)のうち、「羅臼岳」の項
文献4-f) 文献4)のうち、「知床硫黄山」の項
文献5)深田 著
「日本百名山」新潮社 刊(新潮文庫)、(1978版)
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【書記事項】
初版リリース;2021年8月25日
△改訂1;文章見直し、リンク先修正、書記事項追記
△最新改訂年月日;2021年12月27日
△改訂1;文章見直し、リンク先修正、書記事項追記
△最新改訂年月日;2021年12月27日
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