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Yamareco

記録ID: 1696
全員に公開
アルパインクライミング
槍・穂高・乗鞍

前穂高岳北尾根

2005年09月17日(土) ~ 2005年09月18日(日)
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ken wata その他1人

コースタイム

17日/上高地07:20→10:00横尾→12:50涸沢
18日/涸沢04:10→5・6のコル05:30→4・5のコル06:00→
   3・4のコル07:00→前穂山頂09:15→上高地14:30
天候 17日−晴れ後曇り
18日−快晴
過去天気図(気象庁) 2005年09月の天気図
コース状況/
危険箇所等
入浴施設【上高地ホテル】−沢渡岩見平駐車場隣、600

食事【】−そば屋さん。普通でそば二枚(900)が出てくる。ボリューム満点。
     カツ丼(720)これも大盛りでした。
     県道158沿い(ちょっとだけはずれてる)なので便利。
ファイル
非公開 1696.xls
計画書
(更新時刻:2010/07/28 08:54)
5峰を登る
2005年09月18日 06:01撮影 by  DSC-U40, SONY
9/18 6:01
5峰を登る
悪い4峰全体
2005年09月18日 06:03撮影 by  DSC-U40, SONY
9/18 6:03
悪い4峰全体
核心の3峰
2005年09月18日 07:02撮影 by  DSC-U40, SONY
9/18 7:02
核心の3峰
北穂と槍
2005年09月18日 06:52撮影 by  DSC-U40, SONY
9/18 6:52
北穂と槍
撮影機器:

感想

05’9/17〜18で【前穂高岳北尾根】を登って来ました。、
当初は9/17〜19 を利用して【北岳バットレス四尾根】を登攀する予定でした。
しかしメンバーの事情によりそれが中止になってしまった為、
3連休がポッカリと暇になっていました。
「どうしようかなぁ〜」と脱力感と共に過ごしていた所
WさんとSさん(アル横)の当計画の募集を見て
「これはチャンス!」と飛びつき、参加させてもらう事になりました。
ただ、日程が迫っていたので山行メンバー同士のトレーニングが出来ない事を
心配された意見もありました。それについては何の反論も出来ませんが、
―薺蕕離魁璽垢任△襪海鉢経験豊富な渡辺さんと一緒、という事も考慮して頂きまして
山行管理局の方々の親心もあって参加させてもらう事が出来ました。
皆様、ありがとうございました。

しかしこうして無事に帰っては来れましたが、途中大変に痛ましい事故に遭遇してしまい
ました。
目の前で起きたあまりに衝撃的な事故でした。
これを自分への今後の警鐘とする為にも、感想と一緒に残したいと思います。

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9/17(土)
 前泊地の沢渡駐車場から上高地を経て涸沢まで移動。
天気は素晴らしく秋晴れというよりもまだ残暑という感じでアツイ。
しかし流石に3連休の初日という事もあってかなりの人が歩いている。
その中にはヘルメットを持ったクライマーも結構目に付く。
最初はなんとなく仲間意識みたいなモノを(勝手に)感じていたが
その人達も我々と同じルートに行くのかも?
と考えてからは「ライバル」(これも勝手に)になる。
冗談は抜きにして「明日は予定より早く起床しよう」と渡辺さん。
そうしないと岩場で渋滞するらしい。
岩場で渋滞???ウ〜ン、ピンとこないなぁ

涸沢に幕営して早めの夕食。
カレーにミートボール、海藻サラダ、ラッキョウとお腹いっぱいに。
末吉さんご馳走様でした。
Wさん&Tさんからテント生活の技術を教わる。
ベテランのWさんの武勇伝に聞きほれていたらいつの間にか寝てしまった!ゴメンナサ

明日は03:00起きなので早々に就寝。


9/18(日)
 03:00起床。夜半から風が強くなりテントをバタバタ言わせていた。
天候が心配されたが、外に出てみると雲一つ無い満点の星空だった。
朝食を済ませて出発準備をする。
今回は空身での登攀では無く、テント等全ての荷物を背負うスタイル。
理由はテン場に戻らずにそのまま下山するから。
考えれば当たり前だけど、ゲレンデでのクライミングしか経験の無い自分にはショック。
だって重いんだもん。
その為にも軽量化に努めたハズだったが、Wさん曰く「まだ余計な物が有る」
一番は食料と水の重さ。
心配性で経験不足の自分はどうしても食料&水を多く持ちすぎてしまう。
これからは研究しよう。

04:00。我々が一番スタートと思われたが、進行方向にヘッドライトの明かりがチラチラ
と見える。
早起きする人もいるものだと関心していたら、後ろからも後続パーティが来る。
抜かされたら嫌なので気持ちが焦る。が足元は一歩一歩慎重に進める。
[5・6のコル]に05:30に着。後続も続々と登って来る。
ハーネス、ガチャ類を装着して休憩もそこそこに5峰に向けて出発する。

 《ここで前穂高北尾根の概要》
〔前穂頂上から北に伸びる尾根で、頂上を1峰とし〜8峰まで鋸状を形成。
 アルパインの入門として人気のコースで、GW等積雪期は8峰から、
 夏場は涸沢経由で5・6のコルから取り付く。
 一般的にロープを出すのは3峰のみとされているが
 4峰のガレ場が悪くロープを出さない分緊張する。事故も4峰が多い〕

5峰は一般縦走路の岩場程度。
出だしは涸沢側を登り上部で奥又白側を歩く。
夜も白々と明けてきて、右を向けば槍・穂高の大パノラマ!
左を向けば上高地と奥又白池が美しい。
奥又側の稜線には猿の親子が遊んでいた。
大自然の真ん中にいる実感が湧いてくる。

4峰はピラミッド状の峰
ガイドブックやWebの記録を見ると4峰が一番ガレていて悪いらしい。
過去にも事故が多く、98’の地震により更に崩れているとの事。
自分の中でこの4峰を核心に置いて挑んだ。
踏み跡が多くルーファイが難しいこのセクションをトップで歩かせてもらった。
リーダーWさんの懐の深さ!(実際には超ビクビクでした・・・)
調べた記録の通り涸沢側を上部まで進み唯一の赤ペンキで奥又側に回りこむ。
この赤ペンキ自分にとってはすごくありがたい存在だったが
Wさんは「バリエーションにマークをつけるなよ!」とご立腹。
ピーク直下で難しそうな壁に当たる。
左から廻り込もうと思っていたら、渡辺さんがチョイチョイっとインドアムーブで
軽く越えて行った!フリーで!そのくらいの“強さ”を持って無ければ
アルパインのリーダーは務まらないのだなと思い知らされた。
ピークに立つと目の前に3峰が見える。
3・4のコルへは涸沢側の明瞭な踏み跡を降りて行く。

3峰には既に3パーティ程取り付いていた。
ここがロープを使う本当の核心である。
クライミングシューズに履き替え順番待ちをしながらレーションを摂る。
20分程で前が空いてきたので取り付きテラスに移動。
オーダーはWさんkenSさんの順番で行く。
いよいよクライミングが始まった。
渡辺さんが1ピッチ目を登り終えてザイルアップがなされ
正にこれから自分が登ろうかという時、それが起こった。

突如上からものすごい音がした。それがドンドン近づいてくる。
明らかに落石とわかる音だがその大きさが、いままで経験した事の無いくらい
凄まじいものだった。とっさに身を壁にくっつけてかわそうとした。
しかしそれだけでは防ぎきれ無いと思う程轟音に包まれた。
そのときはただただ自分に当たらない様に祈るだけで、なす術が無い状態。
ほとんど覚悟をしていたが、しばらくして落石が止んだ。
自分には一つも落石は当たらなかった。後ろにいたSさんも無事だった。
後続パーティにも被害は無かった様だ。
とにかく尋常で無い音だったので岩の落ちた所を見ると、そこに人が倒れていた。
Wさんでは無い様なのは確認できた。

Sさんが無線で救助を要請しようとした時、他パーティが携帯で県警に連絡をしたらし
い。
救助活動に移るかSさんと相談したが
その方はどうやら亡くなっている様子だった。
滑落者が出たと判った時点で救助の技術が有る無いに関わらず
直ちにそこまで降りて『生死の確認』をしなければいけなかったのかも知れない。
しかし相当の高さからの落下であり、身動き一つしない状態を見てそう判断した。
後続パーティも同じ判断をした様だった。
その時はとりあえず何よりも自分達の安全を確保するのが第一優先と考え、
Wさんの場所まで登ってこの先どうするかを3人で相談することにした。
岩を登る時には自分が過剰に動揺しない様努めた。

Wさんのいるテラスに携帯で県警に連絡した方がいて
「ヘリが来るようだ。通報した我々はここに残らなければいけないらしい。
 しかし他のパーティは『抜けれたら早く抜けろ』と警察に言われた」
「単独で登っている方が落ちたみたいだ。」とも言っていた。
3人で相談した結果、我々はこのまま登攀を続けることにした。

その後無事に登攀を終了して頂上にいる時
事故の発生から2時間後に東邦航空のヘリがやってきた。
その日は快晴だったので30分もしない内に来ると思っていたので
なぜかな?と考えたが、おそらく死亡が確認されたのでヘリによる救助ではなく
地上部隊が現地まで行き、亡骸を引き上げる準備に要した時間ではないだろうか?
続いて県警のヘリもやって来て、しばらくホバリングの後去って行った。

後から振り返ると心のどこかで「生死の確認はするべきだったのでは?」
という考えが浮かんでくる。
例えば確認しに行った事によって二次的な事故を起こす可能性も高かったし
あるいは亡骸を目の前にして動揺せずに登攀を続けられたかどうかは疑問ではあったが
しこりは残る。
=======================================

初めてのアルパインクライミングでこの様な事故に遭遇して
自分の志している事がいかに危険を伴うものか改めて強烈に知らされた気がします。
よく言われる『自己責任』という言葉では括りきれないと思います。

本当に月並みな事しか言えないのですが
クライミングのみならず山に入るという危険性を十分理解して
日頃からトレーニングをしなければと感じました。

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