惜別!奥多摩小屋 唐松谷林道から雲取山を経て鴨沢へ
- GPS
- 11:55
- 距離
- 28.5km
- 登り
- 2,151m
- 下り
- 2,206m
コースタイム
- 山行
- 6:28
- 休憩
- 0:03
- 合計
- 6:31
- 山行
- 4:51
- 休憩
- 0:24
- 合計
- 5:15
天候 | 一日目:晴のち曇 二日目:雪 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・日原から唐木谷登山口まではアスファルト舗装・コンクリート舗装・砂利道の連続です。底の柔らかいスニーカー等がお勧めです。 ・日原林道の奥では砂防工事中です。道のど真ん中で作業していますので、通行注意下さい。 ・大雲取谷との出合との吊橋から富田新道との分岐点までは、落ち葉の堆積もあって道が不明瞭です。写真に載せましたが色あせたテープが木に巻いてあります。 ・唐木谷沿いは木橋が連続します。途中で90度曲がるところも二箇所あります。よく整備されていますが、木橋が苦手の方にはお勧めしません。 ・唐木谷からブナ坂に登る途中で熊らしきものを見かけました。 ・全経路を通じてアイゼンは使いませんでした。不要という意味では勿論ありません。 |
写真
感想
奥多摩小屋が遂に閉鎖されると聞いて、一度くらいは小屋泊しようとほうぼう
の友人を誘ったが、誰も誘いに乗らない。自分の人望の無さがよく現れている。
止むなく一人で行くことにした。上りは鴨沢だとありふれているので、まだ歩
いていない一般登山道の中から富田新道を選んだ。東日原から延々と舗装路を
歩くので、スニーカーを履いて、登山靴はザックに括り付けて出かけた。
その効果は素晴らしく、足の負担をそう感じることなく日原林道終点に近い登
山口に着いた。タイムも丁度2時間。登山靴に履き替えて大雲取谷の吊橋へ降
りる。橋を渡った先に東京都の指導標があるが、指している方向は崖。道は落
ち葉に覆われているのか不明瞭だ。崖をよじ登ると道があるが、その先も良く
分からない。登山地図(今回は守屋二郎氏の1万5千分の1を採用)は目の前の尾
根の南斜面を登っているので、そちらへ進むと、色褪せたテープが立ち木に巻
かれているのと、落ち葉に埋もれたジグザグの道が見えてきた。唐松谷林道と
の分岐点まではそのような不明瞭な道が続く。
分岐点手前で水の補給を忘れた事に気付いた。冬場は500ccのペットボトルを2
本用意しており、1本はほぼ残っていたが、もう1本はそもそも家に忘れたよう
だ。小屋に着けば水場で補給は出来る(これも甘かった)が、昼飯はカップラー
メンなので、今ある分では飲み水が足らない。分岐点に着いて荷物を調べても
1本しか無い。富田新道は野陣尾根をひたすら登るルートで、きつい上に水場
は期待出来ない。唐松谷林道は出来るだけ高度を抑えて最後に一気に登るルー
トで、その転換点で谷を渡るので、そこで補充出来る。「安全側に倒す」原則
通りに唐松谷林道を登ることにした。
ただこのルートはあまり歩かれていないようで、ただでさえ崩れがちな沢沿い
の道が落ち葉で覆われ、気を緩めると墜落してしまいかねない。真新しい土砂
崩れが道や桟橋を覆い、一歩ずつ足の裏で確認してから踏み出さざるを得ない
ところもあった。沢に張り出した岩を桟橋で直角に曲って超えるところも二箇
所ある。手入れはされているようだが、先の見えない桟橋というのは、宙に身
を置くようで、思った以上に恐ろしかった。しかも日原側からだと若干下りに
なっている。
登山口から2時間少しで唐松谷を超える橋に到達、急な登りに備えて河原で昼
飯にした。重さと寒さ対策の為に沖縄そばのカップ麺にしたが、沢の水で作っ
たスープは鰹と豚骨が味わい深く、風も無い穏やかな谷で優雅さを楽しんだ。
水を出来るだけ飲んだ上でボトルに詰め直して出発。ただこの水は硫黄臭のよ
うなものが感じられ、生では避けたほうが良かったかもしれない。登山道が北
斜面に転じると雪が残り、残っていないところも地面が凍って滑り易い。慎重
に登っていると尾根を乗り越したところで上の方で獣の悲鳴が聞こえ、顔を上
げると10m程先に四つ足が横に逃げて行くのが見えた。熊かと思ったが、体色
を思い出す限り猪の可能性もある。
周りの気配に注意しながら尚も登ると意外とあっさりとブナ坂に着いた。途端
に人と出会うようになる。ブナ坂は雪が無いどころか酷いぬかるみだった。奥
多摩小屋に着いて入口の看板で管理人が居ない事を知る。荷物を下ろして水場
に行くと枯れていた。諦め悪くヨモギ尾根ルートの方まで進んでも無い。これ
で明日朝まで500ccで過ごさねばならなくなった。
小屋に戻ると賑やかな四人組が着いていて、暗くて汚い小屋に道連れが出来た
事に安心した。ただ小屋は電気も止められ、薪ストーブも石油ストーブも撤去
されている。避難小屋とまるで変わらない。宿代の4千円は払っておいたが、
これから泊まる方はこれらの条件を踏まえて支払の判断をした方が良いかもし
れない。
四人組が明るいうちに晩飯を始め、ポテトサラダと豚汁をご馳走になった。こ
ちらもなけなしの水ですき焼きとアルファ米、焼酎を平らげた。何しろ寒いの
で18時には布団を敷いたが、布団の下にゴミが溜まっていて悲鳴を上げた。
翌朝は5時に麻婆春雨とアルファ米で朝飯、荷を軽くして濃霧と粉雪の中雲取
山へ向かった。小雲取山手前の急坂は流石に良く凍っていたが、結局アイゼン
はつけなかった。坂をぜいぜい上がる途中で聞き慣れた「ぴゃ!」という鹿の
悲鳴。脇に逃げるのを見ていると、なんと反転して戻ってきた。ほんの数mの
ところで物欲しそうにしている。九十九折の先に来た結果接近するとまた逃げ
る。何度か繰り返しているうちに諦めたようだ。
山頂から降りてくる人は多いが、山頂に着くと横殴りの雪で誰も居ない。記念
にバナナを齧るが天候の不安が先立って美味くない。早々に降りて小屋で荷物
を整え、七ツ石山も巻いて下山する事にした。当初は千本ツツジから峰へ降り
る予定だったが、水が無い事、雪が強くなっている事を考えると、鴨沢に降り
る方が安全か。ただこの間自重が過ぎて冒険していなかったという反省もある。
ぐだぐだ考えているうちに七ツ石尾根を乗り越し、暫く進んだところで固形燃
料もほぼ無い事を思い出した。途端に反転し、七ツ石尾根に戻った。そこで地
図を見ると、鴨沢への一般登山道はそこではなく、折り返さずに進んだ先の七
ツ石小屋を降りるのだ。再度巻き道を東に進み、水場で水を補給する。ついで
にザックカバーを取り出して掛けたところで、ペットボトルをしまい忘れてい
た事に気付いた。流石に舌打ちが出る。数年前に大雪の為大菩薩登山道から撤
退した時に状況判断を誤った事を思い出した。判断能力が鈍っている。天候も
回復しそうにない。腹を決めて鴨沢へ降りた。どうせなら身体に負荷をかけよ
うと、早足で下山した。
長い行程を苦労なくこなした事に自信はついたが、いくつもの初歩的な間違い
に反省を迫られる山行だった。ペットボトル(あるいは水筒)を忘れたのは論外
としても、雪のない冬場に稜線で水の補給は難しいというのを忘れていた上、
計画した食事から必要な水の量を見積もる事すらしていなかった。登山での食
事を軽視していた報いだ。
奥多摩小屋の閉鎖は残念だが、ここのところ禄に管理してこなかったのは明ら
かだ。部屋はゴミが散乱しているし、雨漏りも酷い。割れ窓理論を地で行く悪
循環の結果だろう。泊まる方は、防寒と照明、寝袋も用意した方が良い。布団
と毛布は山程あるが、ゴミまみれでいつ干したのかも分からない。勿論散乱し
たゴミは利用者のもので、掃除すら禄に出来ない子供が多い結果が招いた側面
も大いにあると思う。
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