山行記録: 五竜岳、鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳

記録ID: 21469

全員に公開

積雪期ピークハント／縦走

白馬・鹿島槍・五竜

五竜岳、鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳

1987年04月04日(土) ～ 1987年04月06日(月)

イグルスキー米山その他3人

GPS: 56:00
距離: 21.0km
登り: 2,339m
下り: 3,011m

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コースタイム

４月４日地蔵の頭C0（5:20）→西遠見山雪洞C1（7:20）
４月５日C1（5:25）→五竜山荘（6:20）→五竜岳（7:30）→キレット小屋（11:20ー30）→鹿島槍南峰（16:10）→冷池山荘C2（17:10）
４月６日C2（5:45）→爺ヶ岳（7:00）→東尾根→鹿島（10:00）

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コース状況／危険箇所等	４人で五竜、鹿島槍、爺ヶ岳の縦走を計画。僕は日高での長い山行を終えて、帰省がてら。皆、春山メイン山行を終わらせて、充実した２回戦をもくろんでいた。４年目、３年目だけの、弱者なきアダルトパーティーで、難易度の高い北アの稜線を楽しんでぬけようという計画だ。僕とロクさんはその年の夏のパミール行きに向けてやる気満々の頃。遠見尾根を地蔵の頭までリフトでいくと、たくさんの雪洞がこしらえてある。一番快適な奴を選んで泊まる。内側の壁がきれいに成形されているのには驚いた。でも天井高すぎで中で相撲がとれそう。翌日も天気はさっぱりで、遠見尾根を暫く進んだところで、またも雪洞を見つける。強風のためロクさんはオーバー手袋を飛ばして無くしてしまった。時間待ちをしていたがそのうち誰ともなくシュラフを出してくつろぎ、結局ここでもう一泊の羽目、しまらない入山ではある。天気が悪ければ仕方ない。翌朝、最良のモルゲンロートが鹿島槍北壁を輝かせる。正面五竜岳の山頂下には武田の御陵菱がでかい。白岳への真白の斜面を登って行くと連峰の概要がどんどん見えてくる。ヒマラヤ襞で飾り付けられた山々が美しい。白岳を越え、五竜への登りにかかる。Ｐ１、Ｐ２と呼ばれる小ピークを越え、雪面を避け、リッジを行く。雪の斜面を越えた1940によく似た狭いピークだ。正面黒部川の対岸にはガツガツとした剱の稜線が輝いている。ここから南にそびえる鹿島槍を越え、今日中に安全圏に抜けなければならない。五竜岳南側の急斜面を岩瀬が下っていった。五竜岳南の急斜面を下るといよいよ引き返せない鹿島槍への縦走にスタートだ。途中の八峰キレットに小屋はあるが、是非１日で鹿島槍を越えてしまいたい。左の絶壁がほとんど見えないように右側斜面をトラバース気味に行くが、こちらもなかなかの傾斜のうえ、岩が所々出ていて悪い。右の斜面は黒部川への滑り台なので一瞬も気を抜けない。キレットへのアプザイレンは着地点が見えぬまま下り始める。びんの底のようなところから岩をへつって稜線に戻る。途中発達した雪稜に穴を開けて通過しなければならない所があり、時間を食う。このキレットを越えてからが長く感じた。急傾斜のトラバースがはてしなく続くため、山側の左足首は痛くなっていた。太陽が富山側に傾き、ギラギラした西日が鹿島槍の最後の斜面を照らし、午後４時、最高点の南峰に立った。緊張すべき核心部分を抜け、これでまず緊張をひとほどきができると、やっとみんなに安堵が戻った。安曇野にそびえる美しい双耳峰の鹿島槍。最初の登頂に、こんなに充実感のあるアプローチをとっておいて本当に良かった。冷池山荘に下って、コンクリの床の上で茶をたくさん飲む。満足だ。翌朝は爺ヶ岳に登って、東尾根から鹿島部落へ下山した。爺ヶ岳は大町からみるとひときわ大きく、三つのピークを持つように見える。山頂はなだらかな優しい山だ。ここで剣岳の岩と雪の織りなす不思議な模様に別れを告げる。東尾根は雪稜あり、急斜面ありだがおおむね優しく、良い下降ルートだった。尾根末端はもはや雪も消え、松の葉を踏み締めて夏道を下る。すると不意に農家の庭先にでた。そこが鹿島山荘という民宿だった。タクシーを呼ぶ間、ここのやや有名なお婆さんと野沢菜を食べながら世間話。入下山名簿を書くよう促された。筆に墨で、和紙に書く。儲けにもならないのに親切にされて嬉しかった。畑に戯れる猿の群れを眺めながら大町へ。

アクセス

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コース状況／
危険箇所等

４人で五竜、鹿島槍、爺ヶ岳の縦走を計画。僕は日高での長い山行を終えて、帰省がてら。皆、春山メイン山行を終わらせて、充実した２回戦をもくろんでいた。４年目、３年目だけの、弱者なきアダルトパーティーで、難易度の高い北アの稜線を楽しんでぬけようという計画だ。僕とロクさんはその年の夏のパミール行きに向けてやる気満々の頃。遠見尾根を地蔵の頭までリフトでいくと、たくさんの雪洞がこしらえてある。一番快適な奴を選んで泊まる。内側の壁がきれいに成形されているのには驚いた。でも天井高すぎで中で相撲がとれそう。

翌日も天気はさっぱりで、遠見尾根を暫く進んだところで、またも雪洞を見つける。強風のためロクさんはオーバー手袋を飛ばして無くしてしまった。時間待ちをしていたがそのうち誰ともなくシュラフを出してくつろぎ、結局ここでもう一泊の羽目、しまらない入山ではある。天気が悪ければ仕方ない。

翌朝、最良のモルゲンロートが鹿島槍北壁を輝かせる。正面五竜岳の山頂下には武田の御陵菱がでかい。白岳への真白の斜面を登って行くと連峰の概要がどんどん見えてくる。ヒマラヤ襞で飾り付けられた山々が美しい。白岳を越え、五竜への登りにかかる。Ｐ１、Ｐ２と呼ばれる小ピークを越え、雪面を避け、リッジを行く。雪の斜面を越えた1940によく似た狭いピークだ。正面黒部川の対岸にはガツガツとした剱の稜線が輝いている。ここから南にそびえる鹿島槍を越え、今日中に安全圏に抜けなければならない。五竜岳南側の急斜面を岩瀬が下っていった。

五竜岳南の急斜面を下るといよいよ引き返せない鹿島槍への縦走にスタートだ。途中の八峰キレットに小屋はあるが、是非１日で鹿島槍を越えてしまいたい。左の絶壁がほとんど見えないように右側斜面をトラバース気味に行くが、こちらもなかなかの傾斜のうえ、岩が所々出ていて悪い。右の斜面は黒部川への滑り台なので一瞬も気を抜けない。

キレットへのアプザイレンは着地点が見えぬまま下り始める。びんの底のようなところから岩をへつって稜線に戻る。途中発達した雪稜に穴を開けて通過しなければならない所があり、時間を食う。このキレットを越えてからが長く感じた。急傾斜のトラバースがはてしなく続くため、山側の左足首は痛くなっていた。太陽が富山側に傾き、ギラギラした西日が鹿島槍の最後の斜面を照らし、午後４時、最高点の南峰に立った。緊張すべき核心部分を抜け、これでまず緊張をひとほどきができると、やっとみんなに安堵が戻った。安曇野にそびえる美しい双耳峰の鹿島槍。最初の登頂に、こんなに充実感のあるアプローチをとっておいて本当に良かった。冷池山荘に下って、コンクリの床の上で茶をたくさん飲む。満足だ。

翌朝は爺ヶ岳に登って、東尾根から鹿島部落へ下山した。爺ヶ岳は大町からみるとひときわ大きく、三つのピークを持つように見える。山頂はなだらかな優しい山だ。ここで剣岳の岩と雪の織りなす不思議な模様に別れを告げる。東尾根は雪稜あり、急斜面ありだがおおむね優しく、良い下降ルートだった。尾根末端はもはや雪も消え、松の葉を踏み締めて夏道を下る。すると不意に農家の庭先にでた。

そこが鹿島山荘という民宿だった。タクシーを呼ぶ間、ここのやや有名なお婆さんと野沢菜を食べながら世間話。入下山名簿を書くよう促された。筆に墨で、和紙に書く。儲けにもならないのに親切にされて嬉しかった。畑に戯れる猿の群れを眺めながら大町へ。