山チビ2号とチチが行く! 5年振りのニペソツ山 夢、再び
- GPS
- 11:02
- 距離
- 20.1km
- 登り
- 1,762m
- 下り
- 1,759m
コースタイム
- 山行
- 9:44
- 休憩
- 1:14
- 合計
- 10:58
天候 | 小雨→ガス→ニペソツドーン! |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
【2号日記より】
ニペソツ山…この山は私にとって特別な思い出のある山です。
この山は、私にとって夢だったのです。
年中の時に写真家、市根井孝悦さんの写真を見て、登ることを夢にした9年前。
その夢を叶えた小学2年生。
あの時の喜びと感動を忘れることはありません。
あれから5年、13歳の私は再びニペソツ山に登ることになりました。
山は一つしかない。しかし、色々な表情があります。
確かに私は5年前にこの山に登りました。けれども今日は、違う山に違う気持ちで登っている…そういう感じです。
一つしかなくて、一通りしか無いもの。一つしかなくて、いく通りもあるもの。
私は、今日の山にしか無い魅力を、今日だからできるやり方で満喫します。
1162峰…晴れているならもう山頂が見えるはずです。しかし、目の前にあるのは、真っ白な景色だけでした。
けれど、道があります。山が作ってくれた、私の進むべき道です。
夢というものを与えてくれたニペソツ山です。今の私に進まないという選択肢などあるはずがありません。
一歩ずつ進めば何かがある。
山が教えてくれたことを、山で発揮するのです。
天狗平に着きました。風がとてつもなく強いです。風をさえぎってくれるものは一切なく、強い風が直で当たります。
ロックガーデンが広がっています。ナキウサギがいるかもしれません。所々からピョー、ピョーとかわいらしい鳴き声が聞こえますが、姿を見つけることは不可能でした。
でも、こんな環境の中で懸命に生きていることを肌で感じた私は、元気になれました。
山頂に続く最後の道は、私史上最高の強風でした。右側の谷から吹き上げるように風がふきつけてきます。一人で進むのはさすがに怖く、チチにつかまりながら、私は命の危険を本気で感じました。体中が風によってブルブルゆれています。息ができなくなりそうです。
こんな状況でも、この道はどこか懐かしく、あの時のドキドキぐよみ返ってきます。
そして、私の目にあるものが飛び込んできました。ニペソツ山の山頂標識です。胸が高鳴っています。
私は5年ぶりにニペソツ山の山頂に立ちました!
楕円形の標識は、私にとって、他のそれとは一緒にできない特別なものです。
私は、山頂標識にはたくさんの人の感情がつまっていると思います。それぞれ思いは違っても、その数が少なくても、一つ一つがあったかくて大きくて、大切なものだと思います。
ニペソツ山の標識には私の感情がたくさんつまっています!
しかし少しでも気を緩めれば、強風にあおられて地球の果てまで飛ばされそうです。
岩かげに下りてみると、なんと、風はそよそよ流れるくらいになりました。
ということで、食べれないと思っていた昼ごはんを食べることにしました。
その時でした。雲と雲の間に晴れ間が!!その時間、なんと2秒…でも、飛び跳ねたくなるほど嬉しかったです。
山頂に着いた時は、急登をいいペースで登ったこと、雨に負けなかったこと、風の中をしっかり歩いたこと、10.5kmを制覇したことに心底満足していたので、天気はもういいやと思っていました。
けれどやはり、心のどこかで期待していたのか、
嬉しい時も悲しい時も、どんな時も見上げてきた、この空という一つだけの、77億人に共通に与えられたものが顔を出してくれたことに、感動してしまいました。
さて、登りがあれば下りがある…また10.5kmを戻ります。
私はその時歩いていました。たいして考えることもなく。
すると、風がふきました。今までより一段と強く。
そして、私は別の世界にタイムスリップしました。
強風でガスが飛ばされ、一気に晴れていきます。登りは陰すら見えなかった山頂標識が、ここからでも見えます。
360度真っ白だった私の世界が、遠くの山々もくっきり見えるほどに、濃く、明るく、きれいな色で色付けされていきます。
思わず、チチと2人で声をあげてしまいました。
何ということでしょう。私の心も晴れ渡っていきます。
登ってよかった。頑張ってよかった…ただただそう思いました。
もし鳥になれたら、この広い広い空を、絶景を下に飛び回りたい。
もし鹿になれたら、この輝く大地を駆け回りたい。
もしナキウサギになれたら、小さな場所から大きな世界を見渡したい。
そう思いました。
きっとこのままいけば、待ちに待ったニペソツドーンが見られます。でも私達2人は急ぎませんでした。
最初に言ったとおり、今ある魅力を満喫する。急いでしまってはその意味がありません。ゆっくりゆっくりこの空間を味わいます。
私はチチのある計らいによって、とても幸せになりました。
私は天狗岳を登っています。今振り返れば、ニペソツドーンはもうそこにあるかもしれません。しかしチチは「もう少し待って」といいました。
そして数分後「そろそろいいんじゃないでしょうか」と私に言いました。
私は疲れとドキドキが混ざった状態で振り向きました。
それはそれは『また夢が叶った』と思うほどの感覚でした。
今まで歩いてきた道がクッキリと刻まれています。山頂のトンガリ!緑の色!なんという格好良さでしょう!
とても勇ましいようでありながら、温かい。美しさも兼ね備えている利尻山、羊蹄山とは違う格好良さと、凛々しさで溢れている姿に、わたしの目は釘付けです。
しばらくその場から離れることができませんでした。
前天狗まで戻ってきました。
ここにはケルンがあります。5年前、私はこのケルンに石を一つ積みました。このどこかに私が積んだ石があるかもしれない、そう考えると胸がいっぱいになりました。
こういうところで物事はつながっているのです。人と同じように。私もたくさんの縁でつながっていたいです。
9年前、ニペソツ山は夢を与えてくれました。5年前、喜びを与えてくれました。
2020年、ニペソツ山は成長の証を与えてくれました。
ひとまず、私のニペソツ山はここで完結です。
ニペソツ山、ありがとう!
【バカ親とお子】
2号、2018年1月以来のヤマレコ登場です。
その間も、山チビガールズ時々山には登っておりました…
昨年は旭岳から黒岳まで縦走したりも…
今回のニペソツ山…
小学2年の秋以来なのですが、提案したのが11日の正午過ぎ…決定したのが18時過ぎ…出発したのが21時過ぎ…かなりの急発進でした…(笑)
天気は…9時過ぎから晴れると信じ込ませ、大好きなニペソツ山ってことをエサに何とか連れて来たのですが…スタートから2時間程で小雨が降り始め、4時間でガスと暴風に変わり…
どうやら前天狗を過ぎる頃までは晴れ予報を信じていたようですが、天狗岳を下って4つのギザを登る頃にはどうでも良くなっていたらしく…
山頂では登り切った充実感でチチへの恨み言はかけらも無かったとの事で…我が娘ながら良く出来たお子だなと感心した次第です…(笑)
そんな純粋なココロに応えて晴れてくれたのかなぁなんて思ったりもします…
とにかくこれで、前回欠けていた「ニペソツド〜ン」を見られた事で5年越しのニペソツ山が完結したのが、親子揃っての一番の喜びです。
そんな2号さん…登山口までの最後の5分程で小さく泣いていたのですが、これが感動の涙ではなく悔し泣きだったのです…チチが原因の…(笑)
2号さんの涙の訳は11時間を切れなかった事…
4時40分出発だったので15時40分までには到着すると思って少し前から伝えていたのですが、チチの計算も狂い登山口に着いたのが15時43分…
最初から計算していた訳ではないので仕方ないのですが、歩き切るつもりで速度を上げていたので尚更ですね…慰めて着替えて出発します…
全てを終えて辿り着いた18時過ぎの帯広のトンカツ屋…ヤマレコ画面を開いて替わりに泣きそうになるチチ…何と出発時間が4時45分の勘違いで、2号さん、キッチリ11時間を切っておりました!向かいの席でカツ丼を頬張る2号さんに申し訳なく伝えると、怒られる事はなく満面の笑みを返して頂きました…(笑)ホントに良く出来たお子だ…(笑)
今回の山旅で我ら親子の間で、「ニペソツ山が北海道で一番カッコいい山」という事で認定されました。
とは言っても…幼稚園の時に市根井さんのミュージアムを訪れた際にニペソツ山の写真を選んだ時点で、2号さんは既に認定して「夢」にされていたようではありますが…(笑)
アッパレ!
コメント
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5年ぶりの思いが詰まった2号ちゃんの文章に胸を突かれました。
初めて出会って10年近く、自分の人生に重ねてすすむようで、
素晴らしい山行でしたね。これからも期待していますよ。
それにしてもげんさんのアホさにも呆れますな!でもそこがまた
げんさんのいいところかも、久しぶりの親娘登山良かったですね。
syamatoさん、おはようございます。
2号さんの上着のチョイスに気を取られ、自分のは引き出しの中でした…(笑)
つらい歩きもさせましたが、2号念願のニペソツド〜ンを見せてあげられた事で、今回のチチのアホチョンボはチャラ…
という事にはなりませんかね…(笑)
隊長!遥かなニペを良くぞ踏みましたね!
あの長い距離と強風。そして白く景色の無い状況を思うとさ
強いハートが無ければ辿り着かなかったと思っている部員だぜ。
1つの山でも時によって幾つもの表情を見せるよね
きっとさ〜 今回は新たに感じる物が多かったじゃないのかな。
9年前に市根井さんが切っ掛けをくれたニペソツ山
時を経て小2で憧れを制覇した時の気持ちは今も生きていますね
それと去年は市根井さんと再会出来て良かったね!
山の囁きと 人との繋がり感じながら いつまでも いつまでも 頑張れ隊長!
帰りに素敵な山の姿を見れて良かったね。お疲れ様でした〜
ゲンさん、お疲れ様でした。終わりー(笑)
てね、ちょっと一言(笑)
あの辺歩いてるのかな〜と激晴れの実家で想像していたけど
これほどの天候だったとは.. ズボン着てよく頑張ったね!
夏でも強風と雨粒感じるミストあったんだろうね。
どんな姿でも体温の温存を優先だし 守る方がいるもんね。
そして前回なかったニペソツドーン見れて良かったねー
syunpaさん、おはようございます。
前天狗に向かう途中、暗くなって小雨が降ってきた時はちょっと考えてしまいました…
本人は久々の山で尚且つ長距離ですから少し不安があったようですが、2号は足取りが軽いので大丈夫の判断…
成長の確認ととびきりの笑顔…
良い夏休みの思い出になりました!
2号より
ありがとうございます!
雨や風の中を耐えてがんばりました。最後にご褒美をもらえてよかったです。
チチはアホなのか?カシコなのか?
私もいまいちはっきりわかりませんが、アホには違いないですが、カシコゆえのアホというのが今のところの結論です。笑
(異議なし! …いや「カシコゆえ」は余計でしょうか byハハ)
2号より
はい!がんばりました!
去年、冬の徳舜瞥山に登った時が同じような状況で、山頂で晴れた一瞬がとても印象に残っていたこと。
旭岳から黒岳の縦走も、天気が悪かったけど楽しかったこと。
それを思い出しながら登っていました。
終わってみれば、私史上最強の強風もいい経験だなぁと思います。
また一緒に登ろうね!
(山頂から連絡があって「真っ白だよ」と聞いた時は、1号と共に床に崩れおち、その後「晴れた!ニペソツドーン見れた!」の知らせには2人で狂喜乱舞してました。
2号の強いハートを感じてくれてありがとう❤︎ byハハ)
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