記録ID: 4779038
全員に公開
沢登り
道東・知床
ウトロ〜コタキ川〜知床岳〜知床沼〜オキッチウシ川〜知床岬〜相泊
2022年08月10日(水) ~
2022年08月18日(木)
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- GPS
- 200:00
- 距離
- 66.3km
- 登り
- 1,919m
- 下り
- 2,170m
コースタイム
8/9 札幌=ウトロOB宅C0
16時前に札幌デッパ。いよいよ知床の旅が始まる。
8/10 C0―(バス)―カムイワッカ(9:30)―ルシャ(12:30)―コタキ川Co90(15:00) C1
ぐっすり眠れて気持ちいい高原の朝。朝ごはんも用意していただいた。
ウトロ温泉バスターミナルからカムイワッカまでバスで行く。切符は片道でも買えた。観光客を見送って入山。12kmの林道歩き。ゲロ重い荷物がしんどかったが案外すぐにルシャの海岸に出る。海岸にはクマ1頭とシカたくさん。空にはオジロワシが舞う。こんな光景が人の生活のすぐそばにあるというのは知床ならではだろうなと感激した。ルシャは原始を感じる素敵な場所だ。
コタキ川はc40ぐらいまで右岸の林道を行き、釣りをして進む。最初はひどい荒れ沢で、c80の自然にできたダムを越えると美しい函沢となる。適当な左岸の台地上で幕営。快適。この本番のエッセンは毎日夜パスタで朝雑炊とのこと。塩昆布のシンプルなパスタだったが美味かった。テントは暑い。おやすみなさい。
8/11 C1(5:20)―co680三股(12:00)―co750右岸(13:30) C2
朝エッセンは鶏だし雑炊。まさかの毎日だし雑炊宣言。渋い。パスタが恋しい。
デッパしてすぐに腰まで浸かる函。次の函までは特に何もなく、どこでも泊まれそうな感じ。c330あたりの函は巨岩と左岸からの支流がある所から右岸を高巻いた。高巻きは踏み跡もあるし難しくないが、かなり高いので落ちたら終わりだねと冗談で話していた。しかし後半土が崩れているところがあって、そこでまさかのMが数m滑落。運よく助かったが大反省。木を繋いでいけば普通に行ける。
それ以降は楽しい小滝がつづく。天気も良くて最高!よく巻かれている滝もSCした。気持ちいいですね。そんなこんなで680三股。滑落もあってMはしんどそうだ。明日は雨なので、多少の雨でも進めるように水が切れるギリギリで泊まろうと決める。三股の滝はリッジ状の尾根を行く。簡単。すぐ後の滝は右岸を巻くがHS少なめ。そこから上は感動のナメ。ザ・ナメ。しばらく歩くと木が覆いかぶさり水が切れる。
ナメの右岸を少し上がったところに張る。見るからに斜めでおもろい。ただ景色は最高。電波(docomo)とって天気を見るも明日はそこそこの雨。
気を抜くとずり下がっていくなか沈。
8/12 C2(4:45)―co850(5:30)―知床岳(11:00)―知床池(13:30) C3
ひどい気分の朝。雨も降っていた。しかし朝飯食べてたら雨が止む。依然として雨予報だが、空を見ると明るいし大丈夫そうでは?そこで雨雲レーダーも何とか取ってみるとやはり雨雲は来なさそうだ。一気に準備して出発。
勝負の日。しばらくは木の覆いかぶさる沢型を進み、c850手前で岩盤の涸れ沢に出る。c850の涸れ滝は右岸寄りが階段状で簡単そうなので進む。慎重に行けばザイルは要らない。そこからもできるだけ沢型を行くがやがてハイマツの藪漕ぎへと変わっていく。背が高く、そして濃く、斜度もある藪漕ぎでなかなか極い。sLは腕が死にそうになりながらもトップを行ってくれる。しんどそうな声とハイマツからずり落ちる悲鳴が終始聞こえた。ただ、斜度が緩やかになったところからはハイマツの背が腰ぐらいになりすげえ楽になる。そこからは快速で稜線の踏み跡まで。ザックデポしてピークへ。稜線上は踏み跡明瞭だが普通に藪漕ぎのようなところもある。ピークには三角点だけがある。この頃はまさかの晴れで北も南も見通せた。北を見ると目指すべき岬方面が見え、左にはオホーツク海、右には太平洋が見えた。素晴らしい。
稜線から知床池へは見えていたので適当に下った。笹原が天国のよう。池も天国のよう。皆日向ぼっこしながら個スぺを出して優勝した。寝たりマッサージ大会したり絵を書いたり薪を集めたり。風の音も鼻歌も薪を切る音もすべてが心地いい。静かだ。池の近くには隠されたお花畑が広がっていた。なんてきれいなのだろうか。すべてが美しかった。夜は満月で池が照らされていた。
8/13 C3(5:40)―知床沼(11:00) C4
池からも適当に行く。踏み跡らしきものがあるが、さっさと崩落沿いにでて進んだ。崩落沿いは藪漕ぎもあんま無いので楽。崩落下のカールからガスが上がってきて気持ちいい。そして雄大な景色だった。途中踏み跡を外して苦労した。1136Pからは沼めがけて藪漕ぎ。所々踏み跡に入る。沼はめんどくさいので中を歩いて指定テンバまで。
暑かったのでパンイチになって泳いだ。笑ってしまうほど楽しい。思いだせば今日もしんどかった。暑くて意識がぼーっとした。その後のこれは至極の遊びだな。知床の大自然の中でこのような経験ができるなんてどれだけ素晴らしいことか。今、前ではsLが、左ではMesとMeqがパンツで寝ていて、Mは沼で洗濯をしている。ラジオからはMesの好きなウルとかいう歌手の曲が流れている。大きな山と沼、爽やかな風とかすかに聞こえるラジオの音。幸せだな。本当に。このパーティーで良かった。皆よく頑張っている。元気に相泊に戻れることを祈る。そろそろ服も乾いてきた。おやすみなさい。
8/14 C4(5:30)―ポロモイ南コル(8:00)―オキッチウシ川co450(10:15)―河口(13:45) C5
にちようび!!らしい。
沼からはすぐにひどい藪漕ぎ。最初うっすい鹿道につられて変な方向に進んでしまう。トラバースして軌道修正するがここが一番つらかった。経験のない気力を失う藪漕ぎをした。えぐすぎた。足にあざができまくり、なでるだけで痛い。重荷も相まってハイマツから落ちたときは絶望した。
コルからは適当にオキッチウシ川に下りる。上部はコケの涸れ沢で、550から水が出てくる。c450は最初崖側をトラバって隣の沢の側壁を下った。なんてことない。そこから下は両岸が河岸段丘になっていて、だいたい鹿道で行ける。途中かなり沢から離れて湿地帯に入り込んだこともあった。この頃から本降りの雨となって気持ちが死んでいった。
しばらく行くとナメや小滝が出てくるがすべて鹿道で快速通過。それを繰り返していると大きな崖が見えてきて海に出る。感動である。視界が開け、海岸からはオジロワシが飛び立つ。ここに来ることをどれだけ考えてきたか。達成感に満ちて泣きそうになった。この時の気持ちはお爺さんになっても忘れずにいたい。
テンバを探していると雨が止み、晴れ間が出る。なんとも天気が味方してくれている。いいテンバも見つけたしポヤポヤしよう。Mesはいつも洗濯している。sLとMeqは釣りをしている。入れ食いだがどれもチビみたいだ。西の空に晴れ間がある。夕日が楽しみだ。
8/15 C5(6:50)―ウニの沢(10:00-11:30)―文吉湾(15:45) C6
さて今日も勝負の日だった。体調不良者が出たので、そいつを濡らさずに文吉湾まで運ぶという大きなミッションがあった。超厳重なレーションをしてデッパ。イタシュベワタラでさっそく泳ぎが出てくる。考えていたザックでの筏を作る。結果は大成功。かなり安定している。1つ目はsLに泳いでもらって他はへつって突破、2つ目とウニの沢は僕も乗せてもらった。Mesと二人で乗ったが余裕だった。ザックの浮力すごい。
ウニの沢はとんでもなく美しいところだった。青く、奥の方はエメラルドグリーンに輝いていた。そして波もなく静かな場所。透明度も凄い。思い切り飛び込んだ。沢の水も混じっていて冷たい。そして青い。服を乾かしていると河口を熊が通り、我々を見ながら山の方へと駆けて行った。すぐ近くにいたはずなのに、全然恐怖を覚えなかった。それは僕らがまだ自然に入り込めていないからなのか、それとも知床という場所だからなのか。いや普通に小さかったからだな。でもカムエクで人を殺した熊も小さい奴だったわけで。気をつけないとな。
そこから先も潮が満ちてきたこともあって腰ぐらいの深さの部分が出て来る。仕方がないのでまた筏を作り、sLとMeqにMを運んでもらう。獅子岩手前に1カ所完全に泳がないといけない場所があった。メガネ岩は素敵な雰囲気だったがあまり記憶にない。そんなこんなで後半はほぼ筏を崩さずに進み文吉湾に着く。今日は無人のようだ。堤防の上に登るとドコモもソフトバンクも電波が入った。番屋の近くに沢もある。堤防の端に幕営させてもらい、びしょ濡れの服に囲まれて眠った。明日は大荒れ。やっと休息日をとれる。
8/16 停滞 C6=C7
強風でテントが揺さぶられて目覚める。風強すぎ!カオスな朝だった。そんな天気の中次々と船が湾内に入ってくるのが聞こえた。ここは荒れる日の避難場所的な扱いなのだろうか。午後は雨風も落ち着いたので外で過ごした。1日中堤防で過ごすのも悪くない。天気が回復したら船はすぐどっかへ行ってしまった。
8/17 C7(5:30)―知床岬(6:15)―念仏岩巻き終わり―ペキン川河口(13:45) C8
今日はついに岬の日。あいにくの曇りで風が強い。鹿道をバサバサと進んで岬まで。荒れ狂う海がかっこよかった。握手を交わすも、停滞でリセットされたせいであまり記憶が無い。まあとりあえず目標達成!
東海岸は小石のビーチ。雨の後だからかもしれないが、どの沢も水が流れていた。カブト岩は最上部に自分たちのロープをかけて進んだ。上部はかなり急で怖いがfixは途中に細いロープが使われていていて信用ならない。ただ、掴まないと難しい最上部のロープは強そうだった。南側の下りもゆうて怖かったがfixが強い。念仏岩はどちらのfixも強い。そんな怖くない。
女滝男滝に着くころには晴れていた。ただでさえ東海岸で晴れるのは珍しいこと。緑が萌えて一生懸命に光を受けているのを感じる。僕らを追い抜いていくぬるい風も心地いい。雲と波の白さが際立っていた。途中熊が近くを走って通過する。飛び石も足元ばかり見ていると危険だ。
明日の干満表的には微妙だが余裕があるのでペキン川河口まで進むことにする。近藤ヶ淵は何ら警戒していなかった場所なのだが、波が高く打ち上げてくるのでここのへつりが個人的に一番緊張した。へつり自体は難しくない。ペキンの鼻の何もな巻き道を巻いて河口へ。
日向ぼっこしつつ木を大量に集めて勝利の焚火を行った。熱いぜ。そして今日はパスタ2倍デーとし、たらふくにパスタを食らう。幸せだった。夜は相変わらず月が明るかった。
8/18 C8(5:30)―トッカリ瀬(9:00)―相泊下山(11:40)=OB宅
最後の朝。快晴で東の空がだんだんと明るくなっていき、国後島が浮かび上がる。美しさに言葉を失う。天気に恵まれた本番だったが、なんだかんだ言って初めて日の出を見ることができた。最後にありがとう。しばらくすると渡し船がきて釣り人がたくさん来てしまった。一気に下界感が漂い、下山が近いことを感じた。
漁師の方に死ぬなよと激励されてデッパ。満潮近い時間で波もそこそこあったが、剣岩周辺もなんも。タケノコ岩も岩棚を通過し、最後のトッカリ瀬も特になんもな飛び石だった。観音岩で観音様に挨拶をし、ひたすらに歩いて相泊まで。よく頑張った。道に出て喜び合い、相泊港に停まっている部車を迎えに行った。
羅臼第一ホテルで温泉に入り、知床食堂でご飯。米が生きているとMesは喜んでいた。お酒とつまみを買ってOB宅に帰り、乾杯をした。思い出話をして沈。
OBは知床の山の上から海まで一切の人工物がない手つかずの自然に惚れたと言っていた。確かにその通りだった。オキッチウシで強くそれを感じた。そして僕も今回、知床の他の山域にはない魅力を知った。それは、知床には人の生活が確かにそこにある、ということである。ぜひ行って見てみてほしい。
8/19 ウトロ=札幌
サラダにつぶ貝にイクラごはんという豪華な朝ごはんを頂いた。感動的に美味しかったのを覚えている。網走観光などしつつ帰札。お疲れさまでした。
16時前に札幌デッパ。いよいよ知床の旅が始まる。
8/10 C0―(バス)―カムイワッカ(9:30)―ルシャ(12:30)―コタキ川Co90(15:00) C1
ぐっすり眠れて気持ちいい高原の朝。朝ごはんも用意していただいた。
ウトロ温泉バスターミナルからカムイワッカまでバスで行く。切符は片道でも買えた。観光客を見送って入山。12kmの林道歩き。ゲロ重い荷物がしんどかったが案外すぐにルシャの海岸に出る。海岸にはクマ1頭とシカたくさん。空にはオジロワシが舞う。こんな光景が人の生活のすぐそばにあるというのは知床ならではだろうなと感激した。ルシャは原始を感じる素敵な場所だ。
コタキ川はc40ぐらいまで右岸の林道を行き、釣りをして進む。最初はひどい荒れ沢で、c80の自然にできたダムを越えると美しい函沢となる。適当な左岸の台地上で幕営。快適。この本番のエッセンは毎日夜パスタで朝雑炊とのこと。塩昆布のシンプルなパスタだったが美味かった。テントは暑い。おやすみなさい。
8/11 C1(5:20)―co680三股(12:00)―co750右岸(13:30) C2
朝エッセンは鶏だし雑炊。まさかの毎日だし雑炊宣言。渋い。パスタが恋しい。
デッパしてすぐに腰まで浸かる函。次の函までは特に何もなく、どこでも泊まれそうな感じ。c330あたりの函は巨岩と左岸からの支流がある所から右岸を高巻いた。高巻きは踏み跡もあるし難しくないが、かなり高いので落ちたら終わりだねと冗談で話していた。しかし後半土が崩れているところがあって、そこでまさかのMが数m滑落。運よく助かったが大反省。木を繋いでいけば普通に行ける。
それ以降は楽しい小滝がつづく。天気も良くて最高!よく巻かれている滝もSCした。気持ちいいですね。そんなこんなで680三股。滑落もあってMはしんどそうだ。明日は雨なので、多少の雨でも進めるように水が切れるギリギリで泊まろうと決める。三股の滝はリッジ状の尾根を行く。簡単。すぐ後の滝は右岸を巻くがHS少なめ。そこから上は感動のナメ。ザ・ナメ。しばらく歩くと木が覆いかぶさり水が切れる。
ナメの右岸を少し上がったところに張る。見るからに斜めでおもろい。ただ景色は最高。電波(docomo)とって天気を見るも明日はそこそこの雨。
気を抜くとずり下がっていくなか沈。
8/12 C2(4:45)―co850(5:30)―知床岳(11:00)―知床池(13:30) C3
ひどい気分の朝。雨も降っていた。しかし朝飯食べてたら雨が止む。依然として雨予報だが、空を見ると明るいし大丈夫そうでは?そこで雨雲レーダーも何とか取ってみるとやはり雨雲は来なさそうだ。一気に準備して出発。
勝負の日。しばらくは木の覆いかぶさる沢型を進み、c850手前で岩盤の涸れ沢に出る。c850の涸れ滝は右岸寄りが階段状で簡単そうなので進む。慎重に行けばザイルは要らない。そこからもできるだけ沢型を行くがやがてハイマツの藪漕ぎへと変わっていく。背が高く、そして濃く、斜度もある藪漕ぎでなかなか極い。sLは腕が死にそうになりながらもトップを行ってくれる。しんどそうな声とハイマツからずり落ちる悲鳴が終始聞こえた。ただ、斜度が緩やかになったところからはハイマツの背が腰ぐらいになりすげえ楽になる。そこからは快速で稜線の踏み跡まで。ザックデポしてピークへ。稜線上は踏み跡明瞭だが普通に藪漕ぎのようなところもある。ピークには三角点だけがある。この頃はまさかの晴れで北も南も見通せた。北を見ると目指すべき岬方面が見え、左にはオホーツク海、右には太平洋が見えた。素晴らしい。
稜線から知床池へは見えていたので適当に下った。笹原が天国のよう。池も天国のよう。皆日向ぼっこしながら個スぺを出して優勝した。寝たりマッサージ大会したり絵を書いたり薪を集めたり。風の音も鼻歌も薪を切る音もすべてが心地いい。静かだ。池の近くには隠されたお花畑が広がっていた。なんてきれいなのだろうか。すべてが美しかった。夜は満月で池が照らされていた。
8/13 C3(5:40)―知床沼(11:00) C4
池からも適当に行く。踏み跡らしきものがあるが、さっさと崩落沿いにでて進んだ。崩落沿いは藪漕ぎもあんま無いので楽。崩落下のカールからガスが上がってきて気持ちいい。そして雄大な景色だった。途中踏み跡を外して苦労した。1136Pからは沼めがけて藪漕ぎ。所々踏み跡に入る。沼はめんどくさいので中を歩いて指定テンバまで。
暑かったのでパンイチになって泳いだ。笑ってしまうほど楽しい。思いだせば今日もしんどかった。暑くて意識がぼーっとした。その後のこれは至極の遊びだな。知床の大自然の中でこのような経験ができるなんてどれだけ素晴らしいことか。今、前ではsLが、左ではMesとMeqがパンツで寝ていて、Mは沼で洗濯をしている。ラジオからはMesの好きなウルとかいう歌手の曲が流れている。大きな山と沼、爽やかな風とかすかに聞こえるラジオの音。幸せだな。本当に。このパーティーで良かった。皆よく頑張っている。元気に相泊に戻れることを祈る。そろそろ服も乾いてきた。おやすみなさい。
8/14 C4(5:30)―ポロモイ南コル(8:00)―オキッチウシ川co450(10:15)―河口(13:45) C5
にちようび!!らしい。
沼からはすぐにひどい藪漕ぎ。最初うっすい鹿道につられて変な方向に進んでしまう。トラバースして軌道修正するがここが一番つらかった。経験のない気力を失う藪漕ぎをした。えぐすぎた。足にあざができまくり、なでるだけで痛い。重荷も相まってハイマツから落ちたときは絶望した。
コルからは適当にオキッチウシ川に下りる。上部はコケの涸れ沢で、550から水が出てくる。c450は最初崖側をトラバって隣の沢の側壁を下った。なんてことない。そこから下は両岸が河岸段丘になっていて、だいたい鹿道で行ける。途中かなり沢から離れて湿地帯に入り込んだこともあった。この頃から本降りの雨となって気持ちが死んでいった。
しばらく行くとナメや小滝が出てくるがすべて鹿道で快速通過。それを繰り返していると大きな崖が見えてきて海に出る。感動である。視界が開け、海岸からはオジロワシが飛び立つ。ここに来ることをどれだけ考えてきたか。達成感に満ちて泣きそうになった。この時の気持ちはお爺さんになっても忘れずにいたい。
テンバを探していると雨が止み、晴れ間が出る。なんとも天気が味方してくれている。いいテンバも見つけたしポヤポヤしよう。Mesはいつも洗濯している。sLとMeqは釣りをしている。入れ食いだがどれもチビみたいだ。西の空に晴れ間がある。夕日が楽しみだ。
8/15 C5(6:50)―ウニの沢(10:00-11:30)―文吉湾(15:45) C6
さて今日も勝負の日だった。体調不良者が出たので、そいつを濡らさずに文吉湾まで運ぶという大きなミッションがあった。超厳重なレーションをしてデッパ。イタシュベワタラでさっそく泳ぎが出てくる。考えていたザックでの筏を作る。結果は大成功。かなり安定している。1つ目はsLに泳いでもらって他はへつって突破、2つ目とウニの沢は僕も乗せてもらった。Mesと二人で乗ったが余裕だった。ザックの浮力すごい。
ウニの沢はとんでもなく美しいところだった。青く、奥の方はエメラルドグリーンに輝いていた。そして波もなく静かな場所。透明度も凄い。思い切り飛び込んだ。沢の水も混じっていて冷たい。そして青い。服を乾かしていると河口を熊が通り、我々を見ながら山の方へと駆けて行った。すぐ近くにいたはずなのに、全然恐怖を覚えなかった。それは僕らがまだ自然に入り込めていないからなのか、それとも知床という場所だからなのか。いや普通に小さかったからだな。でもカムエクで人を殺した熊も小さい奴だったわけで。気をつけないとな。
そこから先も潮が満ちてきたこともあって腰ぐらいの深さの部分が出て来る。仕方がないのでまた筏を作り、sLとMeqにMを運んでもらう。獅子岩手前に1カ所完全に泳がないといけない場所があった。メガネ岩は素敵な雰囲気だったがあまり記憶にない。そんなこんなで後半はほぼ筏を崩さずに進み文吉湾に着く。今日は無人のようだ。堤防の上に登るとドコモもソフトバンクも電波が入った。番屋の近くに沢もある。堤防の端に幕営させてもらい、びしょ濡れの服に囲まれて眠った。明日は大荒れ。やっと休息日をとれる。
8/16 停滞 C6=C7
強風でテントが揺さぶられて目覚める。風強すぎ!カオスな朝だった。そんな天気の中次々と船が湾内に入ってくるのが聞こえた。ここは荒れる日の避難場所的な扱いなのだろうか。午後は雨風も落ち着いたので外で過ごした。1日中堤防で過ごすのも悪くない。天気が回復したら船はすぐどっかへ行ってしまった。
8/17 C7(5:30)―知床岬(6:15)―念仏岩巻き終わり―ペキン川河口(13:45) C8
今日はついに岬の日。あいにくの曇りで風が強い。鹿道をバサバサと進んで岬まで。荒れ狂う海がかっこよかった。握手を交わすも、停滞でリセットされたせいであまり記憶が無い。まあとりあえず目標達成!
東海岸は小石のビーチ。雨の後だからかもしれないが、どの沢も水が流れていた。カブト岩は最上部に自分たちのロープをかけて進んだ。上部はかなり急で怖いがfixは途中に細いロープが使われていていて信用ならない。ただ、掴まないと難しい最上部のロープは強そうだった。南側の下りもゆうて怖かったがfixが強い。念仏岩はどちらのfixも強い。そんな怖くない。
女滝男滝に着くころには晴れていた。ただでさえ東海岸で晴れるのは珍しいこと。緑が萌えて一生懸命に光を受けているのを感じる。僕らを追い抜いていくぬるい風も心地いい。雲と波の白さが際立っていた。途中熊が近くを走って通過する。飛び石も足元ばかり見ていると危険だ。
明日の干満表的には微妙だが余裕があるのでペキン川河口まで進むことにする。近藤ヶ淵は何ら警戒していなかった場所なのだが、波が高く打ち上げてくるのでここのへつりが個人的に一番緊張した。へつり自体は難しくない。ペキンの鼻の何もな巻き道を巻いて河口へ。
日向ぼっこしつつ木を大量に集めて勝利の焚火を行った。熱いぜ。そして今日はパスタ2倍デーとし、たらふくにパスタを食らう。幸せだった。夜は相変わらず月が明るかった。
8/18 C8(5:30)―トッカリ瀬(9:00)―相泊下山(11:40)=OB宅
最後の朝。快晴で東の空がだんだんと明るくなっていき、国後島が浮かび上がる。美しさに言葉を失う。天気に恵まれた本番だったが、なんだかんだ言って初めて日の出を見ることができた。最後にありがとう。しばらくすると渡し船がきて釣り人がたくさん来てしまった。一気に下界感が漂い、下山が近いことを感じた。
漁師の方に死ぬなよと激励されてデッパ。満潮近い時間で波もそこそこあったが、剣岩周辺もなんも。タケノコ岩も岩棚を通過し、最後のトッカリ瀬も特になんもな飛び石だった。観音岩で観音様に挨拶をし、ひたすらに歩いて相泊まで。よく頑張った。道に出て喜び合い、相泊港に停まっている部車を迎えに行った。
羅臼第一ホテルで温泉に入り、知床食堂でご飯。米が生きているとMesは喜んでいた。お酒とつまみを買ってOB宅に帰り、乾杯をした。思い出話をして沈。
OBは知床の山の上から海まで一切の人工物がない手つかずの自然に惚れたと言っていた。確かにその通りだった。オキッチウシで強くそれを感じた。そして僕も今回、知床の他の山域にはない魅力を知った。それは、知床には人の生活が確かにそこにある、ということである。ぜひ行って見てみてほしい。
8/19 ウトロ=札幌
サラダにつぶ貝にイクラごはんという豪華な朝ごはんを頂いた。感動的に美味しかったのを覚えている。網走観光などしつつ帰札。お疲れさまでした。
天候 | 8/10:くもり 11:快晴 12:雨のち曇りのち晴れ 13:晴れ時々ガス 14:曇りのち雨のち晴れ 15:快晴 16:大荒れのち曇り 17:曇りのち快晴 18:快晴のち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
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