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Yamareco

記録ID: 6154428
全員に公開
沢登り
甲信越

会越国境 八人岩 南面調査

2023年11月05日(日) [日帰り]
 - 拍手
体力度
4
1泊以上が適当
GPS
11:33
距離
10.9km
登り
1,661m
下り
1,660m
歩くペース
標準
1.01.1
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
11:34
休憩
0:00
合計
11:34
6:59
694
スタート地点
18:33
ゴール地点
過去天気図(気象庁) 2023年11月の天気図
アクセス
その他周辺情報 ■八人岩の由来
南会津山の会(1972)『いろりばた』, 茗渓堂 「御神楽岳周辺」
笠原藤七(1987)『川内山とその周辺』,「ユウについて」
八人岩は地元では「八人ヶ幽(ユウ)」と呼ばれていた。越後の9人が冬に熊狩に行き、沢ばたのユウ(岩窟、岩穴)に泊まった。翌朝、アイが出て(雪崩が発生し)、8人が死んだため、この名になったという伝説がある。

■八人岩の記載
1921年(大正10年)発行の二十万分一地勢図『新潟』に「八人岩」の記載あり。
1934年(昭和9年)発行の五万分一地形図『野沢』に8つの岩崖記号がある。

■八人岩 関連記録
2021/11/06 謎の大岩壁「八人岩」ドローン調査
https://fallove0413.com/2021/11/06/hachinin_face/

■沼越峠について
会津史学会(1975) 『会津の峠 上』, 歴史春秋社 「沼越峠―金山谷から越後への道―」
六十里越や八十里越と並び、越後と会津を結ぶ重要な峠であった。
1661年〜1673年の間に会津藩の命で飯田兵左衛門が開いたとされている。

■沼ノ峠山
以下の記録に八人岩の遠景写真がある
2005/04/30 吉田明弘(単独)
http://echigonoyama.web.fc2.com/050430numanotouge.html

■柴倉川西沢の記録
いずれも西沢から見える八人岩について触れられているが、接近してはいない
・2004/09/19 会津山岳会
・2008/07/19-21 会津山岳会 柴倉川西沢〜鍬沢左俣下降〜右俣〜戸沢川左俣〜右俣〜広谷川笠倉沢
・2011/07/17-18 童人 トマの風
https://tomanokaze.sakura.ne.jp/top/?p=3527
年報No.19 『とまのかぜ』に詳細記録・遡行図あり
・2013/09/11 新潟楽山会 K/Y(単独)
http://www.rakuzankai-1976.jp/kikoubun/kikoubun2013/kojin/20130911nisizawa/20130911nisizawa.html
・2016/07/02-03 ぶなの会
https://www.bunanokai.jp/archives/14315
ススキ揺れる巡視路 ハイキングコースとしてもオススメ
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ススキ揺れる巡視路 ハイキングコースとしてもオススメ
西沢左俣から下降する
目の前に八人岩が待ち構える
スラブを下降したが、コルまで降りてから沢通しの方が良い
2023年11月05日 09:26撮影 by  iPhone 8, Apple
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11/5 9:26
西沢左俣から下降する
目の前に八人岩が待ち構える
スラブを下降したが、コルまで降りてから沢通しの方が良い
ナメコ収穫祭
目がギラついている
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ナメコ収穫祭
目がギラついている
下から見上げる八人岩南壁
2023年11月05日 11:16撮影 by  E-M5MarkIII, OLYMPUS CORPORATION
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11/5 11:16
下から見上げる八人岩南壁
南面垂壁基部の顕著なバンド
2023年11月05日 11:33撮影 by  E-M5MarkIII, OLYMPUS CORPORATION
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11/5 11:33
南面垂壁基部の顕著なバンド
南壁下部をトラバース
2023年11月07日 13:15撮影
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11/7 13:15
南壁下部をトラバース
岩穴を目指して登る
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岩穴を目指して登る
岩穴の前にて
2023年11月05日 12:33撮影 by  E-M5MarkIII, OLYMPUS CORPORATION
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11/5 12:33
岩穴の前にて
岩穴に入る
岩穴内部より
2023年11月05日 12:35撮影 by  E-M5MarkIII, OLYMPUS CORPORATION
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11/5 12:35
岩穴内部より
名付けて「ポムチムニー」
チムニーと言うには広すぎるが語感がよすぎる
2023年11月05日 13:01撮影 by  E-M5MarkIII, OLYMPUS CORPORATION
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11/5 13:01
名付けて「ポムチムニー」
チムニーと言うには広すぎるが語感がよすぎる
ポムチムニー 内部はめちゃくちゃカビ臭い
2023年11月05日 13:15撮影 by  E-M5MarkIII, OLYMPUS CORPORATION
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11/5 13:15
ポムチムニー 内部はめちゃくちゃカビ臭い
内部より
2023年11月05日 13:17撮影 by  iPhone 8, Apple
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11/5 13:17
内部より
ポムチムニー頂部リッジから望む八人岩南面
2023年11月05日 13:42撮影 by  E-M5MarkIII, OLYMPUS CORPORATION
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11/5 13:42
ポムチムニー頂部リッジから望む八人岩南面
斜陽に輝く
2023年11月05日 14:23撮影 by  E-M5MarkIII, OLYMPUS CORPORATION
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11/5 14:23
斜陽に輝く
八人岩の妖精
2023年11月05日 14:27撮影 by  iPhone 8, Apple
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11/5 14:27
八人岩の妖精
集合写真
日が暮れる巡視路
2023年11月05日 17:06撮影 by  iPhone 13 mini, Apple
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11/5 17:06
日が暮れる巡視路
1921年(大正10年)の二十万分一地勢図『新潟』に既に八人岩の記載がある。
井戸小屋山の北に滝首(たきがしら)がある。
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1921年(大正10年)の二十万分一地勢図『新潟』に既に八人岩の記載がある。
井戸小屋山の北に滝首(たきがしら)がある。
1934年(昭和9年)発行の五万分一地形図『野沢』
八人岩に8つの岩崖記号がある
現在の新潟側の道(巡視路)と違った山道だ
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1934年(昭和9年)発行の五万分一地形図『野沢』
八人岩に8つの岩崖記号がある
現在の新潟側の道(巡視路)と違った山道だ
川内のバイブル・笠原藤七(1987)『川内山とその周辺』,「ユウについて」より
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川内のバイブル・笠原藤七(1987)『川内山とその周辺』,「ユウについて」より
南会津山の会(1972)『いろりばた』, 茗渓堂 「御神楽岳周辺」より
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南会津山の会(1972)『いろりばた』, 茗渓堂 「御神楽岳周辺」より

感想

ポムチムブログを見て以前から気になっていた八人岩。
気が合う仲間達との開拓山行に同行できてとても良かった。
八人岩に限らず、この周辺は情報が殆ど無い岩や沢、スラブが盛り沢山のよう。
日本にあってこれほど秘境感を残している場所は極めて稀だろう。会越という山域がいかに魅力的か改めて思い知った。
これからも通いたい山域であるが、その際には、他の山域にも増して物を残置しない意識を強く持つようにしたい。それがこの山域に訪れる者の礼儀である気がする。

以前、日記にも書いたが、山は情報に溢れている。地形図や衛星写真は情報の塊で、行ったことの無い場所でもなんとなくの雰囲気がわかって(わかった気になって)しまう。特にドローンは歩かずして多くの情報を得られる。

さて、八人岩である。この秘境岩壁はその複雑な形状から、こうした現代においても謎多き場所であった。そこをポムチムとM氏が2021年11月に巡視路からドローンを用いて調査を行い、かなり鮮明な写真が世に出た。けれど、ワレメの様子はそれでもわからないままだった。地形図、衛生写真、ドローン写真をしても未だ未知が保たれてる。そんな手付かずのワレメだ。それから2年経ったが、ワレメどころか、そもそも八人岩に行った人も、未だに居なかった。今回はワレメに行くことをメインの目標に据え、無事に中を覗くことができ、未知・未踏に僅かながら触れることができた。

実際に八人岩の基部に行き、岩壁を「見上げた」ときアルパインクライマーの山野井泰史の言葉を思い出した。山野井はドローンや上から撮影されたクライマーの写真に懐疑的であった。
「山というのは仰ぎ見るものであって、上から見ちゃいけないんじゃないかってつい思ってしまいます」
「上に向かっていく行為なんだから、見てる人は下からでいいんじゃないかな」
今日たくさん撮った写真よりも、2年前にポムチムがドローンで撮影した写真の方が綺麗で見栄えもするだろうけれど、実際に下から見上げた八人岩は凄まじく、言葉では言い表せられない感動だった。登るとしたら明らかにUIAAグレードでは無く、デシマルになる。ここがグラウンドアップで登れたら……。

クライミングにおける「オンサイト」とは情報無しに登り切ることである。けれど、ホールドやムーブ、グレードや使用ギアなんかよりも、「登られてるという事実」が何より大きな情報、ベータある。その意味で既成ルートでは、厳密な意味でオンサイトはできない。

八人岩も上から懸垂下降して探れば、もしかしたら登れるかもしれない。けれど、ここは山だし、グラウンドアップで登れる人もいるだろう。わざわざ探りを入れて、浅ましい見栄で登ったりすることは、グラウンドアップで登れる未来の誰かの未知(オンサイト権)を奪う行為でもある。こんな秘境に来る物好きな誰かのために、「登れるかわからない」という未知をまだそのままに留めておきたい。

我々はこの山行では西沢、八人岩周辺のほんの一部を知ったにすぎない。
まだまだ通うつもりである。

謎に満ちた巨大岩壁「八人岩」の2次調査 なんと!2年前ドローンで確認していたあのワレメに、あの岩屋に潜入することができた これはおそらく人跡未踏の領域 
巨大なワレメは「ポムチムニー」と名付けてもらいました🤣

中澤さんの協力もあって八人岩の歴史背景も徐々に明らかとなってきました!!

気の知れた仲間たちと行く八人岩調査。今回アプローチに使った沼越峠は、かつて只見川〜阿賀野川へと材木筏を流し降った只見の木こりたちが里へ帰るため拓いた峠道。
きっと当時も森の隙間からギリ見えていたであろう大岩壁を望み、スゲースゲーと騒ぐ笑
2年前、ドローンで眺めた摩訶不思議な地形の中に潜り込むことができて嬉しい。
 この辺りの山域は、手垢が付いて無いありのままの姿を残す一方で地元の方にとっては「生活の山」として昔から人の出入りがあった。今回、中澤さんのリサーチで明らかになった地名の背景にも人々の山への畏怖が感じられる節がある。まだまだ歩いてみたい場所は沢山あるが、変に開拓だの初登だのに縛られ過ぎず語り継がれる人々の「想い」や山域の背景に触れることを大切にしていきたいと思う。

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