くろんど池〜高山城址〜精華町
- GPS
- 03:24
- 距離
- 14.2km
- 登り
- 292m
- 下り
- 300m
コースタイム
- 山行
- 3:06
- 休憩
- 2:22
- 合計
- 5:28
天候 | 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
近鉄祝園駅まで |
写真
感想
大阪の北東、府民の森として知られるくろんど園地から東の一帯は京都府の京田辺市と相楽群との間で奈良県が北に大きく張り出している。生駒町に属する一帯らしい地図ではなだらかな丘陵地帯の間に夥しい数の小さな溜池が記されている。車で出かける際にもこの一帯を通過する機会がないので、果たしてどのような景色が広がっているのだろうかという興味が唆られるところである。
この日は京都の南、精華町のけいはんなプラザに行く用事があったので、くろんど園地からこの一帯を横断し、目的地に向かうプランを考える。朝、高校生の次男がバスケット・ボール部の試合に向かうための電車に乗り遅れたようで、家内が途中の駅まで車で送ったために出発が遅くなり、京阪の私市駅には11時過ぎに到着することになる。
グーグル・マップで家内が検索すると私市の駅からくろんど池ハイキング・コースを抜けて徒歩でおよそ3時間の距離と出る。グーグル・マップでは黒添池から高山溜池北を回り込んで、精華町の東畑に至るルートが示されていたが、途中の高山城址を経るルートを辿ることにする。けいはんなプラザでの用事は14時なので、黒添(くろんど)池や高山城址に寄り道してもなんとか間に合うことが出来るだろう。ところでけいはんなとは京都、奈良、大阪の三県の県境が寄り集まることに由来することに今更ながらに思い至る。
京阪の交野線が高架の枚方駅を出発すると途端に周囲は緑が目立つようになり、東側にはくろんど園地の森林の広がる丘陵へと近づいてゆく。交野線の終点、私市の駅はホームの端に三角屋根の可愛らしい駅舎があり、その一角に置かれた機関車トーマスの大型の模型では小さな子供が中に入って遊んでいた。駅の周囲にはコンビニも見当たらないが、IROHAという小さなパン屋がある。覗いてみるとユニークなメニューのパンが多く、その多くが焼きたてのようだ。高菜とじゃがいものパン、ペーコン・パン、ミカンのクリームパンを購入する。
住宅地を抜けてくろんど池ハイキングコースを辿ると、樹高の高い樹々が聳える壮麗な谷に入る。すぐにも谷には大きな岩の間から流れ落ちる滝が現れる。月の輪の滝と呼ばれるところらしい。滝の右岸の階段を登ると、谷は平坦になり歩きやすいハイキング道が続く。
東屋のあるすいれん池と呼ばれる小さな池に至るとメタセコイアが紅葉している。池を過ぎると雰囲気の良い疎林を抜ける。谷奥に進むと急に谷が狭くなり、細い流れに沿って上流に向かう。さわわたりの道と呼ばれる道と交差すると再び急に谷が広くなり、くろんど池の駐車場が目に入る。地図を確認すると県境を越えて奈良県に入ったようだ。
くろんど池の北岸のほとりはバーベキューが出来るようで、多くの人で賑わっていた。人のいない南岸のたどり、池のほとりのペンチでランチ休憩をとる。池の東岸に至ると高山溜池との間を走る県道の先に「高山城址→」と案内標のある小径がある。森の中を抜けると突然、車道に合流し、なだらかな丘陵の間に谷間に段々畑が広がっている。その間には民家が疎に点在し、時間の流れが一気に緩くなったようななんとも長閑な景色である。
家内は「山の辺の道のような雰囲気」というが、確かに奈良県の雰囲気というのも頷ける。高山城址は右手の小さな丘のようだ。道路から離れて小径を辿ると、道は丘の東側をトラバースしてゆく。丘の南端を階段で登ると鳥居と十三重の塔のある小さな広場がある。戦国時代に鷹山氏という豪族の居城があったらしい。高山という地名の由来となっているのだろう。
地図ではこの高山城址から東に向かう実線の道が記されているが、急斜面に微かな踏み跡があるばかりである。その踏み跡を辿ると住宅地の脇を通り抜けて、舗装路に無事、着地することが出来る。
東側の小さな丘陵に向かう。南の方角を望むと開けた谷の先には生駒山が見える。この日は曇りの予報ではあったが、空には刷毛で掃いたようなような巻雲が広がっているばかりで、晴天が続いている。周辺の民家では柿がたわわに実っている。
小さな集落を越えて精華町の方に進む。県境のあたりは民家はなく、草地が広がっているばかりであった。県境となる低い丘陵を越えるところでは無人販売所に里芋が売っていることに家内が気が付くが、生憎、小銭が全くない。自動販売機で飲料でも買って、小銭に崩しておくべきだったと後悔しても後の祭りである。
精華町に入ると県道脇の小径をたどり、学研都市のある精華町の中心部に向かって一気に下降してゆく。県道と交差するあたりでは小さな集落となっている。先ほどまでの生駒町に比べると、道路を往来する車が目立つせいか、それまでの澱んでいた時間がふただび流れ初めてような気がする。
精華町の方角にはけいはんなプラザの大きなビルが見える。広い道路を進むとそれまでの長閑な田園風景とは景色が一変し、忽然と近代的な研究施設の企業の大きな建物が立ち並ぶ一角に出る。中心部を東西に横切るメイン・ストリートに出ると紅葉したメタセコイアの並木が延々と続いている。休日のせいだろうか、歩道は広いのだが、人の姿が全く見当たらず、寒々しい感じがする。
この日は昨年の春に進行した肺がんにより余命を宣告されたピアニストによるベートーヴェンの演奏会がこのけいはんなプラザであるのだった。演奏会の開演の10分以上前でにはホールに到着することが出来る。建物の周囲にも人影があまり見えなかったので、果たしてこの場所に人が集まるのかと心配したが、ホールにはかなりの人で埋まっていた。
演奏会の終了後は再び整然とした並木道を歩き、けいはんな記念公園を通り抜けて祝園(ほうぞの)の駅に向かう。いつしか先ほどまでの青空はすっかり消え、雨が降り出しそうな薄墨色の雲が空には垂れ込めていた。けいはんな地区の整然とした住宅街を抜けると、祝園駅との間には再び畑と旧い家屋が広がる。畑で燃やされているから立ち上る煙が晩秋の気配を感じさせる。けいはんなプラザからは祝園までは40分ほどを要したが、旧い家並みに入ると妙な安心感を感じるのだった。
くろんどの森のハイキング・コースから生駒町の高山城址周辺の長閑な田園風景、そしてけいはんなの近代的な学研都市と変化に富んだコースを歩くことが出来た一日であった。
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