大雪の英彦山・四王寺滝~南岳ルート



- GPS
- 06:00
- 距離
- 6.6km
- 登り
- 659m
- 下り
- 649m
コースタイム
- 山行
- 5:10
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 6:00
天候 | 雪 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
四王寺滝までは滝見物の方が引きも切らず登ってるので間違えることもなく登れる。 そこから上はこの積雪ならば本当の雪山装備が必要であったのだが、ハイキング装備で行ってしまった。 |
その他周辺情報 | いつもの「しゃくなげ荘」をはじめ、売店や宿は一切開いていなかった。 |
写真
装備
備考 | 先爪のないアイゼンでは非常に危険。 |
---|
感想
某snsで日曜日英彦山に行く、と書き込んでたら、今は無き鳥栖の山ショップ「トレイルフィールド」の坊がつるキャンプでご一緒してた方々と登ることになった。
僕には今、車がないので英彦山には列車に頼るしかない。
しかし日本列島は正に100年に一度の大寒波の中。日田彦山線は運休。
今回のメンバーEさんの計らいで桂川駅まで迎えに来てもらった。
車はインプレッサだったのだが、4WDのスタッドレスタイヤの威力は凄まじく、
別所駐車場駐車場まで完全に雪に埋もれた真っ白な道を普通の道を行くように登り切ってしまった。
いやすごいわ、山行く人はこんな車じゃないと…っていいたいところだが
こんなの乗ったらもう歯止めが利かないな。
しんしんと雪の降る道を、奉幣殿から鬼杉方面へ。
今回のリーダーはA氏、お正月は北アルプスで単独行やってたそうな。
リアル「孤高の人」やな。とにかくすごいがついて行けるんだろうか。
四王寺滝入口から滝までは、積雪はそれなりに深いがしっかり歩かれていて迷うこともない。
そして過去に同じような雪の中を一人で歩いた経験もあるのでどうということもなく登り切った。
滝は昨日登られた方の記録にもある通りかちんこちんに凍ってて高さもあり、
吹雪の中でもド迫力だった。
前回も思ったのだが、ココのつららは一本一本の線が細くて繊細だ。
大きいのだが緻密でもあり、巨大なパイプオルガンか何かの装置のようだ。
滝にも壁にも樹木にも、真っ白な氷が吹き付けられた雪の芸術をしばし堪能。
ここからが問題。
滝の右側にはふみ跡がある、なるほどこれが例の南岳ルートか。
でも未知の世界。しかもこの雪の深さ。しかし高低差はもう200Mしかない。
つまり四王寺滝入口からを全体でみれば先の方が短いのだ。
行くのか…いやでも…
て おーい!
僕の心の葛藤をよそに、一行はずんずん滝の横を登ってゆく。
「大丈夫、おいて行ったりしないから」とは言われていたが結局登るのは自分だ。
途中で上がらなくなっても誰かがあげてくれるわけではない。
応援はしてくれるだろう
「ファイトー」って言われたら「いっぱーつ」て返事するしかない、男として。
雪は深かった。基本前を行くAさんやKさんが踏んでくれてるのでそこを踏めばある程度は上がれる。
しかし滝の上に上がる出だしの部分では蟻地獄で相当もがいてのっけから消耗したし、
1070M位からの20Mの登りとそれに続く新雪面のトラバースは斜面に引きずり込まれるような恐怖感に緊張の連続だった。
経験者から言わせればきっと大げさなんだろう。
でも、この窮地から自分を救い出せるのは自分の気力しかないわけで、
それが切れたらこんな低山であっても人は簡単に死んでしまう。
だれを恨んでもしょうがない、ここは誰かに連れてこられた訳じゃない。
自分で山行計画を立てた、自分の道だ。
もう後戻りはできない、降りる方が危険。
こわいこわい、でもなんか変な気分。実は気持ちが良くなってきた。
やばいやばい、ラリってるんちゃうか?
ぽん、とT字路に出た。どうやら登り地獄からの開放の時が来たようだ。
しかし南岳への正規ルートに出たのだが、雪は更に深い。風も強く視界も良くない。
なおかつ凄まじく寒い。
13:30南岳山頂に立つ。
5人で震えながら暖かいラーメンをすすり命の味を堪能する。
味といっても味なんかしない。ただ暖かい、ホッとした、それが極地のグルメ。
しかし談笑してる場合ではない。下山するには中岳に行かないといけないのだ。
さっき中岳から二人組が来たのでルートがつぶれてないという安心はあるが直登ルートに相当の時間を費やしているので時間が押してる。
そしてどんどん寒くなってる気がする。手袋しても指が痛い。
よく言われることだが、「手袋したままなんでも作業が出来るようにしときなさい」と。今回それが身に染みた。
飯を作るのについ手袋を外す、金属に軽く触れたら手にへばりつく。このまま外れなくなったら悲劇だ。
一度手袋を外すと、はめ直しても全く体温は戻らない。体を動かさないと。
いたい、いたい。うまく握れない。
中岳への道は短いが風は強力で、時折視界がなくなってしまう。
しかしここが最後だ、ゆっくり慎重に進む。上宮は寸前まで見えなかった。
記念写真などは撮るつもりもなく(どうせカメラお休みしてるし)手だけ合わせてさっさと表参道を降りた。
表参道ルートは積雪のため、よく知ってるあの道とは別世界だったが、それでも今までの道のりからすれば驚くほど静かで天国のように平和だった。
帰りもEさんに桂川駅に送ってもらった。
「しゃくなげ荘」であたたまって電車の中でビール飲んでという夢のプランは
「大雪のため臨時休業」という現実の前に崩れ去った。おおお。。。
今回はオーバーワークだとは思ったけどいい経験になった。
いつも一人でニコニコハイキングしかしてない自分には全てが新鮮だった。
大げさだけど「諦めたら死ぬ」みたいなことってそうそうあるもんじゃない。
一人は楽だけど、励ましあって登るってすごく心が強くなった気がした。
コメント
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1200m峰でも体験できる大寒波でしたね。(冬の3000m峰なんて知らないけど)
すみません、ちょっとヤマレコ開いてませんでした
今回のレコも遅れ気味で…
火事場のクソ力出てましたね。
「必死」って言葉はぴったりですね、こんなところで死んでたまるかみたいな。
寒さなんて忘れるほど燃えてましたよ。
ああ、また大げさなことを。。。。
なかなかできない体験をされましたね
ベテランの方々と一緒なら安心ですがそれでも自分の力で登って、登ったからには降りなきゃいけないわけで・・・
コウラサンさんが言われるように、こんな寒波がくると低山でもエベレストみたいでした。
(エベレスト知らんけど)
ニシさん公共の乗り物で行くと言ってありましたが運休・・・同行者さんの車、いいですね~
また小さい寒波がこないかな?
登ったら降りなきゃ帰れない、そこがミソなんですが、後ろには退路がありません。
先に進まないと多分無事に降りられない。
山登りなんて何が楽しいの?って立場の友人から
「わざわざ降りるために登るんでしょ、それなら最初から下にいた方が無駄なエネルギー使わなくていい」みたいなこと言われたの思い出してました。
確かに今まさに、ただ下山するためだけに登山してるんだな僕は。
何か笑っちゃいました。
それでもまた、行くんだよな。
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