暴風の宝永山 富士登山の下見のつもりが厳しい展開に
- GPS
- --:--
- 距離
- 13.5km
- 登り
- 1,363m
- 下り
- 1,355m
コースタイム
- 山行
- 5:50
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 6:10
天候 | 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所はありません |
写真
感想
今度の土曜日に富士山に登る予定(私は2回目、kenboさんは初めて)なので、感じをつかむため「宝永山」へ。
どこも天気がイマイチですが、富士山方面はお昼までに帰って来られればなんとか雨に降られずに済むかな?と思い出かけました。
コースは御殿場口から二ツ塚(双子山)を経由して宝永山へ。下山は富士山の御殿場口下山道を使って下る予定です。
まずは御殿場口五合目。
山開き前ということで、そこまで人も多くなく余裕で第一駐車場に停めることが出来ました。
五合目は眼下に雲海が広がっていて、富士山が初めてのkenboさんははしゃいで写真を撮りまくっていました(笑)
富士山の山頂は見えていましたが、風が強いようでガスが掛かったり晴れたり。
天気が崩れる前に戻って来られるように、いそいで出発します。
駐車場の横から二ツ塚(双子山)登山口へ。
富士山らしい砂のような道が歩きづらい…
ずるずる滑って、1歩進んで半歩下がるといった感じです。
しばらく進むと大石茶屋との分岐に出ますが、本当は茶屋方面へ進むところを間違えてしまいました。
樹林帯の平らな道を「もうすぐ二ツ塚につくかな?」と進んでいると、なぜか「幕岩」に到着。
あれ?幕岩って通るんだっけ??
幕岩にあった案内看板の地図で確認すると、どうやら二ツ塚へ行くためには大石茶屋を通らないといけなかったみたいです。
幕岩からは御殿庭を目指します。
相変わらずの樹林帯を進んで「三辻」分岐、そこから御殿庭方面へ。
途中、景色が開けた所で「小天狗塚」に到着。
またまた樹林帯に入り、「御殿庭入口」に。
ここから登りが続き、「御殿庭下」「御殿庭中」「御殿庭上」を経由して、ついに樹林帯を脱出しました。
「山体観測装置」までは、あのずるずると滑る急坂が登場。
遮るものがないので風が強く、飛ばされそうになりながら登りました。
宝永第二火口、第一火口縁と進むにつれてどんどん強くなる風。
富士宮口への分岐から第一火口への下りに入ると、少し風を避けられる場所があったので、一時休憩しました。
宝永山方面は風が強そうですが、馬の背付近を歩いている先行者が何人も見えたので大丈夫かな?
火口は大きな岩がゴロゴロとしていて、落石注意の看板がありました。
実際、ガラガラと大きな音をたてて落下していく岩を目撃したので、道を外れて火口の中を歩くのは危険ですね。
火口から馬の背までの登りは、相変わらずずるずると滑る砂の道。
風も一層強まり、前を行くkenboさんの足取りが鈍ってきました。
kenboさんはトレーニングで水を大量に背負っているので荷物が重いため、砂に足が沈んで思うように前に進めないようです。
私は荷物が軽いので、珍しいことにkenboさんを追い越してしまいました。
しかも風が追い風に変わり、それに煽られて足が勝手に前に進んでしまいます!
kenboさんを待とうとしても止まることが難しいので、とりあえず前に進み、馬の背の下で待機。
その時、先行していたトレラン風の方が「風が強すぎて進めません」と言って下ってきました。
追いついたkenboさんと一緒に馬の背の稜線に出ると、そこは強風というよりも爆風の世界!
耳元でゴーゴーと風が唸って何も聞こえないし、細かい砂が顔に当たって痛いし、立っていることもままならないので、必死に標識につかまってその場にうずくまりました。
風が弱まる隙間もなく、なんとか薄目を開けて前を見ます。
すると、向かい側の御殿場口への下山ルートに座って風を凌いでいるグループの姿が見えたので、私達もなんとかそこへ避難しました。
一息ついて、kenboさんとどうしようか相談。
とりあえず、比較的風の弱い(といってもかなりの強風ですが)御殿場口側をトラバースして山頂付近まで行ってみることに。
荷物の軽い私は稜線に出ると吹き飛ばされそうなので、荷物が重く安定しているkenboさんが山頂まで行って帰ってくるまでしゃがんで待っていました。
しばらくしてkenboさんが戻ってきたので話を聞くと、「なんとか山頂まで行ってきた。すごい風で柵につかまりながら写真を撮った」とのこと。
山頂ほどではないですが、私が待機していた場所も十分風が強いので、急いで下山ルートへ戻りました。
下山ルートを少し下ると、だんだんと風が弱まってきてようやく一息。
口の中は砂でじゃりじゃりしているし、耳の穴や顔も砂で真っ黒、帽子は脱げかけて髪の毛もボサボサ…
日本最高峰富士山の厳しさを、身を持って痛感しました。
本当に風で飛ばされるんじゃないかと本気で恐怖を感じたのは初めてです。
今までに体験したことがない爆風でした。
その後は、大砂走りを一気に下って御殿場口五合目駐車場へ。
大砂走りは靴に砂が入りますが、ふかふかで膝に優しいのでさくさく下ることが出来ました。
登りでは苦しめられた砂の道ですが、下りは本当に楽しいですね♪
予定通り、雨が降る前に駐車場へ戻ってくることが出来ました。
今回は風が強く本当に危険な場面もありましたが、なんとか無事に帰って来られてよかったです。
しかし後から考えると、あの爆風の中宝永山山頂へ向かったのは間違いだったと思います。
引き返す、または諦める勇気も必要だったと思いました。
でも、厳しい自然条件ゆえか、美しく雄大な景色にもたくさん会えました。
今度は、天気の穏やかな日にリベンジしたいと思います。
今回行けなかった二ツ塚へも行ってみたいですね。
梅雨の時期に特有のすっきりしない天気が続く中、各山域の天気予報を確認していたkazuruさんが「富士山方面はお昼過ぎまで天気がもちそう」と仰います。ちょうど私が仕事でお世話になっている方のご提案で、近々富士山に登る予定としていること、kazuruさんが宝永山に興味をお持ちのようなので、下見を兼ねて挑戦しました。
このような経緯で土壇場で決定したため、もちろん地図は手元にありません。しかし、「富士山は整備されているから、迷うことはないだろう」と高を括っていました。
東名自動車道の御殿場ICに近づくにつれて、空には雲が出始めて、ハンドルがとられる位の風が吹き始めました。今日は大丈夫かな?と車を走らせ、山開き前で閑散としている御殿場口駐車場に到着した時は、晴れてはきたものの、相変わらずの風が強い状況でした。特に山頂方面は、ものすごい速さで雲やガスが流れていました。雨さえ降らなければ…準備をして出発です。私が初めて富士山を間近で見ることができて感動している間に、kazuruさんが案内板で地図を確認されていたので、少し安心していました。
駐車場の横にある登山口を過ぎると、すぐに火山特有の?砂礫状の歩きとなります。特に私はいつも通りにザックが重いこともあり、kazuruさんよりもズブズブと沈む(滑る)割合が大きく、余計に歩を進めなければなりません。ここだけで既にうんざりしていると、大石茶屋と書かれた標識がありました。大石茶屋は帰りに立ち寄ると頭にインプットしていた私たちは、迷わず逆方向へ進みました。
ほどなくして樹林帯に入り、歩きやすい道をほぼ平行移動で進みます。「今日は何気に1,300m近く登るはずだから、後半で一気に登ることになりそうですね」と確認しあいました。
いくら進めども、左側に分岐して登るはずの二ツ塚が見えてきません。おかしいな?と思っていると、幕岩に到着してしまいました。
傍にあった案内板で確認すると、いきなり道を間違えていました。本当は、最初の分岐で大石茶屋方面に進む必要があったようです。「やはり地図を持っていないとダメですね」と反省します。ただ、幕岩はその名の通り岩が幕のように見える大迫力の岩で、大自然の凄さを肌で感じることができました。道を間違えたけれど、幕岩を見ることができたから良しとしよう。
少し進んで幕岩上からは、徐々に標高を上げていきます。ここの道を歩く方は少ないのかな?と思えるくらいに藪漕ぎっぽい部分など超えて進むと、徐々に視界が開けてきます。
森林限界となる御殿庭上からは、再び砂礫状の道となります。しかも、傾斜が結構急なため、ご丁寧にロープが設置されていました。もちろん、トレーニングを兼ねてロープは使わず、いつも以上に体力を消耗して何とか山体観測装置に到着。この時点でかなりの風が吹いていました。
宝永第二火口縁、第一火口縁と、まるで別世界のような大迫力の風景を楽しみながら進む一方で、風は強さを増してきました。ちょうど宝永第一火口へ少し下った場所で休憩している方が見えたので、「あそこなら風が弱いはずですよ」と進んで、少し休憩しました。予想外の展開でしたが、富士宮ルート・御殿場ルートで富士山頂を目指す方や宝永山方面の稜線を歩いている方がチラホラ見えたので、大丈夫だろうと判断しました。
普段は上方から眺めることしかできない火口部分を歩くことができて嬉しく、ルンルン気分で進んいると「ガラッ、ガラッ」と遠くから聞きなれない音が聞こえてきました。何の音だろう?と周囲を見渡すと、大きな岩が富士山方面から転がっていました。登山道にはロープが張られていて、所々に「落石注意」と書かれています。ロープを超えないようにしましょう。
宝永第一火口を過ぎると、再び砂礫状の登りになります。ここから先が本日の核心部でした。これまでと比べて粒が細かいため、まるで砂のように足が沈んで前に進めませんでした。加えて、さらに強まってきた風が火口付近で時折渦を巻くように向かい風になると、踏ん張りが利かずによろけてしまいます。ポールを駆使して身体全体で登っている方が多く、ポールを一度も使ったことがない私にとっては、まさに苦行でした。
一方、kazuruさんは、ザックが軽いこともあって沈む割合が小さく、また追い風の時に風に乗ってぐんぐんと進まれています。kazuruさんに一緒に登っていただくようになってから2年弱ですが、私が遅れるのは初めてでした。それほど辛い登りが続きました。
風に煽られた砂に身体を打たれながら進み、稜線に近づくにつれて、私でも身体が持っていかれるほどの風がゴォーゴォーと吹き始めました。
下ってくる方に「この先は風が強すぎて引き返す。富士宮方面は大丈夫か?」と質問されたのは聞き取れましたが、そこから先は風の音に遮られてお互いの声が聞き取れません。とりあえず富士宮方面は大丈夫ということを伝えるためにOKサインを出してお別れしました。
宝永山馬の背の手前で待機しているkazuruさんにようやく合流して、「せーの」で稜線に出ると、暴風・爆風となりました。踏ん張っても身体が持っていかれます。また、両頬が風にビンタされている感じで痛みが走ります。私でさえこの状態であれば、当然kazuruさんはとんでもない状態なわけで、二人の距離が開いていく中、kazuruさんをガッチリと掴んで標識にしがみつかせました。
さて、どうするか?周囲を見渡すと御殿場口方面に少し下った所に団体さんが退避してるのが見えました。私たちも転がりこむようにその場に辿り着き、少し様子を見ることにしました。
団体さんは富士宮方面に進みたいらしく、風の様子を私たちに確認してきました。「稜線を超えてここのように少し下れば、大丈夫ですよ」と答えたところ、リーダーらしき方が様子を見に行き、すぐに引き返してきて「稜線を超えるのが危ない」と、御殿場口への下山を決断されました。
しばし考えて、稜線上は厳しくても、この場から御殿場口側をトラバースすれば宝永山山頂に近づけるのでは?との結論に至りました。
kazuruさんに「宝永山は諦めて下山しよう」と提案されましたが、「ここで待っていてください。山頂標識の写真を撮ったらその場から下りますので、私の姿が見えたら下り始めてください」と言い残し、宝永山山頂に向かいました。
この場所でも、油断をすれば体勢を崩すレベルの風で、少しずつ進んで後ろを振り向くと、なんとkazuruさんが後に続いています。これにはカチンときてしまい、「あの場で待っててくださいと言ったでしょう!」と怒鳴ると「だって危ないじゃん」とご尤もなご回答。しかし、「ついてきたところで私を支えるのでもないのなら、意味がないでしょう。二人で危険にさらされてどうするのですか?」と再び怒鳴ると、kazuruさんはその場に座り込みました。
そろそろ稜線に出るかな?暴風といえども、一瞬強風になるときがあるので、その時を狙って「今だ!」と飛び出しました。山頂にはロープの策が設置されていたので、「あれに捕まれば何とかなる」と考え、銃弾が飛び交う中を兵士が進むように体勢を低くして、踏ん張りながら進んでロープを掴みました。何とか撮影を終えて、先ほど稜線に出たあたりまで戻ります。進行方向120℃くらいに斜めに進むとちょうどまっすぐ進むことができるような感じで、なぜか物理の力学の授業を思い出しながら戻り、御殿場口方面に転がり込みました。
急いで下山ルートへ戻り、下山開始。だんだんと風が弱まってきてホッとしました。あとは楽しみにしていた大砂走りを下ります。膝に負担がかかることなく、安心して下ることができました。ただ、トレランの方が猛烈なスピードで駆け下りていくので、ぶつからないように注意が必要でした。
スパッツを装着しなかったので、靴の中は砂だらけ。また、強風のためか口・耳・鼻には砂が入り、顔は戦争映画の兵士のような、ドリフの爆発モノのコントのような真っ黒の顔で下り終え、大石茶屋に到着。
「あれだけ苦労して宝永山に辿り着いたのだらか、絶対にバッジを買うぞ!」と意気込んで店内を探してみても、見当たりません。レジにいたお姉さんに確認すると「昔は扱っていたようですが、今はありません」と非情なお言葉が…。力が抜けたまま、ゴールとなりました。
これまでにも八ヶ岳の硫黄岳、北アルプスの奥穂高岳で強風を経験しましたが、今回は比べものにならないほどのレベルでした。初めて風で吹き飛ばされることへの恐怖を感じました。kazuruさんの制止を振り切って宝永山に拘ったのは猛省の限りです。怪我することなく下山できて本当に良かったです。さすが、日本一の山。そんなに甘くはありません。
富士山を含めて、ワン・ツー・スリーを制覇することはできるかな?今夏の目標です。
コメント
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ご無沙汰しております
ハードな登山をすごいペースで行っているんですねー
山レコやブログは忙しさにかまけてアップしておりませんが、私は相変わらず、同じようなところを 同じようなペースで登っております
危険、辛い、長い、ところは行きません(笑)
さて、レコ拝見してこの日の富士山ですが、実は偶然私とKさんも初富士挑戦で富士宮登山口から登っておりました。
が…同じく強風がものすごく、9合半まで頑張りましたが 立って歩けない風に恐怖を感じ撤退。残り500メートル弱でしたが、まぁ良い選択だったと思います。
やはり楽しいくらいの登山が私には合っているなと感じた1日でした。
ではまた!
おおっ、だいぶご無沙汰しております。
レコが全然アップされませんので、ご多忙のため休業されていると思っていました。
この日の風は凄まじかったですね。
あの中を9合5勺まで登られたとは!
私なら7合目付近で撤退していたことでしょう。
鳳凰三山でお会いしてから2年が経過しましたね。
テント泊デビューだったあの時の私と比べれば少しはレベルアップできているはずですので、どこかに登りませんか?
相変わらずお酒は弱いですが、山行でご迷惑をおかけすることはなさそうです。
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