高尾山ー城山ー日影沢林道ー蛇滝ー高尾(徹夜ハイク)


- GPS
- 06:34
- 距離
- 20.6km
- 登り
- 1,449m
- 下り
- 1,456m
コースタイム
- 山行
- 5:42
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 6:22
天候 | 濃霧 |
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過去天気図(気象庁) | 2016年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
雨で滑りやすくなっております。また夜間の場合ただでさえわかりにくい木の根、岩の飛び出しなどの凹凸がいっそうわかりにくくなっているために注意が必要でした。 奥高尾縦走路は雨上がりでかなり水溜りができていました。 霧が濃いと、周囲の地形がわからずに知らずにがけっぷちを歩いたり、最悪虚空に足を踏み出すこともあります。これは日中でも同様ですので、霧が濃いときには一歩一歩に気を使いました。 奥高尾登山道から日影林道へのショートカットとなる萩原作業道が、伐採工事に伴い通行止めになっております。城山からこつこつ歩いて下ることが必要です。 金比羅山登山道は赤土の斜面が雨で滑りやすくなっており、おっかなびっくりの通過でした。 地形図には記載されている、八王子トリックアート美術館あたりから東高尾縦走路に合流する道は住宅にさえぎられるなどの理由で使えませんでした。「高尾山ちか道入口」付近から線路を潜り、神社境内を抜ける道を使って合流しました。 |
その他周辺情報 | 高尾山頂に水道があります。日影林道途中に水場があります。 |
写真
装備
備考 | 雨具、手袋(木などつかむので夏でも欲しいです)、帽子代わりの手ぬぐい、行動食、水2L、コーヒー1L、地図(守屋益男、守屋二郎「高尾山登山詳細図」)、コンパス、GPS。 |
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感想
先日和田峠でホタルを見たものだから、稜線で見えるなら水辺でも見えるに違いないとやってきたが、ホタルにはお目にかかれなかった。変わりに出会ったのはマムシとタヌキ。欲張り爺さんは損をしましたという昔話のような山行きとなった。
ネットで調べてみると、ホタルが光ながら飛び回るのは夕刻から9時ごろが主であるという。ホタルも光ればエネルギー消耗するのだから、のべつまくなしにちかちかするわけに行かないのは道理である。
しかも、この日は警報が出るほどの大雨が降った後であった。ホタルが皆どこかに退避したとしても不思議はないのだ。
歩きながら、和田峠で見たホタルはいかに僥倖であったかを再確認した。
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天候の具合を気にし、中止も頭に入れながら高尾山口に着いたところ、雨はもう降り終わっていた。土砂崩れのような災害を別にすれば、歩くことは可能であろうということで出発した。ケーブルカー駅にも着かないうち、つまりまだお店が並んでいる通りでマムシに遭遇し、前途の多難さを予感した。
水辺を歩くコースだからホタル探しとしては最適だろうということで、高尾山までは、いつもの琵琶滝+6号路を使った。
大雨の後だから足元は一段と滑りやすい。しかも岩や木の根の出っぱりがぬれて黒ずむことで一段とわかりにかった。安全なコースであるとはいえ、渓流へ落ちる急斜面沿いを歩くコースだ。ぼんやりして空っぽの空間に足を踏み出しかねない。また登山道の真ん中で転んでも、転んだ勢いで斜面を転げ落ちる可能性だってある。
ひとつ大きな救いだったことは、6号路の水はけの良さだった。通常雨上がりには登山道をまたぐように水が流れていることが多い。悪いときには登山道そのものが川になっていることもある。今回の登山ではそういった悪さはなく、結果として靴を著しく濡らすようなことにはならなかった。
時々ヘッドライトを消して息を殺すが、点滅する光の気配はまったくなかった。ただどんより曇った深夜であっても、空が開けているところは暗黒ではないのだ。ぼんやりとではあるが、渓流の対岸の稜線、木の茂り具合がわかる。むろんこれは霧が薄いときならばということなのだが。
登山道に入って高度を上げるにつれて霧が著しく濃くなり、6号路終盤の階段ではヘッドランプをつけても前が見えない状態になった。かろうじて確認できる自分の足もとが正しい登山道であることを確認しながら、白い闇の中を何とか山頂にたどり着いた。
山頂には先行者が何名かいた。もっとも登山者ではなくて、山頂トイレのメンテナンスに携わっている作業者のようであった。深夜にはしまっているトイレには煌々と明かりがともり、施錠されている入り口が開放されていた。
濃霧のせいで夜景どころか、通いなれた奥高尾入り口を見つけることにさえ難儀をした。下りの階段に取り掛かった。左手に東屋。改修用か資材が並べてある?いや違った、シュラフにくるまった人が寝ていたのだ。奥高尾を早朝から歩くのだろうか。
次の目的地は日影林道だった。城山へ行かず、日影林道の水源地に近い萩原作業道を使うつもりだった。しかし作業道は伐採作業のために通行止めで、結局普段あまり使わない北側のルートを取って城山へ向かうこととなった。
日影林道は林道である。舗装してあり、車一台通れる位の道幅があった。濃霧の中ではこの道幅の広さが不安を誘った。ヘッドランプをつけると自分が真っ白な闇の中に放り出されたようになったのだ。まず右か左に寄って、ガードレールか斜面の橋があることを確認し、それをガイドとして下って行った。壁伝いに走り回るゴキブリのような心境はかくならんと考えつつ。
しかし林道は登山道に比べれば歩きやすかった。あまり乗り気でない遠回りの林道も、濃霧の中でも案外簡単に距離を稼げた。やがて左手に渓流の音が聞こえ始めたが、やはりホタルは現れず。この時刻で大雨の後では無理なのだろう。
ホタルではないが、風で落ちた木の葉や、足元の草がヘッドライトの明かりで反射する様子は美しい。また、夜の虫、特に蛾や蝶の類の目玉がヘッドライトで赤く光る様も日中の登山では見られない面白い光景であった。
日影林道を霧に戸惑いながらもバス通りまで降りた。ホタルへの遭遇はなし。当初は更に小下沢林道を遡るつもりでいたが、濃霧でやる気が低下してしまい、今回はここでしまいにすることとした。蛇滝コースを登り返して高尾山口方面へ下ろう。
鳥の声さえ聞こえない通常の徹夜ハイクに比べると、中央道の騒音が聞こえる今回の徹夜ハイクはずいぶんと気楽なものだった。中央道をガスが激しく登っていく様子が、ナトリウムランプ越しにはっきりと見て取ることができた。
蛇滝への登り口は老人ホーム清明園の入り口と一緒であった。小仏から下ってくると、蛇滝行場上り口の文字は裏側に回っていて読み落としてしまいそうであるった。
行場までは舗装道路で、街灯も明るかった。しかし安心して歩けるのも行場までで、蛇滝(行場のため一般登山者は入れない)を過ぎると、暫くの間はヘッドランプ頼りで、やや登りのきつい。登山道が始まった。程なく汗ばみ、吐く息が白くなり、全身から湯気が立った。湿度が非常に高いので、冬のようなことが起きていたのだ。
とはいってもそこから薬王院まではそれほど離れてもいない。上部の1号登山道と思しき方角からは4時前だというのに早くも登山者たちのにぎやかな声も聞こえた。こちらのヘッドランプの明かりがいきなり飛び出してびっくりしないようにと、最後は暫く1号路と並行する2号路方面を歩き、浄心門付近で1号路へ合流した。
3時半だと、晴天ならそろそろ明るくなるところだが、この曇天と霧では、今しばらくヘッドランプが必要そうだし、ここまでも足元の悪さに相当難儀したから、高尾山口までは舗装された1号路で無難に下山して、いつぞやのように金比羅台経由で下山することは控えよう。
曇天ながらも、登山口が近づくにつれて、4時を回ると、空は明るさを帯びてきた。
明かりの気配を感じたので振り向くとヘッドライトの明かりが見えた。自分と同じ徹夜ハイカーだろうか。いいペースで降りてくるから、やがて追い越すであろうと思ったのだが、結局追い抜かれなかった。彼(?)はどこへ下っていったのだろうと思いながらも、1号路の入り口で高尾山の神様に無事のお礼をした。
高尾山口駅へ4時30分には着いてしまい。このまま電車を待つのももったいなく思い、高尾駅までひと駅歩くことにした。オンラインの地形図ではトリックアート美術館あたりから金比羅尾根へ乗れるような記述があったのだが見つからなかった(高尾山登山詳細図には記載がないことを後で知った。うかつであった)。
結局、金比羅台からの出口であるところの「高尾山ちか道入口」のはす向かいにある路地を通って京王線の線路をくぐり、ひと登りして四辻方面分岐点を通過し、人家の裏手の山道を通過しながら、金比羅宮のピークに到着した。霧の中の徹夜ハイク、何のトラブルもなく下山できたことを感謝した。
あとは金比羅山登山口の標識までのちょっとした斜面を、スリップと転倒に気をつけながら降り切り、高尾駅近くの住宅地に飛び出した。
コースを決めて無心に歩ききろうとする縦走に比べると、あまりピリッとしない山行きにも感じられた。
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