日本百名山
一等三角点百名山
しま山100選
九州百名山
九州百名山(九州百名山地図帳)
都道府県別最高峰
日本の山岳標高1003山
鹿児島県・沖縄県の山(分県登山ガイド)
日本の山1000
日本百霊峰
魅力別で選ぶ日本新百名山
ふるさと百名山
特選日本名山50
山渓花の百名山地図帳
白籏史朗の百一名山
歩いてみたい日本の名山
山登り365日
自然素晴しい50選
日本いで湯百名山
屋久島
宮之浦岳(みやのうらだけ)
鹿児島県
最終更新:ヤマレコ/YamaReco
世界自然遺産に登録された九州地方最高峰
宮之浦岳は屋久島の中央部に立つ山です。九州地方最高峰で、標高は1936mです。
また、日本百名山の中では最南に位置し、百座目に数えられます。
高い山を擁する屋久島
宮之浦岳がある屋久島は、鹿児島県に属し、大隅半島の南方沖約60kmにあります。周囲およそ130kmの島ながら、中心は山岳地帯で、標高1500m以上の山が連座します。
高い峰々は総じて「八重岳」と呼ばれたり、「洋上のアルプス」とも評されています。また、宮之浦岳、永田岳、黒味岳の三座は「三岳(みたけ)」や「奥岳」と呼ばれています。奥岳は麓から見えないことを意味します。
屋久島は花崗岩の隆起でできた島で、上昇は現在も続いています。
宮之浦岳を含む山塊もすべて花崗岩で構成されており、山中にいると巨大な花崗岩をあちこちで見かけます。
特異で豊かな自然を誇り、島全体の約21%が世界自然遺産に指定されています。登録されたのは1993年で、白神山地や姫路城と併せて日本で初めての出来事でした。
"ひと月に35日雨が降る"島
屋久島は多雨です。主な理由は山が高く、周りを囲む海が暖流のためです。黒潮からの暖かく湿った空気は、山岳にぶつかると冷やされて、雨雲をもたらします。
「ひと月に35日雨が降る」は屋久島を語るうえで有名な決まり文句です。この言葉は、小説家・林芙美子(はやしふみこ:1903-1951年)の著作「浮雲」で述べられた表現に基づくとされています。
高い山と圧倒的な雨量は、多くの渓谷を生み出しています。沢登りもよく行われているほか、島内の電力のほぼ100%は水力発電により賄われています。
小型動物の宝庫
島の9割を占めるのは森林です。野生動物に出会うこともしばしばで「人2万、シカ2万、サル2万」が住むと例えられるほどです。
代表的な動物は、ニホンジカの亜種であるヤクシカと、屋久島に固有のヤクザルです。どちらも小柄で、大型動物の種類が少ないことも屋久島の特徴です。
杉の巨樹が育つ独自の生態系
屋久島登山のみどころのひとつが、大きな杉の木です。一般的な杉の寿命は500年ほどですが、それよりはるかに年を重ねた杉がいくつも立っています。
樹齢1000年以上とされる杉は「屋久杉」、それ以下は「小杉」と分類されます。名付けられた屋久杉も多く、「紀元杉」「夫婦杉」「くぐり杉」などがあります。
「縄文杉」は現在確認されている中では最大の屋久杉です。周囲は16mを超え、樹齢は2000年から7200年と推測されています。杉が長寿である要因は、花崗岩の痩せた土地で成長が遅く、材が緻密になり腐りにくいからとされています。
山域は植物の種類に富み、"ヤクシマ"を冠する植物や固有種も多く、屋久島を分布の南限とする植物は200種以上とも言われています。近年は新種の発見も相次いでいます。
また、標高ごとに植生の分布が変化する垂直分布が顕著です。
海岸部はガジュマルやアコウなど亜熱帯の植物が自生します。低山地は照葉樹林帯が広がり、高度を上げると針葉樹の森へと遷移します。標高1700m以上の山頂部はヤクシマダケ(ヤクザサ)の草原が広がり、亜高山帯の草花が見られます。
ヤクシマダケと共に自生するヤクシマシャクナゲは、屋久島の固有種です。花期は5月下旬から6月上旬で、笹原と花崗岩と共に美しい風景を作り出します。
「花之江河(はなのえごう)」は国内の高層湿原の南限です。
見どころに事欠かないトレッキング
屋久杉の他にも名所は多く、ピークハント以外の楽しみも盛りだくさんです。
「白谷雲水峡」は、苔むした森と澄んだ川が神秘的な森です。長編アニメーション映画「もののけ姫」の舞台のモデルになったと言われており、見ているだけで心が洗われるような魅力があります。
また、トロッコ道を歩く貴重な体験もできます。
「荒川登山口」から縄文杉や宮之浦岳を目指した場合、しばらくはトロッコの軌道上を歩くことになります。
トロッコはかつて、資材として切り出した屋久杉を運ぶために稼働していました。現在も現役の森林鉄道で、トイレのし尿搬出や物資運搬の目的で不定期に往来しています。
「ウィルソン株」は中が空洞の大きな切り株です。
空洞の中には泉が湧きだし、祠が据えられています。ここから空を見上げると、角度によっては光がハートの形に降り注ぐことから、フォトスポットとして注目を集めています。
花崗岩の造形美も、目を喜ばせてくれます。
高盤岳(こうばんだけ)山頂には「トーフ岩」と親しまれる岩があります。
「投石平(なげしだいら)」は、巨岩がまるで舞台のように露出しています。
山岳信仰が息づく
屋久島の山々は、古くから神々が住むとして信仰されています。
集落ごとに定まった山へ登り、豊漁豊作や無病息災を祈る「岳参り(たけまいり)」なる風習があり、現在もいくつかの集落で行われています。
宮之浦岳は、宮之浦集落の信仰対象であることから付いた名だそうです。さらに「宮之浦」の名は、集落に鎮座する益救神社(やくじんじゃ)にちなみます。益救神社は別名「救いの宮」で、これがある浦(=入江)を意味します。
海を望む大パノラマ
宮之浦岳の山頂は、花崗岩の巨岩がごろつく中に一等三角点が設置されています。
そばの巨岩の割れ目の中には、益救神社の奥社である一品宝珠大権現(いっぽんほうじゅだいごんげん)の祠があります。
遮る物がない眺望で、屋久島の峰々を見渡します。海を挟んで望むのは種子島や口永良部島、トカラ列島、九州本土などです。
各所にある水場と避難小屋
屋久島では登山道には"歩道"の名が付けられています。
宮之浦岳へ通じる行程はどれも長く、多くの登山者は山中で一泊します。
山小屋は無人の避難小屋のみで、白谷山荘、高塚小屋、新高塚小屋、鹿之沢小屋、淀川小屋、石塚小屋の6箇所です。小屋の混雑時などは、周辺にテントを張ることができますが、それ以外での幕営は禁止されています。
小屋の中は、ヤクシマヒメネズミが出ることがあります。小型で可愛い姿ですが、食糧やごみを荒らすことがあり、匂いのする物は天井に吊るしておくのが無難です。
水場は山域の随所にあり、困ることはありません。
近年はオーバーユースによる混雑や、トイレのし尿処理の負担、歩道の踏み荒らしなどが問題になっています。そのため、山岳部環境保全協力金の納入が任意で求められています。また携帯トイレブースもいくつか設置されており、携帯トイレの使用が推奨されています。
冬季も登ることができますが、雪が降ることがあります。積もることもしばしばで、しっかりとした装備で入山する必要があります。
モデルコース(淀川登山口〜宮之浦岳〜白谷雲水峡)
1日目:6時間 9.9km
淀川登山口(36分)→淀川小屋(87分)→花之江河(111分)→栗生岳(21分)→宮之浦岳(47分)→平石(58分)→新高塚小屋
2日目:6時間1分 10.7km
新高塚小屋(62分)→縄文杉(51分)→ウィルソン株(16分)→大株歩道入口(101分)→楠川分れ(62分)→辻峠(21分)→白谷山荘(48分)→白谷雲水峡
島内観光も楽しみたい
島外から訪れた登山者の多くは、せっかくならと屋久島観光も満喫しています。
水源が豊かな屋久島ならでは、カヤックやキャニオニングなど川のアクティビティも人気です。
「大川の滝」や「千尋(せんぴろ)の滝」などの名瀑も一見の価値があります。
シュノーケリングなどの海遊びも盛んですが、夏季は浜辺でアカウミガメの産卵が観察できます。
また、海岸沿いには温泉がいくつか湧出しています。
「平内海中温泉」は、海の中から湧き出ている珍しい温泉です。利用できるのは1日2回、干潮の前後約2時間のみ温泉が現れます。荒磯を間近に、開放感たっぷりの湯あみを堪能することができます。
トビウオや「首折れサバ」などの新鮮な海の幸にも注目です。首折れサバは、水揚げ後すぐに首を折り、血抜きをしたゴマサバです。鮮度が抜群のため、刺身でもいただけるほどです。
カメノテは"漁師のおやつ"と称される珍味で、亀の手のような見た目はインパクトがあります。
登山口 |
荒川登山口 淀川登山口 白谷広場 ヤクスギランド入口 花山歩道入口 永田歩道入口 |
---|---|
周辺の山小屋 |
※すべて無人の避難小屋 白谷山荘 高塚小屋 新高塚小屋 鹿之沢小屋 淀川小屋 石塚小屋 |
基本情報
標高 | 1936m |
---|---|
場所 | 北緯30度20分09秒, 東経130度30分15秒 |
山頂 |
---|
山の解説 - [出典:Wikipedia]
宮之浦岳(みやのうらだけ)は、鹿児島県の屋久島中央部の山である。標高1,936 mで、屋久島の最高峰であり九州地方の最高峰でもある(九州本土の最高峰は大分県の九重連山・中岳で標高1,791m)。
山域は、ユネスコの世界遺産「屋久島」として登録されている。
日本百名山、一等三角点百名山の一つでもあり、西日本では、四国の愛媛県・石鎚山 (1,982 m)、徳島県・剣山 (1,955 m) に次いで、第3の高峰である。山名の由来は、益救神社の建つ湊の集落が宮之浦と呼ばれるようになり、宮之浦集落の山岳信仰(岳参り)の山として登られたことから。
熊毛郡屋久島町内にあり、永田岳 (1,886 m)、栗生岳(1,867 m)とで、屋久島三岳と呼ばれる(栗生岳ではなく黒味岳を屋久島三岳とする例も見られる)。1,000万年以上前に地殻変動によって隆起したといわれており、主に花崗岩で形成されている。
屋久島ではモッチョム岳・愛子岳など麓より見える山を「前岳」、麓より見えない山を「奥岳」と呼んでおり、宮之浦岳は奥岳の一峰で屋久島最高峰である。永田岳を除き、奥岳は海岸沿いの人里からはその姿を望むことができず、山の上か海上からしか見ることができない。
地質は花崗岩からなり、山上では侵食された奇岩が多く見られる。植生は、標高約1600m以上の山頂部はヤクシマダケ(ヤクザサ)にヤクシマシャクナゲ・アセビ・ミヤマビャクシンなどが点在する風衝草原で、その下に屋久杉・ヒメシャラなどの樹林帯が広がる。
長年、宮之浦岳の標高は「1,935 m」とされ、屋久島島内では「いつも(1)曇って(9)見えんで(3)ござる(5)」と覚えられてきたが、2001年に国土地理院が標高を測量した結果、それまで最高地点としていた三角点。
付近の山
この場所に関連する本
この場所を通る登山ルート
おすすめルート
-
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月薩南諸島、南シナ海に浮かぶ屋久島の最高峰にして九州地方の最高峰でもある宮之浦岳。 その独特な気候に育まれた原生林は世界遺産にも登録され、宮之浦岳そのものも日本百名山に選ばれています。大自然と素晴らしい展望を楽しむ宮之浦岳。ぜひ一度は登っておきたい山のひとつです。
-
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月薩南諸島、南シナ海に浮かぶ屋久島の最高峰にして九州地方の最高峰でもある宮之浦岳。 その独特な気候に育まれた原生林は世界遺産にも登録され、宮之浦岳そのものも日本百名山に選ばれています。大自然と素晴らしい展望を楽しむ宮之浦岳。ぜひ一度は登っておきたい山のひとつです。
「宮之浦岳」 に関連する記録(最新10件)
屋久島
17:3630.1km1,899m6
92 18
2024年11月12日(2日間)