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立山(たてやま) / 大汝山

氷河を擁する信仰の山

"立山"
"立山"

立山は富山県にある3つのピークの総称で、雄山(おやま)、大汝山(おおなんじやま)、富士の折立(ふじのおりたて)で構成されます。最高峰は標高3015mの大汝山ですが、雄山のみを立山と指したり、雄山に登ることを「立山登山」とすることもあります。富山平野から望む立山連峰は明媚で、日本百名山、新日本百名山に選定されています。また富山県章のモチーフであり、学校登山も盛んな山で県民に深く愛されています。

"雄山山頂より:御前沢雪渓"
"雄山山頂より:御前沢雪渓"

雄山東面の御前沢雪渓は、日本国内で現存する数少ない氷河のひとつです。反対側斜面の「山崎カール」は氷河の侵食作用で作られた地形で、国の天然記念物です。
山域の西側には「立山火山」がありますが、立山三峰自体は火山ではありません。「地獄谷」は現在も火山性ガスを噴き出しており、荒涼とした地形と火山湖は見どころです。

天国と地獄があるとされた霊山

"呉羽山展望台:立山を指す佐伯有頼の像"
"呉羽山展望台:立山を指す佐伯有頼の像"

立山は日本三霊山に数えられ、山そのものが御神体です。
長く遙拝されてきましたが、701年に越中国司の子・佐伯有頼(さえきありより)によって開山されました。
伝説によると、有頼は阿弥陀如来の化身である熊を矢で射てしまい、傷を負った阿弥陀如来に霊山を築くよう告げられたそうです。

"地獄谷"
"地獄谷"

「立山信仰」は山を極楽浄土と地獄に見立てる「山上他界」が特徴です。巡拝することで、疑似的に死して地獄の苦行を積み、極楽浄土へ向かいます。
「立山地獄」は地獄谷付近のことを指し、浄土山は極楽浄土、立山本峰は阿弥陀如来の体にみなされました。また、剱岳は針山地獄でした。

頂上を視界に捉えながら登る

"玉殿の湧水"
"玉殿の湧水"

一般的な起点は室堂(むろどう)で、立山黒部アルペンルートを利用してアクセスします。
室堂ターミナルは登山の拠点となる場所です。常に観光客で賑わっており、アルペンルートの乗り継ぎ駅のほか、ホテル立山、郵便局、飲食店や売店を併設します。
ターミナルを出るとすぐに、どっしりと聳える立山連峰が目の前に飛び込んできます。
冷たい軟水の「玉殿の湧水(たまどののゆうすい)」が湧き出ており、登山前の水の調達にぴったりです。

"一ノ越から雄山への登り"
"一ノ越から雄山への登り"

一ノ越までは石畳が整備されており、常に展望の良い歩きです。
そこから雄山へは岩がごつごつした急登に変わり、更に高度を感じます。夏季は混雑することがあり、落石や転倒事故に注意です。

日本海まで抜ける展望

"山頂より:室堂平、地獄谷を見下ろす"
"山頂より:室堂平、地獄谷を見下ろす"

"山頂より:北アルプス南部を望む"
"山頂より:北アルプス南部を望む"

稜線からの眺望は素晴らしく、室堂平の方に目をやれば奥大日岳が見えます。背後には富山平野と日本海も確認できます。
一方の北アルプス方面は秀峰が連なり、剱岳をはじめ白馬連峰、穂高の峰々など壮観です。眼下には黒部湖と御前沢氷河も見られます。遠方には富士山、その両脇に八ヶ岳、南アルプスが並びます。

"雄山神社峰本社"
"雄山神社峰本社"

雄山山頂は雄山神社峰本社が鎮座しています。御祈祷を受けると鈴のついたお札を頂くことができ、授与所では御朱印やお守りを授かることができます。
雄山より20分ほど稜線を進むと大汝山に着きます。最高地点は岩場ででこぼこしており広くありません。休憩は、やや下りた所の大汝山休憩所が適しています。登山シーズン中のみ開いており、売店があります。
更に富士の折立を踏んで周回するルートも人気で、真砂岳、別山を経て雷鳥坂より下ります。

多彩な自然を満喫

"タテヤマチングルマ"
"タテヤマチングルマ"

立山は「花の百名山」でもあり、豊かな自然を鑑賞できます。
タテヤマリンドウやタテヤマウツボグサなど、「タテヤマ」を冠する高山植物もいくつか見られます。タテヤマチングルマは、花びらが薄桃色の珍しいチングルマです。

"紅葉の山崎カール"
"紅葉の山崎カール"

紅葉は9月中頃から始まりますが、パッチワークの様な山肌は一見の価値があります。
雪深い立山は、春スキースポットとしても知られており、残雪期は広大な雪面に鮮やかなシュプールが描かれます。

"ライチョウのつがい"
"ライチョウのつがい"

山域にはライチョウやオコジョが生息しています。運が良ければ愛らしい姿を目にするかもしれません。

出で湯を堪能する

"みくりが池温泉とみくりが池"
"みくりが池温泉とみくりが池"

地獄谷は、火山性ガスが発生しており立ち入ることはできませんが、周辺の火山湖はトレッキングスポットです。
美しい紺碧のみくりが池や、酸化鉄により赤みを帯びた血の池などを巡ります。
付近で湧出する温泉は、硫黄の香りがするにごり湯で豊富な湯量を誇ります。みくりが池温泉らいちょう温泉雷鳥荘雷鳥沢ヒュッテロッジ立山連峰(※台風・雪害のため2020年の営業見込みなし、2020年4月現在)で入浴可能です。みくりが池温泉は日本最高所の天然温泉で、富山湾の幸を使った料理が評判です。

"雷鳥沢キャンプ場"
"雷鳥沢キャンプ場"

温泉地を少し進むと雷鳥沢キャンプ場があります。広々として整地されており、立山連峰を見渡せるロケーションです。家族キャンプを楽しむ人も多く、夕焼けや星空の美しさは感動的です。

モデルコース


4時間16分/6.4km
室堂(70分)→一ノ越(64分)→雄山(3分)→雄山神社(20分)→大汝山(19分)→雄山(35分)→一ノ越(45分)→室堂
登山口 室堂
基本情報
標高 3015m
場所 北緯36度34分33秒, 東経137度37分10秒
カシミール3D
山頂 大汝山(おおなんじやま)
展望ポイント

山の解説 - [出典:Wikipedia]

立山(たてやま)は、日本の飛騨山脈(北アルプス)北部にあり、中部山岳国立公園を代表する立山連峰と後立山連峰と称す複列連峰の峰々で群峰となる雄大な山塊として、また、立山信仰の山号として知らている。一つの山脈が造山過程で東西に分かれて複列連峰となる。立山連峰の立山本峰と称す三連峯、主峰の雄山(おやま、標高3,003m)、大汝山(おおなんじやま、標高3,015 m(最高標高峰))、富士ノ折立(ふじのおりたて、標高2,999 m)と、立山三山と称す三つの峯、立山本峰の雄山、北の別山、南の浄土山の三山と本峰が連成して立山信仰の中心をなし、更に本峰と三山を取り囲む外郭山系の連なり全体で立山を構成し、須弥山、および、曼荼羅を表す。立山は、北方に剱岳山系や毛勝山、越中駒ケ岳山系、西方に大日岳山系、南方に薬師岳方面、東方に後立山連峰へ連なって蓮華のうてなに仏を表し三俣蓮華岳南方双六岳(蓮華岳)辺りまで連なる。(地図記号は、立山本峰を表して、本峰主峰と三山をなす雄山、又は、本峰の最高標高峰の大汝山が立山とのみ略称表記される。)
立山は雄峰立山七十二峰八千八谷と謳われ、古来より信仰の対象として神々が宿るとされ、現在でも信仰登山が行われている。 古くは多知夜麻(たちやま)とも立山(りゅうさん・りゅうせん)とも称された。国文学表現の「植うる(ううる)剣」とも「太刀の峯」とも謳われる。 また、観光上有名な立山黒部アルペンルートは、立山連峰から後立山連峰を横断して、数々の山岳風景を楽しませてくれる。 また、立山連峰(剱岳、雄山、富士ノ折立には、日本では数少ない氷河が現存する。
立山は日本三名山、日本三霊山(三大霊場,三大霊地)、日本四名山、日本百名山、新日本百名山および花の百名山に選定され、富山県のシンボルの一つとされている。
「立山」は、称名川から弥陀ヶ原、室堂や地獄谷、立山カルデラなど立山一帯を含んだ地理的な広がりと、立山信仰や遥拝登山など精神的な広がりを含んだ複合的な意味を持っている。開山縁起に始まり、立山本峰や立山三山、劔岳などの外郭山系が連なり立体的な立山曼荼羅を形勢し、精神的な信仰世界を体現させている。
立山三山は、浄土山、雄山、別山からなり、阿弥陀「過去」、釈迦「現在」、弥勒「未来」の三世諸仏に擬えられる。
立山三山をめぐる立山登拝は、須弥山の天界思想に到達するもので、地獄と浄土による生死観の対比、および、立山本峰に至って雄山の山頂(雄山神社峰本社)から北辰に重ねて大汝を拝むこと、これ即ち宇宙に己(大汝)を写して己を悟るものと考えられ、古来修験より信仰が広がっている。また、大日岳や雄山から剣岳(?利伽羅不動明王)を拝むことも同様である。信仰上、大汝山や剣岳は拝む山であり自らが登る山ではない。
この立山登拝の際に、河原で石を携えて雄山の山頂に石を供える習わしがある。天界浄土となる立山本峰は、富山城下から見ると、立山の大日岳による死角に隠れされている。登拝は、麓の雄山神社、岩峅寺の麓大宮(前立社壇)にて、立山に入山する者の身の穢れや罪を祓い、道中無事の祈願から始まる。立山の雄山の山頂には、雄山神社本宮(峰本社)があり、霊山信仰を導いている。
また、立山と略称した場合に、単に、「立山信仰の山」、「立山本峰」、「立山三山」、「立山連峰」、「立山に属する山」、などを省略したに過ぎない場合がある。いずれも立山である。しかし、立山への理解の広まりとともに、大きな概念を含む立山において、立山と記す時、先の夫々を指して長らく混乱が続いてきている。ただ単純に立山と述べる者の観点により、狭義の立山、などとして都合のよく用いられつづけてきたもので、正しくは省略すべきではない。それ故に略称された場合には、立山と用いる者が指すものを問う必要性が生じている。正しく用いるならば、立山とのみ称する単峰、二連峰、三連峰も三山すらも存在はしない。
かつて山体は立山カルデラにあり、元の立山火山の山頂部は侵食で喪失している。弥陀ヶ原と五色ヶ原はこの火山の火砕流堆積物や溶岩の台地である。ミクリガ池、ミドリガ池は火口湖であり、現在の立山火山の主な火山活動は地獄谷周辺の火山性ガスの噴出と温泉噴出である。
雄山神社の峰本社神殿右端の前には、測量の基準である大きな黒御影石の標石(標高点3,003 m)があり、その約70 m南南西に一等三角点(標高2,991.59 m、点名は立山)の標石が設置されている。
立山について万葉集には「多知夜麻」と記された。
国文学的表現として立山は「植うる剣」とされて、” 荒城の月 ”の歌詞にある「ううる剣」のモチーフの基でもある。

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