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Yamareco

聖岳(ひじりだけ) / 前聖岳

都道府県 長野県 静岡県
最終更新:ヤマレコ/YamaReco

南アルプスを眺め渡す山域最南の3000m峰

"聖岳"
"聖岳"

聖岳は長野県と静岡県の県境にそびえており、日本百名山に選ばれています。
ピークは前聖岳と奥聖岳があります。前聖岳の標高は3013mです。最高地点で、一般的に聖岳は前聖岳を指します。国内でも高い山が連なる南アルプスにおいては、最南端の3000m峰です。
一方の奥聖岳は標高2979mで、三等三角点が設置されています。
アプローチや歩行時間は易しくありませんが、ダイナミックな山岳風景を満喫できる山です。

"聖沢"
"聖沢"

山名の由来を複数持っており、気高い雰囲気を醸すことにちなむ説や、平安時代の修験者の名を当てたとする言われがあります。
一方で、南東に流れる聖沢を抱える山として名付けられた説もあります。聖沢の語源は、流れが肘を曲げたような形の「ひじ折る」や、遡行時にへずる(へつる)ことが多い「へずり沢」が転訛したと言われています。
また長野県側ではかつて「西沢山」とも呼ばれていたようです。これは、山域に流れる遠山川の支流で、源頭に近い西沢に由来します。

眺望絶佳の山頂

"聖岳山頂より赤石岳を望む"
"聖岳山頂より赤石岳を望む"

聖岳の山頂は花崗岩の岩場です。

"奥聖岳山頂より富士山を望む"
"奥聖岳山頂より富士山を望む"

展望は良く、スケールが大きな南アルプス南部の山々を存分に望みます。
間近には堂々と並ぶ赤石岳悪沢岳、その背後には塩見岳仙丈ヶ岳などが連なります。
北アルプスや中央アルプス、富士山も眺めることができます。

植生保護が図られる山

"聖平"
"聖平"

山腹はコメツガやシラビソなどの針葉樹林に覆われていますが、聖平は趣きが異なります。平坦で草が茂り、まばらに木々が横たわる独特の風景です。これは1959年の伊勢湾台風によるものと言われます。

"聖平:防鹿柵内のニッコウキスゲ"
"聖平:防鹿柵内のニッコウキスゲ"

お花畑も見られますが、近年はシカによる食害が発生しています。かつては見事だったニッコウキスゲの群落もその被害を受け、防鹿柵を設置して植生の保護と復元が図られています。薊畑の周辺も高山植物が鑑賞できる草地で、同様に鹿対策がなされています。

"チングルマ"
"チングルマ"

森林限界を超えた山頂部では、チングルマコイワカガミなど、可憐な花々の群落が見られます。
ハイマツを棲み処とするライチョウも生息しています。

静岡県側のお決まりは聖沢登山口

"登山道概要(聖沢登山口〜聖岳)"
"登山道概要(聖沢登山口〜聖岳)"

聖岳は、静岡県側と長野県側のどちらからでも登ることができます。
静岡県側からは複数の登山口が選べますが、最も短い時間で登れるのは聖沢登山口です。

"畑薙ダム臨時駐車場"
"畑薙ダム臨時駐車場"

聖沢登山口へのアプローチは、特定の車両以外は通行することができません。
一般的には畑薙第一ダムに設けられた臨時駐車場から送迎バスに乗り換えます。

"送迎バスを待つ登山者"
"送迎バスを待つ登山者"

送迎バスは株式会社特種東海フォレストが運行しており、乗車するには対象の山小屋に泊まることが条件です。

"聖沢:聖沢吊橋"
"聖沢:聖沢吊橋"

聖平までは、聖沢に沿って道が付いています。

"トラバースする登山者"
"トラバースする登山者"

幾度か沢を渡り、ガレ場をトラバースします。

"聖平小屋"
"聖平小屋"

聖平に建つ聖平小屋は、聖岳に最も近い山小屋です。たいていの登山者はここで夜を過ごします。

"小聖岳より聖岳山頂部を望む"
"小聖岳より聖岳山頂部を望む"

薊畑からは2県の境界に沿った主稜線を北上します。行く先には聖岳の雄々しい山頂部が見えています。
山頂へのラストスパートは、砂礫の急坂です。

長野県側は易老渡から登る

"登山道概要(易老渡〜聖岳)"
"登山道概要(易老渡〜聖岳)"

長野県側から聖岳へ登る場合、登山口は易老渡(いろうど)です。ここには特定車両しか入ることができません。そのため自家用車でアクセスする場合は、手前の芝沢ゲートに車を停め、林道を歩いて進みます。
易老渡は光岳(てかりだけ)を目指す際にもよく利用されています。

"聖光小屋"
"聖光小屋"

易老渡から林道を更に進めば、便ヶ島(たよりがしま)です。ここには聖光小屋が建っています。

"ワイヤーロープウェイ"
"ワイヤーロープウェイ"

西沢渡は木製の橋が架けられていますが、増水時は渡ることができません。その場合、手動のワイヤーロープウェイを使い横断します。このロープを手繰るには、かなり力が要るようです。

"苔平"
"苔平"

ここから薊畑までは傾斜のきつい尾根道です。林床が苔むした樹林帯で、登山道上にも木の根が張り出しています。

泊りがけで楽しむ聖岳

"茶臼小屋"
"茶臼小屋"

南アルプス南部は登山時の標高差が大きく、どの山へ登るにも時間を要します。聖岳も例外ではなく、通常は泊りがけで登山計画を立てます。

山小屋の選択肢はいくつかあり、森林限界を超えるかどうかで特色が異なります。
南アルプスは標高2700mほどが分かれ目です。これを超えない位置の山小屋は、テント泊が可能で水場が備わっています。

"赤石岳山頂より赤石岳避難小屋を望む"
"赤石岳山頂より赤石岳避難小屋を望む"

片や標高の高い山小屋は、水が貴重でテントを張ることも叶いません。ただし、稜線からの大パノラマが堪能できます。

縦走登山にも注目

"上河内岳山頂より聖岳(中央)、赤石岳(中央右)、悪沢岳(右)を望む"
"上河内岳山頂より聖岳(中央)、赤石岳(中央右)、悪沢岳(右)を望む"

聖岳のほか、複数の山を数日間をかけ巡る山行も好まれています。

"登山道概要(聖岳〜赤石岳〜悪沢岳)"
"登山道概要(聖岳〜赤石岳〜悪沢岳)"

日本百名山の達成を目指す登山者には、聖岳、赤石岳、そして悪沢岳の3座を押さえる組み合わせが魅力的なようです。王道は、椹島(さわらじま)を出発してぐるりと周回する行程です。

"登山道概要(聖岳〜光岳)"
"登山道概要(聖岳〜光岳)"

また、聖岳から上河内岳茶臼岳光岳を結ぶ稜線歩きも人気です。
登山口 聖沢登山口
芝沢ゲート
易老渡
茶臼岳登山口
椹島
周辺の山小屋 聖平小屋
聖光小屋
茶臼小屋
百間洞山の家
赤石岳避難小屋
赤石小屋
椹島ロッヂ

以下は避難小屋
兎岳避難小屋
横窪沢小屋
ウソッコ沢避難小屋
基本情報
標高 3013m
場所 北緯35度25分21秒, 東経138度08分22秒
カシミール3D
山頂
展望ポイント

山の解説 - [出典:Wikipedia]

聖岳(ひじりだけ)は、赤石山脈(南アルプス)南部の静岡市葵区と長野県飯田市の境界に位置する標高3,013 mの山である。日本百名山に選定されている。
南アルプス国立公園内にあり、主峰は標高3,013 mの聖岳(前聖岳と表記される場合がある)で、その東側約500 m の地点に奥聖岳、南側約800mの地点に小聖岳を従えている。全国で21座ある3,000 m峰の中では最も標高が低い。南アルプス中で最南端の3,000 m峰である(日本最南端の3,000 m峰は富士山)。山頂周辺とその南側の標高2,300 m ほどに位置する聖平に、大規模な高山植物の群生地がある。山名は、南東を流れる聖沢が肘(ひじ)を曲げたような形で、その「ひじ折る」や「へずり」が転化したのとされている。別名が「日知ヶ岳」(ひじりがたけ)。南面にはカール地形がある。南西斜面には大規模な崩落地があり、赤色チャート(ラジオラリア盤岩)の露出地がある。

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2024年11月07日(3日間)
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2024年11月03日(日帰り)
塩見・赤石・聖
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塩見・赤石・聖
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chieco, その他2人
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塩見・赤石・聖
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2024年10月21日(3日間)
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2024年10月20日(3日間)
塩見・赤石・聖
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2024年10月13日(2日間)