ソロで行く水平歩道と下ノ廊下 十字峡でのルートミス
- GPS
- 29:57
- 距離
- 35.6km
- 登り
- 7,339m
- 下り
- 6,466m
コースタイム
- 山行
- 4:47
- 休憩
- 0:21
- 合計
- 5:08
- 山行
- 7:39
- 休憩
- 1:11
- 合計
- 8:50
天候 | 初日は,小雨。二日目は快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
2. 帰りは黒部ダムからトロリーバスに乗って扇沢までいきました。それからバスを使って長野駅まで移動しました。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
1. 水平歩道はとてもよく整備されておりました。その一方で,下ノ廊下の白竜峡の一部は頻発する地震のため補修工事の完了が未定でした。上級者向けの登山道だと思います。 2. あと,十字峡展望台(あとになってわかった)では,下に降りられるようにザイルが張ってありますが,とても滑りやすいです。ザイルを掴んでなかったら,こうして記録していなかったことでしょう。 |
その他周辺情報 | 月曜なのでトロリーバスが空いていると思ったら観光客で一杯でした。 |
写真
装備
個人装備 |
ストック
iPhone
コンパス
バッテリーパック
地図(1/25000)
スントトラバースアルファ
ナイフ
プラティパス 2.0 L
キャンドル
ヘッドライト (予備電池)
救急用具
筆記用具
タオル
トイレットペーパー
ウエットティッシュ
行動食
補修テープ
ガイロープ
コンタクトレンズ
歯磨きセット
財布
ラジオ
アルコールストーブ
ライター
コッヘル
スプーン
食料
アルコール燃料
NEMOテント
シュラフ
インナーシュラフ(コクーン)
KLYMIT イナーティア Xライト
LED ソーラーランタン
ホッカイロ多め
|
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備考 | ショッツが少なくて,ガス欠。甘いものももっていく。 |
感想
「阿曽原温泉小屋の営業は終了しているけれども,テントサイトは11月8日まで,水場・トイレの利用を出来るようにはしておきます」
こんな情報を阿曽原温泉小屋の管理人さんのホームページで発見しました。頻発する地震のために一度は諦めかけたのですが,下ノ廊下を歩いてみたいと気持ちが沸々を湧き上がり,静かに「俺は行くぞ」と決意しました。
しかしもう季節外れで,トロリーバスの始発時間が8時過ぎと,現実的ではありませんでした。そこで黒部新駅に至る深夜バスを発見し,なんとか始発のトロッコで欅平にたどり着くことができました。トロッコ電車は今でも資材運搬に,仙人ダムと黒部ダムを結んでおります。このトンネル工事の際に最も過酷であったのが,阿曽原地区でした。今では阿曽原温泉小屋として知られているところです。このような男のロマンをひたすら感じたい!というのも,今回の目的です。また,十字峡での痛恨のルートミスもここに記したいと思いました。
さてさて話を戻すと,欅平から水平歩道を通って,阿曽原温泉小屋に向かいました。水平歩道はよく整備されておりますが,それでも落ちたら助かりません。なかでも大太鼓展望台は絶景なのですが,なにせ道幅が狭いので,ゆっくりと写真を取ることはできませんでした。
初日は,小屋の営業が終わったけれどテン泊は大丈夫な阿曽原温泉小屋にたどり着きました。テン泊するために小屋の管理人さんを伺うと,まさに小屋の解体中でした。忙しいときにきて,すまない感じがしましたが,快く受け入れて下さいました。また,営業期間外なので,露天風呂(冬期は風呂の栓を抜いているそうです)もあてにしていなかったのですが,運良くまだ開いておりました。テント場には山梨から来たMさんとの二人きりでした。なので,二人で露天風呂を使うという贅沢な体験をしました。風呂わきには高熱隧道の坑口が見えます。銀色のシートのなかは物凄い熱気でした。いまでは温泉として親しまれておりますが,トンネル工事の際にはこの高熱のためにダイナマイトが自然発火したりで,多く工事関係者が亡くなっております。
午後6時頃,レトルト食品で夕飯を済ませると,いつの間にか爆睡しておりました。夜10時に目が覚めると満点の星空でした。こういった機会は滅多にないと思いヘッドライトを付けて,二度目の露天風呂に向かいました。風呂べりにロウソクをおいて,満点の星を眺めながら,来てよかったと思いました。
2日目は快晴でした。Mさんは欅平に戻るので,ここからは僕一人です。この広い峡谷を僕だけが歩いているのが,不思議な感じでした。登山客と遭遇したのは,黒部ダム付近でした。まる一日歩いて,たった一人です。
暫く歩くと,土木学会の「日本の近代土木遺産 」にも認定されている仙人谷ダムにたどり着きます。多くの犠牲者をだして完成されたダムをみて,しんみりしつつも先を急ぐことになります(トロリーバスの時間)。
ダムからS字峡の吊橋までは,ゆったりとした道を歩いていきます。しかし,吊橋にはうっすらと霜が降りていて,かなり慎重に渡りました。
途中,あまり望まないシャワーを浴びたりしてブルッとしながらも,S字峡から十字峡に至ります。十字峡の吊橋の下には青い水が轟々と音を立てて,本流に流れ込んでおります。橋を降りるとすぐに階段をのぼります。登りきったところで,左手にテントが張れそうなぐらいの平らな所がありました。それを眺めていると,赤い矢印が左手に見えました。本来は右手にある赤い矢印が登山道なのですが,完全に見落としておりました。なので,左手の赤い矢印を進んで,しかも赤いリボンも付けられているので,峡谷側へどんどん向かいました。
するとザイルがみえたので,これを掴んで降りるのかと,迷わず進んでいきました。茶色い岩の部分でとてつもなく滑り,腰を思い切り強打しました。手を離したら峡谷へ落ちるところでした。ここで落ち着いて地図を確認しましたが,それでも分岐はなく,「皆,こんな危険なところをパスして渡るのか?」と思いました。
これなら阿曽原に戻るしかないとも,思いかけました。すべらない平らな岩棚を慎重に進んで下を見てみると,登山道はありませんでした。右手を見てみると峡谷ではなく高いところにトレールを発見しました。
粘着質に画像検索してみると,赤い矢印のわきに弓なりになった枝がありますが,2013年の他の方のブログでは,ここに「十字峡展望台へ」という標識が確認されました。赤いザイルで強固に縛られていたので,経年劣化で取れてしまうのは考えにくいです。たとえ取れたとしても下に落ちているのが,自然な考え方です。
ともかくも,僕は十字峡展望台に至るルートを進んだことになります。何度もここを訪れる方はこんなルートミスをしないと思いますが,展望台のザイル箇所は激しく滑りやすいので,注意が必要です。しかも,僕は12キロの荷物をもって滑ったので,危なかったです。
気を取り直して,下ノ廊下の本線に戻ります。阿曽原温泉小屋の管理人さんに言われていたように,白竜峡には補修工事が終わっていないところがいくつかあって,ザイルに体重を預けてパスしなければならないところがありました。ここは油断できませんでした。
黒部別山沢を越えると危ないものの,登山道はしっかりしておりました。まあしかし,腰を強打したために,黒部ダムへ至る急登が予想以上にきつかったです。
ただりついたときにはトロリーバス出発5分前でした。そそくさと切符を買って,歩き通した余韻を感じる時間もなく,また,相手もなく(笑),バスに乗り込みました。
現時点では,満足感よりも,十字峡展望台でのルートミスの精神的ダメージが大きいです。常識的に考えれば,一歩,間違えれば峡谷に落ちるようなところに登山道を作らないはずです。ともあれ,無事に帰ることができたことに感謝しなければなりません。また,今後のご参考になれば幸いであります。
evclimMoutnさん
絶景を独り占め、贅沢な山旅で羨ましい!!ところで先日私も十字峡で同じミスしました。展望台のザイル箇所でお尻を付きながらズルズル下りその先で道がなくなったところでルートミスにようやく気づきました。GPS確認すると十数m外れている!ルートミスに加え結構危険な目にあったことで私も精神的ダメージを多少なりとも受けました。。。「十字峡展望台へ」の標識、是非復活していただきたいですよね。
コメントありがとうございます!
watawakoさんのヤマレコを拝見しましたが行程がハンパないですね(笑)無尽蔵な体力が羨ましいです。。。
watawakoさんも阿曽原から黒部方面に向かわれたのですね。逆ルートなら歩いていった先に十字峡の吊橋があるので方向的にも間違われることはないと思うのですが,阿曽原からだと階段登って,何気に赤い矢印を見たら,ここに分岐はないはずだからと進んでしまいますよね。赤いリボンも複数あったので,まよわずザイルを掴んでしまいました。。。増水していたらと思うとゾッとしました。
「十字峡展望台へ」の標識は,ほんとうに必要だと思います。あとは自前で持っていくかですよね。。。ともあれ「山と高原地図」には記載してもらうように働きかけてみますね。
それでは今後ともよろしくお願いします☆
evclimMoutnさん、こんにちは!
遅いコメントすみません
またまた素敵なところに行ってらしたんですね。
写真や記録を読ませていただきながら一緒に歩いた気持ちになりました。
腰のほうはいかがですか?
その時もかなり痛かったのではと思いますが、無事に家に帰るとまた痛みがよみがえってきたりしますよね。快復されていますように。
時間が経てば経験だったと思えることも、その時の精神的ダメージ、私も今年の木曽駒ケ岳で経験したのでわかります。それでも冷静に対処され、今後の方のためにレコを残されてさすがですね。
私には難しいルートですが、いつか行ってみたいと思いました。
peachyさん:
コメントありがとうございます☆
腰のほうは,ほとんど大丈夫です。扇沢バス停についたときに何かに掴まっていないと歩けないぐらいでしたが,人間の身体は凄いですね☆ お心遣いに感謝します
僕のようなルートミスを他の方が繰り返さないように,「山と高原地図」を作成されている昭文社さんに連絡を取り,十字峡展望台(ザイルで降りる箇所)についての記載のお願いをしました。昭文社さんの対応はとても素晴らしく,現地調査を行って地図記載の再検討を行うとのご連絡を頂きました。多くの登山者が手に取る地図に記載されれば,山の安全に繋がりますよね。
それと,黒部ダムから欅平駅までは距離が長くエスケープルートもないので,難易度が上がります。欅平駅から阿曽原温泉小屋までいって,小屋泊まりの露天風呂を楽しまれる往復コースはオススメです。欅平には祖母谷温泉もあり,ここもいつか行ってみたいです。ほんと,行きたいところはキリがないですよね
また,山でお目にかかれますのを楽しみにしております
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