宮之浦岳
- GPS
- --:--
- 距離
- 22.9km
- 登り
- 2,182m
- 下り
- 1,542m
コースタイム
1日目
1200 白谷雲水峡発
1230/1245 休
1255 白谷小屋
1320/1330 辻峠
1355 楠川分かれ
1410/1420 三代杉
1505/1520 大株歩道入口
1535/1550 ウィルソン株
1635/1645 大王杉
1710/1725 縄文杉
1730 高塚小屋
2日目
0530 高塚小屋出
0610/0625 新高塚小屋
0637/0650 第一展望台
0735/0750 平石岩屋
0817/0820 焼野三叉路
0845/1000 宮之浦岳山頂
1050/1057 投石岩屋
1112/1115 黒味分岐
1130/1140 黒味岳
1152/1155 黒味分岐
1303/1325 淀川小屋
1400/1405 淀川登山口
1432 紀元杉バス停着
過去天気図(気象庁) | 2003年09月の天気図 |
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アクセス |
感想
何によら ず予約というのが苦手で、バスと船の手配が大変だった。山行前日に天神の旅行 代理店に行ってみたら、チケットを受け取るまでに何と一時間半もかかってしまっ た。自分で電話でやればよかったかなあ。福岡~鹿児島は西鉄高速 バス(*1)、鹿児島~屋久島は鹿児島商船トッピー (*2) を、それぞれ往復割引で利用することにした。予定は3日間で、予備に 1日とした。というのも、とにかく晴れた宮之浦岳山頂に立ちたいのだ。屋久島 は雨が多いというので、晴れの山頂を狙うためには停滞も辞さない覚悟であった。
(注1) 西鉄高速バス・福岡~鹿児島は往復割引で8000円。
(注2) 鹿児島商船トッピー・鹿児島~屋久島は往復割引で12600円。
1日目
天神までは車で荷を運ぶ。夜行バスは3列シートでゆったりしていて、なかなか よい。2330に出発するとすぐに寝てしまった。翌0600に終点、いづろ高速バス・ センターに着く。いづろっていうのがどこらへんなのかまったくわかっていなかっ たのだけど、鹿児島港までは歩いて15分くらいのところだった。 高速艇トッピーは、43ノット(80km/hくらい)というのが売りらしいが、それが伊 達でないくらい速い。海上でこれだけ速いと一種異様である。揺れ方も船という よりは電車かバスといった感がある。2時間ほどで屋久島・宮之浦港に入る。
港で小一時間ばかり待って、白谷雲水峡行きの路線バ ス(*3)に乗る。このバスに乗ったのは数人で、登山者は僕だけだった。ん? みんなどこから入るんだろう…と思っていたら、ふつうは荒川登山口から入る のだと後でわかった。白谷から入ると、峠を越えなければならないんだよねえ。 でもこの時間帯でバスで入れる適当な登山口が白谷しかなかったのだ。
白谷雲水峡で登山届を出す。ここから入るには協力金(300円)も払わなければな らない。水場はあるかとおばちゃんに訊いたら、ここの沢の水はみんな飲めると いうことだったので、沢から直接水を汲む。
峠越えはそれほどきつくはなかった。楠川分かれからは鉄道線路跡を歩く。登山 者風でない人々と多く行き違う。縄文杉を見に行った人たちらしい。大株歩道入 口で線路と別れると、急登が続く。縦走の荷物が肩に食い込む。この歩道沿いに みんなの見たがる杉たちが散在しているらしい。ウィルソン株っていう切り株が あって、株の中がちょっと面白い雰囲気だった。しかし疲労困憊の僕はその株の 中に湧く水だけが目当てだった。案内板には"清い泉"とは書いてあるんだけれど、 "飲水可"とは書いてない。まったく微妙だ。まあ、飲んじゃうんだけどね。 縄文杉に辿り着いたときは夕暮れだった。たしかにでかいね。でもただの杉じゃ ないか。たかが杉一本見るためにみんなよくこんな山道を歩いてくるもんだよな あ…。でもまあ、人それぞれということで。縄文杉のすぐ先が高塚小屋だ。
高塚小屋(*4)のそばにテントを張る。屋久島山中の小屋はすべて避難小屋で無料 なので、テント山行をする必要はないのだけど、他人に気を使うのはあまり得意 ではなく疲れるので、いつもどおりテントを持ってきたのだ。夕食をとってから 縄文杉まで水を汲みに行ったのだが、これが真っ暗で恐かった。暗闇の縄文杉っ て、かなり不気味だ。
(注3) 路線バス・宮之浦港-->白谷雲水峡、530円+160円(荷代)
(注4) 高塚小屋は収容10人くらいか。テントは3張程度か。
2日目
0400起床。真っ暗かと思いきや、木々の隙間から月明かりが漏れていて、影がで きるくらいの明るさがあった。雲も多少は出ているが、星も見えるし、これは午 前中は何とかなるかもしれないと期待された。昨晩の天気予報は曇り後雨の50% だったが(AUが入ったので、177で聞いた)、天気予報ってホント当てにならない からね。
前日のペースは登りがあまりよくなかった。縦走荷物は食料を4日間分くらい積 んでいるのでたぶん24kgくらいだろう。トレーニングをほとんどしていないうえ に10ヶ月前からタバコを吸い始めたのが、体力に影響していることを懸念したの だけど、CT75分のところを40分で新高塚小屋(*5)に着いたので、自信が多少は回 復した。 第一展望台で、ようやく宮之浦岳の山容を拝むことができた。緑に覆われながら もちょっとごつごつっとした感じがいい。平石岩屋まで行くと、山頂はさらに真 近になり、その下に高原が広がっていてこれがまたよい。
そして、晴れのうちに宮之浦岳山頂に立つことができた! 神様 ありがとう! 下層に雲が出ていたので、期待していた海までは見渡すことはで きなかったけれど、屋久島の山塊はとくと眺めることができた。個人的にはもう 少し孤島の感があったんだけど、海に囲まれているのが見えないと、ふつうの山 中と同じだねえ。いや、ただの島だと思っていたけど、どうしてどうして、なか なか大きい。
山頂では例によってのんびりする。晴れてくれたので停滞する必要もなくなった。 下りるんなら下りるで、どこまで下りるか。当初は時間的に淀川小屋で泊まろう いう予定だったのだが、今の時刻とペースなら、紀元杉の午後のバスに間に合う かもしれない。それなら今日のうちに下りて、宮之浦で泊まって、翌朝の船で帰 ろう、ということにした。仕事の都合もあるし、早く下りるに越したことはない。
しかし、ひとつだけ逃せないものがあった。黒味岳である。初日にある人から聞 いた話では、黒味岳は最高だということだった。何が良いのかわからないが、た ぶんそこから眺める宮之浦岳が美しい、ということだろう。これは本道から外れ て往復CT 1時間である。これを行ったらバスには間に合わないかもしれないが、 それならそれで淀川に泊まればよい。そうまでして急いでいるわけでもないのだ。 というわけで、黒味岳には空身で駆け登った。空身ってホントにいい。もう、 脚にスプリングが入ったように軽い。たしかにこの黒味岳山頂からの宮 之浦岳は美しかった。平石側から眺めるのと違って、手前の谷が深くえぐれてい るぶん、宮之浦岳の高度感が増すのである。ここでは若い女の子と話をしたけれ ど、僕のTシャツ短パン姿に驚いていた。その女の子は上下とも雨具っぽい姿である。よくまあこんな暑いところでそんな 恰好していられると、僕のほうが驚きだったけれど、それは口に出さないでおい た。 淀川小屋(*6)まで辿り着くとホッと一息ついたが、そこからがまだ長い。紀元杉 バス停からバス(*7)で終点の合庁前(安房)まで出る。ここが屋久島バスの基地に なっているらしい。半時間ばかり待ってバス(*8)で宮之浦に出る。ここのオーシャ ンビュー・キャンプ場(*9)にテントを張ろうと思って、近そうな宮之浦バス停で 下りたのだが、場所がわからずに観光センターに電話してみたら、「一度こちら に来て申込してください」と言われた。それが港なんだよねえ。で、キャンプ場 はまたまったくかけ離れたところにある。これにはまいった。
暗くなる前にキャンプ場に辿り着いた。うら淋しいところで、設備もまったく放 置されている感がある。僕の他にはバイク旅の若者が一人いるだけ。荷物を下ろ すとすぐに猫の親子が寄ってきた。適当にビスケットをあげたら、そのあと大変 なことになってしまった。もうとにかく子猫が僕にまとわりついて離れない。可 愛いんだけどね。でもまいったな。湯が出ないけどシャワーがあって、それで軽 く汗を流す。しかし、無茶苦茶暑い。下界は暑いということを忘れていた。風も なく、テントの中にいるとじとっと汗が出てくる。うーん、あんまり居心地のよ いキャンプ場ではないなあ。
でもまあ、静かなだけまだましか、と思っていたら、それも間もなく破られてし まった。20時過ぎになって若者の集団がやって来て、がやがやとテントを立てる と、僕のテントの近くで談笑を始めたのだ。もうくたくたで早く寝たかったのだ けど、到底眠れやしない。22時過ぎてもうるさかったので、静かにしてくれと注 意したら静かになった。
そんなわけで気分が悪くなって、キャンプ場裏手の海岸に出て月を眺めながらタ バコを吸った。この月がやたら綺麗だった。あの月の美しさに比べれば、僕の不 快感なんて取るに足らないことなのかもしれないな。
(注5) 新高塚小屋は30人収容くらいか。テントは板張りの上に3張程度か。
(注6) 淀川小屋は50人収容くらいか。テントは3張程度か。
(注7) 路線バ ス・紀元杉-->合庁前、940円。
(注8) 路線バス・合庁前-->宮之浦、990円(荷代込み)。
(注9) オーシャンビュー・キャンプ場は500円/泊。申し込みは 屋久島観光センターへ。
3日目
朝は暑くて起きた。やはり夏は下界でテントはキツい。オーシャンビュー・キャ ンプ場から港までは歩いて半時間くらいだった。前日にトッピーの予約変更を電話で入れておいたのに、窓口にはまったく伝わっ ていなかった。バスもいづろ高速バスセンターに行って直接予約変更した。下山届をするのを忘れていたので、屋久島警察署に電話して下山届をした。
晴れた宮之浦岳山頂に立てたのはラッキーだった。体力もまだ何とかテント縦走 に耐えられるだけは残っているようで安心した。
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