鍵掛-鬼ヶ岳-節刀ヶ岳-十二ヶ岳 〜The Sea of Trees〜 B12
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- GPS
- 06:33
- 距離
- 11.3km
- 登り
- 1,218m
- 下り
- 1,222m
コースタイム
- 山行
- 5:50
- 休憩
- 0:54
- 合計
- 6:44
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
十二ヶ岳登山口BS発 14:55(富士急西湖周遊バス、520円)河口湖駅着 15:25 |
コース状況/ 危険箇所等 |
稜線から終始、富士山を望みながら歩けるコース。10組ほど出会ったが、人の声や鈴の音は、ほとんど意識せずに済んだ。 金山〜十二ヶ岳 鞍部の通過。経験必要。岩壁は垂直に近い。 |
写真
感想
「追憶の森」、久しぶりに心に残る映画を観た。樹海を見たくなった。なるべく早くから登れるコースとアプローチを探した。始発バスから逆算、中央線中野駅次発の列車で河口湖駅に向かう。問題はその列車に乗る手段。初めてネットカフェを利用、待つことにした。山は様々な勇気を与えてくれる。
夜行バスで眠った程度の状態で朝を迎える。予想どおり当然にして、列車内に人は疎ら、静けさの始まりである。武蔵小金井、立川、大月にて接続、無駄のない移動が快い。河口湖駅にはバスの発車時間9分前に着いた。駅前から、朝陽を受ける富士山を望んだのち、乗客2名のバスに乗り込む。河口湖、西湖の畔を走り、根場民宿のバス停には定刻どおり到着した。
湖面のところどころ、蒸気霧が立ち昇っている。予報どおりの好天、されどいつ雲に妨げられるかわからない。振り返りながら富士の姿を収める。バス停から鍵掛までのおよそ2時間、誰にも出会わなかった。後半の烈しさに比し、あまりにも穏やかで静かな山歩きだった。鍵掛に足を運んだのは間近で樹海を望むためだが、歩んだ道を引き返すことには、僅かな距離でもやはり抵抗がある。増してや寄り道である。峠からの15分は長く感じられた。
3年前の地図に記載された眺望マークに反し、樹木に妨げられ、山頂から樹海は見渡せなかった。峠に戻り、やや遠くからそれを望むとき、やはり畏怖の念が沸き起こる。幾度となく見てきた光景に映画のワンシーンが重なった。一瞬、風が凪ぎ、静けさと淋しさが訪れる。
鬼ヶ岳への1時間は、少しの岩場と、見え隠れする富士の姿により、幾分短く感じられた。山頂からの大展望は期待以上で、御坂山塊は勿論、南アルプス、八ヶ岳、奥秩父、遠く北アルプスの山々まで見渡せた。撮影しながら360度回るのに10分を要した。
金山を通過し、今日の目的地である節刀ヶ岳まではおよそ40分、快適な道が続く。稜線から外れた山のせいかこれまで立寄ることがなかったが、南側の眺望は開け、富士山が美しい。計画では、予定どおり南進、十二ヶ岳を越えるか、東進して大石峠を目指すか、ここで悩むことにしていた。予想どおり到着の早いこと、大石峠のバス通過時間が全く合わないことから、十二ヶ岳を目指すことにした。
富士山周辺のコースタイムは、その姿を望み、頻繁に立ち止まることを意識しているからであろうか、概してゆったり気味である。決して急いでいる訳ではないが、時間を持て余す。35年ぶりに通過する岩場に手間取ることを考え、長居することなく出発した。
金山に戻り、かの場所を目指す。岩場が現れ始めてからすぐにストックを仕舞い、備える。岩の感触を確かめながら進み、やや身を乗り出す個所を越えるとやがて前方に「その壁」が出現する。はしごを慎重に下り、鞍部に到達する頃、ちょうどご夫婦が壁を降りて来ていた。毛無山から歩いて来られたお二人にとってもこの壁は手強かったようだ。意を決して取り付く。
5本のロープが垂れ下がる。どのルートで登っても、このロープたちの世話にならない訳にはゆかない。途中2度ほど完全に身を託した。その昔、記憶に残らないほど容易く下ったことが信じられない。登り切った時、手に汗を感じていた。
十二ヶ岳の狭い山頂には2組のパーティが居た。いずれも山慣れしている方々に見えるから不思議だ。山上からの富士山を見納め、その緊張感が醒めることなく下山を始めた。しばらくはロープ場が続く。ザレ場多く、気が抜けない。斜度が緩くなったのを確認してようやくストックを取り出した。
樹林帯のコースをゆっくりと進む。樹海を見渡し、富士山を終始望み、十二ヶ岳の岩を感じた。目的は達した。けれども、共感することのできない淋しさは、やはり拭えそうもない。いつしか、過ぎ去った時間に思いを馳せていた。樹海を彷徨いながら語り合う友を求めていた。
コメント
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kimichin2様
おはようございます。
kimichin2様のレコを見させていただいて、とてもおだやかな気持ちになりました。
河口湖、西湖、鍵掛峠、根場の集落、鬼ヶ岳それぞれから見える富士山の形、太陽の光と、かかる雲の演出、多彩なお姿に感動しました。
最近、近所の新幹線の線路のそばから、冠雪した富士山が見えるようになりました。通勤中見えるとうれしくなって、立ち止まってしばらくながめ、最後は拝んでしまいます(笑)
富士山の力はすごいです!!
書いていたら私も富士山が見たくなりました。
今週末が今年のラスト登山になります。
体調次第ですが、お天気がよかったら、ゴンザス尾根から本仁田山、あるいは鳩ノ巣駅から本仁田山に行きたいなあと思いました。
富士山見えて欲しいです。
お山から見える樹海のたくさんの木々。
お山の木々は私の場合、曲がりそうになる自分を軌道修正させていただける有り難い存在です。
ソフトクリームの記録くすっとなりました。
次回もお天気に恵まれて、静かなお山歩きができますように!!
reochi19様
大好きな富士山を見ながら歩くことができました。嬉しくて似たような写真を載せて
しまいました。でも少しの違いに共感していただきありがとうございます。山梨側の
たおやかな姿が好きなので、東に向かうに連れ、どんどん嬉しくなりました。今回は
樹海を眺めるのが第一目標でしたので、前半のハイライトも忘れ難い思い出になりま
したが。
それにしても歳を重ねたものです。岩壁を前にして深呼吸を3回しました。何とか
無事に登りましたが、夢中でした。早くしないと、40年ぶりの山に登れなくなるかも
しれません。少し焦ります。
本仁田山のエキスパートであるreochi19様にとっても、今週末、好天に恵まれた
山行となることを願っています。ありがとうございます。
kimichin2さん、おはようございます。
レコ拝見し、4年前の5月に大石峠〜節刀ヶ岳〜金山〜十二ヶ岳〜桑留美
と歩いたのを思い出しました。
節刀ヶ岳から眺めた十二ヶ岳がゴジラの背の様だったので一瞬行くのを躊躇ったこと。
節刀ヶ岳で十二ヶ岳を越えて来た方に「せっかくここまで来たのだから行ってみては?」と背中を押されたこと。
山頂手前の岩壁を手に汗してロープにしがみついてよじ登ったこと。
山頂で会った人たちが皆、自分の及びもつかないエキスパートに見えたこと。
桑留美へ下る途中、周辺の岩場て滑落したと思われる登山者が県警のヘリに吊り上げられているのを目撃したこと。など
つい最近のことのように記憶に甦りました。
三ッ峠山から見る富士山🗻は見事でしたが鬼ヶ岳や十二ヶ岳から眺める富士山🗻もいいですね。
河口湖発7時23分発のバスは私の最寄りからの始発電車では間に合いません。
kimichin2さんも、最寄りから間に合わないので予めネットカフェに宿泊されたのですね。
toshishun様
こんばんは。
確かに金山側から登るとそう見えますよね。山頂に到着した時、既にいらした年配の方お二人に「この道50年」を感じました。
できればもう少し東側から見たいので、三ツ峠山からの富士山は大好きです。人の少ない真冬に登りたいと考えています。
それからネットカフェ。生まれて初めて行きましたが、飲み物は飲み放題、マンガもテレビもパソコンも自由、足も伸ばせる、そしてシャワーも、あと30年遅く生まれて来ればよかった、などと思ってしまいました。
次の山行も好天でありますよう。
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