【茅ヶ岳冬の陣・西茅作戦】茅ヶ岳〜金ヶ岳(女岩コース〜明野コース〜大明神コース〜尾根コース)【丙40.5】
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- GPS
- 06:02
- 距離
- 16.2km
- 登り
- 1,731m
- 下り
- 1,730m
コースタイム
- 山行
- 5:17
- 休憩
- 0:45
- 合計
- 6:02
天候 | 基本晴れだが、南ア、八ケ岳、金峰山には分厚い雲がかかる。後に茅ヶ岳にも。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
女岩まで:岩がゴロゴロしているが比較的歩きやすい。 女岩から:岩と落葉の急登 明野コース:金ヶ岳山頂から300mの間は足場悪い。日が昇って地面がぬかるみ始めさらに状況が悪化。 大明神コース:前半にかなりの傾斜の急登がある。下りで使わない方が良い。明野コースと同様、小まめなアップダウンあり。 尾根道コース:気温はそんなに高くないはずなのだが、あちこちぬかるんでおり滑る。乾いている所でお手つき1回。 |
写真
感想
数年前に甲斐駒ヶ岳からの下山後、むかわの湯という温泉でソフト整体に掛かり、背中の痛みが劇的に改善した(※1)ことから、年に何回か、むかわの湯に行くようになった。前に行ってから結構間が空いたので、今回、茅ヶ岳山行を行い、その汗をむかわの湯で流すこととする。
(※1)http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-235290.html
しかし、いつもと同様に「温泉はオプションであり、山行が優先する」という思想で計画を立てると、下山後むかわの湯に行き、温泉に入って整体を受け、取って返して車を返却するということを時間内にできるかどうか非常に微妙と言うか、ギリギリのものとなってしまった。果たしてこれで良いのだろうか。電車に揺られながら考えるもなかなか結論が出ない。
茅ヶ岳山頂到達時刻が計画に対してどの程度早いかによって東側に周回するかどうか判断するということも考えたのだが、それではタイムトライアルだ。時間ばかり気にして山行を楽しむどころではなくなるだろう。天気予想では土曜より日曜の方が穏やかということで、日取りを誤ったという思いもあり、あまり長時間の山行は避くべしと東側周回の矛は収める。ただ、単に行って帰ってくるだけではやはり面白みに欠けるので、西側に回りこむこととした。これを冬の陣とし、東側周回は夏の陣でというわけだ。
【女岩コース】
日も昇って賑やかな深田公園を出発。最初は、かつての林業作業道だったのだろうか、広めで緩やかな道を歩く。とは言っても岩がゴロゴロ転がって歩きやすいというわけではない。女岩も岩下は立入禁止ということなので、結構落石があるということなのだろう。
少し離れた所にある代替の水場で咽喉を潤し、女岩手前から尾根へ向かって岩の合間をガンガン登る。茶色く染まった葉がまだ枝に残っている辺り、この谷は風が普段から強くないということを意味するが、そのために落葉が膝下まで積もっており、非常に歩きにくい。下がどうなっているのか分からないので足を大きく上げたりするのだが、かえってバランスを崩しそうになる。
【深田久弥と日本百名山を思う】
尾根に上がって暫く行くと深田久弥終焉の地である。彼の百名山については、今までも折に触れて言及してきた(例えば※2)が、やはり人々が山行をする上での一定の目安となっていることは間違いない。しかし、昭和39年の百名山が深田本人にとっては飽くまでもその時点での百名山に過ぎなかったことは明らかだ。踏破する山が増えれば増えるほど、既定の百山の地位は脅かされる。深田が茅ヶ岳で没していなければ深田百名山の見直しはきっとなされたことだろう。
我々は幸いにして先人が選んでくれたものを一種の指標として歩けるわけだが、百名山が即席にできたものではなく、何千もの峰を歩いた先人が、その中からどの山を選定すべきか苦心惨憺して絞り込んだものであるということは心に留めておきたい。と同時に、深田百名山とそれ以外の百名山では、微妙にノミネートされる山が異なる点にも注目したい。となれば、我々が感ずる百名山も深田百名山と微妙に異なることになるはずだ。
そういう意味では深田その他の百名山は私にとって「端緒」或いは「目安」とはなり得ても最終的な「目標」とするには足らない。むしろ、百名山を「目標」に据えると、選者が惜しみながらも最終的に選から外したような名山が見えなくなってしまうのではないかと危惧する。
ついでに、現在言われているところの「百名山」に対する私の思いも書いておくと、深田の事跡として尊重する気持ちはありつつも、「原則1,500m以上」と標高で足切りしている時点で私の感覚と合わない。だが、これに関しては、標高で足切りしなければ100に絞り込めないほど1,500m未満の名峰が数多くあったということを暗示しているとも解釈できる。
しかし、それはおくとしても深田の選定から既に半世紀以上が経っている。その間、山の状況が大きく変わった山もある。中には観光地化して「山霊のすみかがなくなっている」ような山もあるのではないか。また、今では登頂できない山も少なからずある。事なかれ過保護主義と日本列島域の火山活動が高まりを見せつつある当世において、この規制が緩和されることは望み薄だが、規制線を強行突破して登頂する者もいると聞く。これも対象山が百名山とされているが故に敢えて蛮勇を奮うのだろう。
登頂できなくても山容の美しさや文化・歴史の面において十分名山と言える山もあるので軽々には切り捨てられない心苦しさはあるが、猫も杓子も山に登る世の中だ、どうせ過保護を極めるのなら、「登頂できないような山は百名山に非ず」としてしまった方が良い。或いは、当世に合った百名山を新たに選定し、実績ある登山家によるオーソライズ、メディアを使ったプロパガンダをバンバンやって、そちらをメジャーにしていく運動をした方が良い。
最後にTV、出版等のメディアにも注文をつけておくと、いつまでも深田百名山をなぞってばかりではなく、いろいろと新たにコンセプトを立てて山にフォーカスしていっていただきたいものである(その点では、NHKBSプレミアムの『にっぽんトレッキング100』はなかなか良い)。
(※2)http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-805208.html
【茅ヶ岳〜金ヶ岳】
茅ヶ岳からは富士山おび富士山の東西に広がる山梨の山々、南アルプス、八ケ岳、浅間山、奥秩父の連山をぐるっと見渡すことができる。惜しむらくは冬の晴れ間にも関わらず、結構雲が出ている。もしかしたら日曜に来た方が良かったのかなと思ったりする。
幸い、風は予想よりも大したことないなと思ったのも束の間、茅ヶ岳から金ヶ岳へ向けて足を踏み出すと、遠くからザザザザザと音がして寒風が襲い掛かってくる。どうも風の通り道らしく、しかも北側なので寒いことこの上なし。
深田公園に結構車が止まっていたわりには茅ヶ岳山頂に人はいなかった。その後すぐ金ヶ岳へ行ってしまうのだろう、金ヶ岳への道中、何人かと擦れ違う。金ヶ岳に着いた際も誰もおらず。車と山行者の数が合わないような気がしなくもないが、寒風吹きさらしの中、長居するのを避ける人が多いのかもしれない。
【明野コース】
金ヶ岳山頂にいる頃からして早くも地面が緩んできたなあと思ってはいたが、下山に入ると地面の泥濘が結構障害となる。しかも痩せた、岩の多い尾根は小まめなアップダウンが連続する。そして風が強い。風が強いため、落葉が道にたまらないのは女岩コースと大きく違う所だ。
クライマックスは山頂から概ね300m地点。大きく崩れて少なくとも3mくらいの段差ができている所を下りる際、足を乗せられる僅かなスペースがぬかるんでおり、滑るので全く足場にならない。張ってあるトラロープや近傍の木の幹を掴むなどしてようやく下りる。ここは危険ではあるが、八ケ岳高原の展望はピカイチである。
この難所を過ぎれば徐々に道は収まっていく。
【大明神コース】
ダートの林道を暫く上っていくと、やけにだだっ広い所に出る。後で千本桜というところだと知ったが、壊れた展望台が殺風景な様を強調して何だか物寂しい。春に桜が咲けば華やかになるのだろうか。桜の花見に来るのはありだな。
だだっ広い道もすぐに狭くなり、それだけでなく、尋常でない急登になる。普通、これだけの急傾斜であれば、道をジグザグに造ったりするものだが、ずっとストレート。途中で「今歩いているのは本当に道なのだろうか?」と他に道が無いか探しに出る騒ぎとなった。が、結局、元々歩いていた所が正規の道ということで非常に驚いた所である。前述の通り、この道は下りには不適と思う。
【尾根道コース】
茅ヶ岳の山頂も午後になると完全にぬかるんで、山頂を訪れた人によって周りの岩も泥だらけである。そんな中、辛うじて腰を下ろせるところを見つけて昼食をとった後下山に移る。尾根コースは「天狗の庭」と呼称されても良いほど岩があちこちに転がっており、その合間を縫ってやや急な傾斜を下っていく。足元は落葉や泥濘で非常に滑りやすくなっているので要注意だ。
歩く尾根が防火帯らしきところに差し掛かって空間が広くなれば間もなく女岩コースと合流、深田公園に到る。
【総括】
この茅ヶ岳が締めになるのかどうか分からないが、甲府盆地の中に屹立して360度の展望を得られるこの山は、まさに締めに相応しいと言える。雲が多めだったのが若干惜しまれるところではあるが、また来年以降、良い時期に再訪することとしよう。
何はともあれ、今年1年は体調や天気に難儀することも多々あったが、何とか無事に収めることができそうだ。これだけ長く歩いていると、増上慢にもなりかねないところだが、それこそ重大事故のきっかけとなる。今後も謙虚且つ慎重に山と向き合っていくこととしたい。
〜おしまい〜
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