錫杖岳 烏帽子岩前衛壁 左方カンテ
天候 | 昨晩降雨ありだったが、当日は快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
錫杖岳 烏帽子岩前衛フェース 左方カンテへ。
●前夜
土曜の午後、別パーティーで同山に入る予定のS瓶さんより「松本は雨」との連絡あり。
チムニーは濡れているかもしれないが、カンテだし朝からピーカンなら乾くはず。
晴れ予報に望みをかけて、一路松本へ。
●出発〜アプローチ
朝、気温は低い(6℃)が、青空が広がる。
出発を遅くし、壁が乾いた頃を見計らって登るという計画変更がばっちりあたる。
槍見温泉(混浴の露天風呂)を横に見ながら入山。雪解けで荒れ気味だが踏み跡は明瞭。
裸足での渡渉を覚悟していたのだけれど、水量はそこまで多くなかった為、靴のままギリギリ濡らさず渡る。
知人より「左方カンテならアイゼン不要」の情報を得ていたので、雪の残るクリヤ谷をそのままつめる。
左岸踏み跡の途中から沢沿いに入り(1ルンゼとの分岐)、沢沿いを登る。
(途中、ビバーク出来る岩室(大岩)あり)
眼前に岩壁があるのを感じる急登を上がりきると、すぐ目の前が取付。
不要なものをデポし、アプローチシューズと食料・水を2ndと3rdが背負って登攀することにする。
●左方カンテ登攀
奇数ピッチ:H塚さんリード
偶数ピッチ:yachimayuリード
Y崎さんはオールフォロー
残置は撤去されているはずだが若干あり?との前情報。
しかしながら、今日はトレの為原則残置は使用せず登ることとする。
カムは#4以下を2セット持って行き、ピッチ毎に必要なものをリードが選択(←私のトレの為)。
#2を2つ使うことはあったが、1セットで足りる感じ。ナッツは使用しなかった。
1ピッチ目
草付まじりのルンゼの左壁を登る。階段状。小テラス状になっているところでピッチを切る。
2ピッチ目
正面の凹壁を登る。
一旦平らになるが、そこから正面のチムニーを登り切るのにロープが足りるか不安だったので、ここで切る。
ザイルアップしたところ、20m程しか登っていない感じ。
カムの設置にかなり時間がかかっているので、登攀距離の感覚が狂ってしまっている。
3ピッチ目
正面のチムニーではなく、左のフェースから登攀。抜け口数手がクラック。
下部は探せばマイクロカムが決められる。クラックは女性のハンドバチ効きサイズ。
カンテを登るとテラスになっており、壁に懸垂用残置あり。立ち木で支点が取れる。数m先のチムニー下まで伸ばしても。
出だし数mの位置に残置ハーケン1枚。
4ピッチ目
チョックストーンのあるチムニー。CSに残置スリング(ロープ?)あり。
右のワイドクラックをフリーで抜けられるらしいが、自身には無理なので左のフェースから行く。
高めの位置にハンガーがあるので迷わず使う(←をい!)、一安心。
それでもCSまでの一手が悪い。
5ピッチ目
支点から右上し、トラバースも怖いが、その後の小さなハング越えにメンタルの強さが要求される。
あまり良くない左手ツブカチのみで足を上げる。身体を上げれば右手ガバだが、そこまでが怖い。
6ピッチ目
徐々に狭まるチムニーを上がり、後半は左壁のクラックに移って抜けるのだが、怖くて右壁から離れられない。
徐々に被ってくる右壁を限界まで使用して上がり、20cm毎位にカムを3つ入れてから、クラックに移る。
(最悪、フォールしなくてもテンションはかけるつもりでいたので、「耐えてくれよー」と祈る気持ちで入れまくる)
右手フィストバチ効きなのだが、そうすると身体を上げられなくて、一歩降りる羽目になったりして、時間をかけてしまう。
カンテを抜けると、小さいスラブ。
ハングっていて嫌〜な感じなのだが、ちょーーど良い高めの位置にハンガーがあるので、やはり迷わず使う(←をい!!!)。
だって、安心感が全然違うのです。。。
高度感はあるが、右手カンテを使えば、レイバック気味に登れる。
ハングを超えた先の壁に支点あり。
7ピッチ目
所々剥がれそうなスラブを右上気味に登る。
木登り交じりになったところで、大きな立ち木があるので、そこでハンギングして支点が取れる。
立ち木の2m先が終了点。
ルートを通して、ほぼ残置なし。途中2ヶ所(4P目、6P目)にペツルあり。
どこだったかに頼りないハーケン1枚、懸垂中に錆びたリングボルト1つを見たが気がする。
所々、マイクロカムも使える。
ピッチを切れそうな場所はハンガーで整備されているところもあるが、無視して立ち木でも取れる。
●終了点
引き上げてくれているHさんを越え、先に終了点に上がる。
思わず、「わぁ・・・」と声が出た。
目の前に、雪の残る穂高連峰〜焼岳が広がっている。
左手には錫杖本峰。
●下降〜下山
Hさんとトップを交互で懸垂下降。
雪が無ければ、北沢注文の多い料理店側を懸垂下降出来るのだが、下部が雪で埋まっているので本日は同ルート下降。
4ピッチ目でまさかのスタック。チョックストーンに挟まってしまう。
そこを外しても、ロープは奥のチムニーを下まで落ちてしまうので、引っ張ると結局再度挟まってしまう。
ここ以外はスムーズに下降できた。
クリヤ谷の雪渓下りは滑りまくりの為、ロープを出して頂いた。
Hさんは沢をやっているだけあって、こういう時の判断と行動が早い。見習いたい。
<感想>
まさか今年錫杖に来れるとは思っていなかった。
登攀中、振り返れば穂高が見える。テンションが上がる。
そして、前衛フェース頂上から見る景色は格別だったが、Y崎さん曰はく「秋と冬も最高」。
まだまだチャレンジしたいルートが沢山ある錫杖。
雪の時期にも来たいです。
夏までのトレルートに錫杖を入れてもらってから、クラック&NPトレに時間を割いたが、思いの外クラックが楽しくなりつつある今日この頃。
ピンを追うのではなく、何もない壁を見てルートを探す楽しさを感じています。
カムのセットはまだまだ甘い。
「落ちたら飛ぶぞ」と評された箇所がいくつか。要練習。
Y崎さんとH塚さん初め、今季一緒に登って頂いている皆様には本当に感謝です。
これからも、よろしくお願いします!
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する