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記録ID: 13
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アイスクライミング
八ヶ岳・蓼科

八ヶ岳、角木場の氷柱

2004年02月28日(土) [日帰り]
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コースタイム

ゲレンデの為なし。
天候 晴れ。
過去天気図(気象庁) 2004年02月の天気図
コース状況/
危険箇所等
トップロープの設置時墜落注意。
落氷、落石、落ガチャ、落アックスに注意。

感想

 2/28、今シーズンのアイスクライミングの締めとして、
八ヶ岳、角木場地区の氷柱に向かった。
角木場の氷柱は、美濃戸口から100m程歩いた辺りの崖下にある氷柱群。
周りに道もなく、どうやって発見されたのか不思議であるが、
紛れもなく八ヶ岳で一番アプローチの近いアイスエリアなのである。
 原則トップロープの氷なので、リードの練習には向かないが、
約20m超の垂直な3本の氷柱と、その間の氷壁が、難しい課題を提供してくれる。
以前はトップロープのセットにもロープ確保が必要だったが、
今はフィックスが張られ、トップロープ用の支点もある。
 前夜入ろうとしたら、林道がアイスバーン状態で危険との事で封鎖されている。
八ヶ岳山荘前の駐車場にテントをはったが、
どうせ明日はすぐそばなのだからと、いつもより気が楽なのであった。

 当日朝7時発。踏み跡を伝ってトップロープを張り、河原に下りた。
思ったよりも発達している。美しくもあり、荘厳でもある。
あたかもサグラダ・ファミリアの尖塔か、
はたまた子宝祈願の御神体かのごとく、りっぱに立っている。
アックス(ピッケル)やクランポン(アイゼン)を打ち込むのがもったいない。
どっかから「痛でででで」って声が聞こえてきそうな位りっぱなのである。
そうも言ってられないので、さっそく登攀準備。
今日はあんな事やこんな事を試してみる予定なのである。

 まず右の御神体・・じゃない氷柱から登り始めた。
他パーティーの付けた傷跡はない。2月上旬から登られているのだが、
今週の暖気で表面が溶け、週末の寒気で再氷結したのだろう。
ほとんどヴァージン・アイス状態である。
しかも、硬い。これも寒気のせいだろう。
南沢大滝やジョーゴ沢の様に、一発でスカッとは決まらない。
ピックの刺さった周りが細かく砕けるので、
2度、3度と打ち込まなくては不安定なのである。
恐らくおかもっちゃんも、こんなに硬いの初めてだろう。
右と中央の氷柱を繋げる氷壁を登ったが、大分苦労していた様だ。

 次に中央の氷柱を登る。特に正面は氷が出っ張っていて、
アックスもクランポンも内側に向かって打ち込まなくてはならない。
そうなると重心の移動が結構微妙で難しいのである。
上部には大きめのつららが下がっていて、ちょっとしたハングを形成している。
つららの下にはタケノコほどの氷筍もあり、氷筍にひざをかませたり、
ハングの裏に体を入れて(スカミング)、休んだり体勢を整えたりできた。

 氷壁の上部に、つらら状の上半分が出ていて、わずか2mだが登れなかった。
少々専門的な話になるが、氷柱の形成過程は、つららが発達し、地面に届いて、
それから周りにむかって太く発達していく。
未発達であれば垂直に近くて難しく、発達すればするほど傾斜が緩くなり、
グレードが下がるのは氷瀑と同じであるが、
未発達の氷柱は、つららなのだから、実際は90°以上のハングなのである。
ハングのアイスクライミングは、
ピックのすっぽ抜けに注意しながら腕を引きつけるという、
パワフルだが微妙なムーブを要求されるので、最も難しい課題の一つである。
ああ、もっと早くアタックしていれば、あのヴァージンアイスをモノにできたのに。。
なんてぇ身持ちの硬いヤツ・・・!

 今回自分が一番試してみたかったのが、
リーシュレス(リストバンド無し)のクライミングである。
今、アイスクライミングの世界では、エルゴノミックデザインと言われる、
電車の吊り手の様な角度のグリップが上下に付いたアックスを使い、
リーシュレスによるミックスやアイスのクライミングが主流となりつつある。
 もちろん、アルパインアイスの様なロングルートではリーシュが必要だが、
より傾斜の強く難しい、岩で言えばハードフリークライミング感覚の課題では、
リーシュレスが前提となって来ている。

 自分も今まで、リーシュで手首を支えて登るのが当然と考えていたのであるが、
最近、ぶら下がる様なムーブのアイスをする時、リーシュの限界も感じていた。
リストループで手首が締められると、指の血行が妨げられるのか、
手のひらのパンプがなかなか取れない。
メーカーのカタログの謳い文句では、リーシュレスについて、
いつでも腕をシェイク(振る)できる、持ち替えが容易である、より自由なのである、
等々とあったので、はたして実際どうなのか、体験してみた。

 結果は、思ったよりもきつくなく、そう、確かに自由カモ知れないと思った。
自分のアックスはエルゴノミックでは無いのだが、
小指の下にフィンガーレストがあり、すっぽ抜けにくい構造になっている。
もちろん、握力がより必要だったのは言うまでもないが、
ピックを氷に刺しておいて腕をシェイクしたり、そこまでしなくても、
ちょっと手を離して開いたり閉じたりするだけでパンプを和らげる事ができ、
それはリーシュ付きに比べてかなり自由だった。
 またトラバースの時は、片方のアックスを両手で握ったり、肩にかけたりなどして、
素早く持ち替える事もできた。
リードでアイス・スクリューをセットする時も、きっと同様に素早くできそうである。
 ノーマルシャフトのアックスでここまで自由なのだから、
エルゴノミックデザインのアックスならば、更に効果的なのだろう。
もう年末のボーナスの消え先が決まってしまったかの様である。またかよ。。

 他にも、予備の小型アックスの練習などをして、
気が付けば12時半。7時半から5時間も2人で交代しながら登っていた。
かなり腕もパンプしてきたので、撤収して車に戻る。
もみの湯に入ったら、頭を洗う時に前腕がつりそうになった。初心者の頃以来だ。
帰りにまた鹿肉コース行こうとしたが、店がちょうど昼休みに入る時だったので、
小淵沢IC近くのほうとう屋で食事をして帰った。
帰りは眠気が取れなかったので、おかもっちゃんに運転してもらう。
起きた時は八王子IC。爆睡していた様である。運転ご苦労様でした。
 
 来シーズンは、もっと早くアイスクライミングを始めようと思っている。
2月には、できる事なら50m、100mの滝を登ったり、
北海道のアイスを体験してみたいと考えている。

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