魚沼アルプス 未熟さ露呈猛省の山行
- GPS
- 32:00
- 距離
- 7.0km
- 登り
- 899m
- 下り
- 373m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
その他周辺情報 | 薬師温泉 |
写真
感想
23日から26日にかけ白根三山遠征の計画を立て、準備もほぼ終わり後は出発を待つばかりとなった。ところが台風19号が接近。さらに20号が後追いで北上する事態となった。影響が少なそうな東北方面に転進しようとしても高山は軒並み嵐の襲来は避けられない状況である。ところが六日町方面の23日は晴。次の日もまずまずの予報なのだ。そこでとにかく、予定通り22日にT氏宅に泊めていただいて、23日に魚沼アルプスを歩くことにした。魚沼アルプスは、花の時期に登りたいと思っていたが実現できていない。いい機会である。
天気は上々だがフエーン象で暑くなりそうである。法泉寺の登山口に車を置き大力山を目指して出発。最初はなだらかな道。ところどころ花が手向けられた石碑があるが墓石かどうかは判然としない。今年初めてオニヤンマを見る。そんなことよりも暑さが気になる。やはりフエーン現象の影響が出ているのだ。道は良く整備されているのでじっくり行けば問題は無いだろうと思う。暑さの影響を考慮して笠倉山往復は割愛せざるを得ないだろうと思う。
大力山山頂には展望台がある。多雪地らしくがっちりした作りだ。展望台の向こうには。八海山を始めとして魚沼三山が緑色に覆われた山容を見せる。展望台の中に駒ヶ岳が納まっているのが面白い。魚沼盆地は稲穂の黄金色に覆われていた。これから本格的な紅葉が始まるのだろうが、その移りゆく間際、一瞬の輝きが好きだ。黒禿の頭手前の稜線は気分が良い。岩の道ではないが、魚沼三山縦走路のオカメノゾキを思い起こさせる。黒禿の頭で腕時計の温度計を見ると35.8度。ウソでしょ。笠倉山は割愛する。ここから道は左手へ下って行く。右手から吹き上げる風が爽やかだ。いい風の通り道で休み休みの歩きとなる。
12時30分、駒の頭着。気温34.1度。暑い。ここからいったん下る。その先に一直線の登り斜面が見える。急坂だ。上部にはロープが下がる。ここが今日の最大の難所か。登ってみると、見た目ほどではなく、ロープを掴むほどでもない。登り切ると壊れかかった古めかしい標識が立っている。文字も読み難い が、涸沢山・鳴倉山・トヤ山の文字が見える。方向を示す矢印は消えていた。道なりに進むと、トヤの頭の標柱が立っている。標柱の上部と下部の案内板に三か所、矢印と行き先(山名)と歩行時間が書かれている。
私は、この案内板を理解することが出来なかった。なぜなら正確な地図を持っていなかったのだ。私は、鳴倉山を目指しているので、そちらへ進めばいいのだが確信が無いのだ。笠倉新道とか涸沢山という名は初めて見る名だ。魚沼アルプスの登山道は、一本道でぐるりと回って終わり、というのが私の認識だった。ルート図を深く読むこともなかったし、2.5万地図も用意していなかった。
登山口という表示がある方へ進めば、間違いなく登山口に出ることは出来るだろう。それがどこなのか分からない。涸沢山と言うのは芋川温泉の方へ降りるのであろう。古い標識にはそちらの方向へ踏み跡らしきものは有った。ひょっとしたらそれが涸沢山登山口への道だったのかもしれない。戻ってみると、確かにそれらしきものは有るが現状は、藪は濃く踏み跡とは言えない状態だった。それがさらにルート判断に迷いを生じさせた。
またトマの頭まで戻って再検討する。鳴倉山への矢印の方は急な斜面の道だ。時間は1.5時間だから大した距離では無い。しかし、自信が持てなかった。判断できるほどの資料を持っていないのだ。確信の持てない道を進むか、それとも戻るか二者択一を迫られる。どのルートでも登山口に出れば、法泉寺への距離が長ければタクシーを呼べるかもしれないし、ヒッチハイクできるかもしれない。しかし、状況のわからないルートを降りて、後は野となれ山となれでは安易過ぎる。後は来た道を戻って適当なところでビバーク、明朝下山だ。これはもっとも取りたくない案だ。しかし、あえてこの案を採用する。本来ならば、今日は大門沢小屋でテン泊の予定だったのだ。ビバークも有りだなと思い始めたのだ。
ビバークには一つ問題があった。水が僅かしか残っていないのだ。水が取れなかったら厳しい状況に追い込まれることは間違いない。しかし、駒の頭手前で水は取れそうだった。いったん下って登り返す。落ち葉が積もってふかふかした良いビバークサイトがあった。水が採れそうだと見ていた近くである。
ヒド状の藪を下って行くと藪の薄いところが出てきた。ストックで土を掘ってみると湿っぽかった。これは期待できる。勇んでさらに下ると、細い水が流れ出していた。ちょっと細工して、小石から滴り落ちる水をペットボトルで根気よく集める。その水を一気に飲む。これで人心地つく。水が取れて安心したのか登り返しはきつかった。ブナ林の枯葉の敷詰まった所にツエルトを張る。台風の襲来は有るかも知れないが風は大丈夫だろう。問題は雨だ。
腹ごしらえすると何もすることは無く、ゴロっと横になる。ツエルトから空を眺めると、黒々とブナの木々。その間には灰色の光る空。まるで墨絵の世界。いい風景だ。バラバラと雨が落ちる。夜はずぶ濡れか・・・・。
パリッ、パリッと乾いた音。なんだこの音は。何をしてるんだ、俺は。状況が呑み込めていない。あ〜あ、そうか。俺はビバークしているんだなあ。乾いた音は背中の枯葉の音だった。覚悟した雨は無くぐっすり眠ってしまったのだ。あの暑い中トヤの頭から鞍部まで戻って登り返して、また、下ってさらに登り返したのだ。疲れていたのであろう。
第二日
ビバーク地点5時10分発。10分歩いて駒の頭。さあ、ここからは黒禿の頭までは登り一辺倒だ。ここを頑張れば後は問題なし。だが一気には登れず休み休みの登りとなる。吹き上げる風が爽やかだ。黒禿の頭まで登って神さんに状況報告。昨日は神さんと連絡が付かず、山友にお願いしておいたので、そちらにも報告。後は一本道。ヤレヤレである。ここからちょっと進むと、八海山と中岳を結ぶオカメノゾキみたいな土状の尾根があり、そこで大休止。火照った体をパンツ一丁になって冷やす。魚沼盆地を眼下に越後三山・権現堂山・檜岳・毛猛山・・・等々を眺めながら風に吹かれて根が生えた。
いいねえ〜。この青々とした緑の山肌。癒される風景だ。この風景もあとわずか。紅葉が始まって葉が落ちると雪が降り、一面銀世界の閉ざされた世界がやって来る。赤とんぼが舞いオニヤンマが飛ぶ。一抹の寂しさも感じさせる風景だ。昨日今日と誰にも会うことの無い山行だった。ほんと静かな山である。
10時40分、法泉寺着。車に積んでおいた自家製スポーツドリンク1ℓを一気に飲んだ。最後の方は水不足だった。これで生き返った。下山後、薬師の湯で汗を流す。入浴後サンルーム(仮眠室)へ直行。爆睡。デパックを背に出かけた緊張感の無さ。事前の調査不足。概略図しか持っていないというセオリー無視。今回の山行は基本的なことが出来ていなかった。しかし、ツエルトを忘れていなかったのは幸いである。猛省の山行である。
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