6歳児とゆく美富士と氷の奈良倉山
- GPS
- 06:27
- 距離
- 8.4km
- 登り
- 972m
- 下り
- 582m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
かえり:鶴峠バス停から富士急行バス「小菅の湯」ゆきで小菅の湯→西東京バス「奥多摩駅」ゆきでJR奥多摩駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
登り:登山口付近、落ち葉で滑って川に落ちそう。民家のところで登山道が不明瞭、その後数十メートルくらいトラバース道が埋まっていて傾斜がひどい。ほかは万全 くだり:落ち葉で埋まっているも踏み跡明瞭。霜がとけて落ち葉がやや滑る |
その他周辺情報 | 小菅の湯 |
写真
感想
いつのまにか、もう12月。気温は下がり、息子が愛してやまないキノコも虫もぐっと少なくなる。
大がかりな冒険は真冬のあいだはそんなにできないから、今回はちょつと遠くに行こう。
朝早起きしておやまにのぼって温泉に行こう。しかも行きは珍しい特急に乗ろう。そんなお誘いに、即時オッケーを出す息子である。
朝6時半に家を出て、電車バスを駆使して奈良倉山、そして小菅の湯に浸かって日帰りするというプラン。富士急行バスの時刻表やヤマレコの記事、所要時間などを徹底して調べあげた。なにしろ行き先は思いっきり山奥、バスひとつ乗り過ごすと朝まで帰れないのだ。
前日夜に着替えやおふろセットなど全ての装備を用意、朝は5:30に起きて朝ごはんと昼ごはんのぶんのおにぎりを握る。そして眠さ満点の息子をゆり起こし、出発!
JR新宿駅発、臨時特急かいじ73号に乗る。3分差で発車する特急あずさ1号とどっちがよいか息子に聞いた結果、今ではレアな旧車両を使ったこちらがよいという。息子がまだ小さい頃、新しいやつに比べていまいちダサいよなーと言ったことをまだ覚えている息子は、「パパはダサいっていうけどかっこいいんだよ」と繰り返し言う。いつの話だよ、というかよくそんなの覚えてるよなお前。ちなみに、あずさ1号と乗り間違える客が多発しているようで、しきりに注意喚起のアナウンスが流れていた。
大月駅につく頃には特急にも飽き、さらに旧式の振り子車両のせいか寝不足のせいか、息子は電車に酔ったという。ブーブー言う彼を引っ張り、バスに乗り換える。
上和田ゆきのバス、ハイキング客で満載かと思いきや、最後まで乗客は我々のみ。終点のすこし前、フリー乗降区間なので佐野峠登山口でおろしてもらう。眠気とバス酔いでぐったりな息子をよくもんで何とかしゃっきりさせた。
佐野峠登山口からの道は、いったん川に向かいくだる。いちめんの落ち葉が濡れていてすべり、息子はこんな危ない道はいやだという。いや、ここまで来て帰れないわよ! 橋を渡ると道は登山道らしい登りになり、息子の文句はおさまる。時刻は9時を回ったぐらい、落ち葉が霜でキラキラしている。
やがて一軒の民家の前に出た。ここで道が消失、人気のない民家のまわりをぐるぐるする。正解は「裏手に回る」だった。
そこから、斜面を横切るようにつけられた道を進む。これが先月の台風のせいなのか、ほぼ埋まっていて完全にナナメである。何でこんなところに連れてきたのか、よく考えて行き先を選べ、などと怒り心頭の息子。ごめんよ、でもそんなんわからんやんか、、、
ひどい状態の道はすぐに終わり、杉林のなかのおだやかな登山道になった。斜面を大きくジグザグに進み、尾根に出る。ここになぜかバイクが打ち捨てられていて、面白がる息子。あ、まあ、パパそれなんか触んないほうがいい気がしているよ?
道はとても歩きやすいようにつけられていて、尾根のゆるやかなところはまっすぐ、少し急なところは細かいジグザグに、もっと急なところはトラバースにしてある。
ところどころに、古い空き缶が落ちている。最近のものは皆無で、「パティオ」「はごろも印のパインドリンク」など、いつのだよというのばかり。飲み口が水滴のかたちに空いているのを息子が面白がる。昔の缶は飲むところをちぎったんだよ、今の缶はくっついてるよね。うん、でも今の缶でもくにくにするととれるよね、と息子。やめて、それとらないで。
キノコも虫も少なくなった冬山だけれど、まだまだ発見はある。ざとうむしさんを今回も収穫し、ノイバラの実を分解し、ススキを花火に見立てる息子。ぜんぜん進まない。でもこういうのをしに来てるんだよな。でもバスの時間もあるんだよな。「お、おんせんいけなくなるよ、、、」と弱々しく前進をうながす。
ゆっくり高度をあげていく道、抜けるような青い空、林を通り抜けて差し込む日のあかり。なんだかとても気持ちがいい。赤い実が残っている、青い花が咲こうとしている、大きな白い骨が落ちている。……待て待て、骨?
大腿骨っぽいね? こんなきれいな骨はないからぜひ持ち帰ろうという息子、いやそれ、あの。ならばせめて写真にお撮りなさいという。うん、、、たぶん鹿さんかなにかだよね。たぶんね。
尾根から道が外れ、両側にネットが現れた。峠はもうすぐ。と、雪が笹の上に残っている。すかさず手に取り、ぶつけてくる息子。何を倒そうとしているのか。
そうやって遊びまくりの息子を温泉! 時間! と鼓舞し続けて、ようやく西原峠に到着。さいばらでもにしはらでもなく、さいはらというらしい。ここから道はゆるやかな登りの林道になる。管理用の車があり、驚く息子。
林道は尾根の上を通って行く。ときときあるピークはすべて通過、坪山というピークがあったようだが巻いて進む。ネットと林の合間から、美しい富士山がずっと姿を見せている。道のど真ん中に野生動物のでっかいフンが落ちている。
道が尾根から日陰の斜面にそれるところに、大きな霜柱があった。これも全部父にぶつける息子。水たまりは厚い氷が張っていて、取り出してのぞいて遊ぶ。1000メートルを越えた山の12月、思ったより氷だらけだ。息子でなくとも楽しい! でも氷ぶつけるのはやめて!
日陰の道で氷を触りまくったふたりとも、思いっきり冷える。久しぶりに日向に出たら、そこは佐野峠。枯れ草のうえに腰を下ろして、ここでお昼にしよう。息子は寒いので父のうえに腰を下ろした。
おにぎりは冷え切っているけど、魔法瓶のお湯でオニオンスープを作って飲めばぽかぽか。でもそろそろ重いから立ってくれないか息子よ。あっ鹿のふんがあるよ、って腰のすぐそばに見つけないでくれ息子よ。
さて、進まなければ。と思いつつ、小さなピークの東側を巻いて進むあたりの斜面につららを発見! 霜柱だらけの斜面をふたりでのぼり、つららをゲットに向かう。ねもとから折るんだ、と教えたとおり、大きな1本を手にした息子。やったねー! と思った瞬間、にんじゅつ、といいながら谷に投げていた。あ、あれ?
ゆるやかにのぼってゆく、林のあいだをまっすぐ通り抜ける広い尾根。世界のどこか違う場所にいるような、少し不思議な風景だ。何かを見つけた息子がけたけた笑っている。やわらかな光、真っ青な冬の空。いつのまにかザトウムシは姿を消していた。息子ややしょんぼり。
そして、林道から登山道が分かれる。ここがどうやら最後の登りのようだ。小山に登るような感じ、ジグザグせずにまっすぐ登ってゆく。息子は忍たま乱太郎のキャラについて熱く語っている。待て待て、もうすぐ頂上だよ。忍術学園のへんな先輩のことはおいとこうよ。
なんて話をしていたら、林に囲まれた広場に到着。そう、ここが奈良倉山の頂上!
眺望ないなあ、と思ったら、「展望台」という矢印が。なるほど、そこからは見事な富士山が!!
秀麗富嶽十二景、7座めにしてはっきりくっきりの美しい富士に出会うことができた。息子はその美富士を背景にして変顔大会をしている。
ごほうびコーラを飲み、木の棒を心ゆくまでぶんぶん振り回したら、温泉に向かって出発しよう。
鶴峠へのくだり道は、トレランのコースでもあるらしく、とてもよく踏まれていた。霜がとけて落ち葉が滑るところがあったけれど、迷うポイントも危ないところもまったくなし。林のなかを大回りにトラバースして高度を下げてゆく。のぼりの道もここも、とても歩きやすい。
やがて林道と合流したり離脱したりしながら、東京と神奈川の分水嶺だという尾根をおりていく。こっちに降った雨は東京に、そっちの雨は神奈川に流れるんだよという話、息子は面白そうに聞いていた。
登山道がアスファルトの道に出会って、そこに鶴峠バス停。今回の山登りはこれで無事終了だ。よくがんばりました!
それにしても、今回もまた誰にも遭遇しなかった。高尾のような人混みはつらいが、すれ違いゼロもそれはそれでさみしい。というかもしやこんな寒い時期に人は山に登らないのか?
小菅の湯ゆきバスが来るまで40分くらいある。反対方向、上野原ゆきのバスが止まって運転手さんが「乗りますか」とたずねる。小菅いきます、というと了解です、と言い発車。車内はハイカーさんで満杯だったが、その多くが息子を見て手を振るなどしてくれた。
バスが来るまで何して遊ぼうか。まずは松葉ずもう、でもこれはすぐ終わっちゃう。道の反対側に三頭山の登山口があるから何かないか探しに行ってみよう。
杉林なのでほどよくカーブした枝が落ちている。ほどよい弾力のつる草がある。組み合わせれば、弓の完成! 小枝を飛ばして遊ぶ。
そうこうしていたら、小菅の湯ゆきバスが到着! あっ弓どうしよう、、、相談のすえ、つるだけ持ち帰ることに。そしてこのバスも乗客はわれわれだけであった。
小菅の湯は、アルカリの強い独特な温泉。露天風呂の気持ちよさは異常なくらいである。夕暮れがだんだん夜になっていくのを、息子とずっと眺めながらつかっていた。
大変素晴らしいがゆえ、帰りのバスの時間ギリギリになるまで入ってしまった。小菅村のおみやげを買うプランは消滅、むしろ走ってバスに駆け込むハメに。
バスはここから1時間かけて奥多摩駅へ。大好きないちばん前のシートをとり、シートベルトをした息子は、温泉のぽかぽかと夜道の車窓、そして軽い振動に、いつしか眠りの国へと。
朝6時からの大冒険、楽しかったね。氷と富士山と自然とはじめての温泉と、今回もたくさん発見したね。またこんな旅をしよう。こんどは、ママ友にカブトムシの幼虫をもらいに行ってしまい参加できなかったママも連れてきたいね。
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