鉢伏山 扉温泉から(過去レコです)。
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- GPS
- --:--
- 距離
- 9.5km
- 登り
- 920m
- 下り
- 919m
天候 | 晴れ。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
途中、道間違えはありましたが、危険個所はありません。 |
その他周辺情報 | 登山口に扉温泉があります。 |
写真
感想
先週の飯縄山は北海道の疲れが残っていたのと、暑さのためバテ気味で、少々自信喪失。今週は余り無理をせず、車でも行ける鉢伏山に登る事にした。とは云え、車で頂上付近まで行くのでは、今夏のメインエヴェントである南アルプスに向けてのトレーニングにもならないので、北側の扉温泉から登る事にした。朝6時に中央高速、長野道を経て松本ICで高速道路を降りる。松本城の脇から、祭りでもあるのだろう、軒先に注連縄が連なる街並みを通り、和田村へ抜ける主要地方道67号線を走る。扉温泉の群鷹館の玄関前に車をとめ、宿のかみさんの、「今日は天気が良いから富士山が見えますよ」との言葉に送られて出発。林道を少し戻って下った所、明神館の手前に、「鉢伏山登山道入口 鉢伏山頂まで5.8km」の案内がある。登山口からほんの少しで、「白樺林」という広場に出る。その名の通りであるが、ここのシラカバはシラカバにしてはほぼ真っ直ぐ伸びていて気持ちが良い。少し下ると、朽ちかけの苔むした丸太橋があり、そっと渡る。しばらく「わさび沢」の左岸に沿って歩き、右手の山の中に入ると登りが始まる。カラマツ林の登りは長くは無く、再びわさび沢に出て、ここからは沢沿いをなだらかに歩く。苔むした石や倒木、大きなシダで敷き詰められた谷、豊富な水量で流れ落ちる小滝、聞こえるものは水音だけ。クマさんいないかと目を配りながら進む。沢に手を入れると、うーっ、ヒヤッコイ。30分経っても40分経っても谷は一向に細くならないし、沢の流れの勢いも変わらないし、相変わらず緩やかな道である。1時間ほど歩いただろうか、これではいつまで経っても頂上に着かないと思っていると、廃屋となった営林署小屋がある。「国有財産 八伏峯合宿所 取得年月日昭28.11」と書かれたアルミ板が張ってある。「扉温泉へ45分」という矢印標識がある。そこでひと休みしてから沢伝いに進むと、道は何だか怪しげになり、どうみても登山道ではない。でも、前方の木の幹には赤いリボンが巻かれており、それに向かって道なき斜面をよじ登る。沢は段々下になり、不安感がつのる。枝に掴まると、それは落ちた枯れ枝で思わず滑落しそうになる。でも、こうなったら登るしかない。めげずに頑張るが、赤いリボンも見当たらなくなり、獣道程度の跡も無く、さすがに観念して引き返すことにする。四苦八苦、無事、沢に降り立つ。さて、沢のこちらにも、向こう側にも道らしきものは見当たらず、沢に沿って営林署小屋まで引き返すことにする。小屋まで戻りほっとひと息つくと、沢にかかった丸太橋が見え、その先に案内標識らしきものが見える。どうもあっちらしい、と橋を渡って標識を見ると、「鉢伏山 1°45’」と読める。そしてちゃんとした登山道がついている。ようやく正規の登山道に戻ったことを喜ぶ一方、不適切な案内標識について不満が続出。ぶつくさ云いつつ、カラマツ林の中のジグザグ道を登り、沢音は下になり、そして消える。30分程で突然道が広がり、荒れてはいるが林道の終点のようである。左に登山道らしきものがあり、そこに入る。ハクサンフウロやマツムシソウが現れる。これはハナイカリ、これはタカネナデシコ。ちらほらとウスユキソウが見え始めたかと思うと、あっちにもこっちにも群落をなして咲き乱れている。そして前方になだらかな山が見えると、間もなくカラマツ林から抜け出し、打って変わって広々とした景色が広がる一角に登りつく。相棒は喜んで走り出す。おだやかな山が横たわり、「頂上まで20分」との標識がある。「鉢伏山荘」と思われる小屋も見え、お腹も減っているが寄るのは後にし、20分ならと先に頂上を目指すことにする。小高い丘の稜線には、青空をバックに夏の雲がのぞき、これぞ夏の高原といった風景が広がる。ハクサンフウロやマツムシソウに混じって、ニッコウキスゲがちらほら。緩やかに登って行くと道端に柱が立っている。「鉢伏山頂 1,929M」、ん? ここが山頂? 周囲と比べて特別高いわけでもないんだが、この柱が立ってなければ誰もここが山頂とは思わないだろう。数人のおじさん達が写真を撮っていて、「30分で1,929mか」と喜んでいる。成る程、下を見ると山荘の前に駐車場があり、車が並んでいるのが見える。で、「わたしは扉温泉から登って来た」とが云うと、おじさん達は驚く。すぐ先の展望台までの道を歩いていると、シカが首を長くしてわたしを眺めている。シカ達は笹の原っぱから頭を出して、わたしが行ってしまうのを待っている。古ぼけた展望台に登ると360度、見渡す限りの山また山の世界。八ヶ岳の長い裾の上に見える筈の富士山は雲の中に隠れているが、八ヶ岳は勿論のこと、南アルプス、北アルプス、美ヶ原と、一大パノラマである。シカが原っぱから出て来て、今わたしが通って来た道をよぎっている。広々とした静かな夏の高原、見える範囲にはヒトは誰もいない、こんな贅沢、滅多に味わえるものでは無いだろう。でもいつまでもいるわけにもいかない、シカ達に別れを惜しんで鉢伏山荘まで下る。ここで昼食を摂る予定であったが、食べ物は作っていないと云うのでしかたなく牛乳を頼み、ザックからソイジョイを取り出してこれを食べる。もう一本牛乳を飲み、カロリーメートを取り出す。店番の80歳ほどのおばあちゃん、登山靴を履いていて元気そう。「どこから来たの?」、「岐阜」、という会話から始まり色んな話しをする。帰り際、「どこから来たの?」、ちょっと認知症気味である。今晩は宿泊客もあり忙しくなりそうだが、大丈夫かな? 山荘を出て少し進むと、扉温泉への道案内がある。下りは順調。営林署小屋に降り立ち、もう一度案内標識の不備を愚痴る。小屋の手前の沢で手と顔を洗い、ついでに頭も。ウーっ、気持ちがいい〜。これで道に迷ったこともすっかり忘れ、気持ち良く出発。これから先は沢沿いの緩やかな下り、山肌から集めた水が道を横切って沢に流れる。その度にタオルを水に浸し、シャツの中に突っ込んでほってった心臓を冷やす。クマさんに出合う事も無く、無事、登山口に帰り着いた。
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