黒部川 下ノ廊下(黒部ダム⇒欅平) 〜涸沢も立山もこの紅葉を超えられない!
- GPS
- 31:52
- 距離
- 37.0km
- 登り
- 6,693m
- 下り
- 7,593m
コースタイム
26日:阿曽原小屋6:55 - 9:00折尾ノ滝 - 9:25大太鼓 - 10:20志合谷トンネル - 12:50欅平
※深い峡谷やトンネルのためにGPSのデータは暴れているが、そういう状況も感じ取れるように敢えて修正なしで掲載した。
天候 | 25日:晴れ 26日:晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2012年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
※しかし、makibitoさんは宇奈月駅に車を止めて、立山経由で黒部ダムへ入ったとのことで、こちらの方法だとかなり時間を節約できるはず。 往路: 信濃大町駅〜扇沢(バス 1,330円) 扇沢〜黒部ダム(トロリーバス 1,500円) 黒部ダム〜ロッジくろよん(徒歩 30分) 復路: 欅平〜宇奈月(トロッコ電車 1,600円) 宇奈月〜新魚津(富山地鉄 900円) |
コース状況/ 危険箇所等 |
■登山ポスト:今回のルート上に発見できず。 ■道の状況 ※安易に危険度が低いかのような表現をした記録もあるが、水平道区間は全体を通して危険な場所と知っておくべき。 (黒部ダム〜内蔵助谷出合)ダムの下に100mほど下り、川沿いの岩ゴロの道を行く。特に問題なし。 (内蔵助谷出合〜東谷吊橋)区間の殆どは垂直の岩壁に幅の狭い道が付けられている。落ちると助からない場所が多い。山側に張ってあるワイヤーを必ず掴んで歩くべきだが、ワイヤーも完全には信頼できない。特に白竜峡区間は危険な箇所が連続する。 (東谷吊橋〜仙人谷ダム)通常の通路で問題ない。 (仙人谷ダム〜阿曽原小屋)水平道部分はほかと同様の注意が必要。水平道から小屋への下りは滑りやすく、気を抜かずに下りること。 (阿曽原小屋〜欅平)水平道部分はほかと同じく慎重に。志合谷トンネル内は真っ暗なのでヘッドランプ必須。 ■入浴:名剣温泉は欅平から祖母谷方面へ徒歩15分ほど。 入湯料 700円。 |
写真
感想
2年前にツアーで裏剱から仙人谷を経て欅平へ下りた時( http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-82359.html )に、いつか下ノ廊下全体を紅葉の時期に歩いてみたいと思った。
昨年は不幸な事故もあって入山できなかったが、今年は下ノ廊下の道の状態も良く紅葉も期待できそうだとのこと。
晴れが二日続きそうな日程を選んで出かけることにした。
前泊日、信濃大町へ向かう列車の車窓からは真っ白に冠雪した北アルプスが見えて、ワクワク感が高まる。
扇沢からトロリーバスで黒部ダムへ着いてみると、紅葉した尾根に続く山肌には粉を撒いたように雪が積もり、山頂部は真っ白!
ダムからこの日の宿泊地のロッジくろよんへ向かう道は、周り中の広葉樹が色付いて絵に描いたような景色。
金色のカラマツ、青緑の湖水、真っ白な高峰の組合せはヨーロッパかカナダを思わせる。
この日、ロッジくろよんの宿泊者はほぼ全員が翌日に下ノ廊下を歩く登山客。
同室になったヤマレコユーザーのmakibitoさんと知り合い、翌日から二日間の行程を一緒に歩くことになる。
【1日目】
夜明け前の5時にロッジを出発して先ず黒部ダムへ。
バスターミナルが開いていないこの時間の登山道への行き方は分かりにくいのだが、経験のある同室の人が先導してくれて迷うことなくダムの下へ下りることができた。
少し明るくなってから登山道を歩き始める。
空にはまだ雲が残り、やや不安を感じながら進むが、すぐに青空が見え始めて安心する。
最初のうちはやや岩ゴロの普通の道を軽くアップダウンしながら歩く。
歩き出して1時間余りで内蔵助谷との出合いに着き、ここで休憩しながらヘルメット(とGoPro)を装着。
ここからは川面からだんだん高くなり、水平道らしい感じになってくる。
9時を過ぎると日の光が谷の下の方にも届くようになって、峡谷全体が紅葉に染まる様子が映えて美しい。
やがて眼下にスノーブリッジがある場所を過ぎ、木の梯子で大きく高巻く最初の緊張ポイントをクリアすると黒部別山谷の河原。
ここで少し休憩してから、いよいよ今日の核心部の白竜峡に踏み入る。
河原から少し登って始まる水平道は今までより一段と幅が狭い。
しかも眼下の流れは一気に急流になって大きな音を立てて逆巻いている。
それに加えてこの一帯は阿曽原までの区間のほぼ中間になるために、阿曽原から登ってくる登山者とのすれ違いが発生する。
幸いに今回は特に危険な区間でのすれ違いはなかったが、場合によっては相当怖い思いをすることになるかも知れない。
とは言え、渡された丸太の橋の下がすぐに激流となっているような場所を通過する時はかなり怖かった。
緊張の歩行が続いたためか、十字峡までの1時間半はアッと言う間に感じられた。
十字峡では登山道から少し離れて下りて行くと全体を展望できる場所があり、そこで撮影を行った。
青緑と白の急流とパッチワークの紅葉、そして灰褐色の岩壁の色の組合せが絶妙でほんとうに美しい場所。
十字峡を過ぎても依然として緊張の解けない道が続く。
眼下に見る峡谷の姿は他では絶対にあり得ない素晴らしいものなのだが、とにかく長く歩いているので疲れが出てきて、早く仙人谷のダムに着かないかと待ち遠しくなってくる。
十字峡を出て2時間かかってやっと東谷吊橋に到着。
この吊橋は100mほども長さがあり、一人ずつしか渡れない。
一歩踏み出した途端に揺れるのを感じ、両側のロープを必死になって掴んで何とか渡り切る。
後から渡ったmakibitoさんに言わせるとここが一番怖かったそうだが、確かにそうかも知れない。
さらに20分ほど歩いて仙人谷ダム。
ダムの施設の中を通り抜けていると、途中で座ってタバコを喫っているやや年配の女性がいる。
登山者かと思ったが、何とダムの従業員で欅平から地下を走る関電の鉄道でやって来て宿舎に泊まっているとのこと。
冬は欅平へも入れないので、扇沢に回って黒部ダムからやはり地下にある道を車でここまでやって来るらしい。
「高熱隧道」の成果がいまだに使われていることを改めて認識させられた。
ダムから再び水平道へひと登りして1時間ほどでやっと阿曽原小屋に辿り着く。
ロッジくろよんを出てから10時間あまり経っていた。
【2日目】
前日の宿泊は60名足らずで一人布団1枚は確保。
快晴の金曜日の今日はきっとそうはいかないだろうな、と思いながら阿曽原小屋を7時に出発。
すぐに黒部三大岩壁のうちでも最下流にある奥鐘山が見えてくる。
この山の西壁はほぼ垂直でしかも高く、間違いなく穂高の屏風岩を越えている。
2時間ほどで折尾ノ滝に着くが、この滝の沢で登山道が深く折り返しているので進む方向がちょうど対岸に見え、水平道の様子が良く分かる。
遠くから見ると「良くあんな所を通るものだ」と思う場所をこれから通って行く。
折尾ノ滝からさらに30分で大太鼓と呼ばれる場所に差しかかる。
大きく湾曲した岩壁に登山道がヘツられていて危険な区間ということになっているが、昨日の白竜峡に比べれば緊張を感じない。
それでも谷底までは100m以上あるだろう。
さらに30分余りで志合谷のトンネル。
ここは途中で屈曲した150mもあるトンネルだが、中は完全に真っ暗でヘッドランプを点けても足元はかなり見にくい。
天井は低くて時々水滴が落ちてくるし足元にも水が流れている。
とても一人では通過できないような場所だった。
志合谷を過ぎてもまだまだ道は長く、欅平の喧騒の音は遠く聞こえるのになかなか着かない。
しかし、峡谷と周囲の山々の紅葉の色は変わらず美しく壮麗で、百年に一度と言われる今年の涸沢や立山の紅葉も絶対に敵わないだろうという景色が続く。
小屋を出てから5時間後に欅平へ下りる地点にある鉄塔の下で最後の休憩。
目の前に冠雪した後立山の白馬〜唐松岳を見ることができる絶好の場所で、この上はないと思った二日間の行程を振り返る。
欅平に下りて2時間後のトロッコ電車を予約してから歩いて15分の名剣温泉へ。
露天風呂で汗を流し、蕎麦を食べようとすると終了したところだというので仕方なく欅平駅へ戻って昼食。
観光客に交じって1時間半列車に乗って宇奈月へ。
宇奈月駅前に車を置いたというmakibitoさんとはここで別れ、JRへ接続する魚津へ向かった。
念願だった下ノ廊下をこれ以上はないという好条件で歩け、想像以上の光景と体験を得ることができて今年最高の山行だった。
二日間一緒に歩いて頂いた makibitoさん、 お世話になりありがとうございました。
下は水平歩道の通過などを撮影したGoProの動画映像
(うまく動かない時は右のURLをクリック。 https://www.youtube.com/watch?v=S14LxUfXWiQ )
この度はご一緒して頂き、ありがとうございました
大変有意義な山行が出来ました
凄く楽しかったです〜
ヤマレコの山行の記録、素晴らしいです
わたし、適当で…
ビックリしたのは写真の綺麗さです〜
テクもアングルも素晴らしいの一言です〜
あ、そっこうで長袖のシャツ買いました〜(笑)
またご一緒する機会がございましたら、よろしくお願いいたします<(_ _)>
makibitoさん、
こちらこそ楽しかったです。ありがとうございました。
長袖の必要性が分かったのは収穫でしたね。
これからも楽しい山旅を
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