7歳児とゆく想定外の急登と規格外の絶景・黒富士
- GPS
- 05:45
- 距離
- 8.7km
- 登り
- 765m
- 下り
- 755m
コースタイム
天候 | 快晴そしてまたしても強風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
全体的にほぼ完璧。八丁峠からのコースはふもと付近がやや荒れ気味 平見城〜越道峠: 登山口まではアスファルトのふつうの道、登山口から峠までは純然たる林道。勾配ゆるやか 越道峠〜鬼頬山: 痩せぎみの尾根をゆるゆる歩いていくとブチ当たる、200mをほぼまっすぐ直線で上げてくまさかのハイパー直急登。なんだこれオイ! 鬼頬山〜黒富士: 鬼頬山から少し急降下するも、あとはゆるい登りとゆるいくだりで黒富士付近まで。最後に軽く岩トラバースがあるけどまあ楽です 八丁峠〜平見城: 沢のはじまりの急斜面をジグザグに。オーソドックスな登山道だが、むしろふもと付近で林道が廃道レベルの荒れ模様&橋が落ちてて沢を自力でトラバースするというへんなフィニッシュ |
その他周辺情報 | 黒富士農場さんがあるけど、小売はなし。いちばん近い小売店は敷島店 |
写真
感想
週末は晴れの予報。
これだけでもう、山梨に行く理由は充分だ。問題はどこの山にするか。
金曜日夜に「あしたはやおきがんばろう」と息子に伝えるところから、我が家の山登りはスタートである。
朝5時に起き、おにぎりの支度……って、ご飯の炊き上がり時間間違えた! 普段どおりの6時半になってた! 仕方ないので朝ごはんに息子が即食べするキーマカレーを作る。ついでにこいつはおにぎりにも仕込む。
このところ、朝早く家を出るときは「車のなかで朝ごはん」にしている。ねむたい息子さんに朝ごはんを食べせようとして戦争になるくらいならば、着替えだけさせて車にたたきこんでおき、目が覚めたところで食べさせればよいのだ。
さて、前回の山梨漫遊で我々は「黒富士農場」のバウムクーヘンがおかしなレベルで美味しいことを知った。この農場の近くには、太刀岡山・黒富士・曲岳と3つも山梨百名山が並んでいる。さらには茅ヶ岳登山口にも近く、劇的に美味しかった農家さんの手作りジャムが手に入るかもしれない。
というわけで、この黒富士のあたりに車を走らせた。早く到着できればひととおり縦走できるかも。
……しかし寝起きの息子はたいへんスローで出発は7:30をすぎ、中央道は軽く混んでいて、到着はやっぱり10時過ぎ。まあ縦走とかそういう無理はやめときましょう。
太刀岡山登山口には10台ほど停められる駐車場があり、トイレもある。しかし10時段階ではすでに満車、トイレだけ済ませて進む。
ついで向かった平見城公民館前駐車場、5台ほどのスペースを登山者用にしてくれている。ただしトイレは無し。バス停があるので見ると、まさかの「週4本」。こりゃ交通機関で来るのは無理だな、、、
出発点をここに定め、スタート。車はほかに1台だけ、太刀岡山と比べるとちょっと人気がないみたい。
しかし近くに黒富士農場の本部を発見。きれいなレストラン風の建物もあり、小売やってるのかな?と思って近くにいた社員の方に尋ねてみた。ここでは直売をしていない、敷島店がわりと近くにあるということを教えてもらい、地図をいただいた。絶対寄ります!
曲岳、枡形山、黒富士、鬼頬山、太刀岡山。その全部をまわる時間はとうていなさそうだ。鬼頬山から黒富士をまわる周回コースにしよう。
まずは越道峠へ。黒富士・太刀岡山登山口というサインのところから道はダートになるけれど、林道なので傾斜はとてもなだらか。
そしてまた息子さんが全然起動しない。えだをぶん回し、地面をほじる。こんなにゆるい坂なのに進まないとか、けっこう困る。
がんばれがんばれ言い続けて、やっとのことで越道峠に到着。道しるべがある。右に行けば太刀岡山、左に行けば黒富士と曲岳方面である。
黒富士方面には階段が設置されていて、これを上がると痩せ気味の尾根に乗る。これをたどって鬼頬山に向かう……のだが。
息子さんのエンジンが、いっこうにかからない。つえ用に落ち枝を折って渡すも、土いじりを始めてしまい進まない。後ろから押すと体重をかけてくる。もー!と思ってぐいっと押すとコケてしまい、何をするんだとご立腹の息子さん。しばらくのあいだ、ケンカ気味に進む。それは道の真ん中にあった、幹の途中がぷっくりふくれた「おしりの木」を見つけるまで続いた。
まばらな林のむこうに、富士山がきれいに見えている。尾根はゆるやかな登り。これだけであれば、気持ちのよい道なのだが。進むべき方向に、とんがった山が見えている。これを越えていくというのか。
そしてとんがり山のふもとに着いたとき、我々はものすごいものを見たのである。
……急斜面をまっすぐ上る、ロープつきの道! なんだこれ!!!!!
幸いにして足元は滑らなかったが、気を抜いてロープを手離すと真っ逆さまに落ちていきそうなスーパー急登。というか、ふつうこんな斜度ならジグザグに道つけません?
杓子山(正確には高座山)、笠取山の急登を乗り越えてきたわたくしたち、ここもなんとか乗り越えてやろう。ロープにしっかりつかまって、少しずつ登ってゆく。きっついなこれ……
ソロの方がこの坂をおりてきた。息子が突然「こんにちは、ちょうじょうまであとどれくらいですか」とたずねた。えっ、頂上たくさんあるからな……とその男性。鬼頬山まで、というと、それならもうすぐだよと教えてくれた。僕が地図を持っていることを息子は知っているので、もしかしたら息子はこの語りかけを社交としてやっているのかもしれない。
急坂の格闘を終えると、道は一気にゆるやかに。そのまま進んで、鬼頬山山頂に到着した。おにがわやま、と読むそうな。
これだけしんどい思いをしたというのに、山頂標は木にくくりつけられた手作りのもの2枚だけというのがさみしいが、ひとまずここでごはんにしよう。
おにぎりはいつものかつお梅、そしてキーマカレー。米にキーマとチーズをねじ込んだ1品である。そしてやはりカップヌードル。息子はどうしてもペペロンチーノ、妻はカレー、僕はシーフード。こう毎週食べているとちょっとありがたみがない。
コーヒーとココアを飲んであたたまったら、本日の目的地・黒富士を目指そう。
黒富士方面もやはり、急坂。とはいえさっきの登りの半分もないくらいで、角度もややゆるやか。息子はさっさと駆け降りてしまった。妻はくだりが苦手。どうかがんばって。
そこからは軽い登りが続いてゆく。冬の陽が差しこむ林を抜けてゆく、その気持ちよさときたら。道が右にカーブするあたりで笹が生い茂る。このあたりで黒富士の姿が見えてくる。
また左に曲がり、ゆるい坂をのぼりきると八丁峰(気づかず)。ここで道は東に向きを変える。枡形山・曲岳方面と分かれ、黒富士へ。
しばらくごくゆるいアップダウンが続く。ほとんど平面、木を切り拓いたら暮らせそうである。
黒富士のとがったピークが見えてきたとき、また急登なのかと軽く絶望したが、軽い岩トラバースがあったりするだけで勾配はやんわり。回り込むようにして、山頂に到着!
黒富士に登ったよ。木があって眺望に少し邪魔だけど、まあ気持ちいい山頂かな。山梨百名山と甲府名山の票が別のところにあった。
だが、小さな道しるべを発見。富士展望台ですと? これは行かなければ。息子が意気込んで向かう。
そこは山頂ごくわずか先だった。目の前に富士山がどーん! 甲府盆地と近くの山々が眼下に広がる。東には帯那山の尾根、北側の金峰山や国師ヶ岳まで見渡せる。すごい迫力の大絶景! これはちょっと感動、登ったかいがあった。
けれどそれだけの絶景なのは、ここがすとーんと切り立った崖の上だから! なにこれめっちゃ高い! 本気で怖い!! 息子さんこんなところでふざけないで、マジやめて!!!!
命が縮むような思いと引き換えになかなか見れない大絶景を味わうことができました。よし、あとは下山だ。茅ヶ岳のジャムはまだあるかな? 黒富士農場のバームクーヘンは買えるかな?
くだりとなると俄然やる気全開の息子さん、最初からトバし気味におりてゆく。
黒富士頂上付近の岩場は、下からはなんなく通過できるが上からだと少しコツがいる……と思っていたらさっさと岩場を通過、引き続き軽快におりてゆく息子。この岩場で少し手間取り遅れをとったが追いかけないと、と思っていたら後ろからヘルプを求める声。妻が断崖のカモシカみたいに動けなくなっていた。息子に止まるように言い、妻を救出する。妻はくだりが得意ではないのだ。
登りのときに通過した分岐を今度は北方面に進む。このあたりは八丁平というようで、ここから枡形山への道が出ている。ものの数分で到着する絶景ポイントのようだが、今回は少し遅いのでパスしよう。
八丁平から八丁峰の頂を巻くように進むと、八丁峠。ここで曲岳方面の道とわかれ、くだってゆく。沢沿いの道のようだ。
斜面自体は急だが、九十九折に道がついているのであまり苦労しない。道が落ち葉で埋まっているけれど、注意していれば大丈夫。ということで息子はハイスピードでおりてゆき、妻は足元がおぼつかずピャーとか言っておりてこない。
大きな岩があったり、かわいい渡渉があったりとそれなりにバリエーションを楽しみつつおりていった。道はだんだんとゆるやかになる。林道と合流してからは楽……かと思いきや、あまり使われない道らしくヤブ化していた。
最後に、橋の落ちてしまった水のない沢をわたって、黒富士農場のところに到着。トコトコ歩いて駐車場にもどり、本日のやまのぼりは終了となった。
絶景ポイントの多いルートだったが、全体をとおして2名としかすれ違わなかった。あまり素人が手を出すエリアではないのかもしれない。
茅ヶ岳登山口の駐車場に急いだが、すでに車は1台もなく、幻のジャムも置き場からして存在していなかった。妻にたいそう怒られたが、黒富士農場直営の「たまご村」敷島店でバームクーヘンと生卵を買い機嫌をなおしてもらった。息子はハイスピードくだりができたのですっきりした顔をしている。まあだいたいよいやまのぼりができたなと思った。
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