斜里岳北壁 玉石沢〜中央リッジ左クーロアール(仮称)
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- GPS
- 16:00
- 距離
- 19.9km
- 登り
- 2,406m
- 下り
- 2,407m
コースタイム
- 山行
- 15:10
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 16:00
天候 | 晴→ピーク付近のみガス |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年02月の天気図 |
アクセス |
写真
感想
前々から気になっていた斜里岳北壁。今回の道東クライミングの一つ絶対に行きたいところとしてここを狙っていた。
多くのパーティーは3月下旬以降に1.5日かけて行っているが、あまり(というか全く?)記録の見ない2月に、かつワンデイで、そして玉石沢をストレートに詰めて北壁を登ってしまおうと画策した。
コンパクトなザックを背負いラテルネつけてスキーで出発。初めは地形がどこも同じような感じなので磁石を見ながら玉石沢に入る。ラッセルはほとんどなく、快調。沢をしばらく進むとやがて吹き溜まっているところは30cmぐらいあり、玉石沢の直上に一抹の不安を覚える。振り返ると斜里の街明かりが煌々と輝いている。沢中は意外とブッシュや灌木が飛び出ていて歩きづらかったが、それでも予定よりも早く3時間で沢中の灌木が途切れ急になるCo1100付近に付き、シーデポ。つぼにすると膝まで埋まり、20日に気温が高くなってから、予想以上に積雪があったことがわかった。少し雪面を登ってから弱層テストをすると、100mぐらいに20日のものと思われる顕著な層があったが、CTHで破断はスパッと切れる感じではなく意外とヤバい感じではなさそうなので雪崩に警戒はしつつもそのまま玉石沢を直上することにする。北西稜に突き上がる沢に氷瀑があった。両岸が切り立ったゴルジュ地形通称「のど」はコンテで通過。途中一応持ってきてみたスクリューでピン取れた。
のどを抜けた後は上部壁まで雪田と急な草付きを灌木でピン取りながらコンテで登っていったが、上部壁真下でハングした草付きが出てきたのでスタカットに切り替え、上部壁中央リッジ(と思われる正面のリッジ)の灌木でビレー。
上部壁はどこが登られているかはっきりとわからなかったが、中央リッジの左に見える浅いクーロアールがいい感じのぶっ立ちで面白そうなので登ってみることにする。
1p目 成田 50m M6 スラブ状のへぼい草付きにアックスを刺して6m程登り、ぶっ立ったクーロアールへ入る。草付きは大体スカスカであてにならない。除雪をするとハングしていたが、コンクリートされた積み木状の岩となっていてプロテクションはカム、トライカム、ナッツで快適に取れ、アックスを引っ掛けたり持てるガバも適度にあるのでなんとかなりそうだ。足を左右に張ってハング上のマントルにアックスを決めて楽しく乗っこす。ここが第一核心。その上は浅いチムニー状〜スラブを10m登り、二段目の7m程のぶっ立ちクーロアールに入る。左右の壁にわずかにある凸凹やクラックにアイゼンの前爪をねじ込んで身体を上げ、除雪しながら登ると抜け口はまたしてもハング。プロテクションを決めて思い切って乗っこす。ここを越えると左上するバンド状となり、ピナクルとナッツでビレー。
2p目 笠井 55m 右にトラバースしてリッジをまたぐと灌木帯のルンゼに突入。所々立った木登りや草付きダブルアックスでロープいっぱい伸ばして灌木でビレー。
あとは確保無しでロープ引っ張ってピーク。ピーク付近はひどいバリズボ。快晴だったはずがいつの間にかガスガスビュービューとなっていた。ロープしまって下降に取り掛かる。天気悪く暗くなる時間も迫っているので、最も安全と思われる北西稜を下降してCo1200辺りから木の生えた急斜面を降りて玉石沢に戻り、スキー回収。北西稜はバリズボラッセル酷く、玉石沢アプローチでなかったら今回は北壁を登れなかったのではないかと思った。あとは街明かりを見ながら沢スキーで下山。ノンストップスキーかと思いきやブッシュ多いのでシールつけたままズルズルと車まで。
今回は斜里岳北壁を、ワンデイで、玉石沢をダイレクトに詰め、かつ壁を見て登れそうなラインを登るという中々いいスタイルで登れた。
玉石沢アプローチの斜里岳北壁は、登攀だけでなく雪のコンディションやザイルの判断など、総合的な能力が求められていいルートだと思う。
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