頸城(くびき)駒ヶ岳と海谷渓谷「正に日本のギアナ高地」新潟県糸魚川市


- GPS
- 05:15
- 距離
- 10.0km
- 登り
- 1,115m
- 下り
- 1,102m
コースタイム
- 山行
- 7:40
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 8:20
天候 | 曇天 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
まず、糸魚川ICから一旦国道148号線を市街地方向へ右折、国道8号線にぶつかったら右折し、海岸沿いを一旦上越市方向へ10分ほど進む。西上刈交差点(セブンイレブンあり)を右折し、ひたすら山に向かって進む。山の中の集落の三叉路で通行止めなっているが、その三叉路を左折する。三叉路の脇には、海谷渓谷周辺を描いた絵画のような案内板がある。 ちなみにその三叉路で、白馬岳や、クライミングで有名な明星山の岩壁が一望できる。下車して眺めることを勧める。三叉路からさらに10分程度進むと、登山口のある三峽パークに着く。 入浴は、糸魚川IC入口交差点まで戻り、ICには入らず、さらに国道148号線を白馬村方向に進行すると、直ぐに高層ホテルが併設する糸魚川温泉がある。 そこで入浴すると良いだろう。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
頸城駒ヶ岳は、当日は曇天で霧が濃かったため地面が濡れており、かなり滑りやすかった。 傾斜が急で、梯子や補助ロープを設置されている場所が多い。 下りは特に注意 今回は、一旦、登山口の三峽パークまで下山した後、海谷渓谷を海谷高地まで散策した。渓谷沿いの道は、整備されており歩きやすい。 両岩の岸壁には圧巻させられる。 駒ヶ岳から鬼ヶ面に縦走し、海谷高地に下り、海谷渓谷を経由し、三境パークに戻る周回コースもある。 ただし、コースタイムで9時間半以上掛かり、縦走路は難所も多く熟練向きとのこと。 なお、海谷渓谷や海谷高地は渡渉箇所があるが、大雨だと渡渉できないので、要注意 |
写真
装備
個人装備 |
スパイク(1)
|
---|
感想
新潟県糸魚川市にある「駒ヶ岳」(標高1487・4m)に登ってきた。
実は、駒ヶ岳という名の山は、日本で一番多い。そこで、他と区別するため、この山は「頸城(くびき)駒ヶ岳」とも呼ばれている。この辺りが「頸城地方」と呼ばれているからだ。
さて、この山の特徴は、箱型のテーブルマウンテンであり、東西に大岩壁を持つことだ。
東側には、谷を挟んで同様なテーブルマウンテンである千丈ヶ岳(標高1203m)がある。その谷は海谷(うみだに)渓谷という、両山の大岩壁に挟まれた絶景の秘境である。
今回は、頸城駒ヶ岳の「海谷コース」を山頂まで往復した後、海谷渓谷を「越後の上高地」と呼ばれる海谷高地まで散策してきた。
まず、「海谷コース」の登山口は、「三峽パーク」というキャンプ場付きの公園にある。駐車場や綺麗なトイレも完備されている。
入山すると、登山口から15分程で、個人管理の駒ヶ岳ロッジに着く。
個人管理で施錠もされているので入ることはできない。
そこからは藪を通り、20メートルくらいの梯子のある草付きの岸壁を登る。その先も、しばらく補助ロープの付いた急登や、梯子がある。
登山道は、山頂まで緑が濃い樹林帯だ。濃い樹林に隠されているが、実はよく見ると登山道の両側は滝のような急な沢や、岩壁であり、険しいところを登っているのがよく分かる。
テーブルマウンテンの、テーブル上に出た辺りから傾斜も緩くなる。辺りはブナの原生林で、「となりのトトロ」が住んでいそうな森だ。ブナの森を抜けると山頂に着く。
本来は、稜線で繋がっている日本百名山の雨飾山が、間近に見れるはずだが、今回は濃い霧のため、何も見えなかった。
山頂の先からは、隣の鬼ヶ面を縦走して、海谷高地に下り、海谷渓谷を経由し、再び三峽パークに周回してくるコースがある。しかし、熟練者向きの上、コースタイムでも9時間半掛かるので、とても時間がないことから、当初の予定どおり、元来た道を下ることにする。
当日は梅雨時期の上、濃い湿った霧のため、地面がぬかるんでいた。元々岩山なのに、その上に土が堆積しているので水捌けは最悪で、とにかくよく滑る。下りは、登りの急登を下るわけたが、追い打ちをかけるように地面が滑りやすいので、慎重を要した。これには閉口した。
私は以前、西側の岩壁の根知谷コース(大神堂)を登ったことがある。岩壁のバンド(横帯)に、岩を斜め上状にくり抜いたような道があり、テーブルマウンテンを登っている実感があって楽しかった思いがある。当時は秋だったので岩も乾いていて登りやすかった。私としては山頂を往復するだけなら、西側の根知谷コース(大神堂)がお勧めだ。ただし、こちらは三峽パークからは遠く離れているし、鬼ヶ面を縦走しても周回して戻って来れない。
さて、登山口のある三峽パークに戻ってきた後、一旦、荷物をデポして、海谷渓谷の散策に向かった。以前、途中まで入ったことがあったが、両岸の大岩壁のスケールに改めて圧巻させられた。岩壁は、海谷高地までの約2kmから3km�(徒歩1時間20分)に渡り続いている。「まだ日本にもこんな秘境があったのか」と、改めて驚かされる。
まだクライミング界でも広く知られていないようで、「日本に未踏の岩壁がない。」と嘆いているクライマー達が知ったら、さぞ驚くことだろう。ちなみに、霧が掛かっているせいもあり、岩は濡れてヌメッとしていて、日の当たらない暗い感じだ。私はどこか「谷川岳の一ノ倉沢に雰囲気が似ている。」と感じた。
渓谷沿いの道は、整備されていて歩きやすい。
30分程歩くと、「繰り越し」と呼ばれる所で、巨岩のある河原に降りる。実は以前は、両岸を渡るワイヤー付きの籠状のゴンドラがあったが、現在は一旦、河原に降りなければならない。大雨の時は、渡渉できないので注意が必要だ。その先は、海谷高地までさらに道が続く。
50分くらい進むと、急に視界が開け、広い河原の「海谷高地」に着く。今まで、狭い渓谷だっただけに意外な景色だ。当初、標高が732mと考えられていたので、別名「732高地」だとか。実際は標高は780m。海谷高地は、その美しさから「越後の上高地」と呼ばれているとか。ただし、当日は霧で視界は悪く、上流に雪の付いた山々が見えれば、もう少し感動があったかも。それと入り口は、発電所の取水口の小さなダムや、管理小屋があり、秘境に人工物があるのには少々興ざめした。
ここまでルートタイムでは1時間10分であったが、空荷の我々ですら1時間20分以上は軽く掛かった。崩落でコースを変更されていた箇所もあるためかもしれない。ザックを担ぐなら最低でも1時間半は見込んだ方がよい。その後、元来た道を戻り、三峽パークに帰着した。
さて、この海谷渓谷は、カンヌ国際映画祭を受賞した1983年の映画、「楢山節考」(ならやまぶしこう)のクライマックスのロケ地である。そもそも、ご存知でない方は「楢山節考て何?」と疑問に持たれるだろう。姥捨山伝説を題材にした緒形拳主演の映画である。「姥捨て山!?」と聞くと、眉をひそめる方も多いと思うが、何も忌まわしき悪習としてクローズアップしたり、凄惨な内容の映画ではない。むしろ、代々繰り返されてきた人間の生と死の営みを包み隠さず描いていたり、母と子の深い愛情、日本人独特の運命を静かに受け入れる情操をテーマにしている秀逸な作品だ。ご一見あれ。ただし、あまりに人間の営みを描くあまり、性描写も露骨なので、お子様と見るには向かないだろう。
この山の向こうの長野県小谷村は、主人公の住む村の場面のロケ地として使われている。登山口の手前の集落同様、冬は雪深いが、白馬岳の望める美しい場所として選ばれたようだ。ただし、周辺に姥捨山の伝説はないそうなので、悪しからず。
最後に、この海谷渓谷を含めた周辺は、世界遺産の地学版、ユネスコ支援の「世界ジオパーク」の一つに登録されている。本州では世界ジオパークに認定されているのは、ここ糸魚川だけだ。ぜひ世界に認められた自然を楽しんでもらいたい。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する