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Yamareco

記録ID: 4876015
全員に公開
沢登り
九州・沖縄

【奄美】フウチブルの滝登攀

2022年11月04日(金) [日帰り]
 - 拍手
体力度
1
日帰りが可能
GPS
06:21
距離
3.0km
登り
382m
下り
380m
歩くペース
ゆっくり
1.41.5
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
2:24
休憩
3:58
合計
6:22
距離 3.0km 登り 383m 下り 385m
7:44
63
スタート地点
8:47
12:45
81
14:06
ゴール地点
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2022年11月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
路肩に適当に駐車
コース状況/
危険箇所等
・フウチブルの滝の左岸側には地籍調査のマーキングがあり、ロープ不使用でかなり下れる。今回は最後を懸垂下降したが、大きめに巻き下ればロープ無しで滝壺まで降りられそうな地形であった。
・滝場の上流の二俣の右岸に残置ロープがあり、尾根上にある果樹園と踏み跡で繋がっている。
その他周辺情報 ・沢名は不明であるため、「フウチブル川」としておく。
・一時期九州最大落差の滝ではないかと騒がれたが、全体を1つの滝とみなすのは無理があり、最下段の滝82mを1つの滝とするのがだと思う。この場合でも奄美群島内では一番大きい滝と考えられる。(タンギョの滝は一つながりの滝としては80m)

※以下の部分は6日間の記録で共通※
【2022.11.2-7 6日間の記録一覧】
11/2生勝の滝
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4865794.html
11/3青久
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4872765.html
11/4フウチブルの滝
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4876015.html
11/5茂田原の滝
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4882050.html
11/6ウチミズ川・滝ノ鼻川(仮)
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4889520.html
11/6トンジュウロウの滝(観瀑)
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4890504.html
11/7タンギョの滝
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4893061.html


【島での生活】
○キャンプ場
大浜海浜公園内、小浜キャンプ場を使用。1泊1張600円と格安で、平らで広い。初日は午後6時半ごろまでに、奄美海洋展示館で受付・支払いを済ませる必要がある。各種キャッシュレス・電子マネー使用可能。テントサイトは駐車場から徒歩3分程度。トイレ・炊事場でコンセント使用可能。水シャワー無料。トイレは綺麗。島の中心である名瀬市街からも遠くなく、キャンプ場としては便利な立地だと思う。混雑は全くなく、1日当たり1〜3張程度であった。殆どは1泊のみの利用者。使いかけのOD缶やCB缶が炊事場に残置されていた。

○食事
今回は、朝食はコンビニ(ファミマ名瀬平田店)で買い食い、昼食はスーパー(タイヨーが便利)やドラッグストアで買ったパン、夕食は外食とした。24時間営業のコンビニはファミマのほか、名瀬市街の島人マート石橋店がある。夕食を食べられる店は、空港〜名瀬と古仁屋以外にはほぼ無い。

○銭湯
11月ともなると、水シャワーを夜に浴びるのは気が進まない。銭湯は名瀬にはなく、龍郷と住用にあるが、住用のものは故障中で利用不可であった。両銭湯は500円程度。名瀬にも日帰り入浴可能なホテルはあるが、利用料金が高い。6日間で龍郷の銭湯を2回利用した。

【島での山行】
○ハブ
奄美・沖縄で山に入ると言えば毒蛇のハブが気になるところ。実際には、6日間での遭遇は、ヒメハブ10個体程度、ハブ1個体で、特にヒメハブは本土の蛇類と比べても非常に多い。しかし、ハブは暑い時期の夜に活発になる生物で、11月の昼間はかなり不活発であった。棒で突いても逃げもしない個体もいるほど。踏みつけたりしない限りは噛まれないのではないかと思う。
また、藪の中で見かけることはなく、沢中の岩・石の上でとぐろを巻いているのをよく見かけた。単純に藪の中にいた個体を発見できなかっただけかもしれないが、岩・石の上を歩くときは、足下をよく見ながら歩いたほうが良い。
念のため、ポイズンリムーバは必携。

○山の様子
地域によっては、道のない山は藪が酷くて歩けたものではないが、奄美の山は、基本的に藪が薄く、歩きやすい。旺盛な照葉樹林により林床が暗いためかと思われるが、有難いことである。ただし、海風が強い等の理由により森林が発達せず、日当たりの良い場所には歩けないほどの藪があることもある。
奄美大島・加計呂麻島にはリュウキュウイノシシが多数生息しており、ぬた場や獣道がよく見られる。獣道は非常に明瞭なものもあり、うまく利用すると時短になるが、油断すると沢に戻りにくくなることもある。
あまり人が入らないように見える山中にも人間活動の痕跡は多く、取水施設の跡、地籍調査のマーキング、測量基準点のような残置物、マングース捕獲用の罠とその巡視路、古い農具等、様々なものを見かける。

○沢での装備
全体的によくぬめる箇所が多く、フェルトソールが良い。滝もフェルトソールで登れたが、クライミングシューズの方が登りやすかっただろうと思われる滝もあった。カムは4番まで1セット+リンクカム1セットで十分だった。全体的には脆い岩(砂岩・泥岩)が多いが、脆い箇所を落とせば大抵はそれなりに堅い岩が出てくる。ハーケンは時々使用、ペッカーはウティミズの滝のみで1回使用、フック類・ナッツは不使用。

○参考文献
小阪・酒井, 2021. 奄美群島の海岸瀑, ROCK & SNOW. (91): 44-47.
岩の上のヒメハブ:島ではこんな状態の個体を見かけることが多かった。
2022年11月04日 08:12撮影 by  DSC-RX0, SONY
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11/4 8:12
岩の上のヒメハブ:島ではこんな状態の個体を見かけることが多かった。
フウチブルの滝82mの全景
2022年11月04日 09:36撮影 by  SO-02J, Sony
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11/4 9:36
フウチブルの滝82mの全景
滝の最下部をシャワークライミングするtamoshima
2022年11月04日 10:16撮影 by  DSC-RX0, SONY
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11/4 10:16
滝の最下部をシャワークライミングするtamoshima
太平洋をバックに1p目をフォローするmashikotte
2022年11月04日 10:58撮影 by  SO-02J, Sony
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太平洋をバックに1p目をフォローするmashikotte
フウチブルの滝の上部
2022年11月04日 11:56撮影 by  SO-02J, Sony
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フウチブルの滝の上部
2p目をフォローするtamoshima
2022年11月04日 12:22撮影 by  DSC-RX0, SONY
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2p目をフォローするtamoshima
2段17m滝
2022年11月04日 12:44撮影 by  SO-02J, Sony
11/4 12:44
2段17m滝
2段17m滝をリードするtamoshima
2022年11月04日 13:01撮影 by  DSC-RX0, SONY
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2段17m滝をリードするtamoshima
3連続の5m滝:2つ目が意外と悪かった
2022年11月04日 13:17撮影 by  SO-02J, Sony
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11/4 13:17
3連続の5m滝:2つ目が意外と悪かった
2段7m滝:初登時は右から水流横断で登られているらしいが、無難に左から取りついた
2022年11月04日 13:31撮影 by  SO-02J, Sony
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11/4 13:31
2段7m滝:初登時は右から水流横断で登られているらしいが、無難に左から取りついた
遡行図
2022年11月18日 08:11撮影
11/18 8:11
遡行図
撮影機器:

感想

【アプローチ】
今日は沢下降アプローチ。昨日痛めた左足指はアイシング&テーピングで固めたものの、やっぱり痛いので小指側で歩くことで、何とか、といったところ。アプローチが短めで助かった。
落ち口までは穏やかな渓相を歩く。F10 を下ったところから、左岸の尾根を歩いて降りる。調査のピンクテープがけっこう下まであって、びっくり。
最後は懸垂30m入ってしまったが、もっと左にある尾根伝いなら歩いて降りれそうだった。
懸垂は、サトウキビみたいに大きいススキの中に突っ込む感じで、ロープが絡まりまくってかなり時間がかかってしまった。。

【滝登攀】
昨日の続き、ということで、1ピッチ目はtamoshimaリード。1ピッチ目の出だしで落ちるとグラウンド必至なので、2P目で良かったな、とか思いつつ、ビレイ。
そこを抜けた後は、順調にロープを伸ばしていき、60mいっぱいでピッチを切ってもらう。
フォローで登っても、やはり一つ目のカムを取るところまでが怖い感じ。

2P目は、3日目にしてまともなピッチのリード担当ということで、若干緊張したものの、まぁ、落ちても止めてもらえるし、と気楽に登り始める。
水流の右側から登り始めて、途中、水流沿いを攻めようと思ったものの、左足に体重を乗せきれず断念。結局、右壁の苔を掘り起こしたりしつつ登攀。
ちょこちょこ岩は壊れたものの、水平クラックが結構走っていて、カムも多めにとれる感じで快適登攀で無事リード終了。

帰りは二股からピンクテープに従って沢から離れたところ、農園に出て、整備された道があって、かなり快適だった。

本日のハブ:ヒメハブ2

奄美遠征3日目、島の沢の大体の様子は分かったので、本命の1つ、フウチブルの滝へ。

フウチブル川(仮)の左俣から入渓し、平凡な沢をサキシマハブとヤマトヌマエビに会いながら下っていくと、水量の多い右俣が入ってきて、程なくして滝場。左岸から適当に巻き下っていくと、地籍調査の跡が沢山出てくる。結構急斜面になってもそれは続き、調査者の苦労がしのばれる。
終盤で急になり、巻くのも面倒そうなので懸垂下降としたが、草に絡まりまくって大変だった。下から見た限りでは、もう少し大巻して、歩いて下るのが良かったように思う。

降りたところはちょうどフウチブルの滝の真下で、確かにこれは非常に立派な滝である。ドローンは無いが、少し離れればよい感じに全景が見える。近くには海蝕洞もあり、しばし散策&撮影&休憩。

登攀は、ロクスノに書かれていた通り、下部は左から巻き気味に登ることも出来そうだったが、せっかくなので水線を攻める。序盤、落ちられないシャワークライミングとなり緊張したが、そこを越えれば快適そのもの。60m目一杯伸ばしてピッチを切った。本当に快適なピッチで、6日間の遠征の中ではここが1番良かった。
2p目はmashikotteリードで、岩の脆さもあって慎重に時間をかけて登っていたが、フォローとなると快適そのもの。天気もロケーションも素晴らしく、最高の気分で落ち口へ。

ここからは連瀑帯となるが、間に平坦部があるので一つの滝とみなすのは無理があると思う。2段17m滝は一応ロープを出したが簡単で、逆に軽い気持ちで取りついた2つ目の5m滝は小難しく、てこずった。後は適当に登れる滝で、朝に通った平流部へ。
二俣で周囲を見渡すと、右岸からロープが垂れているのが見え、これは果樹園へ繋がっているのではないかと思い登ってみると、目論見通りであった。あとは道路を歩くだけで、往路よりもかなり楽に車に戻れた。

【感想・総評】
10段200mの滝というのは大げさだが、最下段82mは快適に登れ、ロケーションも素晴らしい海岸瀑で、非常にお薦めできる。その後の連瀑帯もそれなりに楽しめるし、アプローチも割合楽なので、6日間で行った沢の中では最も良かった。沢屋が奄美へ行くなら是非登るべし。

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