【奄美】茂田原の滝登攀
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- GPS
- 07:30
- 距離
- 7.4km
- 登り
- 476m
- 下り
- 438m
コースタイム
- 山行
- 3:37
- 休憩
- 4:02
- 合計
- 7:39
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
船
2022年現在、初便は7:30発だが、日曜運休のため注意。また、でいご丸は小舟でアナウンスもなく発着するので注意。片道400円。 https://www.setouchi-welcome.com/shiptime 復路はフェリーを利用した。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・茂田原の滝は、奄美の滝の中でも特に脆い。 ・茂田原の滝の上流はかなり藪っぽい沢となっており歩きにくい。 |
その他周辺情報 | 茂田原の滝の存在自体は、古仁屋〜請島・与路島の定期船からも見えるため、地元で良く知られているが、港や展示体験交流館で尋ねても、滝の名前は無い、または知らないとのことであった。また、滝のある浜は「ニゴリバマ」と呼んでいるそうであった。 なお、周辺の断崖には「加計呂麻断崖」、滝のすぐ北にある大波が来ると水が噴き出る岩には「潮吹き岩」という地名がある。 小阪(2021)らは、付近にある三角点名から、この滝に「モダバルの滝」の仮称を付したが、点の記を確認したところ、この三角点名の読みは「もたばる」であった。 以上から、ここでは滝名を「茂田原の滝」とし、茂田原の滝のある沢に「濁浜北谷」、アプローチで下った沢に「濁浜南谷」の仮称を付す。なお、「茂田原」の地名は、三角点名の他、全国Q地図の鹿児島県森林基本図上でも見られ、行政上は大字諸鈍内の一小字である。 アプローチに使った諸鈍側の谷は、諸鈍川水系仲田川の支流であり、「一ノ谷」と仮称しておく。165m峰に詰めるこの谷を一ノ谷、187.4m三角点「茂田原」に詰める谷を二ノ谷、218m峰に詰める谷を三ノ谷、168m峰に詰める谷を四ノ谷、193.5m三角点「南茂田原」に詰める谷を本谷としておくが、こんな仮称を付しても誰も使わないだろう。 なお、古い地図では茂田原の滝の上流は田圃となっていて、上流に廃田が存在することが、濁浜北谷の水が汚い原因である気がする。 ※以下の部分は6日間の記録で共通※ 【2022.11.2-7 6日間の記録一覧】 11/2生勝の滝 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4865794.html 11/3青久 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4872765.html 11/4フウチブルの滝 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4876015.html 11/5茂田原の滝 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4882050.html 11/6ウチミズ川・滝ノ鼻川(仮) https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4889520.html 11/6トンジュウロウの滝(観瀑) https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4890504.html 11/7タンギョの滝 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4893061.html 【島での生活】 ○キャンプ場 大浜海浜公園内、小浜キャンプ場を使用。1泊1張600円と格安で、平らで広い。初日は午後6時半ごろまでに、奄美海洋展示館で受付・支払いを済ませる必要がある。各種キャッシュレス・電子マネー使用可能。テントサイトは駐車場から徒歩3分程度。トイレ・炊事場でコンセント使用可能。水シャワー無料。トイレは綺麗。島の中心である名瀬市街からも遠くなく、キャンプ場としては便利な立地だと思う。混雑は全くなく、1日当たり1〜3張程度であった。殆どは1泊のみの利用者。使いかけのOD缶やCB缶が炊事場に残置されていた。 ○食事 今回は、朝食はコンビニ(ファミマ名瀬平田店)で買い食い、昼食はスーパー(タイヨーが便利)やドラッグストアで買ったパン、夕食は外食とした。24時間営業のコンビニはファミマのほか、名瀬市街の島人マート石橋店がある。夕食を食べられる店は、空港〜名瀬と古仁屋以外にはほぼ無い。 ○銭湯 11月ともなると、水シャワーを夜に浴びるのは気が進まない。銭湯は名瀬にはなく、龍郷と住用にあるが、住用のものは故障中で利用不可であった。両銭湯は500円程度。名瀬にも日帰り入浴可能なホテルはあるが、利用料金が高い。6日間で龍郷の銭湯を2回利用した。 【島での山行】 ○ハブ 奄美・沖縄で山に入ると言えば毒蛇のハブが気になるところ。実際には、6日間での遭遇は、ヒメハブ10個体程度、ハブ1個体で、特にヒメハブは本土の蛇類と比べても非常に多い。しかし、ハブは暑い時期の夜に活発になる生物で、11月の昼間はかなり不活発であった。棒で突いても逃げもしない個体もいるほど。踏みつけたりしない限りは噛まれないのではないかと思う。 また、藪の中で見かけることはなく、沢中の岩・石の上でとぐろを巻いているのをよく見かけた。単純に藪の中にいた個体を発見できなかっただけかもしれないが、岩・石の上を歩くときは、足下をよく見ながら歩いたほうが良い。 念のため、ポイズンリムーバは必携。 ○山の様子 地域によっては、道のない山は藪が酷くて歩けたものではないが、奄美の山は、基本的に藪が薄く、歩きやすい。旺盛な照葉樹林により林床が暗いためかと思われるが、有難いことである。ただし、海風が強い等の理由により森林が発達せず、日当たりの良い場所には歩けないほどの藪があることもある。 奄美大島・加計呂麻島にはリュウキュウイノシシが多数生息しており、ぬた場や獣道がよく見られる。獣道は非常に明瞭なものもあり、うまく利用すると時短になるが、油断すると沢に戻りにくくなることもある。 あまり人が入らないように見える山中にも人間活動の痕跡は多く、取水施設の跡、地籍調査のマーキング、測量基準点のような残置物、マングース捕獲用の罠とその巡視路、古い農具等、様々なものを見かける。 ○沢での装備 全体的によくぬめる箇所が多く、フェルトソールが良い。滝もフェルトソールで登れたが、クライミングシューズの方が登りやすかっただろうと思われる滝もあった。カムは4番まで1セット+リンクカム1セットで十分だった。全体的には脆い岩(砂岩・泥岩)が多いが、脆い箇所を落とせば大抵はそれなりに堅い岩が出てくる。ハーケンは時々使用、ペッカーはウティミズの滝のみで1回使用、フック類・ナッツは不使用。 ○参考文献 小阪・酒井, 2021. 奄美群島の海岸瀑, ROCK & SNOW. (91): 44-47. |
写真
感想
【アプローチ】
船に乗ってのアプローチなので、帰りの時間制限もある、ということでドキドキ。
まず船上タクシーの乗り場と、乗り方がわかりづらい。朝一だと、地元の人しか使わないので、全く勝手がわからなかった。船が着いても案内はなく、勝手に乗り込んで、すぐに出発しちゃう感じ。
奄美大島慣れしてるtamoshimaがいなかったら、アプローチ敗退していたことでしょう。。まぢ感謝m(_ _)m。
加計呂麻島についてからは、入渓点まで車道歩きをして、入り口に荷物をデポして、水路からアプローチ。
稜線に出るまではイノシシの足跡がかなり明瞭にあって快適。
ただ、そこからモダバルの滝の一本南の沢に入るまでは、結構薮があり、快適とは言い難かった。
下降する沢の一段目の滝は結構難しめのクライムダウン。降りてみて下から見るとなんということはないのだけど。。
で、おととしのモノと思われる懸垂支点を発見したので、それを使って懸垂下降。
その後はクライムダウンして降りるが、とにかく岩がもろくて、先行きが不安になってくる。
海岸に降りると、モダバルの滝が見えてくる。辺境感がすごくて気分が上がってきつつ、滝の下にむかう。
【滝登攀】
落ち口に大きな釜があるので、1P目ではあるけど、比較的安心してリード開始。
晴れてはいたものの、寒さに弱いのでタッパーを着て登攀。結果的には、ビレイ中寒かったりしたので正解だった。
近づいてみると、ホールドは結構あるので、難しさはないものの、とにかくぼろい。
岩を落としてクリーニングしながら登っていく感じになり、シーズン初登のアイスクライミングみたいだなー、とか思いながら登る。
途中、ビミョーだなーと思いながら立ちこんでいた岩が案の定折れたり、プロテクションもビミョーなのしか取れず、と結構精神力使ったものの、無事テラスに到着。
左壁は結構固いのと、灌木もあって、ここしかない感じの場所で切ることが出来た。初登時の2P目終了点と思われる。先人の情報は偉大なり。
2P目はロクスノでも落ちてた区間で核心ピッチ。tamoshima も一度ホールドが折れて落ちたものの、カムが多めにとれていたので問題にはならなかった。
落ち口まで伸ばしてもらい、フォローで登って無事登攀終了。
落ち口からの景色は良いし、天気も良いし、ぼろい壁からの解放感で、テンションがあがった。
確かに、辺境感といい、景色といい、登攀の満足度といい、「辺クラ史上最高といっても過言ではない大滝」の評価には間違いがなかった。
(辺クラ、ほぼはじめてではあったけど。)
ただ、ここからの帰りがちょっと厄介で、薮が濃いめだし、水はよどんでいて汚いし、テンション下がる。。
稜線まで出た後は、イノシシハイウェイに合流し、高速下山して、無事一本前の船で帰れた。
一昨日のケガで早く歩けるかどうか、が最大の懸念事項だったものの、平地歩きならテーピングで固めてしまえば、とくに問題なく歩けたのでほんとに良かった。
本日のハブ:ヒメハブ1、本ハブ1
奄美遠征4日目は、本命2つ目の茂田原の滝へ。
古仁屋港まで車で行き、荷物をまとめて舟を待っていると、どこへ行くのかと話しかけられたので、せっかくなので滝の名前を尋ねてみると、知らないが、滝のある浜の名前は「ニゴリバマ」とのことであった。
生間港から来たでいご丸は想像以上の小舟で、着岸したと思ったらすぐに離岸。乗り遅れないで良かった。400円支払って下船し、峠を越えて諸鈍へ。
仲田川の一ノ谷(仮)の出合附近で装備を整え、一ノ谷に入ると、最初は廃農地的な様相から、普通の谷となる。滝は小さいものばかりで問題にならないが、4日目にして遂に本ハブと遭遇。おとなしいが、できるだけ遠巻きにして通過。一ノ谷の終盤は明瞭な獣道に導かれ、尾根に出る。
すぐに濁浜南谷(仮)の下降を開始。ここもしばらくは平凡だったが、残置つるはし等があり、かつては人間の勢力圏だったことが窺える。海岸が近づくと滝が出てきて、クライムダウンと懸垂下降で下っていく。懸垂下降した滝には2年前の残置があり、やはりこの谷を下ったのかと納得して、有難く利用。
海岸に辿り着くと茂田原の滝が見え、遠目には立っていて厳しそうに見えるが、記録があって登れるとわかっているというのは有り難いことである。
滝壺までは容易にたどり着けるかと思っていたが、ヘルメットを外さないと通れない狭いCSの通過は、ケイビングのようでなかなか面白かった。
さて茂田原の滝は、とりあえず測ってみると下段38mで、さほど大きくはない。ロクスノ記録がやたら細かくピッチを切っているのは今日までに分かっていたので、初登4pを2pずつ繋げて2pで登る方針とする。
1p目mashikotte。岩が脆くて慎重になり時間はかかっていたが、フォローしてみると脆い岩はだいぶ除かれており、見た目以上にガバも多くて意外と快適。
2p目tamoshima。水線なのに岩が脆く、試行錯誤の末岩がはがれ、1回フォール。結局、初登Pと同じピッチでテンションを入れてしまった。気を取り直して岩がはがれたホールドを再び使って登ろうとするが、また岩がはがれて落ちそうになる。今度は持ちこたえて水線から登ろうかとも思ったが、悪いのでやめて、結局2回岩がはがれたホールドを使い、何とか成功。以降は容易で、1段目終了。精神力をかなり使ったのでここでピッチを切ろうかとも思ったが、見上げる2段目(11m)は簡単そうなので、そのまま継続。スタンスが細かいトラバースの1箇所以外はやはり簡単で、無事に落ち口へ。大変だったピッチもやはりフォローだと速く、mashikotteもすぐに合流。
滝上は一転して平穏な様相だが、少し進むと藪が酷い。こんなところになぜかある刈り払いの跡を時々たどりながら、水の汚い沢を進み、左から枝沢が入ってきたところでその枝沢へ。
後は殆ど藪もなく、往路で登った沢を下り、山行は終了。
時間があるので、加計呂麻島展示体験交流館へ寄り道。島に関する資料がいくつかあり、滝の名称を調べてみたものの、「加計呂麻断崖」「潮吹き岩」の地名を見つけたくらいで、不発。スタッフの方にも訪ねてみたが滝の名称は無いとのことであった。
【総評】
ロクスノの記録では辺クラ史上最高、などとべた褒めされていたので、期待して行ったが、岩の脆さと水の汚さで、個人的にはあまり好きではなかった。そうは言ってもロケーションは素晴らしく、奄美大島まで行くなら是非登るべき一本だと思う。
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