鷲嶺
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- GPS
- 03:35
- 距離
- 8.1km
- 登り
- 793m
- 下り
- 282m
コースタイム
天候 | 晴天☀️ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
ようやく1年越しに公開に踏み切りました。
この登山で足を取られ、ほぼ山頂で
右足を骨折し、全く動けなくなりながらも
九死に一生を得た登山となり
手術をし、金属棒とボルトで1年間固め
リハビリに励み、今年3月7日に2回目の
金属棒を抜く手術を終え復活しました。
地上から救助に駆けつけてくださった
救助隊の皆様、空から救難ヘリで救助
していただいた皆様、手術で元通りに
してくださった外科医のD先生、入院中
お世話になった看護師やリハビリの
皆様、そして長期休暇中、かなりの制限
のある生活を支えてくれた家族に
心から感謝いたします。
去年のひな祭り、会社振替休日。
晴天。伊勢内宮を取り囲む山々の
ピークハントを心待ちにしていました。
まさか自分がドラマや実録九死に一生を
体験する日になるとは。
内宮近くの登山口から鼓ヶ岳、前杉山、神路山、
前山、鷲峰、竜ヶ峠を行き、最後に内宮に
お詣りの予定でした。
鷲峰までは順調そのもので、予定では
ここで少し早いお昼ごはんにする予定でしたが
早く着きすぎたため、軽い休憩で
もう少し先をねらうことにしました。
ほのかにスマホの電波がある事に気づいて
嫁に予定より早く鷲峰登頂できた連絡を
入れました。足を15分ほど休め先を
目指す事に。
ここでもっとしっかり休憩を取れば
先の成り行きは変わっていたのではないか
と後悔しています。
鷲峰山頂から多分数十メートルの距離だと
思います。下りで勢いがつく中
突然、落ち葉の吹き溜まりに足がはまり
こんだのは。しまったと気づいた時は既に
遅し、吹き溜まりの中には木の根の輪が
あり獣罠のように抜けなくなり
下りで勢い付く身体の慣性力は止まる事なく
全体重はスネの一点に集中し、あっという
までした。気づいた時には太い木が滑る
身体を受け止めくれましたが、その前に
響いた太い枝を折るような音、脛が
折れたとすぐにわかりました。
そして、すぐに耐え難い激痛に襲われ
全身から冷や汗がふきでました。
右足を見ると、脛からあらぬ方向を向き
まるでゴム人形でした。
頭が真っ白になりましたが、まずは
体温低下を防ぐために、リュックから
防寒着を苦労して出しました。
身体を少し動かすだけで、気絶しそうなくらい
の激痛に襲われます。
3月3日の山の中はまだまだ寒く8℃しか
ありません。防寒銀シートも
なんとか引っ張っりだし身体に巻きました。
それでも寒くてたまらないので手の届く
範囲の落ち葉をかき集め身体に被せました。
ドラマなどでは骨折しても気合いで
当て木などして自力で歩くシーンなど
見かけますが、絶対に有り得ません。
ヒビではなく、腓骨も脛骨もポッキリ
折れた足は激痛で全く動かすことなど
出来ないのです。
今日は普段の日。それにルートも山も
ローカルすぎて、登山客に発見してもらえる
確率は限りなくゼロ。
予定になっても戻らない事で夜から捜索が
開始されれば良いくらいか。
寒さに耐えられるだろうか?生きて帰れる
だろうか?死と言うものを初めて意識した
瞬間でした。
九死に一生。そう言えば、数分前まで
弱々ではあるけどスマホの電波があった
事を思い出し確認しました。
奇跡的に電波が一本と圏外表示を繰り返して
いました。
ダメ元で119に掛けました。
『こちら⚪︎⚪︎消防です。火事ですか?救急ですか?』神の声に聞こえました。
繋がったり切れたりを繰り返しながら
なんとか鷲峰山頂近くで骨折事故にあった事が
伝わりました。ただちに地上から救助班を
向かわせると聞き、命は助かったと
心底ほっとしました。
40分はかかるとの事なので、その間出来ること
を考えましたがポールを折り畳むことと
スマホが充電切れ起こさないように
モバイルバッテリーを引っ張っりだす
くらいのことしかできませんでした。
体温はどんどん奪われて行きましたか
必ず助けに来てくれるという安心感が
自分を奮い立たせました。
地上救助はなかなかてこずり1時間くらい
かかりました。しかし残念ながら
担架で抱えて降りることは困難と判断された
らしく、消防から電話があり空から救助に
向かう旨の連絡が入りました。
現在地をグーグルマップの経度緯度で伝え
ました。木々が覆い茂る場所なので
救難ヘリでの発見も困難なのでライトを
持っているならヘリのホバリングに向けて
くださいと言われライトの準備に
かかりました。
30分くらいで空をきる爆音が聞こえて
きました。そして、なんどか自分の近くを
ホバリングすることでライトの明かりを
確認できたらしく、真上でホバリングが
始まりました。現在地が地上救助班にも
伝えられたらしく程なく5~6人の救助が
やってきました。
ここからが意外とてこずり、ヘリで吊るための
空間がみつからず40分くらい待ちました。
もう、足の感覚はジッとしている分なは
なくなってしまいました。
ようやく、山肌から飛び出した岩場を
見つけていただき、そこまで担架で
移動しましたが、固定されていない
折れた足に振動受けるたび、気絶するかと
思うくらいの耐え難い激痛に耐えるしか
ありません。救助のある人は
気絶してしまう方が、楽ですよと
アドバイスくれましたが、幸か不幸か
気絶することはできませんでした。
ここからは、テレビで良く見る通り、
ヘリのウィンチで吊るされ空中回収され
ヘリポートのある近くの日赤へ緊急搬送
され待ち構えいた看護師たちにより
病院内に回収されて行きました。
未だに悪夢を見ます。
電波がなく、救助に来てもらえず
どうすればいいのか途方に暮れる夢。
または、せっかく近くまできた救難ヘリの
爆音が気づいてもらえず、遠ざかってしまう夢。
登山をこよなく愛するみなさん。
これは実録です。
どうか準備万端で、スケジュールには
余裕を持って登山してください。
また、出来るかぎり単独登山は避けた方が
よいと実感しています。
たかが骨折でも、沢山の方々に迷惑をかけ
完治するまで膨大な時間がかかります。
長文、読んでいただきありがとうございます。
皆様の登山がとても楽しいものに
なる事を、いつも願っております。
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