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記録ID: 5375579
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ハイキング
北陸

【越美】夜叉ヶ池のそばの隠れ池,「古池」再訪

2023年04月16日(日) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
6.1km
登り
697m
下り
687m

コースタイム

日帰り
山行
5:00
休憩
0:00
合計
5:00
9:00
100
10:40
10:40
40
11:20
11:20
160
古池
14:00
夜叉ヶ池登山口
広野ダムから夜叉ヶ池登山口まで,自転車で往路30分,帰路15分ほど。
天候 曇り,時々雨,時々晴れ間
過去天気図(気象庁) 2023年04月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
広野ダムに駐車。夜叉ヶ池登山口(福井県側)につながる岩谷林道はまだ冬季閉鎖中で,鍵付きの車止めあり。
コース状況/
危険箇所等
 再訪するなら春,雪解けの直後に,と考えていたあの場所に,さっそく行ってきました。

【ルート状況】
・ 夜叉ヶ池登山道に続く岩谷林道はまだ冬季閉鎖中だが,既に雪はないので自転車の活用可。
・ 夜叉ヶ池まではごく一般的なハイキングコースなので説明は割愛。雪は稜線付近や谷筋に断片的に残っているだけなので,雪山装備は不要。
・ 夜叉ヶ池から古池までは,一旦稜線に上がり,夜叉ヶ池の東側の小ピークを越えた小さな鞍部から斜面を北西方向にダイレクトに下るのが最短かつ最も迷いにくいルートと思われる(今回,行きで通ったルート)。この時期であれば藪もそれほど濃くなく,ごく短時間で古池まで行きつくことができる。もちろん,今回の帰路ルートのように,稜線を経由せずに夜叉ヶ池から直接古池まで行くことも可能で,むしろブナの森を楽しむにはこちらのルートのほうが良いくらいなのだが,登山者が多い時期は夜叉ヶ池の木道から外れて歩き回ると何かとややこしいので避けたほうが無難。
今回再訪する「古池」の位置図(2022.12.29の初回訪問時の記録から再掲)
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今回再訪する「古池」の位置図(2022.12.29の初回訪問時の記録から再掲)
冬季閉鎖中の岩谷林道を,30分のサイクリングで夜叉ヶ池登山口へ。この道中の新緑だけで,もう大満足です。
冬季閉鎖中の岩谷林道を,30分のサイクリングで夜叉ヶ池登山口へ。この道中の新緑だけで,もう大満足です。
眼下の岩谷川も,春の渓流の香気にむせかえるよう。
眼下の岩谷川も,春の渓流の香気にむせかえるよう。
夜叉ヶ池登山口の大カツラも,新鮮な若葉を枝いっぱいに噴き出していた。
夜叉ヶ池登山口の大カツラも,新鮮な若葉を枝いっぱいに噴き出していた。
ブナも一気に芽吹いていた。一度でもブナの新緑を目にしてしまうと,心がにわかに浮き立って,これまでの雪山モードから次の季節へと気持ちが動き始めてしまう。
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ブナも一気に芽吹いていた。一度でもブナの新緑を目にしてしまうと,心がにわかに浮き立って,これまでの雪山モードから次の季節へと気持ちが動き始めてしまう。
何年山に登っていても,やっぱり初冬の初雪と,春の新緑はたまらなく嬉しい。
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何年山に登っていても,やっぱり初冬の初雪と,春の新緑はたまらなく嬉しい。
谷筋にわずかに残る雪渓の残骸。
谷筋にわずかに残る雪渓の残骸。
足元のスプリングエフェメラルたち。スミレさん。
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足元のスプリングエフェメラルたち。スミレさん。
イカリソウ。
イワウチワ。登山道沿いに大量に群生していた。
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イワウチワ。登山道沿いに大量に群生していた。
ショウジョウバカマ。咲きかけ? しおれかけ?
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ショウジョウバカマ。咲きかけ? しおれかけ?
シャクナゲ。
ちょっと元気がないけど,カタクリ。好きな花。
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ちょっと元気がないけど,カタクリ。好きな花。
バイカオウレン。某所に群生していた。これも好きな花。
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バイカオウレン。某所に群生していた。これも好きな花。
標高を上げると,季節は逆戻り。ブナが芽吹いているのは標高900m付近までで,それより上部はまだ冬の姿だった。あと1〜2週間で,新緑前線は稜線まで届くだろう。
標高を上げると,季節は逆戻り。ブナが芽吹いているのは標高900m付近までで,それより上部はまだ冬の姿だった。あと1〜2週間で,新緑前線は稜線まで届くだろう。
そして夜叉ヶ池に到着。池畔に溶け残ったわずかな残雪だけが,冬の名残だ。昨年の暮れ,吹雪の日に,雪で埋まったこの池の上を歩いたのだと思うと,不思議な感じがする。
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そして夜叉ヶ池に到着。池畔に溶け残ったわずかな残雪だけが,冬の名残だ。昨年の暮れ,吹雪の日に,雪で埋まったこの池の上を歩いたのだと思うと,不思議な感じがする。
夜叉ヶ池の北東側に広がるブナの平を眺める。昨年暮れに散歩したブナの森だ。あの向こうに,目指す古池がある。
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夜叉ヶ池の北東側に広がるブナの平を眺める。昨年暮れに散歩したブナの森だ。あの向こうに,目指す古池がある。
いったん稜線に上がり,夜叉ヶ池のすぐ東側の小ピークを越えた小さな鞍部から,北西側の急斜面を一気に下る。意外に藪はそれほどでもない(この季節だからかもしれないが)。
いったん稜線に上がり,夜叉ヶ池のすぐ東側の小ピークを越えた小さな鞍部から,北西側の急斜面を一気に下る。意外に藪はそれほどでもない(この季節だからかもしれないが)。
すぐに小広い緩傾斜帯に降り立つ。まだ残雪が残っていた。
すぐに小広い緩傾斜帯に降り立つ。まだ残雪が残っていた。
あー,ここ,すごく見覚えがある。昨年12月に来たとき,このあたり散歩したわ。
あー,ここ,すごく見覚えがある。昨年12月に来たとき,このあたり散歩したわ。
この辺りのブナの木も,見覚えあるなぁ。これらの木も,あの日は分厚く霧氷をまとっていたけれど…。
この辺りのブナの木も,見覚えあるなぁ。これらの木も,あの日は分厚く霧氷をまとっていたけれど…。
そして,目的の古池へ。おおっ,黒い水面が見えてきた…本当に池がある!
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そして,目的の古池へ。おおっ,黒い水面が見えてきた…本当に池がある!
これが幻の古池。当たった文献では,水が少なくほぼ湿地のような状況と書かれていたが,予想通り,雪解け直後のこの時期であれば,しっかり水を湛えていた。
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これが幻の古池。当たった文献では,水が少なくほぼ湿地のような状況と書かれていたが,予想通り,雪解け直後のこの時期であれば,しっかり水を湛えていた。
池畔に溶け残る雪。
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池畔に溶け残る雪。
池はけっこう細長く,面積的には夜叉ヶ池よりも広いんじゃないか,と思えるくらいの広がりがある。
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池はけっこう細長く,面積的には夜叉ヶ池よりも広いんじゃないか,と思えるくらいの広がりがある。
ただ,池の中央部には,こんな感じで水生植物?の遺骸が蓄積しており,あまりすっきりした眺めではない。夏季にはきっとこれらの植物が水面を覆い尽くすのだろう。
ただ,池の中央部には,こんな感じで水生植物?の遺骸が蓄積しており,あまりすっきりした眺めではない。夏季にはきっとこれらの植物が水面を覆い尽くすのだろう。
明るく朗らかな印象の夜叉ヶ池に対して,こちらの古池は何となく暗く,陰鬱な感じだ。斜面を下がったところの狭い盆地に池が形成されているせいもあると思うが。夜叉ヶ池のように,こちらの池にも何か伝説が存在していたのだろうか。現代には伝えられなかった伝説が…。
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明るく朗らかな印象の夜叉ヶ池に対して,こちらの古池は何となく暗く,陰鬱な感じだ。斜面を下がったところの狭い盆地に池が形成されているせいもあると思うが。夜叉ヶ池のように,こちらの池にも何か伝説が存在していたのだろうか。現代には伝えられなかった伝説が…。
古池を後にする。何度か振り返ったが,眼下の藪の合間に見える黒い水面は,どこか謎めいた静けさを湛え続けていた。
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古池を後にする。何度か振り返ったが,眼下の藪の合間に見える黒い水面は,どこか謎めいた静けさを湛え続けていた。
帰路は,緩傾斜帯を散歩しつつ,ダイレクトに夜叉ヶ池へ。
帰路は,緩傾斜帯を散歩しつつ,ダイレクトに夜叉ヶ池へ。
意外に藪はそれほどでもなく,気持ちの良いブナの森が続く。芽吹きが来たらきれいだろうなぁ。
意外に藪はそれほどでもなく,気持ちの良いブナの森が続く。芽吹きが来たらきれいだろうなぁ。
夜叉ヶ池の手前で少し灌木の藪がうるさかったが,ごく短時間で夜叉ヶ池に戻って来られた。
夜叉ヶ池の手前で少し灌木の藪がうるさかったが,ごく短時間で夜叉ヶ池に戻って来られた。
再び新緑を楽しみながら,下山。
再び新緑を楽しみながら,下山。
登山道から渓流に降りて,おにぎりを食べた。あー,めっちゃ沢登りしたい。
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登山道から渓流に降りて,おにぎりを食べた。あー,めっちゃ沢登りしたい。
やまぶき。
自転車の待つ大カツラの下へ。
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自転車の待つ大カツラの下へ。

感想

 夜叉ヶ池の北東側,藪をかき分けたその先に,もう一つの池がひっそりと存在している。「古池」と呼ばれるその池に,昨年も暮れに暮れた12月29日,わざわざ吹雪の中を訪問した。もちろん池は深い雪の下に埋もれていたが,小広い雪原の隅に黒く凍り付いた水面が覗いていて,その場所に確かに池が存在していることを感じることができた。
 参照した文献(「秘境・奥美濃の山旅」)によると,この「古池」は水が少なく,半ば湿地のような状態とのことだが,春の雪解け直後であれば,ある程度の水量を湛えているのではないか。そう考えて,越美国境の山々からあらかた雪が消え,麓から新緑が駆け上がり始めたこの時期に,さっそく再訪してきました。
 古池は確かに存在しており,予想どおり黒々とした水を湛えて,ブナの森と笹薮の間から姿を現してくれた。ただ,池の中央には植物の遺骸が分厚く堆積しており,夏季には水量の減少と相まって,これらの植物が水面に悉く繁茂し,文献にあるとおり,本当に湿地のような状態になってしまうのだろう。稜線から外れた狭い盆地に位置しており,周囲を鬱蒼としたブナの森に囲まれていることもあり,何となく暗い陰りのある池であった。
 地形図を見るとわかるが,夜叉ヶ池とこの古池は,同じ緩傾斜帯に隣り合って形成された,ほとんど兄弟のような(姉妹のような?)池のはずである。それなのに,夜叉ヶ池は真夏でも澄んだ水を湛えた明るく高原的な池であるのに対し,こちらの古池はどうして水量が少なく,薄暗い湿地のような池になってしまったのだろう。おそらくこの2つの池の明暗を分けた地質学的な原因があるのだと思うが,有名な夜叉ヶ池だけでなく,このマイナーな古池もセットで眺めると,越美国境稜線の北西側に形成されたこの小さな緩傾斜帯は,なかなか興味深い場所のようにも思えてくる。
 ところで,夜叉ヶ池には夜叉姫の伝説があるが,この古池にも何か言い伝えがあったのだろうか。鳥の声もない沈黙のブナの森に囲まれて,古池のどこか謎めいた黒い水面を見つめていると,何らかの伝説が生まれてしかるべき場所のような気がしてくる。現代には伝わらなかった伝説が,その仄暗い水底に今もなお沈んでいるような…。

※ 2022.12.29に古池を訪問した際の記録はこちら
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5037715.html

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コメント

hillwandererさん、こんにちは

一昨日 この古池へ行ってきました。
静かに佇む池とブナの新緑が素晴らしく とっても楽しかったです。
自分では思いつかないところ紹介して下さって本当に感謝です。
ありがとうございました!

それと先日の車への置き手紙失礼しました。
嬉しくってつい、、、
2023/5/11 15:21
レイさん
こんばんは〜 コメントいただきありがとうございます!
古池、行かれたんですね! まだ水ありましたでしょうか? 私が再訪したときは、まだ稜線近くは芽吹きが始まっていなかったので、新緑の古池、うらやましいです。

置き手紙、嬉しかったですよ〜。ありがとうございました! 最初は警察か地元の方からのお叱り文かと思ってドキドキしましたが…笑 神又峰の尾根も、楽しそうなルートですね。大変参考になりました。
2023/5/11 20:58
岐阜県人ですが、古池はお妾さんの池だと聞いてます。40年前夏行った時は、池ノ又谷をつめて登りました。赤マムシが沢山いたのを覚えてます。
2023/8/20 7:53
morimori555さん
はじめまして! そんな言い伝えがあるんですね〜、大変勉強になりました。お妾さんというと、龍神のお妾ということですよね。なるほど、正妻のいらっしゃる夜叉ヶ池から見えにくい箇所に古池があるのも、ゆえあることなのかもしれないですね😅
40年前に登られたときも、やはり同じように湿地のような池だったのでしょうか。貴重なお話、ありがとうございました。
2023/8/20 13:21
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

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