雪と風の三つ頭
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- GPS
- 10:55
- 距離
- 11.3km
- 登り
- 1,315m
- 下り
- 1,313m
コースタイム
- 山行
- 9:43
- 休憩
- 0:52
- 合計
- 10:35
天候 | 晴れ(山頂付近は曇り時々行き) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
木戸口公園からは雪が深くなり、ワカンを装着。寒いので、防寒はしっかり。 |
写真
感想
前日は10時ごろに寝たが、あまりよく眠れず、11時30分には家を出てしまった。
3時ごろに三つ頭登山口に到着。少し寝てから出発。
入り口の駐車場にはほかに車は無かった。
5時半。まだ暗かったので、ヘッドランプを装着した。
今回からブラックダイヤモンド製に替えた。光が集中し過ぎると、急登などで目の前が眩しくなる。ブラックダイヤモンドは、光を集中させないモードがあるのと、何より明るい。
しばらく林道が続き、小泉口登山道から山に入る。
空は晴れていて、星が瞬いている。
目の前を白いものが横切ると思ったら、細かい雪だった。まつ毛に水滴がつくので、光が滲んで見えた。
「キーっ」。右手の方から鹿が鳴いたので見ると目が暗闇で光っている。2,3匹が寄り添ってこちらを伺っている。子供が描いたような分かりやすい目の形なので思わず笑ってしまった。ランプの明かりが広角なので、直接光を向けなくても見えてしまう。鹿は照らされていないと思って油断しているのだろう。お見通しだぞと鼻を高くすると、今度は左手にガサっと音がした。そちらを見ると、今度は無数の目、目、目。今笑いましたか?といわんばかりの大群だ。目だけが沢山あるというのは、やはり不気味だ。少し気圧されて弱気になると、もしや狼じゃないだろうか、などとあらぬことを考える。そのうち、大胆にもすぐ目の前にも目が光っていたりする。目に囲まれながら、細い山道を急いで登った。
これ、結構印象深い思い出になった。
5時50分、ようやく太陽が昇ってきた。山がオレンジ色に輝き、闇が消えていく。
オレンジ色の光が白い朝陽に変わると、細かい氷が風に乗って流れだした。枝に降り積もった雪が落ちる間に粉々になり、羽毛のようにゆっくりと漂っては消えていく。遠く近く、サラサラっと音を合図にして、キラキラするカーテンができると、自然の恵みをもらっているような気がした。
男が一人降りてきた。
テン泊していたそうであるが、登る人がなく、雪がひざ下まであって登るのが大変だから諦めて下山すると言う。
なるほど、ヘリポート跡でテントを張った跡があり、そこから先の足跡がなくなっていた。空はにわかに曇り、ガスが立ち込めてきた。
8時19分、撤退するには早すぎる。
雪はフカフカで抵抗があまりない。ひざ下まで雪があるとは言っても、あまり力を要しない。
8時50分、木戸口公園についた。所要時間は今年1月に来たときよりも10分程度早かった。
そこからは、吹きさらしと藪が交互に4回ある。編笠山から冷たい風が吹き、左の頬、左手の小指、右手の指先と風に面しているところが直ぐに凍える。手袋を3枚、カイロを持ってしてもとにかく冷たい。バラクラバで目だけを出して進む。息が詰まって苦しくなった。
1回目の吹きさらしが終わったあたりで、一人の男が降りてきた。ひょろっとした背の高い男はサングラスを銀色に輝かせて、ニヤっと笑って過ぎ去った。その人はワカンを履いていた。
私もワカンを履くことにした。空は急変し、足早に雲が流れて時折太陽が顔を出すと思うと直ぐに消えてしまう。風で吹き飛ばされた雪が木々にシマシマの痕跡を残している。手袋はアウターだけ外して、ワカンの紐を締めた。この雪山シーズンで最初に履くのがアイゼンではなく、ワカンになるとは思わなかった。
雪は次第に深くなり、サングラスの人が降りてきた跡をたどった。急斜面では雪をよほど固めないと崩れて登れない。踏み固めて足場をつくりながら少しずつ登った。三つ頭に到着するまでに3時間もかかってしまい、前回の2倍の時間がかかってしまった。木戸口公園で30分の余裕があったが、すっかり使い果たした。
三つ頭分岐に到着すると、にわかに踏み跡が多くなった。三つ頭へ行く間に6人ぐらいのパーティーにあった。
山頂からの展望は無かった。権現山も全く見えなかった。三つ頭への登山道を歩く人が無さそうなので、ここで撤退することにした。11時56分。
山頂で写真を撮っていると、権現方面から一人の青年が降りてきて、三つ頭を素通りして天女山方面へ行ってしまった。
分岐で行動食を食べていると、天女山方面から男が登ってきた。男は天女山の手前の尾根から登ってきたという。尾根の名前は思い出せない。地図にも載ってい無いが…。そこはノートレースで登るのに苦労したという。今日は、もう三つ頭までで帰るとのこと。
帰りは自分の作った足場を利用して戻る。雪を大きく踏み抜きながら下っていく。次第に左足のワカンの紐が緩み、ワカンの左側が下に垂れ下がるようになったので、腰を下ろして紐を締めなおした。そのとき、水が凍ったときのために持ってきたDAKARAを置き忘れてきてしまった。DAKARAはもう凍り始めていて飲みにくくなっていたが。
空は相変わらず雲が早かったが、不思議と風が止んだ。吹きさらしの難所も風がないと別世界のように歩きやすい。ゆっくり写真をとったりした。
編笠も一瞬だけだけど、山頂を見た。
木戸口公園を過ぎたあたりから空が晴れた。山頂のほうには雲がかかっていた。
金命水の先まで誰かが来た痕跡があった。
16時、無事駐車場に戻った。
鹿の目や、静かな山の朝、風の中の登山など、なかなか楽しい山行きでした。
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