コタキ川〜知床岳〜モイレウシ川〜知床岬At
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- GPS
- 60:23
- 距離
- 61.0km
- 登り
- 2,420m
- 下り
- 2,858m
コースタイム
- 山行
- 10:05
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 10:05
- 山行
- 11:01
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 11:01
- 山行
- 6:14
- 休憩
- 0:18
- 合計
- 6:32
天候 | 1日 晴れ 2日 未明雨、その後晴れ 3日 晴れ 4日 晴れ 5日 4日夜から昼前まで雨、その後曇り 6日 曇り 7日 雨が降ったり、晴れたりの繰り返し。雨は時折強い |
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過去天気図(気象庁) | 2023年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
相泊からは岩見橋詰まで徒歩。そこからバスで羅臼営業所。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
※コタキ川の写真は撮りすぎて登録出来なかったのでまた後で。CTもまた後で。 9月1日 院試の発表は昨日だったが、結果が分からず、下山後までドキドキしながら山行に行くことにする。まあ落ちてたら楽しくなくなるし良いだろう。 カムイワッカ湯の滝は電波が微妙。営業時間内なら連絡位はさせてくれるだろう。ここから先は一般車両通行止め。道はたまに車が通っている感じでキレイ。一か所だけ落石警戒、一人ずつ。 海岸に出ると夏らしい爽快な景観。心がワクワクしてくる。オホーツク海の海水にタッチして、コタキ川河口にて一息しようと思った矢先、親子羆を発見。自分たちにいる方に近づいているので休憩は後にして、コタキ林道に入る。林道というよりは踏み跡、というよりは獣道。と、案の定行く先に再び羆。こちらを見ている。踏み跡は木々で視界も悪く、どこにいるのか分からないのでもう入渓してしまうことにするが、沢に行ってみるとなんとさっきの親子がやってきたではないか。完全にこちらに気付いているが、全く恐れず泳いだり木登りしている。海に帰って行ったが進む先にも戻る方にも羆がおり、進退窮まったので踏み跡のほうに一旦退避。親子がどうなった少し沢の様子を覗いた途端、右岸沿いをほんの10m位に羆がこちらに接近!多分別のやつ。とっさに後ずさりし踏み跡に完全退避。これは本当にビビった。戻るのも危険なので慎重に踏み跡を進むことにする。この後は一度子熊を見たのみ。どうやら河口付近は散歩道になっているよう。割とわかりやすい林道を辿り、co50位で入渓。羆に怯え、鈴を鳴らしまくり常に前後左右を確認しながら進む。Co70位にある天然ダム(青い池みたい)までは倒木で荒廃している。林道跡?っぽいものもあった。ダム後から沢幅が狭くなり羆への警戒もしやすい。左岸微沢は形しか分からない。Co150左岸微沢は水流。その後右岸から滝が落ちる。190の函は左岸をへつる。微妙で難しいが、落ちてもドボンするだけ。その直後、直登が難しい滝。右岸の岩の隙間を上がるがムーブが大きい。偽身。240二股下流左岸は快適テンバ多数。二股過ぎるとすぐ小滝。序盤は段差みたいなのが間髪を入れずに続くが難しくはない。最後の一個は取り付きのムーブが大きく偽身。これが終わると函地形が終わり開ける。Co280左岸にも快適多数。360二股までは時間微妙なので300右岸にテンバ入り。函の巻き始めまではここが最後のテンバ。羆に対する緊張感でなんか疲れた。 2日: 夜は2時間程強めの雨が降ったが、沢の様子は変わらない。テントの端はびしょびしょ。今日は前線の通過なので影響の出ない範囲で動かすことに。雨さえ降り終わればその後は回復傾向なのでMaxで池を目指す。すぐに320の函。CSの手前が巻き始め。左岸の流入も目印。沢を直登するのは恐らく不可能なので普通に気づくだろう。途中から尾根上の踏み跡を辿る。道は分かりやすいが急で掴む木も脆い。上まで登り切り、少し行ったところから降り始める。踏み跡は降り始め明瞭だがすぐ笹bush。急で滑りやすい。沢身に降りる所も急。怖いなら細引きとか使えばよい。Abをするほどではない。二股の少し上に降りる。巻きの途中電波が入った。ここから小滝群。始めの1個目は左岸直登。少しS微妙な感じなので偽身。左岸水流際へつり+直登はへつりが難しく面白い。400mにある5mFは左岸巻き。左岸から流入があり二股になっている。Co530二股は斜滝。この辺り位から後ろの硫黄山が視界に入ってくる。美しい。Co680二股は中股が20mの滝。右股を取るとナメ。その後の二股は水流の少ない方。少ないといってもそれなりにちゃんと流れている。800辺りで水は伏流し始める。詰めあがりは一度右寄りの沢型を取ってしまったが笹を乗り越えて戻る。門をくぐるまで大きな岩が転がっており、言うほどbushが被さっているわけでもなく詰めあがりの中では楽。門の後も沢型には石があるが木が邪魔なので沢型を見ながら横のハイマツやササを進んだ方が楽。沼は水が止まっていて飲むのは不安。まだ時間あるので池まで行くことに。最初は草地などで楽だが、途中からbush漕ぎ。たまに踏み跡があるがすぐ消える。知床池はかなり質の高いテンバだ。この日も10時間越えの行動でお疲れ。ビールがやけにしみる。星空がきれいであった。 3日: 外で寝ていたが、雨?ではなく多分露のせいでシュラフの表面がびちょびちょ。少し不快。天気は東海岸に抜けるまで持ちそうなので今日は知床沼まで。その前に知床岳At。稜線まではほぼ藪漕ぎ。踏み跡があるのかもしれないが探すのは難しい。稜線の右側は崖だが、普通の人は近づかないだろう。途中から足元は抜けているがハイマツが倒れ込み進むのに一苦労。peak着。岩の上に乗れば知床を一望。ギリギリ岬も見える。P缶飲んで、時間も押しているのですぐ降りる。下りは早めに稜線を外れ池に向かう。知床池からは少し藪漕いで崖に出る。崖寄りの踏み跡も足元は抜けているのは分かるがハイマツの倒れ込みがひどい。ほぼ漕ぐ感じ。1132のある稜線に上がってから中間ポコまでが異常に遠かった。それが過ぎると稜線細くなり、踏み跡もわかりやすく1本のみ。人が来ない秘境だからか、豪雪地帯ぶりを物語っているのか。1132からの下りは踏み跡辿れるところもある。気合で知床沼へ。北側にテント。一応、北側の白いテープが張ってある所が指定スペースになっている。この日も星空がきれいな夜。天の川も見えた。またスターリンク衛星が打ち上げられていた。どうか圏外を減らしてください。 4日: 疲れも溜まっているので少し遅めに5時半発。知床沼から861への踏み跡はよく分からない。一応デポ旗がついている場所があるのでそこから入る。たまに明瞭な踏み跡のようなものと合流するも結局無くなる。大体ハイマツで覆いかぶさっている。さて未知数最大のモイレウシへ。降り口は崖。861奥の沢型を下っていった後、最後10m位をab。CD出来ないことはないだろうがリスク大。昔はここをおろしていたのか?ab点まで木が邪魔な岩場が少し続くのでM空身で、岩場からab終了点まで一人ずつ。岩場自体は難しくない。荷物はLが運搬。Abの支点は岩。そこまで大きい岩ではないが、下向きに力がかかりさえしてれば問題ない。1+位で通過。ここからは転石帯が続く。861手前から伸びる沢型の上部が僕らが通過した所よりも崖ではなく、こちらが正解だったかも。50m一人ずつというのも頷ける。560二股から水流が出てくる。久しぶりの新鮮な真水に一同歓喜。思う存分シャワーしたりがぶがぶ飲んだり。ここからは大して記述することはないが、あえて詳しめに。次第に暗めの沢になってくる。2〜3m程度の段差が何個も出てくるが、ほとんどそのまま下せる。尻をついたりしながら。沢の流入はわかりづらく、右岸の450、370がかろうじて水あるかなくらい。上二股、中二股、下二股は分かる。上二股から一気に沢が広がる。渓相はやや傾斜のある伊佐内といった感じ?(適当)。その下からテンバはいくらでも取れる。どこにいても5分位歩けば両岸のどこかに〇天ある。お父さんとも呼べぬ何かの藻のせいで滑りやすく、ちょいちょい体を強打。途中天気図のメモだけして、ダッシュでモイレウシへ!太平洋の水をタッチしてついに知床半島を横断!幽体離脱や熊スプ暴発したテンバを懐かしむ。残念ながら番屋の漁師は今日は非番。右岸の適当な木にテンパる。 5日: 熱帯低気圧に変わった台風12号から伸びる気圧の谷、大気不安定で午前中は雨。夜からしとしと降り続け、昼前まで降り続けた。10時頃収まってきたし、湾の外の波も穏やかになってきたのでデッパすることに。準備しようとすると羆発見!こちらに向かっているのでテントでパッキング。向こうも警戒しており来る気配ないのでさっと出発。剣岩はほぼ干潮で脛もないくらい。眼鏡岩は洞窟。ペキン川にも羆。ペキンの鼻は明瞭な踏み跡。少し浮石あるので注意。ここの鞍部からペキン先の岬の先に羆がいるのが見える。とりあえず近づいてから先の様子を伺う。L-sLで笛やら鈴やらで追い出そうと試みるが聞いてくれない。が1時間位経ってようやく話が分かったようで茂みの方に去っていった。腰まで浸かる必要のあるへつり、いわゆる近藤が淵は、ペキンの鼻の先にある3つの小岬のうち2つ目の北側のことである。ここは波さえなければ大して問題はない。その先にも1頭出てきたが逃げて行った。滝川の洞窟っぽい所にテンパる。T君の誕生日を祝い、ホットケーキ、チーズケーキなどを食す。何かと皆のザックから出てきてあまり飢えない。 6日: 台風12号のなれの果ての南岸Lの通過。悪化の様子を見ながら行ける所まで行くことにする。滝の下の番屋は廃番屋。女滝と男滝眺めて念仏岩。始めバンド状をトラバる。ここは踏み跡しっかりしており怖くない。何か熊の足跡もあった。こんなとこ使ってるのか。その後残置のある登り。足元が滑りやすい。鞍部越えた先の下りも同様に滑りやすい。ロープをしっかり使う。3,4m位急なところがあり、CD。ロープも垂れており掴める。地味に緊張感のある巻であった。カブトは暑いしめんどいので泳ぐことにする。5m位で絶対泳いだ方が楽。一応ザイルで確保。吸水したザックが重すぎて上陸するのが大変。TopのsLは無駄にへつろうとチャレンジしてた。早よ濡れんかい。そこからは単調にへつったり歩いたりするだけ。CTを大幅に巻くことに成功。巻きのルートを見上げるととても行きたいとは思わない。それにしても高すぎね?赤岩の番屋は2017年に撤退したようで廃れ始めている。回り込む直前に台地に上がる。ここが一番楽だろう。踏み跡もある。その後は膝位の笹原を進み、ついに、知床岬へ。ようやく立った岬から見える景色を感慨深く眺める。L-sLはコスプレ大会するが、写真で見ると吐き気がする。やめときゃ良かった。集合写真撮ってもと来た道を帰ることにする。カブトは同様に。少し満ちてきたせいか波が高く感じる。念仏も行きでL-sLで上陸地点と潮位のイメージは確認していたので泳ぐ。対岸は見えないが、10mもない位。笛で合図しようとしたがなんも聞き取れなかった。ここの岩棚は波がよく打ち寄せてくるので高いときは要注意。昨日と同じテンバまで戻る。夕方頃1頭遠くに熊君がいた。無事今山行のゴール到達に成功し、祝杯をあげる。明日気合で帰ることとし残った酒を全て空ける。 7日: お目当ての宿に泊まれるかどうかまだ分からないが、明日以降は埋まっているので、ワンチャンにかけ一気下山を目指す。2日間お世話になった滝川の快適テンバをあとにして、ささっと歩き始める。近藤が淵は問題なし。ペキン川に子熊の死体発見。行きは見なかったような。かわいそうに。モイレウシ川には釣り人。7日ぶりに人間と言葉を交わした気がする。モイレ手前の巻きは偵察。残地のピンは2年前と変わらず岩。かなりしっかりしていると思う。ごぼうチックにロープを掴み降りる。偽身。M通過中から雨が降り始める。ちょうど北風で巻きのコルの頂点では吹き上げがえぐく、オサが吹いた。降りる所はマジで無風。ザックを下に置いてきてしまい雨具もないので待っている間凍えそうだった。この後は雨が降ったり、晴れたりの繰り返し。少し波は高くなってきたように感じた。巻き後から巨岩帯。RFを間違えると難しいムーブ等を強いられる。青いビニールロープかピンテのデポ旗があり参考にできる。トッカリ瀬は股くらいまで浸かりながら歩く所があり、そこが少し波あると大変かもしれない。へつる部分は海面が全く持って穏やかなので相当荒れない限り問題ないと思う。ウナキベツに木登りしていたらしい子熊。これで11頭目。これが最後。2年前は15日間いて0匹だったのが7日で11匹。観音岩の残地は岩がピン。鉄杭も残っていたがロープとは関係ない。頑丈なので普通に使える。上部ののっぺりはロープをしっかり握って降りる。途中土の斜面があってから下部CD気味。HS大きく簡単。皆全荷。降りた後、周り込んだ後電波入ったので宿に予約。なんと泊まれるそう!ゴールが明確となったpartyは残る飛び石を淡々とこなして相泊着。ここまでおよそ68劼猟肯垢任△辰拭 相泊から11卆茲隆筝橋詰16時半発のバスに乗らないと夜ご飯に間に合わないので、最後の力を振り絞り歩く。さすがにこの体臭でヒッチは気が引けた。何とか全員間に合い、羅臼営業所からは迎えに来てもらいトラックの荷台に乗せてもらった。なんとも青春の一幕である。シャワーもご飯も布団もすべてが温かく幸せであった。飲み会には、僕とKのみ参加。 |
その他周辺情報 | 下山後はいつもお世話になっている羅臼の民宿とおまわりへ。 |
写真
装備
個人装備 |
Tシャツ
長袖インナー
タイツ
ズボン
グローブ
雨具
着替え
ザック
行動食
非常食
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
保険証
携帯
時計
ツェルト
ナイフ
ロープ
ハーネス
ヘルメット
確保機
ロックカラビナ
カラビナ
クイックドロー
スリング
ロープスリング
渓流シューズ
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感想
これほど人界を離れた山行は初めてだった。いつしか冬に行ってみたい。
2年前、初めて沢登りを経験してから本山行で行った知床の沢。人生観の変えたくれた知床に、自分がLで出すときは必ず戻ろうと決めていた。あの時見た景色を、あの時とはまた違う景色を、あの時見れなかった岬からの景色を自分の目で見るために駆け抜けたこの1か月間。といってもpre2は天気に恵まれず、ほとんど動けなかったので、本山行にも一抹の不安を覚えていたが、見事完走することができた。駆け抜けたせいか、想定以上のbushのせいか、思っていたよりもかなりハードで極い山行ではあったが、目指していた知床岳と知床岬に到達することが出来て個人的には非常に満足である。(どうせならTopでbushを漕いでみたかったというのもある)
7日間も山に籠ったのは多分自己最長だが、7日目まで人に会わず下界から遠い空間に立たされて色々なことを思った。まず、自然はやはり人間のものなんかでなく、動植物たちのものなのだということ。どんなに人間が道を開削しようとも、ひとたび訪れなくなれば自然はその道を塞ぎ、元の姿へと戻ろうとする。ここに住む熊や鹿、狐にとっちゃ、入ってくる人間は侵入者である。我々登山者はお邪魔させてもらっているということを深く心に留めておかなければならない。
もう一つ、人と会わなかったからこそ、人の優しさを感じた。2年前は、途中番屋の人に会ったり、partごとに下界に降りて人と触れ合う時間が長く、知床の人々の優しさを終始受けていたが、今回は、7日間全く会わなかった。だからこそ、下界に降りた後話しかけてくるおじさんや、横前さんの気前の良さ、出来立てのご飯、あらゆる人がかかわる瞬間に安心し、何だか心があたたまった。そんな風に人間社会から離れた1週間が終わってみるとやっぱり自分は人間なんだなと気づかされる。
秘境に来ると、色々自分と向き合ったり、何かについて深く考える時間が増える。こういう機会は特別で、大切だなと思う。自分なりに自分のやりたかった夏WANが出すことが出来て満足の夏だった。(まだここからもう一個pre1からあるんですけどね)
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