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記録ID: 60401
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ハイキング
九州・沖縄

トホレコ☆リターンズ 4・熊本へ。

2008年04月11日(金) ~ 2008年04月14日(月)
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GPS
--:--
距離
---km
登り
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下り
---m

コースタイム

4/11 球磨川に沿って。
4/12 八代平野を行く
4/13 熊本市街突入
4/14 熊本城観光
過去天気図(気象庁) 2008年04月の天気図
アクセス
コース状況/
危険箇所等
4/11
 昨夜は風が強く、なんだか寝付かれない夜だった。しかし一夜明けてみれば風も止んで穏やかな天気。8時過ぎに歩き出すころには日も射してくる。球磨川沿いを河口を目指して歩いていく。水は川幅一杯に流れており、野営適地は見当たらない。昨日は早めに野営しておいて正解だったようだ。この分では今日も野営地の事を考えながら歩かねばなるまい。
 球泉洞からやや下ったあたりに熊野座神社というのがある。「長命水」なる霊水が湧き出る聖地であるとのこと。折角なので詣でてみることにする。橋を渡って対岸の国道をしばらく行くと熊野座神社到着。ちょっとした芝生の公園があって、幼稚園児と思しき子供らがお遊戯の最中である。その公園の奥の崖に大きな洞穴が口を開けているのが見える。その入り口に社が立っている。社の傍ではさっきから神主さんがしきりと箒を動かして、しゅっしゅっといい音をさせている。結構気さくな人であれこれ話をする。なんでもついこの間も自転車旅行者がやってきてアレコレ面倒を見たんだとか。親切な人なのだが、如何せん何を言ってるのがよくわからない。僕はこういうことがよくあるのだが、如何せん人の話がよく聞こえない時がある。残念なことだ。
 一般人が立ち入れるのは入り口付近だけであるが、なかなか立派な洞窟である。もしかしたら修行場なのかもしれない。冷やかな闇に包まれていると不気味の感に堪えない。僕は洞窟ってものが苦手のようだ。ここからも滔々と清水が流れ出しているが、長命水はこことは別のところに湧いている。洞窟を出てすぐの、民家の裏手のようなところである。石灰岩を洗ってきたせいか、やや白濁している。なんとなくガブ飲みする気になれなかったが、記念に少しだけ飲んでみる。
 再び川を渡って車の少ない旧道を行く。途中通りがかった「海路」という集落を激写。なんということもない小さな村だが、何となく気に入ってしまった。さらに行くとダムで旧道は行き止まりとなる。どうも水が淀んで来たと思ったらダムなのね。球磨川も綺麗な部分はもう終わりなのかもしれない。
 球磨川沿いにはけっこう夏みかんが成っている。九州は柑橘類の豊富な土地柄である。とても酸っぱいが疲れている時にはいい。坂本の道の駅裏手で野営。
 
4/12
 なんだか朝からとてつもなくダルい。だいぶ疲れが溜まって来たようだ。まるっきりやる気が出ない。ラジヲでピーター・バラカンの番組など聴きながら、だらしなく二度寝。昨夜は7時頃さっさと寝てしまったのにまだ眠い。そういえば夜中歯が痛くて一度目が覚めた。酒でゆすいで何とか誤魔化しておいたが、ピンチだな。こんな野ざらしの身の上では歯医者に通うって訳にも行かないのだ。9時を過ぎる頃、ようやく諦めて出発。ここでウダウダしてても仕方あるまい。熊本市までは何とか頑張って歩いて、くゎんこうがてら休養をとるのがよろしかろ。
 国道は狭い上に往来が多く鬱陶しいので対岸に渡ることにする。地図で見ると道は途中で途絶えているが、まあ何とかなるでしょ。鉄道だって走ってるし、ぱっと見た感じ、道は続いていそうである。ところが行ってみると、確かに道はあるにはあるが、厳重にバリケードが張ってある。落石がどうとかって色々書いてあるが、まあ、歩いて行く分には問題ないでせう。柵の脇には人が通った跡もついている。ここから更に進むと再びバリケード。今度のは先程のものよりもっと厳重だ。そんなに危険なのか?ここも脇に抜け穴があったので強行突破を試みる。狭い林道めいたところを早足に通り過ぎると、無事に反対側の車道に出る。これで一安心だ。すぐ下を鉄道の橋が架かっている。夏みかんを食べながら一休み。
 もう一度国道に戻って、八代市街へ突入。やはり国道沿いは極度に歩き辛い。通行止めの林道の方がよほど安全という気がする。八代は大きな街である。製紙工場の煙突が立ち並んでいるのが見える。駅に荷物を置いて少し観光してみようと思っていたのだが、なんだか面倒になってしまって先を急ぐことにする。駅の手前から工場の脇をすり抜けて行くのだが、道が入り組んでいてどっちへ行って良いのか分からなくなる。郊外と思しき方角へいい加減に当たりをつけて歩いて行く。静かな住宅街を抜けていくと、やがて畑の中の道となる。ちょっと国道をそれているというだけで実に静かだ。あたり一面、風に吹かれているのは麦とイグサではないだろうか。何でも八代周辺はイグサの産地なのである。マンホールにもイグサ関係のユルキャラが描かれていたりする。
 「北竜」の道の駅に立ち寄ってみる。ひょっとしたら野営適地があるかもしれないという期待を抱いていたのだが、車の出入りが激しく寝てみようという感じでもない。国道沿いだし、まあ仕方ないだろう。しかしこの道の駅は農産物の品揃えが良い。立派な地物野菜が所狭しと並べられている。巨大な竹の子が売られているのにすぐ気がつく。ここまで歩いてきた道すがら、たくさんの立派な竹やぶを目にして来た。熊本は案外竹の子の名産地なのかもしれない。あまりにも巨大な竹の子だったので、背負って歩く訳にはいかなかったが、札幌のアフターダーク・カフェに送ってみる。2本で千円はお値打ちだろう。送料の方がむしろ高くつく。竹の子と熊本をうまく結びつけて貰えるか微妙なところだが、この辺を歩いていると竹の子を買ってみたくなること請け合いだ。
 よい買い物が出来たのはさひわひだったが、寝床はまた探さねばなるまい。国道沿いを歩いていてもらちが開きそうもなかったので、少し海よりへ裏道を歩いてみる。別にこれといってあてもないのだが、そのうち適当な広場でもあるに違いない。線路を越えてうろうろしているうちに砂川という小さな川縁に出た。川は西に向かって伸びており、夕日が綺麗に見える。電信柱や建物がシルエットになっていく。橋を渡ったところにお寺があって、境内がちょっとした広場のように成っている。朝になれば老人たちが集まってゲートボール大会でも始まりそうな風情である。ここで寝てしまってもよかったが、なんだか通報されそうな予感がする。お賽銭を入れてお参りしてから付近を物色。川縁に変な空き地を発見。空き地というか、堤防というか、なんなんだろうなここは。この際ここでいいか。ということで、境内で水を汲んでから移動。なんでこんなところで野営してるのか我ながら意味不明だ。
 炊事しながらラジヲを聴いていると、ジャズの番組が始まる。何だか若者向けのフュージョンっぽい選曲の番組でちょっとがっかりだが、なんと番組の終わりでボサヨさまのライブ告知がある。こんな熊本の片隅のわけわかんないところでBosayo様の噂を聴こうとは・・・。Bosayo様も全国区になってきたものよ。
 
4/13
 今日はカメラも出さずに黙々と歩く。大都市がすぐそこである。唯々、熊本市街へ向けて距離を削って行くだけの一日だ。県道を歩いていると、松橋あたりでおまわりさんがネズミ取りに精を出しているのに行き合う。ご苦労なこったと思いつつ、脇を通り抜けてややしばらくすると、パトカーがやってきて目の前に止まった。げげ。今季初の職務質問である。
「いやぁ、やっぱスピード出過ぎてました?」
などと軽いジャブをカマしてみるも一切返答なし。おまわりさんというのは、自分の訊きたいことしか訊かないし、自分の言いたいことしか言わない。これはもう、そういうものだと思って諦めるより他ないようなものなのだ。久々なんで忘れていた。荷物を見たいとかなんとか言い出したので、やりたいようにやらせておく。おまわりさんが見たいと言ったらザックぐらいはどうあっても見てしまうのだ。そのうちボディーチェックとかやり始める。やれやれ、一体何を考えているんだろう。
 国道3号線に合流するとすごい交通量だ。熊本市が近いのだ。僕はよく通り過ぎる車のナンバープレートの数字を四則演算で10にするような遊びをして暇を潰している。例えば、「2457」なら「2x4ー5+7」という感じである。単純な遊びだが、解に自ずから美しさのくゎんかくが芽生えてくるから不思議だ。「9999」の解など美しいのではないかと思うのだが、残念ながらその解法を記すだけの余白がここにはない。
 通り過ぎる車のナンバーを片っ端から10にしていく。「一つ残らず10にしてやる」という妙なこだわりが芽生えてくるから不思議だ。それにしてはあまりにも車の台数が多い。だんだん気分が悪くなってくる。もう止めようと思うのだが、気になって仕方ない。そして車はいくらでもやってくるのである。
 このまま国道沿いを歩いていると、頭がどーにかなってしまいそうなので川尻辺りから道をそれて裏通りを歩いてみる。熊本市街に近付くにつれ、右足が妙に痛み出す。足首の関節の間に爪楊枝を突っ込まれたやうな痛みだ。なんなんだろうな、この痛みは。まあ、明日一日くゎんこうしながら休養をとれば回復するだろう。今日のところは、あと少し我慢して歩くしかない。仲々風情のある商店街など続く道を歩いていくと、川尻神社という立派な社に突き当たる。お賽銭など投げてぼんやりしていると、近所のおばちゃんがやってきてスタミナドリンクを差し入れてくれた。なんて優しいんだろう。こうなってくると俄然やる気が出てくるから不思議だ。足が痛いなどと泣き言を言っていたら申し訳ないやうな気がする。
 熊本市街に突入した頃合いを見計らって、コインランドリィにシケ込む。近所のコンビニのトイレを借りて着ているものも全部着替えて洗濯に勤しむ。待合室にボーダーが置いてあったので読んでみる。懐かしいよな、この漫画。貧乏学生のバイブルみたいな漫画だ。今にして読むとバカみたいな漫画だけど、「おめぇも所詮はあちゃら側の人間か。」などと言って遊んだものである。那覇のゲストハウスに「月光荘」などという宿があるが、あれなど思いっきりボーダーの影響なのだろう。
 「東大も受けます。ロックもやります。びびむ、ぼむ。」などと戯れている間に洗濯物も仕上がったようだ。さらに中心街へ向けて歩いていく。通りすがりのおっちゃんに銭湯がないか訊いてみたところ、健康ランド風の温泉を紹介して頂いた。日曜の夕方のこととて、脱衣所は入浴客でごった返している。一時間ほどひたってから湯を出ると、外は小雨が降り出している。まあ、今日はそういう予報だ。一応熊本駅に行ってみる。さて、今夜は何処で寝ようか。駅の正面に大きな橋が架かっていて、たもとにおよろすい感じの芝生が広がっているのが見える。しかしあんな目立つところで寝るのはやだな。駅の北にある北岡公園なるところに行ってみるも門が閉ざされている。お高い感じの公園のようだ。少し駅から離れたところまで戻って、物静かな橋の下にテントを張ってみる。考えてみると橋の下で寝るのは初めてだ。なんだか落ち着かねぇな。これじゃまるでボーダーだ。こうみえて僕は「あちゃら側の人間」のつもりなのだよ。
 
4/14
 あまりよく寝付かれないまま夜が明ける。犬の散歩のおっちゃんなどやって来る頃、さっさと荷をまとめて出発。とりあえず駅のロッカーに荷物を放り込む。これで今日一日晴れて自由の身だ。市電に乗って中心街に向かう。こういうところは歩かないよ、俺は。たまに乗り物に乗ると思うのだが、歩いてる奴等がみんなバカに見えてくるから不思議だ。
 別に取り立てて熊本の街に用はないのだが、あてもなくふらついてみる。昨日痛み出した右足は、あまり調子が良くない。気が張ってないせいもあるのだろう。ひょこひょことびっこを引くような始末。昼食は熊本ラーメンにトライ。もしかして俺って豚骨スープ苦手なのかもしれないと思った。
 午後は熊本城を見物。仲々立派なお城である。城道楽愛好家ならずとも、ここは楽しめるだろう。中でも宇土やぐらというのは、当時のまま残っている数少ない建築だそうで見応えがある。しかしなんだか韓国人が多いな。彼の地ではお城ツアーがブームなのかもしれない。
 お城を後に、細い路地裏をさまよっていると、鶏ガラスープを謳っているラーメン屋を発見。晩飯にはちと早いが突撃しておく。九州といえば地鶏が有名で、熊本にも天草大王とかって品種がいるようだが、なぜか鶏ガラスープを売りにしたラーメンに乏しいような気がする。これは九州に限ったことではなく、全国的にみてラーメンがギトギトになっている傾向があるかもしれない。仲々美味しいラーメンだった。屋号は失念した。「こうたろう」だったかな。
 夜の繁華街をさまよって、居酒屋を物色。地鶏のお店を探していたのだが、熊本といえばやはり馬刺しのようで。萬膳などを置いている店に入ってみる。ご主人に尋ねられるままに、徒歩旅行を試みていることなど話すと、不憫がって馬刺しをご馳走してくれる。しみじみと美味いな。馬のレバ刺しというものを初めて食した。歯ごたえよろしく、風味豊か。牛レバーより美味しいんではあるまいか。
 したたか酔って、ネット喫茶にシケ込む。
熊野座神社
掃き清める神主さん。
掃き清める神主さん。
「海路」の集落で。
「海路」の集落で。
通行止めと言われても。
通行止めと言われても。
無事に突破。
九州は柑橘類が豊富だ。
九州は柑橘類が豊富だ。
球磨川河口付近。
球磨川河口付近。
風に吹かれているのは、
い草ではないでせうか。
風に吹かれているのは、
い草ではないでせうか。
いいえ、走っていくのは
自転車、自転車。
いいえ、走っていくのは
自転車、自転車。
い草関係のユルキャラ。
い草関係のユルキャラ。
砂川にて日が暮れる。
砂川にて日が暮れる。
熊本城で。
宇土やぐら。
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