西原峠-奈良倉山-鶴寝山 〜春霞の富士に想う〜 C5


- GPS
- 05:38
- 距離
- 15.6km
- 登り
- 1,236m
- 下り
- 1,068m
コースタイム
天候 | 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路 田元BS 14:47(西東京バス、980円)15:35奥多摩駅16:23(ホリデー快速おくたま号)〜 ※今回はアクセスでミスをしてしまいました。いずれも事前の調査不足でした。 1.猿橋駅を通るバス便なのに、始発の大月駅しか頭になかったこと。(猿橋から乗車すればもう1本遅い高尾発で行けます) 2.小菅の湯には寄らないのだから次の停留所にショートカットして乗るほうが効率的と判断したものの、かえって長く歩くことになってしまったこと。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
総じて岩場や崩壊場所などの注意個所はありません。ただ、落ち葉の下の霜は滑ります。また、トラバース区間が多いので雨天、積雪時は足場に注意が必要です。 |
写真
感想
「何かあったら1週間くらいで連絡します」まだその変化に多少の不安はあるものの、連絡の無かったことに気を良くして、今週も山にゆく。心身共に極めて良好、これで天候が保てば、間違いなく花見に勝る時間を過ごせるはずなのだが。
今朝は何故か出発駅を撮ってみたくなった。誰もいないホームで今日の安全を祈る。ところが高尾駅でまさかの東京行き乗車。座って文庫本を取り出した時、目の前に大月行列車。危うく早くも登山を中止するところだった。寝ぼけている人をよそに、車窓には午後からの悪天候を想像できないほどの青空が映っていた。
大月駅からのバス、発車時間を間違えていた。時刻表を読み違えて、隣に記載されていた8:10発のバスで計画していた。10分の差でよかった。大幅な差であったらここで登山を中止するところだった(本日2度目のミス)。結局30分の待ち合わせ、少し寒い。発車後、さらなるミスに気付いた。バスは猿橋駅を通過するのだ。ここで待てば1本遅い列車で来ることができた(3度目のミス)。およそ40分のバス旅、乗客は終始私一人、運転手は小寺と中風呂の中間、登山口で停めてくれた。丁重に礼を言って降りる。
登山口から一旦下り、橋を渡ってから登山道に入る。一軒家の脇を通り、一部崩落しかかっている道を経て九十九折の道にかかる。たった20分の歩きで早くも息が上がる。誰だ、心身共に調子が良いと言っていたのは。なぜかひどく疲れる。沢音が聞こえなくなる頃、尾根道に復帰した。喉を潤し、急登ではないが、奥多摩らしい1本調子の登りを続ける。やがて鹿防護ネットが現れると、稜線への期待が高まる。植林地帯から原生林に変わると程なく、稜線を走る林道と合流した。雁ケ腹摺山と小金沢連嶺、いずれも堂々と眼前に広がる。あとは、かの山だけなのだが、今日の天気ではまず無理だろう。それにしても今日の青空と太陽はまるで信用できない。現れてはすぐに雲間に隠れる。
10時をまわった頃だろうか。少し風がでてきた。陽の光は弱々しく、脱いでいたアウターを取り出す。羽織りながら何気なく左手をぼんやりと見つめた。唯一無二の山がそこにあった。たとえ薄らとしか見えなくても、一瞬だけでも、今日の私には十分な出会いだった。
不意に先輩の言葉を思い出した。「我々は、時間や距離を競い合うアスリートではない。ただ自然への畏怖を忘れず、自分に相応しい行動をしていればよいのだ」。当時アスリートという言葉には馴染みがなくその定義はよくわからなかったが、自分たちが自然の前で常に謙虚であり、自分の力に応じた行動をしていれば、きっと報われる瞬間に出会える、そう言いたいのだということだけはわかった。今、この歳になっても怖いものは怖いし、畏れるものも多い。けれどもこれからも逆らわず、敬意を払い、過信せず歩いてゆきたいと思う。
林道ゆえ緩やかな或いは平坦な道が続く。佐野峠はいつの間にか通過していた。やがて現れる奈良倉山への道、山頂直下の登りは疲れがピークに達した頃ゆえとにかくきつい。苦しく長く感じる時間の末、ひと気のない山頂にたどり着いた。富士の方向を向きながら静かな至福のひととき、ゆっくりと食事を取る。目黒川の桜も、この瞬間には敵わないだろう。花より山行。
松姫峠を通過してから少しパラついてきたが、結局レインハットで凌げる程度の雨しか降らなかった。鶴寝山への道では、今日最後の登りと言い聞かせても我が四肢はなかなか応えてくれない。眺望の開けない頂を早々に辞して、山沢入りのヌタへと先を急ぐ。一陣の風が谷から吹き、レインハットが舞い上がりそうになった。「人間の証明」霧積の麦わら帽子にならないよう、油断は禁物である。
分岐を右に、つい最近確かに辿った道、相変わらず落ち葉の堆積は凄まじい。快速下山のために温存させていた体力を使い果たし、小菅の集落には前回同様1時間で着いた。乗車予定のバスに悠々間に合った、はずなのに温泉には寄らないのだからと、次の停留所へショートカットしようと考え、かえって長い距離を歩く破目になった(4度目のミス)。
今日は大月駅を出発してからバスの運転手以外に出会った人がいなかった。奥多摩駅行きバスの運転手が、その次に出会った人である。天気も保ってくれて、静かな良い山行だった。そして、防げるはずのミスを無くし当たり前のように帰るために、人の産み出したものや、時に鷹揚に時に厳しく迎えてくれる自然への感謝を忘れてはならないことをあらためて思い出させてくれた。
コメント
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kimichin様
おはようございます。
お天気なんとかもってくれて本当によかったです。
曇っていても富士山が見えてなによりでした。
それにしても、霜が凍ったままというのは、かなり気温が低かったのでしょう。
景色は初冬という感じですが、でも静けさがお写真から伝わってきました。落ち着いた感じがとってもいいです。
次回の山行もお天気に恵まれますように!!
reochi19様
おはようございます。
予報が60%以上の降水確率でしたので、見送ろうと思っていたのですが、
信頼できる「てんきとくらす」によると14時以降の雨マークを見て行くことに
しました。そのせいか列車移動中も登山者の姿もまばらだったのですが、まさか
山中誰にも会わないとは思っていませんでした。
静けさを十分堪能できたのですが、峠まで、山頂直下いずれも厳しくかなり
疲れました。次回、十分な計画をして、少しだけ無理をして、少しずつ体力を
取り返そうと思います。いつもありがとうございます。
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