三宅島 フリークライミング
天候 | 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2023年11月の天気図 |
写真
感想
三宅島は20世紀だけで、4回の大噴火に見舞われた火山島です。
その中でも1983年と2000年の噴火がそれぞれ語られる事が多く、どちらの痕跡も島内のあちこちに存在していて、度重なる噴火の爪痕を、我々島外の人間にも肌で感じる事ができる島でした。
1983年には山腹から出て海まで到達した溶岩流に村を燃やされ、2000年には雄山の山頂付近からの噴火で火山灰と水が混ざった泥濘や有毒な火山ガスで全島民が4年半の避難生活を余儀なくされました。
(こちらはネットで見つけた島民の方達の想いを取材した記事です)
https://www.onestory-media.jp/post/?id=3429
そして2023年現在は、約2500名ほどの方が住んでいます。
島民の方と思わしき方達は、すれ違うときや商店で会ったときに笑顔で挨拶してくれるのが印象的でした。
東京からフェリーで6〜7時間ほどで到着します。
豊かな自然を求めて、釣り、ダイビング、クライミング、サイクリング、様々な観光客が訪れる、遠そうで近い島です。
そんな島を4日間、観光3割、ダイビング1割、クライミング6割な感じで訪れました。
三宅島は初めてでしたが、元々、離島が好きなので行く前から楽しくなる事は目に見えてましたがやはり最高でした。
ありがとう三宅島。
以下ざっと旅日記
1日目
竹芝を夜発の東海汽船の橘丸に乗船。
通常の客船にはないタイプのなんとも派手なカラーリングだ。
橘丸の主機はディーゼル1基+電動モーターのアジマス推進器のハイブリッド推進らしい。
https://www.tokaikisen.co.jp/newship2020/1113-2/
ディーゼルエンジンはフューエルインジェクションだと。なかなか高性能。
低燃費、低振動、低騒音。
竹芝出航時は電気推進のみで排ガスを少なく、静かに航行してるっぽく、三宅島へ着岸時はアジマスの旋回能力でピタりと着岸。
5:00に到着して、レンタカーを借りる。
そのまま今夜のキャンプ地の大久保浜へ。
テントを立てて朝ごはんを食べて、明るくなった浜辺を散歩していると、300m沖くらいにクジラのブローと背中が見える。
冬にザトウクジラが来るのは何となく知っていたが、まさかビーチから目と鼻の先まで近づいてくるとは。いらっしゃいと言っている様に感じて、幸先良いスタート。
そのあとは岩場に移動。
まずは富賀浜エリアへ。
岩場までの黄色のススキ野原と青い海とのコントラスト、そこらにいる野良猫達が島に来た感を演出してくれて気持ちがグングン高揚する。
クライミングは一本登ってクラック内がジャリジャリのスナスナで怖かったので、そのまますぐにPO壁へ移動。
PO壁はスケール、ロケーション、居心地、まさにメインエリアと言う感じ。
こちらも簡単なのを1本登る。富賀浜よりはいくぶんコンディションは良かった。
そのあとはお昼に海苔ラーメンを食べに行って、いきいきお魚センターなどで晩ごはんの魚などを買い、キャンプ場へ戻る。
大久保浜の目の前はそのままダイビングスポットになっているので、1時間ほどスキンダイビング。残念ながらクジラはすでに去っていたが、海亀や見た事ない魚など、いろいろな生き物が見れた。ダイビング久しぶりで楽しかった。
キャンプ場のシャワーは温水との事で期待したが、人肌くらいの冷たくない程度の温度だった。身体が冷えてしまったので、ふるさとの湯に行ったら水曜は定休日との事。
代わりにホテル海楽で日帰り入浴をして、キャンプ場に戻る。
折りたたみの焚き火台を持ってきていたので、流木の薪をくべ、暖を取りつつ、魚の干物をアテにして酒を呑みながら夜が更けていく。いつものやつです。やっぱりコレっすね。
2日目
この日到着の別パーティの友人達と合流してPO壁へ。今日は一日クライミング予定。
しかし暑い。太陽がカンカン照りだ。三宅島の最高気温22℃の予報なのに体感30℃以上あるぞ。
他の7〜8人のパーティもいて、岩場はなかなか盛況でした。
この日はミヤケイントロダクションと言うルートでグラウンドフォールが発生して、3mほど落ちたクライマーがいた。
幸い大きな怪我などはなかったが、落ちた時は決めていたカムが3本抜けたらしい。
午前中の早い時間だったので、その後は恐る恐る、同じ轍は踏むまいと必要以上にカムをキメまくりで登った。
休憩中は気分転換に取り付きにあるボルダーしたり、PO壁全トラバース課題などを勝手に作り、挑戦したりして遊ぶ。
暗くなるまでクライミング出来て満足でした。PO壁から見える三本岳方面に沈む夕陽もとても美しかった。
入浴はふるさとの湯へ。
泉質はトロっとした感じで好みだが、海水系なのかしょっぱくて傷に沁みる。
だが露天風呂も広くて居心地最高。
内湯が熱め、外湯がぬるめでずっと入っていられる。サウナがあればパーフェクトだが、残念ながらサウナはなし。
建物も綺麗だった。これで500円なら結構お得。
この日は風が強かったので焚き火はせずに近くの居酒屋で地元の焼酎(喜島三宅はなかった。今は雄山一しか作ってないのかな?)とご飯を食べて、テント内で2次会。しかし旅中は飲んでばっかだったな。
3日目
午前中は富賀浜へ。
昨日のPO壁ではいなかった別パーティの方達が来ていたが、そのパーティの方達のひとりが、ジャムの学校と言うルートでグラウンドフォール。
やはりカムが外れて3mほどフォールしたらしい。
落ち着いたら自力で歩いて帰っていたので大きな怪我はないようで良かったが、それにしても2日連続でグラウンドフォールを目撃するとは。
9〜11月の小川山、瑞牆のフリクションの感覚と間隔でカムをキメると、この岩質、コンディションだとヤバいっって事だろうか。
カムでもナッツのように決められる場所を選んで、自信がないなら核心は確実に固め取りすべきですね。
富賀浜は午前中で切り上げて、午後から島の東側にある釜の尻でボルダーへ。
冬型の気圧配置で西風が吹いて海が荒れてもボルダーなら東側でも登れる事が多いらしい。
ここでも適当に、登る。
11cくらいの20mトラバース作ったり、楽しかった。
夜は友人達が泊まってる民宿に一緒に泊まらせてもらい、宴会。焼酎飲み放題で楽しかった。
4日目
七島展望台で雄大な景色を見て、アカコッコ館のレンジャーに三宅島の歴史と植生と生態系と地質などを拝聴させていただき、錆ヶ浜で船が出るまでボルダーしました。
旅行が好きなので、今までいろんな島に行ったが、三宅島は歴史的にも自然的にも見どころが沢山あって、なかなか濃いクライミングトリップになりました。
新鼻新山が1983年の噴火の際に一晩で生まれたとか、生で見ると「え、嘘でしょ?」ってなります。三宅に来たら見に行きましょう。
雄山の噴火口のカルデラは2000年の噴火時に広がり、長い所で底から淵まで500mの高さがあるそうです。
2023年から島外の人もツアーを頼めば雄山に登れるらしく、いつかそっちの方も行ってみたいと思いました。
気の合う仲間と雄大な自然に楽しいお酒、そして日常から切り離された島時間。
良いクライミングトリップでした。
三宅島、ありがとうございました。
クライミング記録
富賀浜はロケーションいいが、下地のはゴツゴツしていてボルダーならマットが必要。
PO壁はボルダーはマットなくても良いくらい下地が良かった。
トポより下地が1mくらい高くなっていて、ミヤケイントロダクションより左側は波が近くてビレイは無理だった。
全体的にシオシオだった。城ヶ崎よりもシオっていた。
釜の尻は下地が良く、優しいグレードがたくさんあり、岩の高さもないので慣れてない人でも楽しめそう。
錆ヶ浜はロケーション良し。
港のすぐそばだし、1時間だけやるか〜とかでも全然行ける。
★は個人的楽しさ
【富賀浜】
[磯ひよどり] 5.9 OS ★
出だし0.75サイズで難しいが左のフェイスを使えば簡単。
[ジャムの学校] 5.9 OS ★★
被ったハンドが核心。
[セコンド] 5.8 OS
[御前] 10b OS ★★
出だしのハングがおもしろい。最後だけ悪いがその他は超快適。プロテクションもバッチリ。
【PO壁】
[飛沫の中] 5.9 OS ★
白い岩が超綺麗。最後の右のクラックに行く所が悪い。
[積木くずし] 10a FL ★★
ロープの流れとプロテクションの位置とフォローの事を気にして登ったらいろいろ頭使って楽しかった。
[喜島三宅] 10c OS ★★★
ガシガシハングを越えるのが楽しい。スケールもあり、めっちゃ楽しいルートだった。
[見返り御蔵] 10d OS ★
出だし5mが悪く、プロテクションも微妙。
核心はフレアしたクラックの奥に0.1サイズのナッツが良く効いた。上部は快適。
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