横岳三叉峰(杣添尾根ピストン)
- GPS
- 07:27
- 距離
- 11.9km
- 登り
- 1,176m
- 下り
- 1,177m
コースタイム
- 山行
- 6:22
- 休憩
- 1:04
- 合計
- 7:26
天候 | 雪のち晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
朝一は最大で脛程度のラッセル、トレースを踏み外すと膝~腰まで埋まる |
写真
感想
八ヶ岳は2年前に主稜線を全部ザーっと歩いてしまったので脇が甘く、八つの峰を各個撃破するルートの踏破は後回しになっていた。杣添尾根にも行ったことがなく、友人に誘われると迷わず参加を決めた。結果9連休は5回の日帰り山行で埋まり、記録を書いているいま筋肉痛と膝痛に襲われているため、少しは考えた方が良かったかもしれないが……。
稜線で日の出を見ようと、午前3時に甲府を出発。清里あたりから雪がちらついてきた。駐車場には前日からあっただろう、雪を被った1台を除いて車はない。ウェザーニュースを見ると-9℃だった。冬型が緩み、風は弱く晴れるそうだ。冷たい空気を肺に入れて目を覚まし、装備を整えヘッドライトを点けて登山開始。
初めは別荘地の中を緩やかに登る。良く締まった積雪は10cmほどで、ところどころ岩が見えている。山に入り、斜度が大きくなってきたところでアイゼンを付けた。12本歯のアイゼンは、人間にはないそういう構造を持った生き物になったみたいな感覚が面白いと思っていて、わざと前爪を長めに出している。滑る心配の少ない生き物になったは良いが、足の運びが少しやりづらい。それでもスノーシューを付けて、雪に沈みにくい生き物になった友人よりはマシだっただろう。別の友人はチェーンスパイクを使っており、ここの登山道での正解はこの生き物だと思った。
いつの間にか雪は止み、見上げるとLEDに照らされた雪片の代わりに星が瞬いていた。だんだん明るくなってくる空に急かされながら登り続けたが、午前7時、展望台まであと100mの樹林帯の中で日の出を迎えてしまった。雪を抱えたシラビソ(?)が朝日に赤く染まって美しい。
展望台まで上がると、奥秩父に抱えられた野辺山の町や、佐久平の向こうに横たわる浅間山が見渡せた。稜線には雲がかかっているが、硫黄岳山頂までは見えている。
樹林帯でははっきりしていたトレースも、森林限界より上では脛〜足首ほどの雪に埋まっていた。全員が12本歯の足とピッケルの腕になり、先頭を交代しながら稜線直下の急登を登った。
三叉峰に着く頃にはガスは晴れていた。またガスが上がって来ないうちに赤岳を間近に見ようと、南側のピーク(日ノ岳というらしい)に向かった。大きな前爪の慣れない体でハシゴや岩場を乗り越えるのは、緊張するが新鮮で楽しい。
目的のピークからは、そそり立つ赤岳の勇姿がコルから全部見え、対をなすように聳える阿弥陀岳がどっしりと根を張っていた。その間からは北岳、甲斐駒、仙丈が顔を出す。茅野の街の向こうには、御嶽、乗鞍、木曽駒ヶ岳が白い頭を見せていた。振り返ると切れ落ちる横岳西壁が格好良い。風がなく陽射しもあって暖かく、いつまでもいられそうだったが、適当に切り上げて帰路に就いた。
稜線を十分満喫したので最高峰は踏まず、来た道を戻ることにした。途中ややガスり、下山後に野辺山から見た山頂は雲の中だったので、ちょうど良いタイミングで稜線にいられて良かったと思った。
この日、杣添尾根は「コスパが良い」という話が出た。日本広しといえども、冬季に自家用車でアクセスでき(西穂、唐松が落ちる)、駐車場が無料で(美濃戸、渋の湯、金峰山荘が落ちる)、半日で3000m級の山頂を往復できるのは、杣添尾根からの横岳以外には、唐沢鉱泉からの天狗岳、桜平からの硫黄岳くらいではなかろうか。それも山岳眺望では杣添尾根に軍配が上がり、「コスパ」はこのレベルの冬山の中では最高かもしれない。帰りの車窓から八ヶ岳や南アルプスを見上げながら考えを巡らせた。
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