二子山・両神山縦断作戦


- GPS
- 09:30
- 距離
- 18.5km
- 登り
- 2,224m
- 下り
- 2,048m
コースタイム
天候 | 晴れ後曇り(両神山頂付近雨) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所 二子山 尾根の岩を掴むと痛い。下山道が茨の道で痛い。 両神山 一つ一つ数えなかったが崩壊崩落箇所多数。 |
写真
感想
一週間前の長沢から坂本へ抜ける強行偵察の結果を受けて作戦を練る。
当初案は長沢から二子山東岳・西岳を巡り、一旦下山の後、両神山を八丁峠から尾根づたいに南下して日向大谷方面へ。弘法の井戸で水分補給の後、清滝コースから帰るというものである。
しかし、どう計算しても時間が足らない。
我がホームタウンから出発した場合、奥多摩地区なら0630時には作戦開始できるが奥秩父では作戦に移れるのは、どう頑張っても8時以降。帰りもまた、長沢・坂本・日向大谷発の最終バスは17〜18時台。
と、安全に作戦を遂行できる時間帯が短い。少しでも時間に余裕を持たせたい場合は前夜山麓に泊まる他ない。それを今回は朝東京発の日帰りで、一挙にズバッとやってしまおうという魂胆だ。
時間を伸ばせない以上、速度を上げるか距離を短くするしかないが、ただ早足で駆け抜けて終わる山歩きなど、もとより望むものではないので、距離をガシガシ削ることとする。
まず、長沢発を改め坂本発とする。先頃の強行偵察により道の悪路なるを把握したことと、坂本からの道の方が確実に短いからである。
次いで、東岳を割愛。これは偵察時に登頂したからだけでなく、そそり立つ西岳に対し若干インパクトの弱さを感じたからである。
二子山、両神山、どちらも登りたい。しかし、全部は登れない。では、どうするかといった時に、泣く泣く東岳を諦めたわけである。
別個に行けばよいという意見もあると思うが、若気の至りで、そのような考えは全く生じなかった。というのも、東岳を削ってみたところ、作戦時間9.5時間に対し目算距離19kmとちょうど良い塩梅になったためである。
バス到着後、すぐ歩き出し、日没前後に下山する算段。下山途中に暗くなることが十分考えられたためライトを携帯。バスが来る前に着けば良い。全ては織り込み済み。
当日は、西武秩父線からバスを乗り継ぎ終点の坂本バス停まで。ヒロシ氏は相次ぐ乗換に辟易していたが、意気は軒昂のようだ。何しろ天気が好く絶好の散歩日和。
坂本から民宿登人まではストレートに登山道が通じていると『新・分県登山ガイド10 埼玉県の山』(以下、『ガイド』という。)にあったので、その道をとる。坂本バス停からは特段「こちら」等と標識も何もなく、手探りで進む。麓の民宿で舗装路は終わり、そこからは道が続いているのかどうかも怪しい山道である。この道がちゃんと民宿登人まで続いているのかしらと二人して不安に包まれつつ進む。暫く進んで早速道がわからなくなる。道を探しては進み、進んではその先で草の繁殖・崩壊・倒木等により道が寸断・不分明化していて立ち止まるという状態で、もう何だよこの道と幸先が思いやられる。しかし、ある程度進んできてしまったので、後退は論の外。いざとなれば直登して車道に出る覚悟だ。山道出口の数十m手前の道の崩壊で、ヒロシ氏がもう嫌気がさして車道に這い出る。自分も車道に出たところ、民宿登人のすぐそばだった。『ガイド』では20分と書いてあったが、倍はかかる。車道を登った方が良さそうだ。長沢が草ぼうぼうなこともあって、坂本からにしたのに、坂本も同様に草ぼうぼうだった。長沢の方がまだましかもしれない。先日、偵察に来た時、民宿登人から山道を降りようと思ったのだが、どこが入口なのかわからなかった。これだけ草が生い茂っていればわからないのも当然だ。
登山道手前の公衆便所で用を足して、向かいの水が出ている所で手を洗った後、いよいよ山歩開始である。先日下った時は、急すぎて慎重を要したが、登りなので、
足取りも軽い。ヒロシ氏のペースも申し分なく、倒木や崩れている箇所も何のその。股峠もすんなりと着いたのであった。
股峠には先に中年男性が憩っていて、物珍しげに話しかけてくる。我々は別にブームに乗って山を歩いているのではないのだが、あまりに軽装なこともあって、最近のミーちゃんハーちゃんに見えてしまったようだ。
股峠にある西岳の絵を見てヒロシ氏の顔色が変わる。さらに中年男性にあることないこと吹き込まれて士気が鈍ってしまった模様。ここに居たままではヒロシ氏が完全に士気を阻喪してしまうとみて、彼に出発を促す。参った参った。気持ちが萎えちまったら登れるものも登れなくなってしまう。とりあえず、上級者コースとやらの取付まで行ったうえで、自分の目測による判断と彼の意見により上級者コースを行くか決めようと思っていた。しかしながら、ペンキで描かれた矢印に従って進んで行くと、どうもコースが上級者コースぽくない。鎖が垂れていることもあり、「嗚呼、一般コースに来てしまったか。」と嘆息。上級者コースへの案内は消されてしまったのだろうか。上級者コースは確認のうえ後日改めて単独登攀することとした。いずれにせよ、相方の意気が削がれている以上、上級者コースは困難だっただろう。そこそこの岩場を鎖を使わずに上りきると岩だらけのごつごつとした尾根に到達。標識に左手側上級者コースと示してあるのを見て若干顔が歪むが、致し方ない。尾根からの景色が絶景なるをもって気持ちをスパッと切り替えた。
尾根からの景色はまさに絶景。南も北も東も西もよ〜く見渡せる。この山は非常に気に入った。
尾根の両側は切れおちているが、尾根の幅は何mもあるので、端に近づいたりしなければ何と言うことはない。一人ではないせいか、はたまたあまりにも景色が素晴らしいからか、恐怖は一切感じなかった。
しかし、ここの岩は尖っているのか、触れただけで痛い。岩に手をついて歩いていたら右手小指先が傷ついて出血してしまった。転倒したりすれば下に転落しなくても大なり小なり出血の惨事となるだろう。
山頂で若干の軽食休憩。何だろうか。この高揚感は。山に歓迎されているような気分だ。
道はあってなく、なくてあるような状態で、岩に残る黄色いペンキ跡を頼りに進む。尾根ですれ違った若い男性はスタスタ歩いていて、ヒロシ氏はそれにびっくりしていたが、慣れているか慣れていないかの違いだろう。嬉しくて楽しくてしょうがない時は足取りも軽くなる。
最後に採石が続く叶山を眼前に見渡す所で尾根歩きは終わり。ガイドには行き過ぎないようにと注意書きがしてあるが、岩に×印がついていてここまでだとわかる。
鎖の垂れている所を降りると、非岩場の山歩きとなる。ここからローソク岩方面ではなく、下山する方向で歩を進めたのだが、この道がまた厄介だった。
最近人が通ったのか?と思うような草ぼうぼうぶり。しかもその草が画像にあるように棘がついている。このトゲトゲの草叢を掻き分けていくと当然肌が露出している所は傷つく。刺々しいのは岩場だけで十分だ。
その草叢も抜け再び木立の中にはいれば再びペースも上がり、すぐに車道に出たのであった。先程までいた稜線を眺めつつ、次いで登る両神山の算段をする。
しかし、この中間地点でうっかりミス。株式会社山口組の看板に気をとられて両神山登山口を見落とし(この会社の看板のちょうど反対側が両神山登山口)、坂本バス停の手前まで行ってしまった。10分はロスしただろう。
急いで戻ったこともあり、登山口で改めて軽食休憩。ヒロシ氏はこの、二子山よりも高い両神山を乗り切れるだろうか。
ちょうど12時過ぎだったので、14時八丁峠、16時両神山頂ということで了解を得る。山頂まで7.75km、十分可能である。山頂が1630時を過ぎると危ういが、そうなることはまず無いだろう。
両神山は最初は細かい分岐がいくつかあり、道を間違えないように(因みにいずれも右側)注意深く進むと沢に行き当たる。その後は、ほぼ沢沿いの道。
木漏れ日の中を渡渉したり、ゴロゴロ岩が転がる所を進んだり、はたまた、砂礫と化した地面の緩い所を恐る恐る飛び越えたりする。
沢も途中から険しさを増す。ピンクリボンがついた木が倒れている等、道は所々見当をつけながら進む状況に。また、画像にあるように足を置く所が極端に狭い所がある。ヒロシ氏が急に立ち止まり、「道が無い」といって迂回を試みる。最初は自分も迂回路が無いか探していたのだが、そんなものは無いので現場を直に見てみると、片足をかろうじておける地面があって渡った。
そんな足場の悪い道も車道のガードレールが見えてきた所で終わり。これからは傾斜は急になるものの比較的足場のしっかりした道をガシガシ行くことになろう。と思っていたら、ヒロシ氏の様子がおかしい。二子山歩きと両神の沢沿い歩きの後に急登と来たものだから、へばってきたようだ。やや長めの休憩をとる。
弱音の吐露が終わった所で再度出発。ガイドでは八丁峠手前に水場ありとしていたが、それを見つけることも出来ず八丁峠に到達。ここでも一休み。私としては尾根に出た以上はもう大丈夫だと感じていた。
そこからは鎖場の連続である。鎖場の良いところは通常の山道を歩くよりも苦も無く早く登っていけることだ。これで展望も良かったら最高なのだが、それも贅沢と言うものだろう。
雲はいよいよ増し、今にも雨が降りそうな状況だ。あまりにも雨が降りそうなので、岩の間を跳び回りつつ、中島みゆきの歌を唄う。
「空〜と君と〜の間には〜 いつ〜も冷た〜い雨が降〜る〜、どすこ〜い」と岩を駆け上ったところで、そこにいたのがヒロシ氏ではないことに気づく。
西岳までは数集団とすれ違ったが、それ以降は我々だけだ。雲はますます厚く雨もポツポツと降り出した。
東岳手前でヒロシ氏が道を間違えて直登すべき所を下っていってしまった。登るのも辛かろうから道がまき道だったら幸いと様子見をしたが結局行き止まりだったようで彼にとっては体力の浪費に終わった。
時間にしては暗いので、ヒロシ氏が「これはもうアウトだろ」と言い出した。
おいおい、さっき16時までに山頂到達すればグッジョブて確認したろうが。人の話を聞けよ。楽観的過ぎるのは危険だが、悲観的過ぎるのも考えものだ。
「とにかく歩け」とあとは聞き流して進むと間もなく山頂に着いた。
誰も居ない山頂で辺りは真っ白。小雨も降っているというのですぐに下山に移る。
清滝小屋で小用をし、弘法の井戸で水分補給。ヒロシ氏は尾根の途中で水分が枯渇し、私がウィダーインゼリーを提供する等してやり過ごしていたが、ようやくまともに水分を得られて元気も回復。
あとは、薄暗い沢沿いの道を急降下し、何とか日没数分前に麓に降り立ったのである。
途中はしょった所はあるが計画通りに作戦完了できて満足であった。
今日歩いていて思ったこと。
登山ブームだ何だといっても、みんなが行くような所しか行かないんだな。
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