戦いと祈りの山々: 河内飯盛山→生駒山→信貴山→二上山

- GPS
- 12:33
- 距離
- 46.9km
- 登り
- 2,321m
- 下り
- 2,269m
コースタイム
- 山行
- 11:03
- 休憩
- 1:31
- 合計
- 12:34
| 天候 | 曇りのち晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2025年06月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
電車
5:18 芦屋駅~5:30 尼崎駅 (JR東海道・山陽本線各停京都行, 5駅) 5:39 尼崎駅~6:14 野崎駅 (JR東西線・学研都市線各停木津行, 14駅) 【復路】 19:21 近鉄下田駅~19:56 鶴橋駅(近鉄大阪線 準急 大阪上本町行, 13駅) 19:58 鶴橋駅~20:35 西宮駅(近鉄奈良線+阪神なんば線 快速急行 神戸三宮行, 12駅) 20:35 西宮駅~20:41 打出駅(阪神本線 各停 高速神戸行, 2駅) |
| コース状況/ 危険箇所等 |
よく整備され、危険箇所は特にありません。 |
写真
感想
本日は、河内飯盛山から二上山まで、歴史と信仰の色濃い山々を縦走してきました。総距離46.9km。後半、熱中症に苦しみながらも、無事に歩ききることができました。
【飯盛山 ― 戦国を駆けた要衝】
スタートは2週間前にも登った飯盛山。かつて三好長慶が築いた飯盛城は、戦国時代の畿内で最大級の規模を誇ったとされ、「戦の山」と呼ぶにふさわしい歴史を背負っています。展望台からの眺めを楽しんだあとは、修験の場・権現の滝を経て、むろいけ園地へ。
【生駒山 ― 信仰とレジャーが共存する霊山】
饒速日山を越え、生駒山へ。視界が開けた場所も多く、気分も上々。古来より霊山として信仰を集めてきた山で、周囲には宝山寺や枚岡神社などの古刹が点在。山頂には遊園地が広がり、始業準備中のスタッフや出勤中の若者たちとすれ違う、不思議な空気感も印象的でした。
また、生駒山と双耳峰を成す鬼取山には、人を襲った鬼を役行者が改心させたという伝説も。5cmほどの小さな鬼の面がひっそり山標代わりに飾られているので、見落とし注意です。
その後は、天照山、大原山、横峰山、鳴川峠、三国山、高安山と展望のない低山を修行僧のように歩き続けました。唯一の癒しは、風通しの良い「鐘の鳴る丘展望台」。ここ風が通り、眺望も素晴らしく、予想外の好スポットでした。
【信貴山 ― 毘沙門天信仰と修験道の聖地】
信貴山は修験道と毘沙門天信仰の中心地。朝護孫子寺では今も護摩供が行われており、境内には派手な装飾や虎の像が並び、金運パワースポットとしての風格がありました。
信貴山を後にし、次の明神山を目指して市街地を小走りで5kmほど。日陰もない炎天下、ここで意識がぼんやりし始めました。今思えば、この時点ですでに熱中症の兆しが…。
明神山への登りで脚がしばしば攣り始め、厳しい状況下での登頂となりました。
【明神山 ― 葛城修験の北端】
明神山は葛城修験のルートに属する金剛山地の北端に位置し、山頂には水神社が鎮座、第28番経塚とされています。標高273.6mと低山ながら、360度の大展望が広がり、南には二上山、葛城山、金剛山、岩湧山といった修験の山々を一望できました。
山頂広場には展望デッキや東屋、トイレ、自販機もあり、休憩には好適。しかし、山標と三角点を探すのに少し手間取りました。
【屯鶴峯 ― 火山が生んだ奇岩群と戦争遺構】
屯鶴峯(どんづるぼう)は、二上山の火山活動で生まれた奇岩群。戦時中には防空壕も造られた場所で、地形だけでなく歴史も深い。
以前訪れたときは平気だったのに、今回は不気味な感覚に包まれました。しかも日陰のない岩場で照りつける日差しにやられ、再び吐き気と脱力感に襲われました。ベンチで横になり、二上山の登りに備えて体力をの回復を待ちました。
【二上山 ― 修験道の霊場で過酷な経験】
いよいよ葛城修験の霊場・二上山へ。雄岳山頂には第二十六番経塚があり、山麓には修行場・岩屋も残ります。
ここからが本当の試練。階段の登りで脚が何度も攣り、吐き気と息切れに加え、持病の不整脈まで出始めました。休まずには10mすら登れなくなり、途中のベンチで横になって大休憩。体力の回復と気温が下がるのを待ちながら、目の前に見える二上山が、まるで遥か遠くの山に見えました。無事に完徒できるよう祈りました。
何とか雌岳へ。5年ぶりに日時計と、ダイヤモンドトレールに連なる山々の眺めに癒やされました。しばし休んだ後、最後は息も絶え絶えに雄岳に登頂。呼び止められたような気がした陀羅尼品でお礼を述べてから下山。何とか明るいうちに歩ききることができました。
プチ遠征中に熱中症を発症してしまったことは、暑熱馴化の不足と初期対応の遅れが原因と反省しています。それでも、歴史・信仰・自然が折り重なる山々を自らの足で踏みしめながら歩けた一日は、かけがえのない経験となりました。
本日は、46.9kmを12時間33分で何とか完徒、感謝です。
以下、備忘録です。
-------------------------
【飯盛山(いいもりやま、314m)】◎
・大阪50山, 大阪府の山(分県登山ガイド), 大阪周辺の山250
・大阪府大東市
・山標あり。
・三角点なし。
・展望なし。
・戦国大名・三好長慶の居城であった飯盛山城の跡
・楠木正行(楠木正成の長子)の銅像~吉野山の方向を向いている
南北朝時代の武将で、1348年に尊氏の部将、高師直・師泰兄妹の大軍によって反撃され、四条畷で激戦し、弟正時と共に敗死した。 吉野山の如意輪寺に正行が四条畷の戦いに出陣する時、「かえらじとかねて思へば梓弓なき数にいる名をぞとどむる」と詠んだ辞世の歌を鏃で刻んだ扉が残る。
【饒速日山(にぎはやひやま、378.3m)】
・NB
・奈良県生駒市
・山標あり。
・三角点なし。
・展望なし。
【生駒山(642m)】
・関西百名山, 大阪50山, 近畿百名山, 大阪府の山(分県登山ガイド), 奈良県の山(分県登山ガイド), 日本の山岳標高1003山, 大阪周辺の山250, 日本百霊山, 奈良百遊山, 関西周辺の山130
・奈良県生駒市と大阪府東大阪市との県境
・生駒山地の主峰、山頂部は平坦
・山標あり。
・一等三角点「生駒山」~ミニSL列車の軌道内にあり。
・展望良好
・生駒山上遊園地(入園は無料)や電波塔が林立
・山中には宝山寺を筆頭に多数の寺社仏閣
・近鉄生駒駅からケーブルが通じている。
・信貴生駒スカイラインが縦走する。
【鬼取山(おにとりやま、631m)】
・NB
・奈良県生駒市と大阪府東大阪市との県境
・生駒山の南側に位置し、双耳峰を成す。
・山標なし(代わりに鬼の面)。
・三角点なし。
・展望なし。
・旧京都大学生駒山天文台(太陽観測所)跡地
・山頂にはかつての航空灯台(巨大なコンクリート施設)
・現在は近鉄生駒山無線局
・修験道の祖・役行者(えんのぎょうじゃ)がこの山に棲んでいた夫婦の鬼、前鬼・後鬼を捕らえ、改心させたという鬼退治の伝説が残る山である。その後、前鬼・後鬼は役行者の弟子となり、彼を祀る社殿の前に左右一対で祀られるようになった。
【天照山(てんしょうやま、510m)】
・NB
・奈良県生駒市と大阪府東大阪市との県境
・暗峠と髪切峠に挟まれたピーク。かつては旗振り通信が行われたとされる場所。
・生駒縦走道から髪切峠へ出る手前から見える。峠には阪奈線71号鉄塔。
・山標なし。
・三角点なし。
・展望なし。
・かつては旗振り通信が行われた山。
【暗峠(くらがりとうげ、455m)】
・大阪府東大阪市と奈良県生駒市を結ぶ峠道(国道308号線)
・関西一の「酷道」とも称される激坂(最大勾配は約40%)
・暗越奈良街道:奈良時代から大阪と奈良を結ぶ近道として利用され、江戸時代には伊勢参りの街道としても発展。
【大原山(522m)】
・大阪府の山(分県登山ガイド), 大阪周辺の山250, 奈良百遊山
・山標あり。
・四等三角点「西畑」
・展望なし。
・広々とした山頂部分は「ぎんしょう広場」、東屋やテーブル・ベンチがある。
・生駒縦走路の中間点にあって、東西への尾根道が分岐する十字路。
・近くの「ぼくらの広場(520m)」は、大阪側の展望が広がる。
【横峰山(474m)】
・NB
・奈良県生駒市と大阪府東大阪市との県境
・山標あり。
・三角点なし。
・展望なし。
【三国山(443m)】
・NB
・奈良県生駒郡
・山標あり。
・三角点なし。
・展望なし。
【鐘の鳴る丘展望台(450m)】◎
・奈良県生駒郡平群町
・信貴生駒スカイラインのほぼ中間点に位置する展望台。
・大阪平野と奈良盆地を一望できる関西有数の夜景スポット。
・希望の鐘や誓いのリングあり。
【高安山(487.45m)】
・大阪50山, 大阪府の山(分県登山ガイド), 大阪周辺の山250, 奈良百遊山
・大阪府八尾市
・山標あり。
・二等三角点 「峰山」
・展望なし。
・近くの展望台(ごじゅうからガーデン)から西は大阪平野を、東は平群谷から大和平野を一望できる。
・西側に高安山気象レーダー観測所
・近鉄西信貴鋼索線信貴山口からケーブルが通じている。
・大和国(奈良県)と河内国(大阪府南東部)を結ぶ要衝
・飛鳥時代には高安城が築かれた。
【信貴山(しぎさん、437m)】◎
・奈良県の山(分県登山ガイド), 日本の山岳標高1003山, 大阪周辺の山250, 奈良百遊山, 関西周辺の山130
・奈良県生駒郡
・双耳峰:雄岳(北、信貴山、437m)と雌岳(南、400.5 m)
・朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)~587年創建の信貴山真言宗の総本山で、金運アップに効くパワースポット
・山標あり。
・正式な三角点はなく、愛好家が切り株に手作りで製作
・展望あり。
・信貴山は、聖徳太子が物部守屋との戦いの際に毘沙門天に戦勝祈願を行い、勝利したことから「信ずべし、貴ぶべき山」として名付けられたという説がある。 この毘沙門天信仰が、修験道の山岳修行と結びつき、信貴山独自の信仰形態を形成した。毘沙門天は、特に戦勝や開運、金運にご利益があるとされ、修験者たちもその力にあずかろうと修行に励んだという。
・山頂には空鉢護法堂(くうはつごほうどう)がある(鳥居が連なる参道)
・寺院の境内なので飲食等は禁止。
・張子の寅 全長6m
・信貴山城址:戦国時代に木沢長政によって信貴山頂に信貴山城が築かれた。天正5年(1577年)に同城の城主・松永久秀と織田信長の間で信貴山城の戦いが行われて久秀は滅亡し、当寺も堂塔六十余宇が全焼した。
【信貴山 雌岳(南峰、400.5 m)】
・奈良県生駒郡
・山標あり。
・正式な三角点はなく、愛好家が切り株に手作りで製作
・展望なし。
【朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)】
・信貴山真言宗の総本山の寺院。
・創建587年
・山号は信貴山。本尊は毘沙門天。
・初詣や「寅まつり」(2月下旬)は多くの参拝客でにぎわう。
・神仏習合の名残から、境内には鳥居も並んでいる。
・国宝「信貴山縁起絵巻」~平安時代後期の日本の絵巻物の代表作
【四等三角点「信貴山東」(206.53 m)~三郷町手前にあり
【明神山(274m)】◎
・奈良百遊山
・奈良県北葛城郡王寺町
・山標あり。
・三等三角点「西山」
・展望:ほぼ360度にわたって展望が広がる。
・山頂には水神社と悠久の鐘、展望デッキがある。
【屯鶴峯(どんづるぼう、154m)】
・大阪府の山(分県登山ガイド), 大阪周辺の山250, 奈良百遊山, 関西周辺の山130
・奈良県香芝市
・山標あり(鉄塔がある広場)。
・展望~南へ続く金剛山地の山並みが一望。
・凝灰岩でできた奇岩群・奇勝。
・奈良県指定の天然記念物
・太平洋戦争中に造られた複雑な防空壕がある
・二上山の火山活動により火山岩屑が沈積し、その後の隆起によって凝灰岩が露出し、1500万年間の風化・浸食を経て奇岩群となった岩山。
【二上山 雌岳(にじょうざん めだけ、474m)】
・奈良県の山(分県登山ガイド), 大阪周辺の山250, ダイヤモンドトレール
・奈良県葛城市と大阪府南河内郡太子町にまたがる。
・山標あり。
・三等三角点「女岳」
・展望良好~山頂からは奈良県側、西側の山頂直下からは大阪府側の眺望が開ける。
・日時計
【二上山 雄岳(にじょうざん おだけ、517m)】
・花の百名山, 関西百名山, 大阪50山, 日本百低山, 近畿百名山, 大阪府の山(分県登山ガイド), 奈良県の山(分県登山ガイド), 日本の山岳標高1003山, 日本の山1000, 大阪周辺の山250, 日本百霊峰, 百名山以外の名山50, 日本名山図絵, 奈良百遊山, 関西周辺の山130, ダイヤモンドトレール
・奈良県葛城市と大阪府南河内郡太子町にまたがる。
・山標あり。
・四等三角点「滝坪」~山頂ではなく、北側中腹(6合目)にある!
・展望なし。
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