【丹沢】小川谷廊下
- GPS
- --:--
- 距離
- 22.4km
- 登り
- 777m
- 下り
- 922m
コースタイム
天候 | 曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
ヒルが多かった |
写真
感想
およそ1年ぶりの更新となってしまった。何故こんなに長い間山に行かなかったのかと自省してみたのだが、これといった理由が思いつかない。今年の3月に大学を卒業し、本格的に研究生活に入ったとはいえ、実はそれほど忙しくなったわけでもない。このままこれといった理由もなく山に行かないまま歳を取ってしまうのだろうか。自分にこんな心境になる日が来るとは3年前には思ってもみなかった。
今回の山行も自発的に計画したのではなく、相方の「大先生」に誘われてくっついていったものだ。大先生は大学時代の部活の同期である。何故そんな呼び名になったのかは知らない。顔写真を携帯の待ち受け画面にするほど某アイドルグループの熱烈なファンなのに、その話題になると堅く口を閉ざすピュア(?)な青年である。彼とは8月初めにも奥多摩の水根沢に行った(いずれ書こうと思っているうちに記憶が薄れてしまったのでヤマレコには書かなかった)のだが、それが存外面白かったので次はもう少し難度の高い小川谷廊下に行こうということになった。しかし週末ごとの雨模様のおかげで決行は10月になったのだった。
新松田の曇り空は玄倉でバスを降りる頃には幾分持ち直して、薄い雲の間に細く裂いたような青空が覗いていた。まず1時間淡々と林道を歩く。1年ぶりに登山をする身にはこれだけでも結構息が上がる。穴の平橋手前の踏み跡で沢の装備をつけて川に下りる。ヤブ沢に設けられた堰堤を6つほど梯子で越すと漸く小川谷の出合である。なかなかハードなアプローチだ。大先生はここまでで合わせて5匹ほどのヒルに集られていたが、僕には一匹もつかなかった。人徳の差だろうか。
僕は山行中の記憶があまり残らない方なのだが、沢ではそれが特に顕著で、どんなに素晴らしいと思った沢でも家に着く頃には2,3のハイライトと全体の雰囲気ぐらいしか覚えていない。寧ろ行きや帰りの林道歩きの方が記憶に残っていたりする。というわけで大雑把に言うと、小川谷は人気があるだけあって全体に水が綺麗で、初心者でも何とか登れるくらいの手ごろな滝が連続し、充実感のある沢だった。最初のCS滝がいきなり難しい。大先生の動きを真似て何とか越えることが出来た。堰堤前に控える最後の滝も登れそうに見えて難しく、こちらは諦めてしまった。水温は全体にやや冷たかった。他はよく覚えていない。
2時前に東沢出合手前のちょっとしたナメに着いて大休止を取った。雨の週末続きで久しぶりの晴れ間だと言うのに、ここまで一度も他のパーティーに会わなかった。川床に長々と寝そべって眩しいほどの日の光を浴びていると、わざわざ3時間かけて来た甲斐があったと思えた。この時は。因みに大先生はまたもヒルを見つけて大騒ぎしていたが僕の体には一匹もついていなかった。人徳の差というほかない。
時間が余ったので東沢の鉱山跡を見に行くことにした。この鉱山には前にも一度行ったことがあるので簡単に辿りつけるだろうと思っていたのだが、なかなか見つからず、現在地もあやふやになってきたため引き返すことにした。思えばこれがけちのつき初めだった。
中ノ沢経路を戻り穴の平橋で着替える。大先生がまたヒルで騒いでいる。一体こいつは前世で何をやらかしたんだろうと思いながら沢靴を脱ぐと、素足に何か赤いものがついている。しかも一つや二つではない。さっと血の気が引いた。この4年で15回ほど沢に行っているのだが、実はヒルに吸い付かれたのはもちろん、見たのすらこのときが初めてだった。慌てて石で剥がして押しつぶすが全然死なない。漸く潰れると赤い汁がジュッと飛び散る。こんなオゾましい生き物がこの世にあってよいのだろうか。どうも中ノ沢経路がヒルの巣窟になっているようだ。大先生はヒル仲間が出来て少々嬉しそうだった。匆々に荷物を纏めて穴の平橋を後にした。
ヒルショック覚めやらぬまま、言葉少なに早足で林道を下る。その途上でも一匹食いつかれた。早く帰りたくて仕方ない。
夕日が山の向こうに沈んだ頃、漸く玄倉のバス停に着いた。しかし間の悪いことに、松田行きのバスは10分前に出たばかりだった。しかも次に来る終バスは1時間半後。待つか歩くかだが、僕としては1秒も早くこの呪われた地から遠ざかりたかったので、バス代の節約を兼ねて歩けるところまで歩くことにした。電灯も疎らなダム沿いの道を延々と歩く。道すがら大先生に怖い話を要求したところ、「100億年後には地球から見える銀河がアンドロメダ銀河だけになるので宇宙の加速膨脹が観測的に確かめられなくなる」、ただし100億年後に地球はない由。なんなんだ。
黙々と歩くこと一時間半、足が限界になったので用沢とかいう何もないバス停で歩みを止めることにした。バスが来るまで30分。疲れ切っていて言葉もない。とにかく腹が減った。
19時半ごろ、漸くバスが来た。やれやれと両手を挙げ、存在をアピールする。しかしバスは一切速度を緩めることなくバス停を通り過ぎていった。慌てて後を追いながら手を振ったが気づかれるはずもない。普段利用者のいないバス停なのでまさか客がいるとは思わなかったのだろう。なんてこった。
しかたないので谷峨駅までまた歩き始めた。御殿場線は1時間に1本しかないので大分冷や冷やしたが、何とか発車5分前に駅に着くことが出来た。松田駅前の焼肉屋で打ち上げをして解散。
まとめ:後半は酷かったが、小川谷廊下はよい沢だった。久しぶりに山のよさを思い出せた。だが次に山に行くときは電車とバスではなくレンタカーだろう。
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