倉見山-杓子山、難路を行く
- GPS
- --:--
- 距離
- 14.5km
- 登り
- 1,291m
- 下り
- 1,088m
コースタイム
-15:45杓子山山頂-17:00ゲート-19:00ローソン前のバス停-19:15富士吉田駅
天候 | 快晴、微風。 杉花粉は飛んでました… |
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過去天気図(気象庁) | 2011年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
駅の近くには案内表示ありません。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
倉見山登山口にポストなし。 倉見山登山口〜倉見山山頂 山頂直下が尾根道の急坂で残雪がありました。そのほかはとても歩きやすい道です。 倉見山山頂〜杓子山 昭文社「山と高原地図」によると破線(難路)となっています。 ひたすら尾根伝いの道ですが、道が不鮮明な所も多く、道標は少ないです。 急坂・ヤセ尾根・岩場の急登(ロープ、鎖は一切なし)の連続で、かなりの難路だと思います。 今回は岩場に凍結している箇所が多々あり、かなり神経を使いました。 アイゼンがないと登れません。不用意に立ち入らないほうが安全です。 その他 寿駅に下りるルートが一般的なようです。 |
写真
感想
〜プロローグ〜
「しゃ、杓子山は…山頂は…」
masataroが独り言を言った。
すでに険しい道のりを2時間あまり。来た道をもどるのも地獄、先に進むのも地獄
だった。
岩をつかむ手には汗がにじみ、緊張からか足が前に進まない。
「ただ富士山を見たかっただけなのに…なぜ…」
後ろからついてきたclioneがつぶやく。
こうしている間にも時間は刻々と過ぎてゆくのだった…
〜第一章 倉見山〜
今日の天気は晴れ。絶好の山日和。
先週の愛鷹山で富士山を拝めなかった私達は今週も富士山を目指すことにした。
倉見山に杓子山。どちらも美しい富士山が眺められるスポットらしい。
ところが地図を見ると倉見山から杓子山のルートには破線が…
破線、つまり難路。
「う〜む、どうしようか…」
出した結論はGO。ヤマレコでもこのルートを歩いている人はいるので大丈夫なはず。
こうして私たちは富士山を拝みに倉見山・杓子山に向かったのである。
東桂駅から多少道に迷い、10分くらいロスをして登山口に着く。
ここは墓地。墓地の真ん中を進むと山に入るらしい。
まずは倉見山に向かっていざ出発。
道はいきなり急坂になるが、足場がしっかりしているので問題なし。
どんどん高度をあげ、尾根まで登りきると左手に獣対策のネットがある。
なかには苗木が植えられていたのでそれを守るためのようである。
さらに進むと「山神」と刻まれた石碑があり、このあたりから少し残雪が見られる
ようになる。
全般的に道は整備されており、迷う心配もゼロ。とてもいい山なのに、なにぶん
ハイカーがいない。山頂までの途中で出会ったのはたった3人であった。
「あと少し」
ちょっとしたアップダウンを繰り返し、ようやく山頂への尾根に取りつく。
ここがおそらく唯一の難関。急坂で足場が悪いうえに残雪が邪魔をする。
一歩一歩着実に登り、ようやく山頂へ。
登り切ったピークを数十メート進むとそこに待っていたのは…
これこそ待ち望んでいた「富士山」!!!
このルートは登りきるまでまったく富士山は見えない。よっていきなり出てくる
富士山のインパクトはものすごい。
感動にひたっていると山頂には一人のおっちゃんがバナナを食べている。
まさか、このオッチャンと行動を共にすることになろうとはこのときの私は知る
由もなかった…
〜第二章 杓子山へ〜
「富士山よく見えっぺ〜」
おっちゃんの第一声。どこの出身だろう?田舎なまり丸出しである。
私達も山ではフレンドリーなほうなので、あいさつをしてオッチャンに応える。
私達が杓子山を目指していることを告げると、
「おれも杓子山行こうと思ってんだ〜」
どうやらこのオッチャンとは日時、コース、すべてが私達と同じらしい。
私達は昼食がまだなので、山頂からちょっと先に行った「見晴台」で昼食の準備
をしているとオッチャンが現れ、
「先に行ってっぺ〜」
と先に杓子山へと向かっていった。
1時間弱、富士山とランチを堪能した私達は後ろ髪をひかれつつ、杓子山へと歩み
だした。いよいよ向原峠から先は破線が待っている。
向原峠に着く。道は積雪が増え、多少歩きにくい。まあアイゼンはいらないだろ
う。相変わらずハイカーの姿はいない。
先に見えるのは、そう、先に杓子山に向かったオッチャンの、雪に残る足跡だけだ。
* * * * * * * * * * * * * * *
「はぁ、はぁ」
道は思った以上に険しい。斜度のきついパサパサの土道を足を滑らせながら降り、
眼前に迫る大きな岩の脇を張り付くようにして登る。まるでロッククライミング
のように。
痩せ細った岩稜をバランスを取りながら進む。緊張の連続である。
唯一の助けは雪の上にオッチャンの足跡があること。すぐ先に歩いている人がいる
というのはこんなにも心強いものなのか。
オッチャンの足跡を追いながら山を二つくらい越えたころ、
「おーい」
人の声が聞こえる…
よく見ると、斜面の上のほうでオッチャンがしゃがみこんでこちらを見ているで
はないか。さてどうしたのだろう?
オッチャンと再会をし、事情をきく。
彼が言うには、この先にまだもう一つ谷があるのだという。それを見た彼はとう
とう心が折れて道をもどってきたのだ。
たしかに、ここまで来るのに相当な体力を消耗している。この先がまだ長いとな
ったら、あきらめてしまうのもうなずける。
「う〜ん、どうすべきか…」
正直、私も悩んでいた。私のパートナーの体力も心配だし、道がとにかく険しい。
ちょっと戻ると、向原と書かれたエスケープルートらしきものもあったのだ。
……
「ここまで来たんだから行こうよ」
口を開いたのはパートナーのclioneさん。
「一緒に連れてってくれるなら、俺ももう一度登るっぺ!」
オッチャンもその気になってくれた。
こうして即席3人パーティが結成され、杓子山へのチャレンジが再開された。
険しい道のりは相変わらず。岩場の凍結箇所は増え、アイゼンなしでは登れない。
アイゼンを装着していてもヒヤヒヤものだ。緊張で体が硬直する。
振り返ると、楽しく登った倉見山はもうすでに自分より下のほうだ。
「杓子山は…山頂は…」
前を向くと、空が広くなっているのがわかる。
ひょっとして…
広々とした尾根に飛び出し、3人揃ったところで緩やかな傾斜を歩き出す。
前方に大きな看板のようなものが見えた。
「つ、着いた!」
やっとの思いで杓子山山頂へ。
ありがとう。3人とも無事に登頂できたことに感謝。
〜エピローグ〜
杓子山山頂は氷がとけてぐちゃぐや。足の踏み場もない状態。
富士山だけが美しい姿を見せている。
「う〜ん、これはひどいね」
とても休憩できる状態ではないのだ。
写真を数枚とってサッサと下山。
泥沼でしりもちついたclioneさん、大変だったね。
即席パーティを組んだオッチャンとも駅でお別れ。感謝のしるしにあんドーナツ
をもらった。またどこかの山で会う機会があるだろうか。
<おわり>
富士山マニアのclioneとしては絶景富士山を堪能できるオススメの山なんですが
なぜに…なぜに…人がいないのかなぁ〜
静かな方がいいけど
masataroさん これからも私たちのとっておきの山探して行きましょ
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