堂平山
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- GPS
- --:--
- 距離
- 7.0km
- 登り
- 528m
- 下り
- 510m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2006年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
写真
感想
「気楽に行ける堂平山」と呼び声は高かったが、どうにもアクセス方法が解らない。ネットでいろいろ検索してみるが何故か車以外での交通手段が不明瞭。少なくとも高尾山のような電車一本で行けそうな場所ではなさそうだ。
とりあえず、徒歩の場合・・。
池袋から東武東上線で小川町駅へ。そこから「白石車庫」行きのバスに乗り終点で下車。更に登山道を徒歩で堂平山に至るという大まかなルートは解った。
だが、具体的な所要時間や明確な登山ルートがどうしても出てこない。
とりあえず、有名なところだからハイカーも多い事だし、行くだけ行ってみるかというレベルで出発。
当日は朝、7時半に自宅を出る。遠征にしてはやや遅い時間。
池袋を8時18分発東武東上線急行に乗って、一路小川町へ。所要時間は約70分。
この日は絶好の行楽日和。快晴のうえに気温も穏やかで風もない。車窓の新緑が眩しい。
9時28分、小川町駅着。
ここからバスに乗り換える訳だが、バス停の時刻表を見て吃驚。
1時間に1本しかない「白石車庫行き」は急行が小川町駅に到着する直前の9時20分にすでに出てしまい、次は1時間後の10時20分までないのだ。まったく接続を考えていないダイヤの組み方には呆れる。同じように困っているハイカーが10人程居た。
一応、バスの時間は事前に調べてはあったが、ゴールデンウイークなのだから臨時便でもあるのだろうと鷹を括っていた。しかし考えが甘かった。このバス会社は行楽シーズンでも商売する気が殆どないようだ。もっとも、この辺りは、車での移動が主流な訳で徒歩中心の利用者など、始めから切り捨てているのだろう。首都圏での交通事情に慣れていると非常に困惑する。
何人かのハイカーはタクシー相乗りで登山口最寄りの場所まで移動するようだ。
しかし、単独行動を考えている自分にとってタクシーは論外。一人で乗ったらいくら掛かるかたまったものではない。
仕方なく、次のバスまで1時間待つ事にする。まったく時間の浪費であった。ただでさえ遅い時間の出発だったのにここでまたロスとは前途多難だ。
待っている間に駅前で無線交信を試みる。飯能市移動の局と1局だけ50MHzSSBでQSO。ロケーションはNGな場所ゆえに、2、3局しか聞こえない。
10時20分。やっと「白石車庫」行きバスが来た。車内はハイカーでほぼ座席が埋まる。
およそ40分のバス移動。のどかな田園風景の中を川沿いに進むバス。総じて普通の路線バスの雰囲気。
川を跨いで鯉のぼりが飾られている場所があったが、この辺りの名物なのだろうか?
途中いくつか登山口最寄りの停留所があるらしく、次々ハイカー客が降りていく。なんと終点まで乗っていたハイカー客は結局自分一人だけ。
これは意外だった。
堂平山という有名な山の登山口「白石車庫」。それもゴールデンウイークである。天候もよい。にも拘らず何故に自分一人なのだ?
本当にここが堂平山登山口最寄りのバス停なのだろうかと一気に不安になる。
バス停に降り立つと殆ど人気がない。登山口の表示もない。大雑把な地図が描かれた看板が立っているだけ。
これではどうしようもないではないか!
一体どちらに向えば堂平山なのか皆目見当がつかない。持参した地図はハイカー用ではない埼玉県の都市地図なので堂平山登山道は記されていない。つまり全く役に立たないのだ。
仕方なく、近くに一軒だけあった食堂のような場所で、堂平山へのルートを訊ねてみた。
ところが、その食堂の人も余りよく解らない様子。
一体どうなっているのだ?
堂平山への入り口最寄りバス停である食堂の人まで知らないなんてそんな事があるのか?バスの車中でハイカーが持っていたハイク用の地図付きチラシ(たぶん東武鉄道が発行しているもの)が置いてないかと訊ねたが、それもないと言う。まったくもって当てが外れっぱなし。
とりあえず、食堂の人が指差す方向にそれらしき山が見えた。山頂が芝で覆われた特徴的な形。そちらの方向に鋪装された林道が延びていたのでとにかくそっちへ進めばなんとか行けそうだとの事。
余りにもイージー。その上、堂平山らしきその山は、遥か彼方にも感じるが、とにかく進まないことには話にならず。
半分自棄になってその道を進むことに決めた。時計を見ると11時10分。すでに交信実験が始まる時刻を過ぎている。
とにかく急いで行けるところまで行くしかあるまい。
姑くは車も楽に走れる舗装道路を歩く。坂も急ではない。すぐ近くに沢が流れており民家も点在して、とても長閑な風景が続く。
幸いだったのは、堂平山キャンプ場への道標が道端に立っており、少なくともこの道が堂平山へ続いている事は間違いなさそうだった。
30分程、舗装林道を行くと道標に従い、右折して登山道に入る。
ここから次第に道も狭くなり坂も急になってくる。それ程暑くはなかったが息が切れてきた。周りは鬱蒼とした杉の針葉樹森林で視界は遮られる。
とにかく地図がないので道標だけが頼り。目的地まであとどれくらいなのか、今、自分が何処を登っているのかさっぱり解らない。
すれ違うハイカーも皆無。携帯ラジオから途切れ途切れに聴こえるナック5だけが救い。
登山道を進むにつれて坂は急激になり足元も危険な情況に。息も絶え絶えだ。
これはきつい。本格的なハイクをするつもりではなかったので身体がついてこない。でも登らねばどうしようもないのだ。
どこが「気楽に移動運用が出来る堂平山」だ。
全く話が違う!
途中、休みを取りつつ這い上がるようにして登る。バス停を出てから30分。すると前方に視界が開けてきた。
もしかして山頂?と足を速めるが、登り切ったところは鋪装された林道との交差点。まだまだ先に登山道が延びている。がっくりと道端で座り込んでいると巨大なムカデがウネウネこちらにやってきた。
恐ろしい!
気を取り直して更に這い上がるようにして登っていく。風景は針葉樹がら天然の落葉樹帯に変わり、周辺は明るくなった。新緑が眩しくそれが幻想的な「清涼剤」として働く。
すでに正午も回った。しかし今だ山頂に辿り着くメドもない。途方に暮れつつも尚も登っていく。
すると再び前方に視界が開けてきた。今度こそ山頂に違いないと足を速めるが出たところは、またもや鋪装された林道。
しかし先ほどとは違い、かなり眺望が効く場所で小さな駐車場もあって車が何台も止まっていた。後になって知ったが、ここは標高695mの七重峠という場所らしい。
もう息も絶え絶え、体力も限界を感じさすがにここで諦めようかとも思ったが、また中途半端な場所での無線運用をしても昨年の二の舞いと思い、更に登山道を行く。ここからはすれ違うハイカーも増えたので、あとどれ位で山頂に辿り着けるかを訊ねてみた。すると40分位だとの返答。
まだまだという印象ではあったが、山頂は近いという確実な情報が手に入ったため、不安は解消された。
七重峠から上は再び針葉樹林の中を進む。
地肌が流出して根が露出している。暗い日光の届かぬ人工的な針葉樹林は大地を疲弊させる事を物語っているようだ。
そして12時40分。「白石車庫」バス停を出てから1時間半ちょっと。最後の急坂を登り切ると視界がグンと開け、芝の広場が現れた。
更にその向こうには天文台のドームが。
やっとの思いで遂に堂平山を登り切ったのである!
正に「やっと来たあ〜」と心で叫ぶ感じ。
堂平山は標高876m。登山口の「白石車庫」バス停は標高350mだから520m近くの標高差を90分程で登ってきた訳である。下界には、その出発点の集落が小さく見おろせた。
近年、こんな山登り等した事がなかったので本当にしんどかったが、大きく開けた快晴のパノラマを見た時は達成感があり、精神衛生上大変よろしい。
天文台自体はすでに業務は終了しており柵に囲まれているが、何故か敷地内まで立ち入る事が出来た。
ここはいずれ再利用するのであろうか?
天文台の周りはキャンプ場や駐車スペースが完備されている。ログハウス調の真新しい建物がいくつも建っており利便性はよい。
トイレも綺麗(有料100円)。
ただ、ドリンクの自販機や食堂等は見た限り存在せず、あくまでキャンプ場として堂平山頂は整備されつつあるようだ。
ここは天文観測のメッカでもあるからアマチュア望遠鏡の小屋まで作られていた。
とにかく舗装道路が山頂まで延びているので、車で快適に「登山」出来る。
「気楽に行ける堂平山」とは、あくまで車に限った事である。
車道があるのだから路線バスがあってもよさそうなものだが、何故にないのだろうか?
徒歩ではとても気軽どころか相当の体力と時間を要する場所だ。この点は強調しておきたい。
なお、この日、堂平山頂の三角点近くでCBerや特定小電力無線愛好家のミーティングが開かれていたので、暫しアイボールし名刺を交換。
歩いて登ってきた事を告げるとちょっと驚かれていたようだ。
帰り際に15分程、FM放送受信チェックをして15時45分頃下山開始。登ってきた道をそのまま下る。バスの時間を控えてきたので余裕を持って歩く。
往路とは違い、道が解っている上に、下り坂なので精神的にも体力的にも非常に楽だ。
道端の草花を眺めたり静寂の森林の中で暫し瞑想に耽ったりでゆっくり歩く。帰路もハイカーはほんの僅かで、カップルを一組目撃しただけ。本当に此所は徒歩でやってくるところではないのだ。
沢沿いの民家の庭は色とりどりの春の花が綺麗に咲き競っていて、並みの植物園より見ごたえがある。17時近くの低い陽射しに栄えて素晴らしい。
17時少し前、「白石車庫」バス停に到着。一時間に一本のバスにはなんとか間に合う。
小川町駅行きのバスに此所から乗ったのは自分と、先程目撃したカップルハイカーのみ。途中のバス停で多くのハイカーを拾い、終点までには、朝の往路と同じく座席が埋まっていた。
これまた、後で知ったのだが堂平山のみを単独で登る人は元々少なく、一連のハイキングコースの中間点として堂平山が位置付けられているようだ。
本来は白石峠を経由して堂平山に向うルートが一般的で白石車庫がら直接、堂平山に登る今回のルートは余り紹介されていない。
東武鉄道のサイトに詳しく載っているので、此所の地図をダウンロードして活用するのがベターだ。
17時40分頃、小川町駅到着。
夕日が美しい。
事前のリサーチが余りにも不足し過ぎたのは反省材料だ。何せ行った事もないところに地図無しで挑んだ訳だからね。下手をすると山道で迷ったかもしれぬ。
ただ、秩父や丹沢等はハイクが主で無線が従の心持で挑まないとダメであろう。高尾山や多摩丘陵のような気軽さはない。ある程度の予備知識と準備が必要。当日思い立って行ける場所ではなさそうだ。
17時58分小川町駅発池袋行き急行で帰途につく。
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