前穂高岳 屏風岩東壁 雲稜ルート
- GPS
- 32:00
- 距離
- 24.6km
- 登り
- 993m
- 下り
- 985m
コースタイム
- 山行
- 7:00
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 7:50
天候 | 2017/9/2(土)晴れ 2017/9/3(日)晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2017年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
写真
装備
備考 | ・水量が多い場合のストック渡渉のみでなく、1ルンゼ下山時にストック必須でした。 ・夕食、朝食、行動用に、横尾から水4L追加。結果として1L余った。 |
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感想
大好きな穂高に行く際に、いつも眺めていた屏風岩。
稜ではなく、聳え立つ垂直で大きな岩壁。
今年の剱岳合宿が天候不良で流れてしまったので、今年は無理だろうと思っていたが、この夏の終わりに行けることとなった。
2017/9/2(土)
●上高地〜横尾
前夜は雨と予想してゆっくりめに上高地入り。おかげで混雑していなかった。
横尾にて、今夜と明日の水4Lを追加。
●渡渉〜1ルンゼ
心配だったので沢靴持参したが、例年より水量は多くないとのこと。
だが、雪解け水の為水はかなり冷たい。
パンツを股下までたくし上げて渡ったが、少し濡れた程度で済んだ。沢靴はここにデポ。
1ルンゼはほとんどが浮石で岩も大きい為、汗だくでつめる。
近づくと見えなくなる為、屏風岩全容が見える位置から登攀ルートを確認する。
●T4尾根
アプローチシューズをデポ。
1ピッチ目 Yさんリード
2ピッチ目 yachimayuリード
荷物が無ければ何ともないはずだが、今までの疲れと全荷の重みでのろのろ登攀。
3ピッチ目 Yさんリード
出だし3m程の岩の先はブッシュ。かなり長いのでコンテで。
4ピッチ目 yachimayuリード
II級程度の岩登りだが最後の凹角が悪い。残置ロープがあるが、使わずに凹角登攀から木の下へ。先の立ち木で支点を取る。立ち木を右から回り込んだ先がテラスになっており、雲稜ルートの取付き。
取付きのテラスは、2人用ツェルトが2つ+お座りスペース程の広さ。
女性はトイレに迷うところだが、そこはアルパインスタイルで。
夜中に気づくと、満天の星空。
2017/9/3(日)
取り付きスペースの1段下でビバークしていたらしきパーティーが、暗い中登攀準備を始め、ヘッデン登攀開始。
自身達は明るくなってから登攀スタート。
●雲稜ルート
1ピッチ目(5.7) Yさんリード
コーナークラックを利用し、小さなハングを越えてピナクルテラスへ。
岩がスパーンと切れてしっかりしているので、カムの決まりが良い。
ピナクルテラスは2人がハンギング出来る程度。
2ピッチ目(5.9) yachimayuリード
出だし右にトラバースするが、バンドをそのまま進んでしまうとルートを見失う。
間違えて進んでしまった先から真上の垂壁を眺めると右上するラインが読めるが、ラインに乗るための最初の2、3手、少しえぐれた垂壁に乗り込むところが悪い。
フリーっぽくえぐれた部分を越え、あとは右上部にある木(草付き)を目指す。
草付きからほぼ180度折り返し、緩やかな泥付きを登り、扇岩テラスへ。
扇岩テラスはしっかりした支点が2箇所。
2人が寝転がってビバーク出来るくらい。
3ピッチ目(IV+、A1) Yさんリード
人工ルート。途中、ハーケン+3mmスリングの支点があり、かなり恐怖。
最後2手ほどはフリーで。
4ピッチ目(IV、A1) yachimayuリード
少し被った垂壁をハングまで登り、ハング下を右手にトラバース。
出だしが悪かったので1手鐙を使って乗り込み、師匠に呆れられる。
ルンゼをそのまま登れなさそうなので、最初水平に移動したが、草付きの壁に突っ込んでしまい数m敗退。ルンゼを渡ってすぐの草付きをルンゼに沿って上がると小さいテラスにたどり着いた(残置あり)。
5m程上のテラスまで Yさんリード
ルンゼ沿い5m程上部にも支点(残置あり)。そちらまで移動。
5ピッチ目(5.7)+6ピッチ目(IV) yachimayuリード
出だしは簡単な登りだが、途中からコーナークラック登攀となり、クラック終了点からハング越えとなる。
残置ハーケン豊富(豊富すぎる。全て使うと玉切れ必須)。適度にカムが決まる。
ハング下でクラックから離れハングを乗っ越すが、岩がしっかりしており、足をしっかりおけばフリーで越えられる。手をいっぱいいっぱい伸ばした先にハングにハンガーやリングがあるので、怖い場合はそれを利用しても。
その先は、綺麗なスラブ。傾斜は緩やかだが、この高度でこれは怖い。
そして「残り2ピッチ」と分かっていたはずなのに、終了点に到着してしまった。
4ピッチ目の終了点を5m上で取ったこと、60mロープだったこと(50mロープだと不可)、残置ハーケンをあまり使用せずカムで登ったので玉切れしなかったこと、ハングはあるが大きな屈曲はなかったことが原因。
「残置に拘らない登り」を叩き込まれてきたおかげ?で、支点を無視してしまった。
結果として良しとするが、少しランナウト気味との評価を頂き、反省。
確かに終了点到着時には、支点作成の為の最低限の装備しか残っていなかった。
●懸垂下降(同ルート下降)
1ピッチ目:60mロープで3ピッチ目の少し上の残置まで
2ピッチ目:扇岩テラスまで1本で
3ピッチ目:扇岩テラスから登攀したルートとは逆(ミッドナイト・エクスプレス側)の大テラスへ1本で
4&5ピッチ目:大テラスにがっちり懸垂用残置があるが、テラス落ち口にひっかかりそうでひやひやした。実は扇岩テラス側に直下降できる残置があったと懸垂しながら気づく。取り付きへ
懸垂しながら後続パーティーの登攀を確認していたら、5ピッチ目はハング直前で切っていた。ハング横のクラック終了点にある木の残置で支点が取れるようです。
T4尾根は懸垂4ピッチで降りる。ブッシュ帯で木の根にひっかかる可能性大。
<感想>
雲稜2ピッチ目、自身のリード1本目。
トラバースした先を見た時、絶対無理だと思った。
しばらく躊躇していたからか、基本ノーコールな師匠から珍しく「無理なら戻れ」との声。でも、ここで戻ったらこの先はないと思った。
「行けるから行かせる」という師匠の言葉を信じて、1歩足を上げると、・・・登れた。ラインが見えた。間違って突っ込んでも冷静にリカバリーできた。
この春、2年間のアルパインリーダー学校を卒業し、本格的にアルパインをやる覚悟を決めた。毎週のトレ山行で登攀技術だけでなく、全荷登攀、長時間の継続登攀、ルーファイ、リカバリー、クラック、カム、藪漕ぎ、アルパインに必要な勘(?)等様々なことを教わった。
叩き込んで頂いた全てを使って、今年このルートを登れたことが嬉しかった。
師匠はじめ、今まで教えて頂いた方、そして練習に付き合ってくれた皆に感謝した日でした。
ただ、いくら先行し、リードしたとしても、メンタル的な部分で連れて行って頂いていることに変わりは無いと思っている。
いつか自分の力で、もう1度ここに来たいと思う。
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