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Yamareco

記録ID: 127912
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
富士・御坂

夏期富士山(御殿場口・夜間登山)

2010年07月28日(水) ~ 2010年07月29日(木)
情報量の目安: A
都道府県 山梨県 静岡県
 - 拍手
GPS
35:40
距離
19.9km
登り
2,394m
下り
2,394m

コースタイム

7/28〜29
御殿場口新五合目(1440m) 2045
 ↓
新六合目(2590m) 2320
 ↓
六合目(2830m) 0003
 ↓
七合目(3030m) 0046
 ↓
七合五勺(3090m) 0105
 ↓
八合目手前の廃小屋 0150〜0300(仮眠)
 ↓
八合目(3400m) 0317
 ↓
御殿場口山頂 0418
 ↓(反時計回り)
剣が峰 0520
 ↓
下山開始 0550
 ↓
宝永山頂 0722
 ↓
御殿場口新五合目(下山) 0825
天候 7/28 晴
7/29 晴
過去天気図(気象庁) 2010年07月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
自宅(千葉県佐倉市)→(東関東道・首都高・東名)裾野IC→太郎坊→御殿場口新五合目
コース状況/
危険箇所等
御殿場ルートはとにかくコースが長いので、人気はない。
そのかわり、シーズン中でも静かな登山ができるので、
個人的には一番好きなルート。

1.御殿場口新五合目(1440m)〜大石茶屋(1550m)
足慣らしに最適。砂地だが、ところどころに石が混じっていて、結構歩きやすい。

2.大石茶屋〜新六合目(2590m)
この区間は標高差が1150mもあり、とにかく長い。
基本的には柔らかい砂地の登りで、脚を取られやすいので、ここで案外消耗する。
飛ばしすぎると、8合目より上でバテる可能性があるので、無理はしない。
登りルートは途中から右に分かれるが、夜間時の登山では気づかずに直登してしまいやすい。
直登すると大砂走の下りなので、傾斜が非常に急。
よほど健脚でドMな方はやってみるといいかもしれないが、
直登しているうちに傾斜がおかしな位急になった場合は、大砂走を登っている恐れ大。
右にトラバースして登り用の一般ルートに戻ろう。
ここはジグザグの長い登り。ひたすらジグザグで、単調。

3.新六合目〜七合目・日ノ出館(3030m)
新六合目まで上がると、左手に宝永山がほぼ並んで見える。
そして変わらず、砂礫をジグザグトラバース。
こういう登りが嫌いなひとには、かなり苦痛かも。

4.七合目〜赤岩八合館(3300m)〜八合目(3400m)
砂礫にだんだん大きめの岩が混ざってきて、傾斜が急になってくる。
ここまでで消耗していると、ここでの急登がだいぶ堪える。

5.八合目〜頂上鳥居
岩稜の登りとなる。時々大落石があるので、注意が必要。
岩稜帯だが、コースが整備されていて、ルート上に浮き石は皆無と言ってよい。
傾斜は更に急になってくる。
高所に馴化していないと、ここからガクリとペースが落ちる。
視界の先に鳥居が見えてくれば、頂上。
頂上鳥居から右手が河口湖口、左手が富士宮口。
静かな御殿場ルートとは打って変わってのひとの数にびっくりするだろう。
予約できる山小屋
御殿場口新六合目・半蔵坊
御殿場口七合四勺・わらじ館
山頂からのご来光の瞬間。
1
山頂からのご来光の瞬間。
静かなルートだったのが、頂上鳥居から河口湖口頂上方面へちょっと向かった途端にガラリ。
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静かなルートだったのが、頂上鳥居から河口湖口頂上方面へちょっと向かった途端にガラリ。
河口湖口頂上鳥居を過ぎると、また静けさが戻ります。火口と雪渓の向こうに剣ヶ峰。
河口湖口頂上鳥居を過ぎると、また静けさが戻ります。火口と雪渓の向こうに剣ヶ峰。
剣ヶ峰です。うん、逆光で見事に隠れてるな。
剣ヶ峰です。うん、逆光で見事に隠れてるな。
剣ヶ峰から富士宮口方面へ降り、富士宮口頂上鳥居との中間あたりから剣ヶ峰と観測所。
剣ヶ峰から富士宮口方面へ降り、富士宮口頂上鳥居との中間あたりから剣ヶ峰と観測所。
宝永山と朝霧高原。
宝永山と朝霧高原。
宝永山近くまで降りてきました。
宝永山近くまで降りてきました。
宝永山頂。何もありませんでした。この後は最後まで大砂走を疾走したので、写真を撮っていません。
宝永山頂。何もありませんでした。この後は最後まで大砂走を疾走したので、写真を撮っていません。
そして宝永山頂から1時間で御殿場口新五合目まで戻ってきました。
そして宝永山頂から1時間で御殿場口新五合目まで戻ってきました。

感想

5度目の挑戦にして、やっとその頂に立つことができました。

天候条件は、これ以上ないくらいによく、
これで登れなかったらぼくの登山人生は一体なんなんだろう?
そう思うくらいでした。

予定では20時に御殿場口(標高1440m)から入山だったのですが、
諸々の事情と交通渋滞により、20時45分にずれ込みました。

4月に、午前3時入山で、2600m付近に達するのに4時間近く要したのと、
また、コースタイムが登り7時間半、とあったので、
御来光前に登頂するには、休憩を入れて8時間は必要だろう、と考えたのですが、
のっけから躓いてしまい、前途が思いやられます。

とは言え、積雪期に1度歩いているコース。
かなり気楽な気分で登り始めます。ひとは誰もいません。

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序盤は、多量の砂礫のために地面が柔らかいため、
脚がべったりと重くて、随分な疲労感を覚えます。
4月のときは砂礫が凍っていたし、ちょっと登ったらすぐ雪だったので、
アイゼンで固めた足元はかなり安定しており、
このあたりはむしろ4月よりも辛いくらいでした。

御殿場口新5合目から新6合目までは標高差が約1200mあり、
ここまでが序盤のひとつのヤマ、と言えます。
なお、4月は新6合目付近で滑落しました。


序盤に体力を使いすぎないよう、ペースを抑えていたつもりが、
知らず知らずのうちに前の若者のパーティーに追いついてしまったため、
オーヴァーペースにならないようにしばらくは彼らの後ろについていましたが、
結局パーティーの人数が多すぎて(10人くらいいた)みんなばらばらに歩いており、
逆に自分のペースが乱れて体力を消耗するのが嫌だったので、
「お先に」と声をかけて先を譲ってもらいました。

7合目の日の出館までは、とにかく固さが一定しない砂礫のジグザグ道を、
ただひたすら登るだけ。
斜度は次第に急になって行きましたが、
斜度よりも砂礫の固さで楽、しんどいが左右されます。

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7合目を過ぎると、砂礫よりも岩の数が増え、地面の固さが安定してきたので、
足にリズムが出てきました。

ところが、この時点でまだ1時を回ったばかり。
この調子だと、3時ごろに登頂できてしまい、早すぎるため、
またペースを抑えて登っていたのですが、
8合目手前まできても、まだ2時前だったこともあったし、
やや寝不足で眠かったこともあったので、
さすがに山頂でガタガタ震えながら待つくらいなら、
仮眠でも取った方がましだろうと考え、
持参してきたシュラフカバーを被り、廃小屋の脇で風をしのぎつつ、
1時間ばかり仮眠を取りました。

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3時過ぎに再出発。
看板には8合目から90分で登頂、とあり、
日の出時間が4時52分と教えてもらっていたため、
このペースであれば、日の出時間には十分間に合うだろうと考えていました。

9合目までくると、酸素濃度が14%程度になっているはずですが、
まったくと言っていいほど酸素不足を感じませんでした。

かつて、槍ヶ岳へアタックした際、高度馴化に失敗したことがあったため、
僅か数時間で2300mも標高を上げることに対して、
些かの不安がないわけでもなかったのですが、
もともと高地への適応力はあるほうだったし、
十分なトレーニングも積んでいたので、
その成果が出たのだろうと、好意的に解釈することにしました。

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そして4時18分に登頂。
仮眠1時間と休憩時間30分を除き、約6時間での登頂でした。

4時43分に、念願のご来光を見ることができ、
さすがに感激を禁じえませんでした。

復路は、宝永山を経由して、大砂走りを一気に下山。
休憩はほぼなしで2時間半足らずでした。

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4度も失敗したフジさんですが、こうして無事に登ることができました。
降りてきて思ったのは、

「やっぱり積雪期に登りたい!」

でした。

こりゃもうどうしようもないですね。
完全にビョーキです。
今回の登山は、まるで来るべき積雪期登山の偵察をしたかのようでした。

ぼくの中では、積雪期に御殿場口から完登するまでは、
富士山ではなく、フジさんなのです。

何故これまで「フジさん」と称していたのか。
別に気まぐれでもウケ狙いでもなんでもなく、
4度も挑戦を退け、長らく登頂を許さなかったその山に対して、
ぼくなりの敬意を示したものでした。

霊山と呼ばれるフジさんに対して、
お寺さんや仏さん、お地蔵さん、というのと類似した捉えかたで「さん」づけした、
いわば掛詞のようなものです。

-----

次は、11月です。
来る日に向けて、さらにトレーニングを重ねるだけです。

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