仙台神室岳 南沢出合から風ノ堂山経由 周回
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- GPS
- --:--
- 距離
- 17.9km
- 登り
- 1,203m
- 下り
- 1,210m
コースタイム
- 山行
- 7:56
- 休憩
- 1:38
- 合計
- 9:34
天候 | 曇りで小雪のち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
雪山バリエーションです。 |
写真
感想
仙台で暮らした若い頃、大東岳へは11回も登ったが、仙台神室岳だけは登る機会がなく、気付けば35年が経ってしまっていた。35年前の冬に2泊した山小屋「翠雲荘」が今も健在であることを、2・3年前、ヤマレコで知った。あの冬、県境を越えて瀬ノ原山へ登った日、下山途中で眺めた仙台神室岳の真っ白い姿を、今も思い出す。翠雲荘をベースに二口側から仙台神室岳に登りたいと、以前から考えていた。
このところ、体力、特に心肺機能の衰えを自覚するようになった。挑戦するならあと1・2年かもしれない、という思いに突き動かされる。晴れ予報の17日がチャンスだ。山に2日間を充てることは叶わず、残念だが翠雲荘に泊まることは諦めた。雪の状態がわからないので、長靴・登山靴・ワカン・スノーシュー・アイゼンとすべて車に積み込み、16日(金)夜に高速で仙台へ向かった。
夜中12時過ぎに秋保ビジターセンターに到着。車中泊はまったく眠れず、長い夜だった。17日朝は寒気が強く、雪が舞う中を出発。林道歩きと沢歩きのために長靴を履き、稜線上がカチカチであることに備えて、登山靴とアイゼンをザックに詰め込んだ。「名勝磐司」の案内板のあたりから林道にも雪が現れるが、堅雪でツボ足でも沈み込みは無い。二口林道が右岸側から左岸側に渡る橋の所から、吹き付ける風がいっそう冷たくなって、アウターを着込んだ。春山というよりは冬山のような気象条件で、不安が募る。
杉林を下った所に立つ翠雲荘はすぐにわかった。35年ぶりかあ、懐かしい。備え付けのノートを開くと、仙台神室岳東稜を歩いてきたという単独行者の書き込みが、最新のものだった。
二口沢は雪解け水を集めていて、長靴でも渡るのをためらうような流れになっている。幸い少し上流側にスノーブリッジを見つけ、慎重に右岸へ渡る。さらに南沢を右岸側に渡りたいのだが、これもスノーブリッジがあって、難なく渡れそうだ。当初は長靴で南沢を少し遡ってから支尾根に取り付く予定だったが、この堅雪なら最初から沢には入らずに、沢沿いをトラバース気味に登っていけそうだ。二口沢を渡った段階で、長靴から登山靴+アイゼンに履き替える。
南沢右岸側を少し辿り、いくらか登り易いだろうと選んだ支尾根に取り付く。急だが一定のリズムで登っていける。木々の霧氷に包まれつつ急坂を上ると、やがて稜線に上がって、南方の景色が広がった。
風ノ堂山には三つの小ピークがあるように感じた。小ピークは岩峰になっていて、南側だけではなく、北側の通過も厳しそうだ。灌木の中を中央突破する。向かう仙台神室は山頂部に雲がかかり、南東壁が荒々しく、圧倒的な迫力で立ちはだかっている。自分にあの山が登れるのだろうか。
風ノ堂山頂付近でワカンの跡を見つけた。翠雲荘で読んだ一文の主であろうか。仙台神室との鞍部に向けて、稜線を途中右手に折れ下る。風の強い鞍部から少し登った所で休憩した。山頂に立った時に何も見えなければつまらないし、下山ルートの判別にも、晴れていた方が良い。
仙台神室東稜の登りは傾斜が強く、高度感が爽快だ。だがここは、新雪雪崩の危険もあるだろう。アイゼンが有効な雪質で本当にラッキーだった。
晴れ上がった仙台神室山頂に立つ。眺めは素晴らしく、正面遠く朝日連峰の白い峰々も見える。若かった頃の自分に見せてあげたい、そんな感慨に浸りながら、ザックも下ろさずに四方を眺めた。
下山は北方に伸びる尾根へ。明瞭でわかり易いが、支尾根分岐には要注意。ここでも途中、ワカンの足跡を見つけた。南沢出合で長靴+ワカンに履き替える。青空を背景に白く輝く二口の山々や豪壮な磐司岩を眺めながら、林道をのんびりと下って行った。
予定より早く山行を終えることができたので、脳卒中で入院している同級生の顔を見てから仙台を離れ、夜9時過ぎには帰宅した。身体の方はヘロヘロだったが、魂には喜びをいただいた、そんな仙台神室岳への遠出だった。
コメント
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翠雲荘再訪と神室岳東稜の踏破、35年の思いがかなってよかったですね。これもまた心に残るレコでした。奇しくもmikiosamさんと一日違い、雪山バリエーションの達人たちが歩かれるルートは似てくるものですね
この日はもしかして和賀でkamadamさんの雄姿を遠方から見られるかもと思っていましたが、二口とは。北は意外に天気が悪かったので、こちらで正解でしたね。
>若かった頃の自分に見せてあげたい
今だから歩ける道かもしれません。
レコを見る限り、体力気力ともまさに充実の気配、まだまだこれからじゃないですか。気を付けて残雪の山を楽しんでくださいね。
cheezeさん、暖かいコメントありがとうございます。
身体のあちこちの衰えのことを言い始めたら盛り上がりそうですが・・
cheezeさんご夫婦こそ、油が乗っているように見えますよ
17日は天気図では良かったですが、寒気が強かったですね。秋田市も最高気温で2度ぐらいだったようです。そうなると、和賀山塊もすっきりした青空には、なかなかならないようです。
オヤジの感傷レコですが、35年前に眺めた山を登ることができて、感無量でした
仙台まで遠征されましたか。お疲れ様でした。
風ノ堂の岩峰や神室東稜の大迫力に改めて驚き、恐怖を感じました。
いずれもリスキーなルートのようですが、早すぎれば表層、遅すぎればブロックの雪崩の危険性があるのでしょうが、この時期のベストなタイミングを捉えるあたりは、流石にベテランの鋭さですね。
35年間も忘れ難く、ずーっと心に残っていたピークを踏破出来て、さぞかし嬉しかったことと思います。私も思わずバンザーイ!を叫んでしまいました。
帰路も踏破の興奮と気掛かりだった友達に会えた喜びで、あまり疲れを感じなかったのかも知れませんね。疲労を感じ始めた頃にレコアップ?、でしたら本当にこれもお疲れ様でした。
tonkaraさんの読みの深さ・鋭さにはいつも感服します。
疲労を感じた頃にレコアップ・・というより、ずっと疲れが取れずにおりますが
確かにリスキーなルートだと感じました。今回mikiosanが、さらに難しそうな相ノ峰〜風ノ堂も含めて歩かれていますが、あんまりヤマレコで記録を見ないのもわかるような気がします。これからも新雪は積ることがあるでしょうから、雪崩には要注意ですね。かと言って、雪が落ちてしまうと猛烈な藪に悩まされそうです。今回の雪質は、南沢沿いのトラバースも含めて、本当にラッキーでした。
友達には連絡していなかったので、ビックリしていましたね。
久々にワクワク感満載のヤマレコを読みました。積年の思いが詰まったバリエーションならではですね。
こんもりした雪庇の写真にも目が釘付けです。
こんな山歩き、私の憧れです。
これからも無事下山を前提に、kamadam流を続けて下さい。
nomoshinさん、過分なお言葉をありがとうございます。
若い頃の登山というのは、その時のいろんな思いと同化していますね。
35年が経っているのに、若い頃の思いを残した山に登ると、その思いがよみがえって、ちょっと肩をたたいてあげたくもなります。
行こうと思えば一般ルートで登れる山ですが、たぶんもう登ることはないでしょう。
今回はそのつもりで臨んでみました
kamadamさんにしては珍しく遠征されたなと思いましたが、昔やり残した宿題を果たされたということでしょうか
地元の岳人でも唸るような仙台神室岳バリエーションなのではないでしょうか。
若き頃の自分と比較されてますが、山歩きは経験値ですよ。(おそらくですよ
まだまだkamadamさんのレコを楽しみにしている人たちがいっぱいいるのです
tooleさん、励ましの言葉?
まあ、体力が落ちたら落ちたなりに、里山で雪山バリエーションを楽しめるからね
風ノ堂に上がって神室岳東稜を歩きながら、これはきっとtooleさんが喜ぶルートじゃないかなあ・・なんて思ってましたよ。臨機応変な対応力、tooleさんがよく言う、山登りの総合力が試されるような気がしました。一度、機会を作って歩いてみてください。mikiosanや私のレコを参考にしながらも、オリジナルなルート取りを期待していますよ
初めまして。長井市のokusanと言います。
難易度の高い山達人ルートと感じました。しかも単独登山ですね。
過去 2014/3/24 夏道ルートで登りました。神室岳山頂からkamadamさんが登ったルート、風景写真が無いかPC確認したら1枚有りました。
22枚目写真:山頂から風ノ堂山とその先に相ノ峰です。
肝心の写真は入っていませんが、ご参考にブログ記録です。
https://blogs.yahoo.co.jp/okusan2005/archive/2014/3/25
栗駒山スタートの中央分水嶺歩きも年相応に鈍行となり、
飯豊〜朝日分水嶺(オラの勝手名称)、近くの低山歩きをしています。
春山を楽しんで下さい。これからも記録拝見させて頂きます。
okusan093さん、コメントありがとうございます。
ブログ拝見しました。素晴らしい写真の数々ですね。
私が登った際は充電をちゃんとしてなかったので、バッテリー不足になりました。尾根に上がる時など、もっと撮りたかったのですが。
あまり人の入らない山を可能なら周回ルートで・・というところは、僭越ながら共通していると感じました。
こちらこそ、記録を拝見して学ばせてもらいたいと思います。
よろしくお願いします。
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