一切経山(魔女の瞳に会いに行く)
- GPS
- --:--
- 距離
- 5.6km
- 登り
- 375m
- 下り
- 372m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
先月、一番上の義兄が亡くなって、昨日は納骨の儀が行われた。夜は旅館に泊り懇親会となる。葬式と納骨が別の日というのは初めてだ。冠婚葬祭の様式は地方によって様々で、それに倣うしかない。乾杯発声の指名を受ける。もう十数年くらい酒は飲んでいないが、指名とあればやむを得ない。中ジョッキ一杯のビールを飲み干す。
次の日は、神さんたち姉弟が計画した吾妻スカイラインに行く。女性陣は浄土平、東小富士散策。私と義兄は一切経山に登ることになる。ところが、いざ出発となると義兄は山道具を持っていなかった。背広に革靴だ。どこに行くかはっきり決めていなかったのが原因だ。長靴とストックは常時車に積んであるので、それを使えばいいと思ったら、神さんがそれを下ろしてしまっていた。荷物が多いと余分な物を下ろしてしまったのだ。私の使っているストック(木の棒)は下していなかった。これがあれば残雪があったとしても心強い。登山に必要な最低限の物は、私がデパックに準備していたので問題は無い。義兄は、どうしても登りたいというので出発とする。
二年前に念願の微温湯コースを登って、吾妻の主だったルートは歩いたことになる。残りのルートで単独で登れるのは、デコ平スキー場からリフト利用で西吾妻山と蒲谷地から東吾妻山くらいで、いずれも冬期ルートになる。大滝沢遡行は、パートナーに恵まれれば可能かもしれないが実現性はゼロだ。あとは、高湯温泉と土湯温泉方面からのルートもあるが、食指は動かない。吾妻山は、単独小屋泊りで歩いた初めての山だ。白布峠から明月荘泊りで浄土平に出た。汽車とバスを乗り継いでのアルバイト。思いついて直ぐに来られる今とは隔世の感である。
天候は晴れ、時たま吹く風が心地よい。カンカン照りではないが義兄は背広では暑いと見えて、直ぐにYシャツ一枚になる。脱いだ背広は私が持つ。私はすでにTシャツ一枚だ。ストックは義兄が使用する。ただの棒きれだが、これが有ると無いでは大きな違いである。私は、テレビやイラストで見たマタギの姿からヒントを得て、これを積極的に利用している。歩行が安定し、渡渉時や藪の薙ぎ払いにも有効である。もし熊と対峙したら、熊の月の輪を一突き出来る“武器”になるかもしれないと密かに思っている。
登山道は、最初は木道だがすぐに普通の登山道になる。少し歩くと雪田の前で子供のグループが止まっていた。大人も一緒だが大人はほとんどが女性だ。子供会などの行事でもあろう。雪田を前にして、登るか引き返すか決めかねているようだった。雪国の者にとっては取るに足らない話だが、そうでない地域の人にとっては一大事なのであろう。福島県は行政的に会津、中通り、浜通りの三つの地域に分かれているが、それに対応するように気候も異なっている。会津は雪国だが、中通り中心部に雪が降ることはまれで、浜通りに雪が降ることはほとんどない。子供たちが福島県民かどうかは分からないが、同じ県民でも会津の人でなければ雪の上を歩いた経験は無いかもしれない。実際に、無雪地の同僚の奥さんは雪に乗っただけで転んでしまって、まともに歩けなかったという話を聞いたことが有る。
日曜ということもあって、まさに老若男女で賑わう登山道である。どちらかと言うと女性の方が多いかな。定年退職後、山に登り始めたという人やブランドで身を固めた人。私たちのように普段着、デパック組など様々だ。出発時、義兄は山の方を眺めて一時間はかからないだろうという。彼は片道の時間を言ったのだろうが、足元が革靴で不安だし、それは無理だと女性陣に言っておいた。そろそろ“遅いなあ”と女性陣が心配し始めたのではないかと気になった。
吾妻小富士の噴火口、東吾妻山や安達太良山、磐梯山は見えたが飯豊山など遠くの山は霞んでいた。鎌沼が青く光る。ほぼ水平と思われる広い瓦礫の道を進むと目の前にド〜ンと魔女の瞳。息を呑む風景。胸キュン、感動の一瞬だ。ここには少なくとも三回は来ているが、今までもこんな気持ちになっていたのだろうか。感慨にふけっていると、突然、義兄のスマホが歌う。女性陣からの電話であろう。予想通りでこれを潮に下る。
雪田手前で追い越した子供達の姿は無い。ちょっと手助けすれば、魔女の瞳に出会えて、いい思い出になっただろうに、と思う。20mロープの一本もあれば登れたであろう。それが無くとも、周りの人が手を貸してやれば難なく登れたのではないか。下りはトレースもしっかり出来るので問題ないはずだ。しかし、万が一事故にでもなれば大問題である。良かれと思ってしたことが大事になりかねない。単純なようで難しい問題である。
待ちくたびれているかと思った神さんたちは、アイスを食べながらお喋りに夢中だ。特に非難されることも無く、義兄が無事に登ったことを喜んでいた。しかし、背広に革靴だったので周囲に奇異な印象を与えたのは間違いない。そんな声も聞こえないわけでは無かった。まあ、それも時と場所によりけりだろう。とにもかくにも無事に山行が終わって何よりである。
夜行バスで帰る義兄を若松駅で降ろし、義姉達を自宅に送り届ける。一息入れる間もなく自宅へ急行して、納骨の儀は無事に終わりを迎えた。
コメント
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おつとめおつかれさまでした
わたしの田舎でも49日を待って納骨される宗派もあるようですが、
我が家は曹洞宗で葬式の日にします
さて、魔女のヒトミきれいですね
深いブルー、ガイジンさんのヒトミ
そういえば、魔女ならもっともでしょうか
もうひとつ、十何年ぶりのお酒
まいにち晩酌している身には、なによりびっくりです
htさん こんばんは
”魔女”という言葉には違和感が有るのですが、ぴったりの言葉が浮かばないのです。浮かばないというよりは、胸キュンの素は何なのかわかっていないんですね。みんなのレコ見て安易に使ってしまいました(-_-;)
晩酌を欠かさない人は、統計的に見ると長生きだといいますね。私も、少しは飲んだ方がいいかな、なんて思ううのですが、飲みたいという気が全然起きなくなってしまいました。酒を飲むと車の運転が出来ないというのも有りますね。一応一家の主ですから。予期せぬことが起こった時のために。以前は飲むとはしゃぎ過ぎて、目が覚めたらよその家で眠っていたとか、いろいろ。暴れたりはしませんが。タガが外れてました(-_-;)
お悔み事だったのですね。
「一切経」とつくお山に登られたのも
納得致しました。
火口とか火口池とか見たことないです。
空の色が映っているのか
神秘的ですね。
88歳の母は裏山のお墓に行くのも
木の杖を持ちます。
(普段は杖はいらない)
ぐっと安定感が出るらしく
パワー倍増です
hobbitさん こんばんは〜
母上様も木の杖を使ってらっしゃるんですね。杖が有るとホント歩行が安定します。私は一本常に車に積んでいます。家のばあちゃんも裏山に出かける時は使っていたようです。笹筍とかアサツキ採りについて行ったもんです。
火口湖は蔵王のお釜とか、今は行けないと思いますが白根山の湯釜などに行ったことあります。融けだしている成分によるんでしょうが、それぞれ特徴ある色をしています。ではまた。
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