第8回美ヶ原トレイルラン


- GPS
- 12:45
- 距離
- 93.8km
- 登り
- 5,428m
- 下り
- 5,416m
コースタイム
- 山行
- 12:35
- 休憩
- 0:10
- 合計
- 12:45
天候 | 雨のち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
その他周辺情報 | 会場付近に公衆浴場は無し 無料シャワーあり |
写真
感想
美ヶ原90k完走しましたー
色んなトラブルを乗り越えた壮絶な大冒険でした
快心のレースができたことと、無事に完走できたことに感謝!
山の神様ありがとうございました!
それでは、レースレポートです。
ご笑納いただければ幸いです。
深夜0時半少し前、セットした目覚ましよりも早く目が覚める。
しばらく横になりながら昨晩の雨が止んでいることに安心してセブンイレブンに向かい暖かい味噌汁とサンドイッチで体を起こす。
まだ眠気は感じるもののこれから始まる大冒険に期待しながらスタートラインに並んだ。
前日の雨で地面は湿っているものの午後からは30度を越える暑さになる予報だ。
途中で脱水になってリタイアすることだけは避けたいので、水分補給と塩分タブレットは欠かさないように自分に言い聞かせながら、
午前3時半号砲と共にスタートした。
スタート直後はゲレンデをひたすら登っていく。
眠気があった身体も否応なしに目覚めていき、回りの息づかいも荒くなってくる。
無理をせず一定の心拍数を保っているつもりだが、先頭が見える5、6番手の位置でゲレンデトップまで登りきった。
今回の目標はあくまでも完走なので絶対無理はしないようにじぶんの体に言い聞かせたつもりでも、
上位入賞できるんじゃないかと思うと気持ちは抑えきれずついついペースが上がってしまう。
しかも、ここからはシングルトラックの下りトレイルが続く、ナイトランは彩の国で経験しているし得意分野だと過信していた。
と、その矢先、ゲレンデトップの天候はスタート地点とまるで別世界の濃霧が広がっていて、全く前が見えない。
ライトが暗いのが原因かと思い、スマホのライトをハンドライト代わりに使い、足元を照らすが、目の前には真っ暗闇の中の真っ白な世界が覆っていた。
そうかメガネに水滴が付いているからだ!
メガネを外し、少し前が見えるようになるが、足元の状態が良く分からない。
ペースを落とし、確実に進めば何も問題ないはずなのだが、前の人に離されるとコースも良くわからなくなるため、必死でついていこうとした次の瞬間っ!
大きな石につまずき、ド派手にヘッドスライディング・・・
後続から迫る選手にどんどん抜かれていく。
せっかくゲレンデを頑張って上ったのにこんなところで抜かれるのはいやだ!と、この時は順位を気にするがあまり、かなり焦っていたように思う。
今思えば、少し冷静になっていれば何も問題なく乗りきれたのだが・・・
落ち着け、落ち着けと言い聞かせながら、左手のスマホと右手のメガネが壊れていないことを確認し、眼鏡の水滴をハンドタオルで拭き取る。
フレームが少し曲がってしまっているが、この程度のダメージで良かったと前方の選手を追っていった。トラブルはあったが、落ち着いて対処できたと思い、ホッと一息水を飲もうとした瞬間・・・
あっ!ボトルがない!
天を仰ぎ自分のアホさ加減にうんざりした。
先程の転倒で胸に指していた給水ボトルを落としていたのに気づかなかったのだ。90kの長丁場、しかも午後から暑くなる。ボトルがなければ完走なんてできるわけがない。
どうする、コケたところまで取りに戻るか?
自分に問いかけるも、足は止まってくれない。
よし!このまま行けるところまでいこう。と気持ちを入れ換えるように言い聞かしてみるが、アタマはパニック状態。
このまま行けるわけがないと言う自分と、とにかく前へ進みたがる自分が葛藤し、気持ちの整理がつかないままAS1に到着した。
スミマセン、空のペットボトル無いですか?
エイドのスタッフの方に聞いてみたが、当然あるわけもなく、この先80kの道のりを予備で持っていた500mlのコカコーラペットボトル1本で乗りきるしかなかった。
もう後戻りもできないと考えると、とにかく給水できるところで水を常に満タンにして、水分がとれない代わりに塩分タブレットを切らさないことを考えるしかないと思うと順位なんでどうでも良くなり、少し気分が軽くなった。
その後は、予め設定された給水徐の他、天然の水場やキャンプ場の洗面所でも常に給水した。
その間、どんどん後続の選手に抜かれるのだが、焦りは全くなかった。
マイペースを取り戻したつもりだったが、90k限定の追加コースである王ヶ頭登り返しコースはかなりキツかった。
たった10kプラスされただけだから楽勝でしょ。などど気楽に考えていた自分が恥ずかしくなるくらいキツイ。
しかも、途中にエイドが全く無く、水をセーブしている体に容赦なく登り下りが襲いかかってくる。ほんとキツイ。
登り返しのキャンプ場で声援を送ってくれたマッキーの笑顔がなければ絶対に登り切れなかった。ありがとうマッキー!
王ヶ頭に出ると、80kと合流。いよいよエイドだ。
長かったけどココで食べまくりの飲みまくりやー!とエイドに駆け込もうとしたその時、スタッフの方から、
「おっ、90kの選手ですね。現在6位ですよ」と告げられた。
何っ!そんなに離されてないやん。
思わず気持ちが揺れて、素早くエイドを出発すればもう少し前が狙えるかも。という雑念が芽生えた。
が、一瞬で雑念を振り切り、「あかんあかん。ボトルを失った今はとにかく完走を目指すこと」と冷静になり、コーラ、塩バナナ、あんパンを3回くらいローテーションして、お腹いっぱいの元気いっぱい!
靴紐を結び直す余裕まであった。勝負は和田宿エイドの先の林道だ!アタマは冷静だが闘志は消えていない。アホな自分が少し成長しているのを感じた。
ここから和田宿までは下り基調。80kの選手たちが群がるボリュームゾーンに遭遇して、行く手をふさがれてはいるが、全く焦りやイライラを感じることもなく、常に冷静に
「右側通りマース。ありがとうございまーす」
と大きな声をかけ、次々と80k選手をパスしていく自分を楽しむ余裕があった。しかも、冷静になったアタマは、次の勝負の作戦まで考えていた。
とにかく食べれば元気。徐々に調子は上がっていく。自分の調子と比例するように、お天道様の勢いも増していき、和田宿エイドに到着する頃には、灼熱のアスファルト地獄が待ち構えていた。
これも想定通り。自分に降りかかる困難を全て受け入れる覚悟が出来ていたので、全く焦りはない。
和田宿エイドでは楽しみだったお蕎麦→そうめん→お蕎麦→お蕎麦(ネギ入り)→コーラ→お蕎麦(ネギなし)
どんだけ食べるねん!と誰も突っ込んでくれないので、自分で突っ込み、「ごちそうさまー!いってきまーす!」と元気よく和田宿エイドを後にした。
が、しばらくは走れなかった。(←そりゃそーだ、食べ過ぎなので当たり前)
ここで次の勝負の作戦発動。和田宿エイドの近くには朝食を食べたセブンイレブンがあることを思い出し、コンビニ限定670ml麦茶をゲットした。
これで次の長門牧場までの林道を攻められる!ここが勝負所だ。
灼熱の太陽が照りつける中、歩いている選手を次々とパスしながら、黙々と林道を上っていく。ちらっと時計に目をやると、全く距離が進んでいない!なので、時計は見ないことにした。
まっ、時計を見ても見なくても、いつかは林道の終わりがやってくる。
できるだけ楽観的に考えながら黙々と進む。黙々と、、、黙々と、、、
なっ、長い!全然終わらん!ホンマに終わるんかこの林道!
自問自答しながら、まるでカッパの皿が乾くのを防ぐように、時折アタマに水をかけながら黙々と上っていく。
すると、目の前にスタッフの姿が!思わずガッツポーズして、「林道、終わりですよね!」と尋ねると、
「いや、まだありますよ」と、超冷静に返された。。。
分かった、もうエエ。歩く気力も失せたわ。開き直ったパワーは凄まじく、再び黙々と走り始めた。
ようやく、自問自答林道ゾーンから抜け出し、牧場ゾーンへ突入。
不思議なもので、林道の登りを走り続けた体は、疲れるどころか「このくらいの登りやったら全然いくでー」と徐々に調子が上がっていく。
長門牧場エイド手前で90k選手を発見。追い抜きざまに声をかけると、「たぶん5番手ですよ」とのこと。
林道走りきる作戦は成功したようだ。ムフフ。しかし、長かった。。。
長門牧場では楽しみの牛乳とヨーグルト、それにオヤキが待っている。と思い、エイドに突入したが、今年は牛乳とオヤキは無く、バナナとおにぎりに変わっていた。
少し残念だったが、ヨーグルトとバナナの最高コンビに体は満たされ、快晴の牧場風景に心を癒されながら、
さぁ、あとたった20kちょっと。思いっきり楽しもう。牧場の牛さんにさよならを告げ、ゆっくりとエイドを後にした。
ここからはシングルトラックの分水嶺トレイル。昨年はほぼ川状態だったが、今年は昨日の雨で泥んこ状態。どっちにしても泥だられは免れない。
それでも森の中を駆け抜ける爽快感が心地良く、このまま何時間でも走り続けられるような錯覚を覚えた。それにしても暑い。
次のエイドまでのちょうど中間地点あたりだろうか、「前橋トレラン部」の私設エイドを発見した。
まだ気持ちよく走れているからパスするか。と通り過ぎようとしたのだが、品揃えが充実しすぎていて、思わず2度見した後、少し戻って駆け込んだ。
フルーツに自家製(?)の梅ジュース、甘酒にノンアルコールビールまで置いてある充実っぷり。
トレラン部メンバーではありませんが、私もいただいちゃってよろしいんですか?と変な丁寧語で問いかけてみると、
どーぞどーぞ。好きなだけ召し上がって下さい。とのこと。神様降臨である。
全てが美味しすぎて、なかなかエイドを出られない。これはいかん!と我に返ったあと、名残惜しむように、かなり大きめの氷をいただいてエイドを後にした。
この氷が、”命の氷”と化し、この後も走り続けられる原動力となった。
長時間走り続けていると、水を飲んでも喉の渇きが癒えず、飲み過ぎると汗で塩分やミネラルが出てしまうため、喉の渇きだけを押さえたい気分になることがある。
この氷がまさに喉の渇きを押さえ、暑さを和らげてくれた。特にジェルを食べた後に氷をかじって口に含む「氷ジェル」は、走りながらかき氷感を味わえる最高のデザートで気分も軽くなってきた。
なんせ暑いので、せっかく氷で冷やした体は再び火照りだし、カキ氷を食べながら走るというか至福の時間は長く続かなかったが、次のエイドまであっという間に到着した。
ここが最終エイド、しっかりと補給し、最後の登りに挑む。もう、作戦も何もない。とにかく前に進むだけ。
ここから先は、快晴の空の下、絶景というご褒美が待っていた。
美ヶ原山頂は濃霧で全く景色が見られなかったが、この景色を見せるために楽しみを最後まで取っておいてくれたんだろう。
これこれ、この景色が見たかってん!カメラに景色を納めながら、45k、80kの選手を次々とパスしていく。きもちいー。
そして再びゲレンデトップへ。ここからは今朝登ってきたゲレンデを下るだけ。
今朝、このゲレンデトップを越えたあたりで転倒してアタフタしていた自分を思い返し、あれから80kの道のりを重ねる間に、随分と成長したように感じる。
いつもは、誰かに負けたくないとか、今何位くらいだろう。とか、誰かと競い合う事に一生懸命で、無計画で突っ走ってきたように思う。
今回、あの転倒があったからこそ、どのようにレースを組み立てるか、どうやったら現状を打開して道を切り開くか。今回の90kの旅は色んな事を教えてくれた。
何があっても諦めない。
そう決めて前に進もうとしても、色んな困難が押し寄せて、必死で阻止しようとする。それでもなお、諦めないと心に決めれば、今度は自分を後押ししてくれる力が働くと言うことに少しだけ気づかされた。
美ヶ原の神様は時に厳しく、時に優しく語りかけてくれた。もしかしたら、あの給水ボトルは自分が大事故にならないように身代わりになってくれたのかもしれない。
色んな思いが交錯する。
ゲレンデの下り坂でパスして行く選手に「ラスト頑張りましょう!」と声をかけていると、徐々にゴールゲートが近づいてくる。
あぁ、帰ってきてしまった。ホッとする一方で、まだ終わりたくないという複雑な気持ち。
あぁ、帰ってきた!無事に帰ってきましたよー!
誰か知り合いが待っているわけでもないのに、そんなことを心で叫びながら、ゴールゲートを通過してフィニッシュ。
長く、辛く、苦しく、楽しい、幸せな、、、、形容しがたい特別な時間を過ごすことが出来ました。
健康で丈夫な体に生まれてきたことに感謝。
そして美ヶ原の神様に感謝。
本当にありがとうございました。
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