不思議な場所、大寺山の仏舎利塔(奥多摩 大寺山・鹿倉山)
- GPS
- --:--
- 距離
- 10.3km
- 登り
- 858m
- 下り
- 755m
コースタイム
10:49尾根に出る-
11:14仏舎利塔(大寺山山頂)11:20-
12:30鹿倉山山頂12:48(おにぎり休憩)-
13:22大丹波峠-
13:50山道終わり-
14:03丹波山のめこい湯到着
(計3時間43分)
標準コースタイムよりかなり速いですが、このコースの設定が緩るめなのだと思います。
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
■奥多摩駅 9:15着 ■丹波行きバス 9:30発(バスは臨時便は出ず満員)-深山橋バス停下車 |
コース状況/ 危険箇所等 |
■陣屋の脇から大寺山への登りはじめは、いきなりの急登で、途中傾斜はやや弱まるが、大寺山への最後の登りも急登 ■大寺山から鹿倉山へはなだらか ■大寺山が近づくと、ヤセ尾根の細い踏み跡を歩く箇所が3箇所ほどあり、積雪がある場合はスリップや踏み抜きに注意が必要 ■ニホンザルが多数いた |
写真
感想
一昨年のゴールデンウィークに、雲取山山頂の避難小屋で一緒になったアメリカ人から「あの白い塔は何か」とはるか遠方を指して聞かれ、その存在は知っていたので「仏舎利塔だ」※1 と答えたものの、さりとて自分もまだ行ってみたこともなく、説明すべき言葉も持っていなかったことを正月休みにふと思い出したので、冬枯れの山歩きに相応しかろうと、今年最初の行先に選びました。
※1 仏舎利塔の元来の意味はお釈迦様の遺骨を奉納した建物のこと。
バスを降りて深山橋を渡ると、店構えからして美味しそうだなと思わせる陣屋(蕎麦屋)があって、登山道はその脇を入っていくようになっています。店はまだ営業時間前なので、脇でストレッチをすませ、店の広いガラスにくっきりと写る自分の姿が珍しく、パチリと撮影していたところへ、丁度、陣屋の大将と女将さんが開店のために車で到着しました。
女将さんが気さくに話しかけてくださるので、幾つかお聞きしたのが、店の建物は奥多摩湖(ダム)が出来る前に沈む場所にあったのを移築したものであり、建物自体は100年ほど経っていること。普段は息子さんが板前をされているが、今日は消防団の出初式に出るため、大将が久しぶりに包丁を握ること、などお聞きしました。これから丹波に向かうので、別の機会に是非立ち寄りたいとお伝えして、大寺山に向かって登り始めました。
大寺山への登りは、いきなり北アルプスのブナ立尾根を思わせるほどの急登で、10分も経つとすっかり暑くなり、汗かきの私としてはヤッケも脱がなければなりません。
30分ほど登ると尾根道に出て、傾斜も少し緩まりますが、辺りはすっかり葉を落とした広葉樹林のため陽当りがたいへん良く、急ぐとまだまだ汗をかきそうなのでゆっくりと進みます。しばらくすると、前方上方の林の中で何か獣のような叫び声がしました。
鹿でもなく、キツネでもなく、はて面妖なと思いながらも高度を上げていくと、右側の急斜面の樹林帯にニホンザルの群れがいて、私が近づいたことで急いで遠くに逃げて行くところでした。
先ほどの声は人間が近づいてくることへの警戒連絡だったのでしょう。短時間の事だったので写真は撮れませんでしたが、ざっと見ただけで10頭はいたと思います。
木の実の一つさえ見当たらないこの冬枯れの森で一体彼らは何を食べて生きているのかと不思議に思い、また感心もしました。
いよいよ大寺山への最後の急な登りを終えると、突如、紺碧の空を背景にした真っ白な仏舎利塔の全容が現れました。想っていたよりも大きく、その美しさは『なぜこんな所に…』という、誰もが抱くであろう疑問とないまぜになって、不思議な高揚感さえ感じさせます。
近づくと、柔和な表情の釈迦像が立っており、その階段脇の塔の上には、何やらコワ可愛い感じの動物が護りのように鎮座していることに妙な安堵感を覚えました。よく観察すると鬣(タテガミ)があるようなので、どうやら獅子なのでしょう。
お釈迦様は片手を天に向け、片手を地に向けているので、天上天下唯我独尊とおっしゃっている姿なのでしょうか。思い切って、階段を登ってお釈迦様に手を合わせ、そのまま塔の周りを一周したところ、塔の四方にそれぞれ異なる年代と状況を表現したと思われる釈迦像がありました。
先ほどの像に向かって右の側面には横たわった釈迦像があり、これは涅槃に入ろうとしているお釈迦様なのだと思いましたが、その他の2像の示すものはわかりません。私には天上天下唯我独尊の釈迦像が最もにこやかに感じました。
また、階段を登って歩いたので気がついたのですが、建物の造りはコンクリートの上にさらに樹脂を被せて、その上に白い塗装を施しているようです。おそらく厳しい自然環境からコンクリートの劣化を極力遅らせるための措置なのだろうと思いますが、こうした施工法が建物の白い光沢に幾分かしっとりとした落ち着きを与えているのかも知れません。いずれにせよこの塔を建立した際の意気込みなども覗えます。
このように不思議な魅力のある風景ですが、塔の裏手に廻ると、誰が捨てたのか随分古い廃棄乗用車や潰れかかったプレハブ小屋などがあって、登山道正面から見たものとまるで違った雰囲気となり、たいへん惜しいと思いました。
家に戻って調べたところ、深山橋をさらに小菅方面に進んだところから、未舗装の細い林道があるようです。
いろいろと感じさせる場所ですが、個人的には最初に感じた高揚感が残っていて、また違った季節に行ってみたいと思える場所でした。
登ってきた登山道から仏舎利塔に向かって左手奥に鹿倉山(シシクラヤマ)への縦走路があって、あとはヒタスラそこを歩き、鹿倉の山頂でおにぎりを食べてテルモスの紅茶を飲み、大丹波峠(オオダワトウゲ)を経由して、楽しみにしていた「丹波山のめこい湯」に寄り(去年6月の奥秩父御殿岩の帰りに立ち寄って以来)、バスが2時間も来ないのを良いことに、ゆっくりじっくりと温まって帰路につきました。
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